民事執行法 第76条(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)
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- 買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。)がある場合において、取下げにより第六十二条第一項第二号に掲げる事項について変更が生じないときは、この限りでない。
- 2.前項の規定は、買受けの申出があつた後に第三十九条第一項第四号から第五号までに掲げる文書を提出する場合について準用する。
この条文の基本情報
買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等とは何ですか?
定義買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等とは、民事執行法第76条に定められた規定で、「買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第76条(買受けの申出後の強制競売の申立ての取下げ等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第76条の条文原文は「買受けの申出があつた後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を得なければならない。ただし、他に差押債権者(配当…」で始まります。
- 民事執行法第76条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第76条の前の条は民事執行法第75条です。
- 民事執行法第76条の次の条は民事執行法第77条です。
- 民事執行法第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第76条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/76
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法76条は、買受けの申出後に強制競売の申立てを取り下げるには最高価買受申出人及び次順位買受申出人の同意が必要と定める。他の差押債権者がいる一定の場合は同意不要。
Q · 競売を止めたいのですが、申し立てた債権者が取り下げれば手続は終わりますか?
入札後は落札者と次順位の同意がないと取り下げられません
民事執行法76条1項により、買受けの申出があった後は、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意がなければ強制競売の申立てを取り下げられません。債権者が単独で取下書を提出しても効力は生じません。ただし他に差押債権者があり、取下げによって62条1項2号に掲げる事項に変更が生じない場合は同意不要です(同項但書)。2項は、39条1項4号から5号までの執行停止文書を買受けの申出後に提出する場合にも同じ要件を準用します。
解説
競売は入札されるまでは債権者の一存で止められる。だが誰かが札を入れた瞬間、ゲームの支配権は債権者の手を離れる。民事執行法76条1項は、買受けの申出があった後に強制競売の申立てを取り下げるには、最高価買受申出人(一番高い札を入れた人)または買受人、および次順位買受申出人の同意が要ると定める。つまり、あなたが入札して最高価になった時点で、あなたは「この手続を終わらせるかどうか」に拒否権を持つ当事者になっている。逆にあなたが債務者側で、債権者と話をつけて競売を止めてもらおうとしても、落札者が首を縦に振らなければ手続は止まらない。取下げ交渉のテーブルに、あなたの知らない第三の椅子が置かれているということだ。ただし但書があり、他に差押債権者がいて、取下げによって62条1項2号の事項(売却により消滅しない権利や引受けの負担など、物件の条件そのもの)に変更が生じないなら、同意は不要になる。2項は、39条1項4号から5号の文書(弁済猶予や執行停止を示す書面)を出して手続を止めようとする場合にも、同じ縛りをかけている。
法的な位置づけ
民事執行法76条は、買受けの申出後における強制競売の申立ての取下げ要件を定める規定であり、最高価買受申出人又は買受人及び次順位買受申出人の同意を要求する。ただし他に差押債権者が存在し、62条1項2号に掲げる事項に変更が生じない場合は同意を不要とし、2項は執行停止文書の提出にも同一の要件を準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.事件記録で売却手続の段階を確定する 執行裁判所で事件記録を閲覧し、売却実施処分の内容、期間入札の開始日と終了日、開札日、売却決定期日を書き出す。買受けの申出があったかどうかが、取下げ要件を分ける唯一の分岐点になる
- 2.但書に該当するかを先に検証する 他に差押債権者がいるか(配当要求の終期後に申立てをした者は除く)、取下げにより62条1項2号に掲げる事項に変更が生じないかを記録で確認する。該当すれば同意は最初から不要で、対価交渉そのものが消える
- 3.同意を要する相手を特定する 最高価買受申出人又は買受人と、次順位買受申出の届出をした者を執行裁判所の記録で特定する。次順位の届出がなければ同意権者は一人に絞られる。人数によって交渉の難易度が大きく変わる
- 4.同意取得の交渉を行い、同意書を準備する 同意の対価は法定されておらず任意交渉である。物件調査費用や機会損失をどう扱うかを含めて条件を提示し、同意書の様式・押印・添付書類の要否を担当書記官に確認したうえで作成する
- 5.取下書を同意書とともに提出し、効力発生を確認する 執行裁判所に取下書と同意書を提出し、事件が終了したこと、差押登記の抹消嘱託がされたことまで確認する。同意を欠いたまま取下書だけ出しても効力は生じないため、提出後の記録確認が必須である
よくある質問 AI による整理
Q1最高価買受申出人とは?
期間入札などで最も高い額の買受けの申出をした人で、売却許可決定を受ける候補者です。民事執行法76条1項では、取下げに同意を要する当事者として明記されています。
Q2次順位買受申出人の届出はいつまでにする?
売却の実施の終了までに執行官に申し出る必要があります(民事執行法67条)。届出をしていなければ、76条1項の同意権を持つ当事者にはなりません。
Q3競売の取下げに同意しないとどうなる?
取下げの効力は生じず、手続はそのまま進行します。同意は義務ではなく、条件を付けて交渉することも可能です。同意の対価について法律上の定めはありません。
Q4担保不動産競売にも76条は適用される?
民事執行法188条が強制競売の規定を担保権実行としての競売に準用するため、抵当権に基づく競売でも同じ同意要件がはたらきます。
Q5代金納付後でも競売を取り下げられる?
できません。代金が納付されると買受人が所有権を取得し(民事執行法79条)、取下げの余地は事実上消滅します。動くなら納付期限より前です。
Q662条1項2号に掲げる事項とは?
物件明細書に記載される、売却により効力を失わない権利や買受人が引き受ける負担などの事項です。取下げでこれが変わらないことが76条1項但書の要件になります。
Q7取下げに債務者の同意は必要?
必要ありません。76条1項が同意を求める相手は最高価買受申出人又は買受人と次順位買受申出人であり、債務者は同意権者として列挙されていません。
Q8取下げの同意書はどこに出す?
強制競売事件を担当する執行裁判所に、取下書と併せて提出します。様式や添付書類の扱いは事件ごとに異なるため、担当書記官に事前確認するのが実務です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親の家が競売にかけられました。お金を用意すれば取り下げてもらえますか?
入札が始まる前なら、債権者が納得すれば取下げで手続は終わる。だが買受けの申出があった後は、民事執行法76条1項により最高価買受申出人と次順位買受申出人の同意が必要になる。実務のポイント:実務では入札開始前に決着させるのが鉄則で、経験ある担当者は最初に売却実施処分の日程を確認する。相談が開札日をまたぐと、同じ金額でも解決できなくなることがある
Q2落札したのに取り下げられたら、調査費用や時間は返ってこないんですか?
76条1項があるため、あなたの同意なしに取り下げられることは原則としてない。同意するかどうかはあなたの判断であり、条件を付けて交渉する余地がある。実務のポイント:同意の対価は法律に定めがなく、完全な任意交渉である。相手が急いでいるほど、あなたの同意の価値は上がる。急いで無償で同意書を出す必要はどこにもない
Q3同意が要らない場合があると聞きましたが、どういう状況ですか?
76条1項但書により、他に差押債権者(配当要求の終期後に申立てをした者を除く)がいて、取下げによって62条1項2号に掲げる事項に変更が生じない場合は同意不要である。手続が他の債権者のために続き、物件の条件も変わらないため、落札者の期待を害さないからだ。実務のポイント:この但書は二重開始決定がある事件で効いてくる。取下げ交渉に入る前に他の差押債権者の有無を記録で確認するだけで、交渉自体が不要になることがある
Q4執行停止の書面を出せば競売は止まると聞きましたが、本当ですか?
民事執行法39条1項の文書には種類があり、そのうち4号から5号の文書(弁済猶予を承諾した旨の書面など)を買受けの申出後に提出する場合は、76条2項により取下げと同じ同意要件が準用される。書面を出しさえすれば止まる、とは限らない。実務のポイント:39条1項の何号文書かで扱いが変わるため、書面の表題ではなく根拠条項を確認するのが実務の第一歩である
間違えやすい点 AI による整理
- 「申立てをした債権者なら、いつでも自由に取り下げられる」と思われている。民事訴訟の訴えの取下げも被告が応訴した後は同意が要るのと同じ発想で、執行手続にも作動タイミングがある。買受けの申出という一線を越えると、取下げは債権者の単独行為ではなくなる
- 取下げに同意が要ることは知っていても、同意を得るべき相手が複数いる点の深刻さは見落とされやすい。最高価買受申出人だけでなく、次順位買受申出人の同意も必要である。一人と話がついても、もう一人が首を振れば手続は止まらない。交渉の難易度は人数分ではなく、それ以上に跳ね上がる
- 「落札者の同意さえあればいい」と考えるのは、問いの立て方が逆である。実務でまず確認すべきは但書のほうだ。他に差押債権者がいて、取下げても物件の条件(62条1項2号の事項)が変わらないなら、同意は最初から不要になる。同意を取りに行く前に、そもそも要るのかを記録で確かめるのが順序である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 76条:買受けの申出後の取下げ・執行停止文書提出に同意を要求 | 67条:次順位買受けの申出の要件と手続 79条:代金納付による買受人の所有権取得 |
| 作動する時点 | 買受けの申出があった時から代金納付までの区間 | 売却の実施の終了まで(開札後の申出期限) 代金納付の時 |
| 手続の可逆性 | 同意があれば取下げ可能、同意がなければ手続続行 | 届出の有無が76条の同意権者になるかを決める 所有権移転により取下げの余地は事実上消滅 |
| 交渉上の意味 | 落札者側が拒否権を持ち、対価は任意交渉 | 二番手が当事者になるか部外者に留まるかの分水嶺 任意売却・買戻し交渉の最終デッドライン |
他国ではどう定めているか 4 か国
拍定後、拍賣物の所有権移転前に債権者が強制執行の申立てを撤回するには拍定人の同意を要する。日本の76条と同じ「落札者の同意」構造だが、次順位に相当する者の同意は条文上明示されていない
매수신고가 있은 뒤の취하には최고가매수신고인 또는 매수인과 차순위매수신고인の동의を要する。日本の76条1項本文とほぼ同一の構造で、日本法の影響が明瞭
強制競売手続の取消し・申立ての取下げを規律する。ドイツは Zuschlag(競落許可)の時点を軸に買受人の地位を保護する設計で、日本のように次順位申出人の同意を条文で要求する構造はとらない
多くの州で売却後は裁判所の confirmation を経て買受人の地位が確定する。取下げ可否は州法と裁判所規則により、統一的な同意要件の条文はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実家が競売にかけられ、家族総出で資金をかき集めて債権者と話をつけた。債権者も取下げに応じると言ってくれた。ところが期間入札はすでに終わっており、最高価買受申出人が決まっていた。あなたが払うべき対価は債権者への弁済だけでは足りない。落札者の同意という、値札のない一枚をどう買うかという交渉が残っている
- 投資目的で競売物件に入札し、最高価買受申出人になった。数日後、代理人から「債権者と債務者が話し合いで解決したので取下げに同意してほしい」と連絡が来る。あなたには断る権利がある。物件調査に費やした費用と時間、そして落札で得られたはずの利益をどう扱うか、その交渉のスタートラインはあなたが握っている
- もし、あなたが二番手で札を入れていて、次順位買受申出の届出をしていたとしたら? 取下げにはあなたの同意も要る。届出をしていなければ、あなたは単なる落選者で発言権はゼロ。この一手続の有無で、あなたの立場は当事者と部外者に分かれる
- 債権回収担当として競売を申し立てたが、途中で債務者が任意売却の話を持ってきた。売却基準価額より高く売れる話だが、入札はすでに始まっている。取下げに必要な同意者は誰か、但書の適用で同意不要にならないか、他の差押債権者の存在を今日中に記録で確認しないと、任意売却の期限に間に合わない
- 強制執行を止めるため弁済猶予の証明書(39条1項4号文書)を執行裁判所に出そうとした。買受けの申出後だったため、76条2項によって取下げと同じ同意要件が準用される。書面を出しさえすれば止まる、という前提が崩れる場面がここにある
取るべき行動
被害を受けた側:債務者側で競売を止めたい場合、1. 執行裁判所で事件記録を閲覧し、売却実施の段階(期間入札の開始日、開札日)を確認2. 買受けの申出前なら、債権者との弁済交渉に全力を注ぎ、取下書提出まで一気に進める3. すでに買受けの申出後なら、他の差押債権者の有無と62条1項2号の事項への影響を確認し、但書適用の余地を検討4. 但書が使えないなら、最高価買受申出人と次順位買受申出人の双方に同意を求める交渉に入る。同意の対価は法定されておらず、任意交渉である。この段階からは弁護士または競売実務に通じた司法書士の関与が現実的
訴えられた側:申立債権者側で取下げを求められた場合、1. 買受けの申出があったか、記録上の時点を確定させる2. 買受けの申出後であれば、同意なき取下げは効力を生じないため、単独で取下書を出しても手続は止まらない前提で動く3. 但書の要件(他の差押債権者の存在+62条1項2号事項の不変更)を検討し、該当すれば同意不要である旨を示して手続を進める4. 同意が必要な場合、同意書の様式と提出時期を執行裁判所の書記官に確認し、同意を得られない可能性を債務者側に早期に伝える
時効(請求できる期限):本条に固有の期間制限はない。ただし実質的な期限は手続の進行そのものであり、買受けの申出(期間入札の開札)を境に取下げの要件が変わる。売却許可決定の確定、代金納付、配当と段階が進むほど選択肢は狭まる。代金が納付されれば買受人が所有権を取得し(民事執行法79条)、取下げの余地は事実上消滅する。一般債権の消滅時効は民法166条(権利行使できることを知った時から5年、権利行使できる時から10年)
学説
通説(立法趣旨):76条は申立債権者の手続処分権と買受申出人の地位保護を調整する規定と解される。買受けの申出という明確な時点を境に処分権を制限し、但書により、他の債権者のために手続が継続し物件条件も変わらない場面では制限を外す構造をとる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定に伴い新設。旧民事訴訟法の強制執行編と競売法を統合し、買受けの申出後における取下げの同意要件を明文で規定した
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