民事執行法 第152条(差押禁止債権)
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- 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
- 一債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
- 二給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
- 2.退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
- 3.債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
この条文の基本情報
差押禁止債権とは何ですか?
定義差押禁止債権とは、民事執行法第152条に定められた規定で、「次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定め…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第152条(差押禁止債権)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第152条の条文原文は「次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定め…」で始まります。
- 民事執行法第152条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第152条の前の条は民事執行法第151条の2です。
- 民事執行法第152条の次の条は民事執行法第153条です。
- 民事執行法第152条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第152条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第152条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/152
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法152条は、給料など給与債権の4分の3を差押禁止と定める。ただし手取りの4分の3が33万円を超える部分と、養育費滞納の場合の2分の1超は差押えの対象になる。
Q · 給料を差し押さえられたら、全額持っていかれるの?
原則4分の3は守られ、取られるのは4分の1まで
民事執行法152条により、給料・賃金・退職年金などの給与債権は、手取り額の4分の3が差押禁止です。つまり債権者が取れるのは原則4分の1まで。ただし例外が二つあります。第一に、手取りの4分の3が政令で定める33万円を超える場合、その超過分は差押えの対象になります。第二に、養育費や婚姻費用など扶養義務に基づく債権を請求する場合、保護は4分の3から2分の1に下がります。パニックで退職する前に、まず自分の手取りの4分の3を計算することが第一歩です。
解説
借金を滞納して、ある日突然、給料が差し押さえられた。手取り20万円のうち、いくら持っていかれると思うか。全額ではない。民事執行法152条は、給料・賃金・賞与・退職年金の4分の3を差押禁止と定めている。つまり債権者が取れるのは原則4分の1まで。あなたの生活を根こそぎにすることは、法律が許していない。ただし例外が二つある。第一に、月収が高い場合。4分の3が政令で定める額(33万円)を超えると、その超過分は全額差し押さえられる。第二に、養育費や婚姻費用の滞納で差し押さえられる場合、保護は4分の3から2分の1に下がる。子どもの生活費だけは、国が債務者の保護を薄くしてでも回収させる。あなたが払う側でも取る側でも、この一線の位置を知っているかどうかで、毎月の手取りが数万円変わる。
法的な位置づけ
民事執行法152条は差押禁止債権を定める規定であり、給料・賃金・俸給・退職年金・賞与などの給与債権について、支払期に受けるべき手取り額の4分の3に相当する部分の差押えを禁じる。手取りの4分の3が政令の定める額(33万円)を超えるときは、33万円までが保護される。養育費等の扶養義務に基づく債権の請求では、保護範囲は2分の1に縮小される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず手取りの4分の3を計算しパニックで退職しない 差押命令の通知を見たら、額面ではなく税金・社会保険料控除後の手取り額を基準に4分の3を電卓で出す。守られる額を把握するだけで、会社を辞める必要がないと分かる
- 2.養育費根拠か通常債権根拠かを確認 差押命令が養育費・婚姻費用など扶養義務に基づくものか、通常の借金かを確認する。養育費なら2分の1まで、通常債権なら4分の1までと保護の厚さが変わる
- 3.生活が成り立たないなら取立て前に範囲変更を申立て 民事執行法153条により、差押禁止債権の範囲変更を裁判所へ申し立てる。決定的なのは第三債務者への送達後、取立てが実行される前に動くこと。家賃・医療費・扶養家族の疎明資料を集める
- 4.根本解決として債務整理を並行検討 毎月4分の1が完済まで引かれ続けるため、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理で差押えの根本を止めることを弁護士と検討する
よくある質問 AI による整理
Q1差押禁止債権とは何ですか?
債務者の生活維持のため、法律で差押えを禁じた債権です。給料や退職年金の4分の3が代表例で、民事執行法152条が根拠となります。
Q2給料の差し押さえはいくらまでできますか?
原則として手取りの4分の1までです。4分の3は差押禁止で守られます。ただし手取りの4分の3が33万円を超える部分は全額差押可能です。
Q3給料差押えで手取り33万円が出てくるのはなぜですか?
手取りの4分の3が政令で定める33万円を超える高収入の場合、33万円までしか保護されず、超過分は差し押さえられるためです。
Q4副業やフリマの収入も差し押さえから守られますか?
守られにくいです。152条の4分の3保護は給料が対象で、事業所得や報酬として振り込まれる副業収入には及ばない場合があります。
Q5生活保護費は差し押さえられますか?
生活保護費は生活保護法58条で全額差押禁止です。ただし口座に振り込まれ預金債権に変わると差し押さえられた裁判例があり注意が必要です。
Q6差押禁止範囲の変更はどう申し立てますか?
生活が立ち行かない場合、民事執行法153条により裁判所へ範囲変更を申し立てられます。家賃・医療費・扶養家族の疎明資料を準備します。
Q7給料の差し押さえは完済まで毎月続きますか?
続きます。給料債権は毎月発生するため、差押命令は将来の給料にも継続的に効力を及ぼし、完済まで毎月4分の1が引かれ続けます。
Q8税金の滞納による給料差押えは民事執行と同じですか?
異なります。国税滞納処分は国税徴収法76条が別途の差押禁止額を定めており、民事執行法152条とは計算基準が違います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1給料を差し押さえられたことが、会社にバレますか?
バレます。差押命令は勤務先(第三債務者)に送達されるため、給与担当者は必ず知ることになります(民事執行法145条)。ただし解雇理由にはできません。実務のポイント:差押えを理由とした解雇は無効とされる裁判例が積み重なっています。会社に知られること自体は避けられませんが、それで職を失う心配より、まず4分の3が守られる計算をして、債務整理で差押えの根本を止める方が現実的です
Q2手取りの4分の3って、額面と手取りのどっちで計算するんですか?
税金や社会保険料を控除した後の、実際に支払われるべき手取り額を基準に4分の3を計算します。額面ではありません(民事執行法152条の実務運用)。実務のポイント:さらに通勤手当など実費弁償的な性質のものは、差押えの基礎となる給付から除かれる扱いがあります。額面で計算されて多く取られそうなときは、手取りベースかを確認するだけで守られる額が増える
Q3養育費の滞納で元夫の給料を差し押さえたいけど、毎回申し立てないとダメ?
いいえ。養育費のような扶養義務に基づく定期金債権は、まだ支払期が来ていない将来分についても、一度の申立てで継続的に差し押さえられます(民事執行法151条の2、152条3項)。しかも2分の1まで取れます。実務のポイント:2019年(令和元年)の民事執行法改正で財産開示手続の実効性が強化され、相手の勤務先を裁判所経由で調べやすくなりました。どこで働いているか分からないと諦めていた養育費回収の道が、以前より開けています
Q4退職金も4分の3は守られるんですか?
守られます。退職手当およびその性質を有する給与は、その給付の4分の3が差押禁止です(民事執行法152条2項)。ただし養育費等の場合は2分の1まで差押可能です。実務のポイント:退職金は一時にまとまった大金が入るため、債権者が最も狙う場面です。差押命令の送達が退職金の支払前か支払後かで、保護の枠組みが変わることがある。退職前後に差押えの動きがあれば、支払前か支払後かを弁護士に確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「借金を滞納したら給料は全額差し押さえられる」と思い込んでいる人が多いが、原則として4分の3は法律上手をつけられない。取れるのは4分の1まで。パニックで会社を辞める必要はない
- 4分の3が守られることは知っていても、それが1回の差押えで終わらないことを知らない人が多い。給料債権は毎月発生するため、差押命令は将来の給料にも継続的に効力を及ぼす。完済まで毎月4分の1が引かれ続ける、その重さを見落としている
- 「養育費も普通の借金と同じ扱いだろう」という前提そのものが誤っている。あなたから見れば同じお金の貸し借りでも、法律から見れば養育費は子の生存に直結する債権として別格。差押可能額が2倍になり、将来分の一括差押えも認められる。この落差を知らずに交渉すると、取る側は損をし、払わない側は油断して足をすくわれる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 152条:給与債権の4分の3を差押禁止(実体的保護) | 153条:差押禁止範囲の変更(裁判所の個別調整) 145条:差押命令(手続の入口) |
| 保護の内容 | 手取りの4分の3(33万円上限)、養育費なら2分の1 | 個別事情に応じて保護範囲を増減 保護規定ではなく差押えの発令 |
| 誰が動くか | 法律上当然に保護(申立て不要) | 債務者または債権者の申立て 債権者の申立て |
| 取立てとの関係 | 4分の1のみ取立て可能 | 変更決定で取立て可能額が変わる 155条により送達1週間後に取立て開始 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債務者と扶養家族の生活に必要な債権を差押禁止とし、給与の継続的給付についても保護を及ぼす。生活必需性を基準とする点で日本の趣旨と共通
韓国は給料債権の2分の1を差押禁止とする(日本の4分の3より保護は薄い)。最低生活費以下は全額保護する下限規定も併存
ドイツは Pfändungsfreigrenze(差押禁止限度額)を表で細かく定め、扶養家族の数に応じて保護額が増える。日本の152条の思想的源流
米国は連邦法で賃金差押えを可処分所得の25% 以内に制限。養育費(child support)の場合は最大50〜65% まで差押可能とする点は日本の2分の1縮小と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 消費者金融の返済が滞り、勤務先に差押命令が届いた。手取り24万円のうち、会社が天引きして債権者に渡すのは4分の1の6万円まで。残り18万円はあなたの手元に残る。全額取られると思い込んで夜逃げを考える前に、この計算を知っておくべきだ
- 離婚した元配偶者が養育費を払わない。相手の給料を差し押さえたいが、通常の借金なら4分の1しか取れない。だが養育費なら2分の1まで取れる(民事執行法152条3項)。しかも将来支払われる分もまとめて差し押さえられる。回収の武器がまるで違う
- 退職して退職金がまとまって入る。だがその退職金も、差押禁止は4分の3。全額が安全というわけではない
- もし月収が60万円あったら、4分の3は守られるのか。答えは違う。4分の3(45万円)が政令の33万円を超えるため、33万円だけが保護され、残り27万円は差し押さえの対象になる。高収入ほど守りは薄い
- 差押命令が届いてから、動ける時間は短い。第三債務者(勤務先)への送達後、取立てまでの猶予はわずか。生活が立ち行かないとして差押範囲の変更を裁判所に申し立てる(民事執行法153条)なら、家計困窮の疎明資料を今夜から集める必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず給料の4分の3(月収が高ければ最低33万円)が守られることを確認、パニックで退職しない2. 差押命令が養育費根拠か通常債権根拠かを確認、養育費なら2分の1まで取られる3. 生活が成り立たないなら、取立て実行前に裁判所へ差押禁止範囲変更を申立て(民事執行法153条)、家賃・医療費・扶養家族の疎明資料を準備4. 根本解決には債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)も並行検討
訴えられた側:1. 相手の給料を差し押さえるなら、通常債権は4分の1、養育費・婚姻費用なら2分の1まで取れることを前提に回収計画を立てる2. 勤務先(第三債務者)を特定、財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民事執行法204条以下)で勤務先を割り出す3. 養育費なら将来分の継続的差押えを一度の申立てで、相手が転職する前に打つ4. 相手が範囲変更を申し立ててきたら、相手の資力・生活実態を争う
時効(請求できる期限):差押えそのものに固有の時効はないが、根拠となる債権(確定判決なら10年、民法169条)が時効消滅すれば差押えの基礎を失う。差押債権者の取立ては、差押命令が第三債務者に送達された日から1週間の経過で可能(民事執行法155条)。範囲変更の申立ては取立て前に動くのが実務上の分水嶺(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:152条の4分の3保護は、憲法25条の最低生活保障を私法上の強制執行手続で具体化したもの。手取り(税・社会保険料控除後)を基準とし、実費弁償的性質の手当は差押えの基礎から除かれるとするのが実務運用。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)改正 養育費・婚姻費用等の扶養義務に係る債権を請求する場合、差押禁止の範囲を4分の3から2分の1に縮小する第3項を新設。子の養育費回収の実効性を高める趣旨
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定により、旧民事訴訟法の差押禁止規定を152条として整理。給与債権の4分の3、退職手当の4分の3を差押禁止とする枠組みを明文化
- 2.平成15年(2003年) 改正:養育費・婚姻費用等の扶養義務に係る債権を請求する場合、差押禁止の範囲を4分の3から2分の1に縮小する第3項を新設。子の養育費回収の実効性を高める趣旨
- 民事執行法 第151条の2扶養義務等に係る定期金債権の特例、2分の1差押えの前提
- 民事執行法 第153条差押禁止債権の範囲変更、裁判所による個別調整
- 民事執行法 第145条差押命令、給料差押えの手続的基礎
- 民事執行法 第155条差押債権者の取立権と取立ての始期
- 民事執行法 第131条差押禁止動産、生活保護の動産版
- 国税徴収法 第76条滞納処分における給与差押禁止額の特則
- 生活保護法 第58条保護受給権の差押禁止の特則
- 民法 第877条扶養義務、養育費債権の実体法的根拠
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