民事執行法 第159条(転付命令)
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- 執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。)を発することができる。
- 2.転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
- 3.転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
- 4.第一項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
- 5.転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
- 6.差し押さえられた金銭債権が第百五十二条第一項各号に掲げる債権又は同条第二項に規定する債権である場合(差押債権者の債権に第百五十一条の二第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から四週間を経過するまでは、」とする。
- 7.転付命令が発せられた後に第三十九条第一項第七号又は第八号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
この条文の基本情報
転付命令とは何ですか?
定義転付命令とは、民事執行法第159条に定められた規定で、「執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第159条(転付命令)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第159条の条文原文は「執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(以下「転付命令」という。」で始まります。
- 民事執行法第159条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第159条の前の条は民事執行法第158条です。
- 民事執行法第159条の次の条は民事執行法第160条です。
- 民事執行法第159条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第159条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第159条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/159
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法159条の転付命令は、差し押さえた金銭債権を券面額で差押債権者に移転し独占を認める制度。確定すれば元の債権は弁済とみなされ消滅する。
Q · 差し押さえた預金を『転付命令』で自分のものにすれば、確実に全額回収できるの?
いいえ、独占できる代わりに回収不能でも元の債権が消えます
民事執行法159条の転付命令は、差し押さえた金銭債権を券面額であなたに移転し、他の債権者を締め出します。確定すれば独占的に回収できますが、代償として元の債権は券面額で弁済されたものとみなされ消滅します(160条)。第三債務者が無資力なら回収は不能で、そのリスクは全てあなたが負います。また第三債務者への送達時までに他の債権者が差押え等をすれば、転付命令は効力を生じません(3項)。相手の資力と送達の速さが成否を分けます。
解説
取引先が代金を払わない。裁判で勝って債務名義を取り、相手の銀行預金を差し押さえた。ここで多くの人は「あとは取り立てて終わり」と考える。だが差押えには二本の出口がある。取立て(155条)と、この転付命令(159条)だ。取立ては、あなたが第三債務者(銀行)から直接回収する方法。ただし他の債権者も同じ債権に群がれば、配当で山分けになる。一方、転付命令は、差し押さえた預金債権そのものを券面額であなたに移転する。移転した瞬間、その債権はあなた一人のもの。他の債権者は手を出せない。ただし代償がある。銀行が万一支払えなくても、あなたの元の債権は券面額で弁済されたものとみなされ、消える(160条)。独占と引き換えに、回収リスクを丸ごと背負う。しかも命令が第三債務者に届く前に他の債権者が差押えをすれば、転付命令は無効になる(3項)。速さと相手選びが、全額か山分けかを決める。
法的な位置づけ
転付命令とは、民事執行法159条に基づき、執行裁判所が差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえた金銭債権を差押債権者に移転する命令をいう。確定により当該債権は差押債権者に帰属し、元の債権は券面額で弁済されたものとみなされる(160条)。第三債務者への送達時までに他の債権者が競合すれば効力を生じない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務名義を取得し対象債権を特定 確定判決や公正証書などの債務名義を用意し、相手の預金・売掛金・給与など差し押さえる金銭債権を特定する。第三債務者(銀行・取引先・勤務先)が誰かを明確にする
- 2.差押命令を申し立てる 執行裁判所に債権差押命令を申し立てる(145条)。差押命令が第三債務者に送達されると、その債権の取立て・処分が禁止される。ここが転付命令の前提となる
- 3.第三債務者の資力を確認し取立てか転付かを選ぶ 第三債務者がまず潰れない相手(大手銀行等)なら転付命令で独占を狙い、信用に不安があれば取立て(155条)を選ぶ。転付は不可逆なので慎重に判断する
- 4.転付命令を申し立て、送達を最優先で急ぐ 執行裁判所に転付命令を申し立てる(159条)。効力の基準時は第三債務者への送達時なので、送達を誰よりも先に済ませる。送達前に他の債権者が差押え等をすれば無効になる(3項)
- 5.確定を待ち、執行抗告と割り込みに警戒 転付命令は確定しなければ効力を生じない(5項)。告知から1週間の執行抗告期間、相手の抗告や配当要求の割り込みに注意する。給料等なら送達から4週間の経過も要件(6項)
よくある質問 AI による整理
Q1転付命令とは何ですか?
執行裁判所が差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえた金銭債権を差押債権者へ移転する命令です。民事執行法159条が根拠です。
Q2転付命令はいつ効力が生じますか?
確定しなければ効力を生じません(5項)。告知から1週間の執行抗告期間を経て確定します。給料等の差押禁止債権では送達から4週間の経過も必要です(6項)。
Q3転付命令に不服がある場合どうすればいいですか?
告知を受けた日から1週間の不変期間内に執行抗告ができます(4項、民事執行法10条)。抗告があれば確定が延び、その間に争う余地があります。
Q4転付命令が無効になるのはどんな場合ですか?
第三債務者への送達時までに他の債権者が差押え・仮差押えの執行・配当要求をしたときは、転付命令は効力を生じません(3項)。送達の順番が決め手です。
Q5転付命令の申立てはどこにしますか?
差押命令を出した執行裁判所に、差押債権者が申し立てます。差押命令(145条)で債権を特定していることが前提となります。
Q6券面額とは何ですか?
証書や債権に表示された名目上の額面のことです。転付命令ではこの額で債権が移転し、同時に元の債権が弁済されたものとみなされます(160条)。
Q7転付命令と差押命令の違いは何ですか?
差押命令(145条)は債権の取立てや処分を禁じる前提手続で、転付命令(159条)はその債権そのものを券面額で差押債権者に移転させる終局的な満足手段です。
Q8転付命令の送達は誰にされますか?
債務者および第三債務者の双方に送達しなければなりません(2項)。とりわけ第三債務者への送達時が効力の基準時になります(3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1転付命令と取立て、どっちを選べばいいんですか?
相手(第三債務者)が確実に払えるかで決まります。大手銀行の預金なら転付命令(159条)で独占、零細企業の売掛金なら取立て(155条)が無難です。実務のポイント:弁護士が転付命令を勧めるのは、他にも債権者がいて配当で薄まりそうな時。単独の債権者なら取立てで十分なことが多い。「とりあえず転付」は、第三債務者の信用を見誤ると自分の債権を失う片道切符になる。
Q2転付命令をもらったのに、相手の会社が倒産して回収できません。もう一度請求できますか?
できません。転付命令が確定した時点で、あなたの元の債権は券面額で弁済されたものとみなされます(160条)。第三債務者が払えなくても、そのリスクはあなたが引き受けたことになります。実務のポイント:だからこそ転付対象は「まず潰れない相手への債権」に絞るのが鉄則。取立てを選んでいれば残債を他の資産に追及できたのに、という後悔が最も多い場面です。
Q3給料を差し押さえられて転付命令が来ました。全額持っていかれるんですか?
全額ではありません。給料債権は原則4分の3が差押禁止(152条)で、差し押さえられるのは原則4分の1まで。さらに転付命令は差押命令の送達から4週間経たないと確定しません(159条6項)。実務のポイント:この4週間は反撃の窓で、請求異議の訴えや執行抗告(4項)で争う時間が確保されている。ただし養育費・婚姻費用のための差押えは、この4週間ルールも差押禁止の範囲も緩和されます(151条の2)。相手が誰かで守りの厚さが変わる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「転付命令をもらえば確実に全額回収できる」と思われがちだが、逆だ。転付命令は回収を保証しない。券面額で移転を受けた瞬間、あなたの元の債権は消える。第三債務者が無資力なら、紙切れになった債権だけが手元に残る。回収の確実性ではなく、独占と引き換えのリスク移転が本質だ
- 転付命令と取立ての違いを「どちらも回収方法の一つ」程度に理解している人は多い。だがこの選択は後戻りできない。転付命令が確定すれば元の債権は券面額で消滅する(160条)。取立てなら回収不能分を他の資産へ追及し直せるが、転付を選んだ時点でその道は閉じる。二択の重さを知らずに選ぶと、取り返しがつかない
- 「先に差押命令を取ったのだから自分が優先だ」という前提が、そもそも間違っている。転付命令の優劣を決めるのは差押えの順番ではなく、転付命令が第三債務者に送達される時点(3項)。あなたが先に差し押さえていても、送達前に他の債権者が滑り込めば転付は無効。問うべきは「いつ差し押さえたか」ではなく「いつ送達が届くか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 基本的な機能 | 転付命令159条:券面額で債権そのものを移転し独占 | 取立て155条:第三債務者から直接回収 差押命令145条:債権の処分・取立てを禁止する前提手続 |
| 他の債権者との関係 | 送達時に独占が確定、後行の差押えを排除(3項) | 他の債権者が群がれば配当で按分 競合が生じうる段階(配当・転付・取立ての前提) |
| 回収不能時のリスク | 第三債務者が無資力でも元の債権は消滅(160条)、危険は自己負担 | 回収不能分を他の資産へ追及し直せる 差押段階では危険負担は発生しない |
| 後戻り | 確定すれば不可逆(片道切符) | 可(取立ては選び直せる) 可(その後155・159いずれも選択可) |
他国ではどう定めているか 4 か国
移転命令(移轉命令)は転付命令に類似し、差し押さえた債権を券面額で債権者に移転する。収取命令(取立て)と対をなす選択肢として設計されている
전부명령は日本の転付命令とほぼ同一構造で、券面額での移転・独占・危険負担の移転という枠組みを共有する。継受関係が明確
Überweisung an Zahlungs statt(支払に代えた転付)が転付命令に相当し、Überweisung zur Einziehung(取立てのための転付)と対をなす。本条の母法にあたる
州ごとに制度が異なり、garnishment は取立てに近い。カリフォルニア等の assignment order は債権移転に近いが、券面額主義的な独占構成は限定的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたと別の債権者が、同じ取引先の同じ売掛金を狙っている。あなたが先に転付命令を第三債務者へ送達させれば全額独占、相手が先に差押えを滑り込ませればあなたの転付命令は無効(3項)。数日、時に数時間の差で、全額か山分けかが決まる
- もし差し押さえた相手の会社が、転付命令の確定直後に倒産したら? あなたの元の債権は券面額で弁済されたとみなされ、すでに消えている。倒産リスクは全部あなた持ちだ
- あなたの給料が差し押さえられ、債権者が転付命令を申し立てた。だが給料債権には確定まで4週間の猶予ルールがある(6項)。差押命令の送達から4週間経たないと確定せず、その間に請求異議や執行抗告で争う余地がある。ただし養育費のための差押えなら、この猶予は外れる
- 回収を急ぐあなたは、相手の一番確実な資産、大手銀行の預金口座を狙う。銀行は潰れにくいから転付命令が有利。逆に相手の売掛先が零細企業なら、転付命令で独占しても回収できず丸損になる。どの債権を転付対象に選ぶかで勝敗が分かれる
- 転付命令が出た。だが確定しなければ効力は生じない(5項)。相手が執行抗告(4項)をすれば確定が延び、その隙に他の債権者が配当要求で割り込む余地が生まれる。抗告期間の1週間、あなたは気を抜けない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債務名義を取り、相手の債権(預金・売掛金・給与等)を特定して差押命令を申し立てる(145条) 2. 第三債務者の資力を確認、確実に払える相手なら転付命令(159条)で独占を狙う、不安なら取立て(155条)を選ぶ3. 転付命令を申し立てたら、第三債務者への送達を最優先で急ぐ、送達前に他の債権者が差し押さえれば無効(3項) 4. 相手の執行抗告(4項)で確定が延びる間、配当要求の割り込みに警戒する
訴えられた側:1. あなたの給与や預金に転付命令が出たら、まず確定前かを確認、確定しなければ効力は生じない(5項) 2. 給料など差押禁止債権(152条)なら差押命令送達から4週間の猶予がある(6項)、この間に執行抗告や請求異議の訴えで争う3. 第三債務者(銀行・勤務先)の立場なら、送達時点で他の差押えが競合していないか確認し、二重払いを避ける4. 命令自体に不服があれば、送達を受けてから1週間以内に執行抗告(4項)
時効(請求できる期限):執行抗告は転付命令の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事執行法10条2項)。転付命令は確定しなければ効力を生じない(5項)。給料等の差押禁止債権については、差押命令が債務者に送達された日から4週間の経過も必要(6項、養育費等のための差押えを除く)。効力の基準時は第三債務者への送達時(3項)。
学説
通説:転付命令は券面額主義に立ち、券面額での債権移転と引き換えに元の債権を消滅させる(160条)。ゆえに第三債務者の無資力の危険は転付債権者が負担するとされ、独占的満足と危険負担が表裏一体をなすと理解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)民事執行法改正(令和2年4月施行) 扶養義務等に係る定期金債権を扱う第151条の2の新設に伴う調整。給料等の差押禁止債権に対する転付命令の4週間確定猶予について、養育費等のための差押えを除外する括弧書きが第6項に整えられた(改正の詳細と全改正回数は要検証)
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定。従来の旧民事訴訟法の強制執行編を独立させ、金銭債権に対する強制執行の一手段として転付命令を規定
- 2.令和元年(2019年) 改正:第151条の2(扶養義務等に係る定期金債権の特例)新設に伴う調整。給料等の差押禁止債権に対する4週間の確定猶予について、養育費等のための差押えを除外する括弧書きが第6項に整えられた(詳細・全改正回数は要検証)
- 民事執行法 第160条転付命令の効力、券面額で弁済みなし
- 民事執行法 第155条取立権、転付命令の代替手段
- 民事執行法 第145条差押命令、転付命令の前提手続
- 民事執行法 第152条差押禁止債権、6項の適用対象(給料等)
- 民事執行法 第151条の2扶養義務等の特例、6項の猶予の例外
- 民事保全法 第50条債権に対する仮差押えの執行、3項の競合措置
- 国税徴収法 第62条滞納処分による債権差押え、競合する別体系の執行
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