要点民事執行法 167 条の 10 は、少額訴訟債権執行で転付命令等を求める際、求める命令の種別を明示して地方裁判所の債権執行手続への事件の移行を申し立てることを定める規定である。
Q · 少額訴訟で勝って差押えもしたのに、相手の売掛金を丸ごと自分のものにできないのはなぜ?
書記官では転付命令が出せず、地裁への移行申立てが要るから
少額訴訟債権執行では簡易裁判所の裁判所書記官が差押処分までは出せますが、差し押さえた債権を券面額で自分に移す転付命令や、譲渡命令等・供託命令は書記官の権限外です。これらを求めるには、民事執行法 167 条の 10 により、求める命令の種別を明示して地方裁判所の債権執行手続へ事件を移行させる申立てが必要です。移行後は当初の申立て時に地裁へ申し立てたものとみなされ(6 項)、手続は一からやり直しになりません。
未払いの家賃 40 万円、少額訴訟で勝訴判決を取った。次は相手の預金や給料、売掛金を押さえる番だ。少額訴訟債権執行なら簡易裁判所の裁判所書記官が差押処分を出してくれる、手軽で速い。ところが、差し押さえた債権をそのまま自分のものに変えて回収を確定させる「転付命令」、これは書記官の権限では出せない。転付命令、譲渡命令等、供託命令を狙うなら、事件を地方裁判所の通常の債権執行手続へ「移行」させる申立てをしなければならない、それが本条だ。ここを知らないと、書記官のもとで待ち続けても転付命令は永遠に出ず、時間だけが溶ける。移行を申し立てた瞬間、事件は地裁に移り、しかも最初から地裁に申し立てたものとみなされる(6 項)。手続の連続性は保たれ、一からやり直しにはならない。あなたが握るべき判断は、いつ、どの命令を狙って移行を切るかだ。
民事執行法 167 条の 10 は、少額訴訟債権執行の事件を地方裁判所の債権執行手続へ移行させる制度を定める規定である。差押えに係る金銭債権について転付命令・譲渡命令等・供託命令を求めるには、差押債権者が求める命令の種別を明示して執行裁判所に移行の申立てをする必要があり、移行決定には当初申立て時への遡及みなし効が伴う。
AI 輔助整理,以條文原文為準
60 万円以下の少額債権につき、簡易裁判所の裁判所書記官が差押処分を出して回収を進める簡易・迅速な執行手続です。少額訴訟の判決などを債務名義として使います。
本条の移行申立て自体に固有の期間制限はありません。ただし第三債務者が弁済すれば債権が消えるため、実務上は狙った債権が消える前に動く必要があります。
申立手数料や送達費用等の実費がかかります。ただし移行では当初申立て時への遡及みなし効があるため、一から申し立て直すより手続の連続性が保たれます。
移行決定そのものには不服を申し立てられません(4 項)。ただし移行申立てを却下する決定に対しては執行抗告ができます(5 項)。
差押処分は少額訴訟債権執行で書記官が出すもの、差押命令は地方裁判所の通常の債権執行で裁判所が出すものです。移行後は差押命令があったものとみなされます(6 項)。
転付命令は券面額での弁済とみなされるため、第三債務者が無資力で一円も取れなくても、あなたの元の債権は消えます。資力の見極めが不可欠です。
訴額 60 万円以下の金銭支払請求に限られます。この判決等が本条の少額訴訟債権執行・移行の前提となる債務名義になります。
なりません。移行決定が効力を生じると、当初の差押処分の申立て時に地裁へ申し立てたものとみなされ(6 項)、既にされた執行処分も引き継がれます。
差押処分は債権を押さえるだけで、そのお金を自分のものにするには取立てか転付命令が必要です。転付命令は簡易裁判所の書記官では出せないので、本条により地方裁判所の債権執行手続へ移行を申し立てます(167 条の 10 第 1 項)。業界裏話ヒント:多くの本人申立ては書記官の差押えで止まり、そこから先へ進めていない。移行と転付まで行って初めて回収が確定する、と知っている人だけが最後までお金を取り切る
取立ては第三債務者から実際に払わせる方式で、払われなければ回収できません。転付命令は差し押さえた債権を券面額であなたに移し、他の債権者を排除して独占できます(民事執行法 159 条)。ただし第三債務者が無資力でも弁済とみなされ、取れなくても債権は消えます。業界裏話ヒント:確実に払える相手なら転付が最強だが、資力が不安なら取立てや譲渡命令等の方が安全。この見極めを移行の種別選択(本条 1 項)の瞬間に決める
券面額があり第三債務者が確実に払える金銭債権なら転付命令、券面額が定めにくい・条件付きの債権なら譲渡命令等、といった具合に債権の性質で使い分けます。本条 1 項は申立て時に種別の明示を要求します。業界裏話ヒント:種別を間違えると却下(この場合 5 項で執行抗告可)や遅延を招く。実務では、移行の前に第三債務者へ債権の有無・額・弁済意思を照会(陳述催告、民事執行法 147 条)してから種別を決めるのが定石
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 手続の段階 | 167 条の 10:転付命令等を得るための地裁への移行申立て | — |
| 権限主体 | 移行後は地方裁判所(裁判官) | — |
| 得られる効果 | 転付命令・譲渡命令等・供託命令 | — |
| 移行のきっかけ | 差押債権者の申立て(種別明示が必要) | — |
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