民事執行法 第62条(物件明細書)
クイックジャンプ
- 裁判所書記官は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成しなければならない。
- 一不動産の表示
- 二不動産に係る権利の取得及び仮処分の執行で売却によりその効力を失わないもの
- 三売却により設定されたものとみなされる地上権の概要
- 2.裁判所書記官は、前項の物件明細書の写しを執行裁判所に備え置いて一般の閲覧に供し、又は不特定多数の者が当該物件明細書の内容の提供を受けることができるものとして最高裁判所規則で定める措置を講じなければならない。
- 3.前二項の規定による裁判所書記官の処分に対しては、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
- 4.第十条第六項前段及び第九項の規定は、前項の規定による異議の申立てがあつた場合について準用する。
この条文の基本情報
物件明細書とは何ですか?
定義物件明細書とは、民事執行法第62条に定められた規定で、「裁判所書記官は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第62条(物件明細書)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第62条の条文原文は「裁判所書記官は、次に掲げる事項を記載した物件明細書を作成しなければならない。」で始まります。
- 民事執行法第62条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第62条の前の条は民事執行法第61条です。
- 民事執行法第62条の次の条は民事執行法第63条です。
- 民事執行法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法62条は、裁判所書記官が競売不動産の物件明細書を作成し閲覧に供する義務を定める。引受権利や法定地上権の概要を記載するが、公信力はない参考資料である。
Q · 競売の物件明細書って、そもそも何が書いてあって、なぜ入札前に読まないといけないの?
落札後も残る権利と占有負担が分かる書面
物件明細書は、裁判所書記官が民事執行法62条に基づき作成する競売の必読資料です。不動産の表示、売却しても消えずに残る引受権利、法定地上権の概要が記載されます。「買受人が引き受ける」とあれば、落札後も賃借権や地上権を背負い、明渡し費用や立退料が発生し得ます。ただしこれは参考資料であって権利関係を確定する公信力はなく、現況調査報告書(57条)・評価書(58条)と突き合わせて自分で読み解く必要があります。記載に誤りがあれば執行裁判所へ異議を申し立てられます(3項)。
解説
競売サイトで市場価格の六割という値を見て、掘り出し物だと胸が高鳴ったことはないだろうか。その安さが本物か罠か、答えを握っているのが民事執行法62条の物件明細書である。裁判所書記官が、物件の表示、売却しても消えずに残る権利、そして売却で成立するとみなされる法定地上権の概要を一枚にまとめ、誰でも閲覧できるよう公開する。ここで運命を分けるのが「引受」の二文字だ。売却により効力を失わない賃借権や地上権が書いてあれば、落札後もあなたがそれを背負う。前の借主が居座り、明渡しに数百万円かかることもある。逆に、その記載がなければ引渡命令で退去させられる。つまりこの一枚を読めるかどうかで、あなたは競売の勝者にも、地雷を踏む素人にもなる。
法的な位置づけ
物件明細書とは、不動産競売において裁判所書記官が民事執行法62条に基づき作成する書面をいう。不動産の表示、売却によりその効力を失わない権利、売却により設定されたものとみなされる地上権の概要を記載し、一般の閲覧に供する。現況調査報告書・評価書と併せて「三点セット」を構成する参考資料であり、権利関係を確定する公信力は有しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.三点セットを全部取得して読む 入札を検討する物件は、物件明細書(62条)・現況調査報告書(57条)・評価書(58条)の三点セットをすべて取得する。写真や価格より先に物件明細書の権利欄から読み始める
- 2.引受権利の有無を最優先で確認 物件明細書の権利欄で「売却によりその効力を失わないもの」「買受人が引き受ける」の記載を探す。あれば残存する賃借権・地上権の負担額を見積もり、入札価格から差し引く
- 3.占有者と法定地上権を照合 現況調査報告書で占有者の有無・素性を確認し、居座りリスクを見積もる。あわせて物件明細書の「設定されたものとみなされる地上権の概要」を読み、土地利用制限を把握する
- 4.記載の誤りは売却期日前に異議申立て 実在しない賃借権の記載など明白な誤りを見つけたら、閲覧開始後すぐに執行裁判所へ異議を申し立てる(62条3項)。訂正されないまま判断に迷う物件は入札を見送る
よくある質問 AI による整理
Q1物件明細書とは何ですか?
競売不動産について裁判所書記官が作成する書面です。民事執行法62条が根拠で、不動産の表示・引受権利・法定地上権の概要を記載し、誰でも閲覧できます。
Q2競売の三点セットとは何ですか?
物件明細書(62条)、現況調査報告書(57条)、評価書(58条)の3つを指します。入札前にこの3点を突き合わせて権利と占有のリスクを読み解きます。
Q3物件明細書はどこで見られますか?
執行裁判所での閲覧のほか、最高裁判所規則で定める電磁的措置により不特定多数が内容の提供を受けられます(62条2項)。通常はネット公開されています。
Q4引受主義とはどういう意味ですか?
売却によっても効力を失わない権利を落札者が引き継ぐ原則です。物件明細書に「買受人が引き受ける」とあれば、その賃借権や地上権を背負うことになります。
Q5物件明細書の記載に誤りがあったらどうしますか?
書記官の処分として執行裁判所に異議を申し立てられます(62条3項)。実益を保つため、売却が実施される前に申し立てる必要があります。
Q6物件明細書と現況調査報告書の違いは何ですか?
物件明細書は権利関係と引受の有無を、現況調査報告書(57条)は占有者の有無や現況を記載します。両者を突き合わせて居座りリスクを見積もります。
Q7法定地上権の概要はなぜ物件明細書に書かれるのですか?
建物だけ、土地だけが競売される場合、民法388条により法定地上権が成立し得ます。落札者の土地利用や残る負担を事前に示すため62条1項で記載されます。
Q8競売で落札した後、前の占有者はすぐ退去しますか?
引受権利の記載がなければ引渡命令(83条)で退去させられます。ただし抵当権設定後の賃借人は6か月の明渡猶予(民法395条)を受ける場合があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1競売物件って、本当に相場より安いんですか?
一般に市場価格の6〜7割程度が多いが、それは引受権利のリスク・占有者リスク・内覧不可・現状渡しという不利を織り込んだ結果の値だ。物件明細書に「引受」があれば、その安さは負担で相殺されて消える。実務のポイント:プロは物件明細書の「買受人が引き受ける」の有無を見て入札するか一瞬で決める。この一行がない物件だけを狙うのが堅実な戦い方だ
Q2物件明細書に書いてあることは、裁判所が保証してくれるんですか?
いいえ。裁判所書記官が調査に基づいて作成する参考資料であって(62条1項)、権利関係を確定する公信力はない。だからこそ3項で異議申立ての道が用意されている。実務のポイント:記載を鵜呑みにして損した買受人が裁判所に賠償を求めても認められにくい。物件明細書・現況調査報告書・評価書の三つの矛盾を自分で見抜けるかどうかが、勝者と素人を分ける
Q3落札したら、前の住人はすぐ出ていってくれますか?
物件明細書に引受賃借権の記載がなければ、引渡命令(民事執行法83条)で強制的に退去させられる。ただし抵当権設定後の賃借人には6か月の明渡猶予(民法395条)が及ぶ場合がある。実務のポイント:占有者が居座りを狙う相手だと明渡しに時間と費用がかかる。物件明細書と現況調査報告書の占有者欄を読み込み、その手間を入札前にコストとして見積もっておくのが実務の鉄則だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「競売で落札すればきれいな所有権が手に入る」と思われているが、物件明細書に「売却によりその効力を失わない」と記された賃借権や地上権があれば、落札者はそれを引き受ける。安く買ったつもりが、消えない権利ごと買っていることがある
- 三点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)の存在を知っている人でも、「買受人が引き受けることとなる」という一文が、実際には明渡し費用・立退料・使用制限という数百万円単位の負担を意味することの深刻さまでは想像していない。知っていることと、その重さを知っていることは違う
- 「物件明細書は裁判所が作るのだから、書いてある権利関係は保証されている」という前提そのものが誤りである。これは書記官が調査に基づき作成する参考資料であって、権利関係を確定する公信力はない。記載を信じて損をしても、裁判所が賠償してくれるわけではない。実務上、現況調査報告書と必ず突き合わせて自分で読み解くしかない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 作成者・根拠 | 物件明細書:裁判所書記官(民執62条) | 現況調査報告書:執行官(民執57条) 評価書:評価人(民執58条) |
| 記載の中心 | 引受権利・法定地上権の概要(権利関係) | 占有者・使用状況(現況) 売却基準価額の算定根拠(価格) |
| 買受人の読み方 | 落札後に背負う負担の有無を判断 | 居座りリスク・明渡し難度を判断 安さが妥当か価格の裏付けを確認 |
| 効力 | 参考資料、公信力なし(3項で異議可) | 参考資料、公信力なし 参考資料、公信力なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は拍賣公告に不動産の権利負担等を記載させ、拍定後に買受人が引き受ける権利負担を規律する。日本の物件明細書ほど独立した一枚の書面形式ではないが、機能は類似する
韓国の매각물건명세서は日本の物件明細書とほぼ同じ制度。売却により消滅しない権利や占有関係を記載し閲覧に供する点で構造が近い
ドイツは強制競売において geringstes Gebot(最低売却価額)と Versteigerungsbedingungen(売却条件)を確定・告知する。買受人が引き受ける権利負担を事前に明示する点で機能的に対応する
米国は統一の物件明細書制度を持たず、売却告知と権原調査(title report)で先取特権・負担を開示する。買受人が自らデューデリジェンスを行う自己責任色が強い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競売物件を相場より安いと思って落札したら、物件明細書に「賃借権は売却によりその効力を失わない」と書いてあった。前の賃借人が居座り、明渡し交渉と立退料で追加数百万円。入札前に一行読んでいれば、その物件は最初から避けられた
- もし入札締切まであと3日で、物件明細書の権利欄に「買受人が引き受ける」の文字を見つけたら、どう動く? 残る権利の負担額を計算し直さないと、表示価格が安く見えても実質の取得コストは倍近くに跳ね上がる
- あなたの自宅が競売にかけられた。物件明細書の記載に事実と違う点があれば、執行裁判所に異議を申し立てられる(3項)。黙って明渡すしかないと諦める必要はない
- 抵当権が設定された後にアパートへ入居した賃借人。物件明細書に引受賃借権の記載がなくても、抵当建物使用者として落札後6か月の明渡猶予(民法395条)を受けられる場合がある。自分が「消される権利」か「猶予される占有者」か、この書面が分岐点になる
- 親から相続した土地建物のうち、建物だけが競売にかけられた。物件明細書の「売却により設定されたものとみなされる地上権の概要」を読めば、落札者が土地をどう使えるか、あなたの土地にどんな負担が残るかが事前に見える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入札を検討する物件は、必ず三点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)を全部取得して読む2. 物件明細書の権利欄で「売却によりその効力を失わないもの」「買受人が引き受ける」の記載を最優先で確認、あれば入札価格からその負担額を差し引く3. 現況調査報告書で占有者の有無・素性を照合、居座りリスクを見積もる4. 記載に矛盾や明白な誤りがあれば売却期日前に執行裁判所へ異議(3項)。判断に迷う物件は入札を見送る勇気を持つ
訴えられた側:1. 自宅・所有不動産が競売にかけられたら、まず物件明細書の閲覧内容を確認し、記載された権利関係や占有状況に事実誤認がないか点検2. 誤りがあれば執行裁判所へ異議を申し立てる(3項) 3. 競売は市場価格より低くなりやすいため、売却実施前なら任意売却でより高く売り残債を圧縮する道も検討4. 自分が占有者側なら、抵当建物使用者としての明渡猶予(民法395条)が使えるか確認する
時効(請求できる期限):3項の異議申立てに法定の期間制限はないが、売却が実施された後では実益を失う。物件明細書の閲覧が始まるのは通常売却期日の1〜2週間前であり、その閲覧開始から売却期日までが実質的な勝負期間となる
学説
通説:物件明細書は裁判所書記官が調査結果に基づき作成する参考資料であり、記載された権利関係を確定する公信力はない。買受人保護の観点から作成・公開が義務づけられるが、記載を信頼した買受人の損害について国家賠償が認められる範囲は限定的と解される。現況調査報告書・評価書との照合が実務上不可欠とされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定に伴い、旧競売法・旧民事訴訟法の不動産執行規定を統合。買受希望者への情報開示として物件明細書制度を新設し、記載事項と閲覧義務を定めた。
- 2.令和3年(2021年) 改正:民事執行手続のデジタル化に伴い、物件明細書の写しを備え置く方法に加え、不特定多数の者が最高裁判所規則で定める措置により内容の提供を受けられる旨(2項)が整備され、電磁的方法での公開が明確化された。
- 民事執行法 第57条現況調査報告書、三点セットを構成する併用資料
- 民事執行法 第58条評価書、三点セットを構成する併用資料
- 民事執行法 第59条売却に伴う権利の消滅・引受、引受記載の実体的根拠
- 民事執行法 第60条売却基準価額の決定、明細書情報を前提とする価格設定
- 民事執行法 第10条執行異議の手続、4項が準用する規定
- 民事執行法 第83条引渡命令、引受権利のない占有者の排除手段
- 民法 第388条法定地上権、地上権概要記載の実体的根拠
- 民法 第395条抵当建物使用者の引渡猶予、占有者記載の実体的意味
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める