要点民事執行法83条は、代金を納付した買受人の申立てにより執行裁判所が不動産の引渡しを命じる引渡命令を定める。申立ては代金納付日から6か月(一定の建物は9か月)以内に限られる。
Q · 競売で落札した物件に人が居座っていたら、明渡訴訟を起こすしかないんですか?
訴訟は不要。6か月以内なら引渡命令で明渡執行まで進めます
民事執行法83条により、代金を納付した買受人は執行裁判所に不動産引渡命令を申し立てられます。訴状も長い口頭弁論も不要で、確定すれば22条3号の債務名義となり、168条の明渡しの強制執行に直結します。ただし申立ては代金納付日から6か月(買受けの時に民法395条1項の抵当建物使用者が占有していた建物は9か月)以内に限られ、事件の記録上買受人に対抗できる権原により占有する者には命令できません。
競売で不動産を落札した。だが中には前の所有者、あるいは正体不明の占有者が居座っている。多くの人はここで「立ち退き訴訟を起こして、勝訴判決を取って、それから強制執行か。1年以上かかるな」と青ざめる。それが最大の誤解だ。民事執行法83条は、代金を納付した買受人に、はるかに速い抜け道を用意している。執行裁判所に申し立てれば、債務者や占有者に対して「不動産を買受人に引き渡せ」と命じる決定(引渡命令)を出してもらえる。訴状も、長い口頭弁論も要らない。この決定は確定すれば債務名義になり、それを使って明渡しの強制執行(168条)へ一直線につながる。ただし落とし穴がある。使えるのは代金納付から6か月以内(抵当建物使用者が住んでいた建物なら9か月)。この期限を1日でも過ぎたら、あなたは元の高い壁、つまり通常の明渡訴訟に逆戻りする。そして買受人に対抗できる権原を持つ占有者(対抗力ある賃借人など)には、この命令は届かない。
民事執行法83条の不動産引渡命令とは、不動産競売において代金を納付した買受人が、通常の明渡訴訟を経ずに、執行裁判所の決定によって債務者又は占有者から不動産の引渡しを受けるための簡易な手続である。確定した決定は民事執行法22条3号の債務名義となり、168条の不動産明渡しの強制執行の基礎となる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
競売で代金を納付した買受人の申立てにより、執行裁判所が債務者や占有者に不動産の引渡しを命じる決定です。民事執行法83条が根拠で、明渡訴訟より格段に速く占有を回収できます。
代金を納付した日から6か月以内です。買受けの時に民法395条1項の抵当建物使用者が占有していた建物なら9か月に延びます。経過すると申立てはできません(83条2項)。
その競売事件を担当した執行裁判所(不動産所在地を管轄する地方裁判所)に申し立てます。買受人であること、代金納付済みであることが前提です。
執行抗告ができます(83条4項)。抗告は告知を受けた日から1週間の不変期間内に行う必要があり、この期間を過ぎると争えなくなります。
決定が確定してはじめて効力を生じます(83条5項)。決定が出た日ではありません。確定後に債務名義として明渡しの強制執行を申し立てる流れになります。
申立手数料は低額で、別途郵便切手の予納が必要です。明渡訴訟の印紙代・弁護士費用と比べると桁違いに安く済むのが最大の利点です。
債務者以外の占有者には原則として審尋が必要です(83条3項)。ただし記録上対抗権原がないことが明らかなとき、既に審尋済みのときは省略されます。
通常の明渡訴訟を提起し、勝訴判決を債務名義として強制執行することになります。期間は数か月から1年以上、費用も大きく膨らみます。
追い出せません。引渡命令は確定して初めて効力を生じ(83条5項)、それ自体は債務名義(22条3号)にすぎません。実際の明渡しは、これを根拠に執行官へ明渡しの強制執行(168条)を申し立てて行います。業界裏話ヒント:命令が出た後に自分で鍵を替えたり荷物を出したりすると、逆にあなたが自力救済として不法行為・住居侵入に問われます。急いでいても必ず執行官を通す、これが弁護士が真っ先に釘を刺す一点です
一律には決まりません。鍵は対抗力の有無です。抵当権設定より前から建物の引渡しを受けている賃借人(借地借家法31条)なら1項ただし書の対抗できる権原者として引渡命令の対象外ですが、抵当権設定後の賃貸借は原則対抗できず、民法395条の抵当建物使用者として6か月の明渡猶予を受けるだけです。業界裏話ヒント:入札前に物件明細書と現況調査報告書で占有者の権原と賃貸借の時期を読み解けるかが勝負。ここを読めない人が、引渡命令の効かない物件を高値で掴みます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 手続の位置づけ | 民執83条:占有回収のための債務名義を簡易に取得する決定手続 | — |
| 使えるタイミング | 代金納付後、6か月(一定の建物は9か月)以内 | — |
| 担い手 | 執行裁判所(決定) | — |
| 相手方の防御 | 審尋(3項)・執行抗告(4項)・確定まで効力なし(5項) | — |
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