民事執行法 第168条(不動産の引渡し等の強制執行)
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- 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。
- 2.執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。
- 3.第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。
- 4.執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
- 5.執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。
- 6.執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。
- 7.前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。
- 8.第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。
- 9.第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。
この条文の基本情報
不動産の引渡し等の強制執行とは何ですか?
定義不動産の引渡し等の強制執行とは、民事執行法第168条に定められた規定で、「不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第168条(不動産の引渡し等の強制執行)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第168条の条文原文は「不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。」で始まります。
- 民事執行法第168条は第二章 強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第168条の前の条は民事執行法第167条の17です。
- 民事執行法第168条の次の条は民事執行法第168条の2です。
- 民事執行法第168条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第168条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第168条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/168
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法168条は、不動産の明渡しの強制執行を、執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有させる方法で行うと定める。目的外の家財は引渡し・売却・保管の順で処理される。
Q · 家賃滞納で明渡しの判決が出たら、部屋に残した荷物はどうなるの?
執行官が運び出し、引き取らなければ売却されます
民事執行法168条により、明渡しの強制執行は執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる方法で行われます。断行当日に部屋へ残された目的外の家財は勝手に廃棄されるのではなく、まず債務者や同居家族に引き渡され(5項)、引き取れなければ最高裁規則に従って売却、それも無理なら保管されます(6項)。保管・売却の費用は執行費用として債務者に請求され(7項)、売却代金は費用を控除した残余が供託されます(8項)。
解説
家賃を滞納して大家から明渡しの判決を取られても、大家自身があなたの荷物を勝手に路上へ運び出せば、それは違法行為(自力救済の禁止)になる。判決という紙を現実の追い出しに変えられるのは、この168条に基づく執行官の手だけだ。執行官はあなたの占有を解き、閉じた戸を開け(4項)、家財を運び出し、大家に部屋を引き渡す。ここで知っておくべき現実が三つある。第一に、執行官は債権者(大家)本人か代理人が現場に出頭しない限り執行できない(3項)。第二に、部屋に残された家財は勝手に捨てられるのではなく、あなたや同居家族に引き渡され、引き取れなければ売却され(5項)、それも無理なら保管される(6項)。第三に、その保管・売却にかかった費用は執行費用としてあなたに請求され(7項)、売却代金は費用を差し引いて供託される(8項)。最後まで放置すれば、追い出された上に費用の請求書まで背負う。動くべき時は、催告が貼られた瞬間だ。
法的な位置づけ
民事執行法168条は、不動産等の引渡し・明渡しの強制執行の方法を定める規定である。執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる手続を中核とし、占有者を特定する質問権、閉鎖した戸を開く処分権、目的外動産の引渡し・売却・保管の処理、および執行費用の負担までを一体として規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.催告書が来たら断行日を必ず確認する 玄関に貼られた明渡しの催告書(168条の2)を剥がさず、記載された断行予定日を確認する。無視は最悪手で、当日に強制執行が実行され費用まで背負うことになる
- 2.断行日までの猶予を交渉窓口として使う 催告から断行まで通常およそ1か月の猶予がある。この期間に大家側と明渡し猶予や立退料と引き換えの円満退去を交渉し、費用のかさむ断行そのものを回避する
- 3.貴重品と権利証・契約書類を先に確保する 断行当日に運び出された動産は一定期間保管の後に売却される。売却代金は費用控除後の残余しか戻らないため、貴重品・現金・権利証・契約書類は当日を待たず自分で確保しておく
- 4.断行日までに自主退去して費用発生を止める 断行日までに荷物を運び出して自主退去できれば、家財の強制売却と保管費用(7項)の本格的な発生を避けられる。立ち退き先や資金の当てがなければ早めに公的相談や弁護士相談を利用する
よくある質問 AI による整理
Q1建物明渡しの強制執行とは何ですか?
確定判決を得た債権者の申立てにより、執行官が債務者の占有を解いて債権者に建物の占有を取得させる手続です(民事執行法168条)。大家が自力で行うことはできません。
Q2明渡し執行にかかる費用は誰が負担しますか?
目的外動産の保管費用は執行費用として債務者の負担となります(168条7項)。申立て時に債権者が予納する場合もありますが、最終的には債務者に請求されます。
Q3明渡しの断行日は延期できますか?
原則として断行日は動かせません。延期を望むなら、催告から断行までの期間に大家側と明渡し猶予や立退料の交渉をまとめる必要があります。当日を待つと選択肢が消えます。
Q4明渡し執行の日に大家の立ち会いは必要ですか?
必要です。168条3項により、債権者またはその代理人が執行の場所に出頭したときに限り執行できます。欠席するとその日の執行は空振りになり費用だけかさみます。
Q5残置された家財の売却代金は取り戻せますか?
売却代金は売却・保管費用を控除した残余が供託されます(168条8項)。理屈上は後で受け取れますが、実際は費用で相殺され残らないことが多いです。
Q6部屋に判決の相手と別人が住んでいたら執行できますか?
執行官は在室者に質問し文書の提示を求めて占有者を特定できます(168条2項)。占有屋対策の規定で、想定外の第三者がいても特定手続を経て執行が進められます。
Q7明渡し執行の流れはどうなりますか?
確定判決の取得→執行官への申立て→明渡しの催告(168条の2)→通常約1か月後に断行、という流れです。断行当日に占有解除と家財の運び出しが行われます。
Q8立退料の交渉はいつまでにすべきですか?
催告が貼られてから断行日までのおよそ1か月が最大の交渉窓口です。断行日を過ぎると強制的に追い出され、費用まで請求されるため、この期間に動くのが得策です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1強制執行の日って、事前に教えてもらえるんですか?いきなり来られたら困るんですけど。
いきなりではありません。断行の前に必ず『明渡しの催告』(168条の2)が行われ、断行予定日が告知されます。通常は催告からおよそ1か月後。実務のポイント:この約1か月が最大の交渉窓口です。多くの借家人は催告書を無視して当日を迎えますが、弁護士はこの期間に『立退料と引き換えの円満退去』をまとめ、費用のかさむ断行そのものを回避する。催告書は追い出しの通告ではなく、交渉開始の合図だと捉えるべき
Q2部屋に残していった家具や荷物って、勝手に捨てられちゃうんですか?
勝手には捨てられません。168条5項により、その場で債務者や同居家族・従業者に引き渡され、引き取れなければ最高裁規則に従って売却、それも無理なら保管されます(6項)。実務のポイント:売却代金は費用を差し引いて供託されるので(8項)建前上は後で取り戻せますが、実際は保管・売却費用で消えることが多い。しかもその費用は執行費用として債務者に請求される。『置いていけば処分してくれてラッキー』ではなく、費用だけ残る片道切符だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「判決さえ出れば大家は自分で追い出せる」と思っている人がいるが、逆だ。大家が自力で鍵を替えたり荷物を運び出せば、それ自体が違法(自力救済の禁止)となり、かえって借家人から損害賠償を請求されうる。追い出す権利があっても、実行できるのは執行官だけである
- 「強制執行になれば荷物は捨てられる」という認識は間違いではないが、その深刻さを多くの人が見誤っている。荷物は無造作に廃棄されるのではなく、引渡し・売却・保管の順で処理され、その費用(7項)まで執行費用として債務者に上乗せされる。放置は『タダで済む逃げ』ではなく、追い出された上に請求書が届く選択だ
- 「断行の日まで居座れば時間を稼げる」と考える人がいるが、その問いの立て方そのものが誤っている。稼げるのは時間ではなく費用だ。明渡しの催告(168条の2)が出た後は占有を第三者へ移しても執行の効力が及ぶ仕組みで、居座り戦術はほぼ封じられている。問うべきは『どう引き延ばすか』ではなく『どの条件で早く出るか』である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の位置づけ | 民訴執行168条:明渡し断行(占有の強制排除)本体 | 168条の2:断行前の明渡しの催告と占有移転効 169条:動産の引渡しの強制執行(別類型) |
| 主な内容 | 占有解除・占有取得、質問権、開扉、目的外動産の引渡し/売却/保管 | 断行日の予告、以後の占有承継者への効力拡張 特定動産を執行官が取り上げ債権者に引き渡す |
| 費用負担 | 目的外動産の保管費用は執行費用として債務者負担(7項) | 催告手続の費用も執行費用に含まれる 執行費用は債務者負担(42条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行名義に基づき執行官(執達員)が不動産の交付・遷讓を執行する構造。残置動産の処理も執行機関が行う点で日本と近い
韓国も執行官による不動産の引渡し・明渡しの執行を定める。残置動産の保管・売却の処理を伴う点で日本と類似する
ドイツは Gerichtsvollzieher(執行官)が Räumung(明渡し)を行い、残置動産は保管の上で換価する。いわゆるベルリン模型など費用軽減の運用論もある
米国は裁判所の占有回復令状に基づき保安官(sheriff)が eviction を執行する。州ごとに手続と残置物処理のルールが分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 家賃滞納で玄関に明渡しの催告書が貼られた。断行(実際の追い出し)の日まであと約1か月。この期間に自分で荷物を運び出さなければ、当日執行官が家財を運び出し、引き取れないものは売却か保管に回る。しかもその費用はあなた持ちだ。今動くか、費用まで背負うか、残された時間は短い
- あなたが大家で、居座る借家人をやっと判決で追い出せることになった。だが執行当日、あなた自身か代理人が現場にいなければ執行官は一歩も動けない(3項)。仕事を理由に欠席すれば、その日の執行は空振りに終わり、出張費用だけがかさむ
- もし、明渡しを命じられた部屋に、判決の被告とは別の人間が住み着いていたら、どうなる? 執行官はその場で在室者に質問し、文書の提示を求めて占有者を特定できる(2項)。かつて横行した『占有屋』による執行妨害を封じるために作られた仕組みだ
- 夜逃げ同然で退去し、大型の家具やベッドを置き去りにした。執行官はそれを勝手に廃棄しない。引き取り手がなければ最高裁規則に従って売却し、代金は供託される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 明渡しの確定判決(債務名義)を得たら、物件所在地を管轄する地方裁判所の執行官に強制執行を申し立てる2. 執行官がまず『明渡しの催告』(168条の2)を行い、通常およそ1か月後に断行日を設定する3. 断行当日はあなたか代理人の出頭が必須(3項)、欠席すれば執行は空振りになり費用だけかさむ4. 残置動産の保管・売却費用は執行費用として立替えが必要になる場合があり、相手の資力と回収可能性も事前に見積もる
訴えられた側:1. 催告書が来たら断行日を必ず確認、無視は最悪手だ2. 断行日までに自主退去できれば、家財の強制売却と保管費用の本格発生を避けられる3. 立ち退き先や費用の当てがなければ、大家側と明渡し猶予や立退料の交渉を、断行日が来る前に始める4. 当日運び出された動産は一定期間保管された後に売却されるので、引き取るなら早く、貴重品と権利証・契約書類は当日を待たず自力で確保しておく
時効(請求できる期限):強制執行そのものに消滅時効はないが、前提となる債務名義に基づく請求権には時効がある(確定判決等で確定した権利は民法169条により10年)。また明渡しの催告から断行までは通常およそ1か月で、断行日は原則動かせないため、この期間が事実上の『残り時間』になる(最新の運用状況をご確認ください)
学説
通説:168条は確定判決の実効性を確保するための強制的な占有排除手続でありつつ、追い出される債務者の財産を無造作に破壊しないため、目的外動産を引渡し・売却・保管の順で処理し、売却代金を費用控除後に供託し、債権者の出頭を要件とするなど、幾重もの歯止めを置いていると解される。
改正沿革 AI による整理
- 昭和54年(1979年)民事執行法制定 旧・強制執行法制(旧民事訴訟法の強制執行編等)を統合して民事執行法を新設し、不動産の引渡し・明渡しの強制執行の基本手続を定めた
- 平成15年(2003年)改正 占有者を特定するための執行官の質問権(2項)を新設し、あわせて明渡しの催告制度(168条の2)を導入、占有を転々と移して執行を妨害する『占有屋』対策を強化した
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:旧・強制執行法制(旧民事訴訟法の強制執行編等)を統合して民事執行法を制定し、不動産の引渡し・明渡しの強制執行の基本手続を定めた
- 2.平成15年(2003年) 改正:占有者を特定するための執行官の質問権(2項)を新設し、あわせて明渡しの催告制度(168条の2)を導入して、占有を転々と移す占有屋対策を強化した
- 民事執行法 第168条の2明渡しの催告、断行前の手続と占有移転の効力
- 民事執行法 第169条動産の引渡しの強制執行、隣接する執行類型
- 民事執行法 第57条現況調査、9項で本条に準用
- 民事執行法 第42条執行費用の負担、7項の費用処理の根拠
- 民事執行法 第6条執行官の威力行使・援助要請、抵抗排除の根拠
- 民法 第414条履行の強制、明渡義務を執行できる実体法上の根拠
- 借地借家法 第28条正当事由、明渡し請求の実体的前提を修正
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