民事執行法 第42条(執行費用の負担)
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- 強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。)は、債務者の負担とする。
- 2.金銭の支払を目的とする債権についての強制執行にあつては、執行費用は、その執行手続において、債務名義を要しないで、同時に、取り立てることができる。
- 3.強制執行の基本となる債務名義(執行証書を除く。)を取り消す旨の裁判又は債務名義に係る和解、認諾、調停若しくは労働審判の効力がないことを宣言する判決が確定したときは、債権者は、支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければならない。
- 4.第一項の規定により債務者が負担すべき執行費用で第二項の規定により取り立てられたもの以外のもの及び前項の規定により債権者が返還すべき金銭の額は、申立てにより、執行裁判所の裁判所書記官が定める。
- 5.前項の申立てについての裁判所書記官の処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、執行裁判所に異議を申し立てることができる。
- 6.執行裁判所は、第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する異議の申立てを理由があると認める場合において、同項に規定する執行費用及び返還すべき金銭の額を定めるべきときは、自らその額を定めなければならない。
- 7.第五項の規定による異議の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
- 8.第四項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
- 9.民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、第四項の規定による裁判所書記官の処分について準用する。この場合においては、第五項、第七項及び前項並びに同条第三項の規定を準用する。
この条文の基本情報
執行費用の負担とは何ですか?
定義執行費用の負担とは、民事執行法第42条に定められた規定で、「強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第42条(執行費用の負担)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第42条の条文原文は「強制執行の費用で必要なもの(以下「執行費用」という。」で始まります。
- 民事執行法第42条は第一節 総則に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第42条の前の条は民事執行法第41条です。
- 民事執行法第42条の次の条は民事執行法第43条です。
- 民事執行法第42条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第42条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第42条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/42
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法42条は、強制執行に必要な執行費用を債務者の負担と定め、金銭債権では債務名義なしで元本と同時に取り立てられるとする。ただし基礎となる判決が取り消されれば返還義務が生じる。
Q · 差押えにかかった手数料や予納金は、相手から取り返せるの?
執行費用は債務者負担。金銭債権なら別訴なしで同時に取り立て可能
民事執行法42条1項により、強制執行に必要な執行費用は債務者の負担です。金銭債権の強制執行では、2項によって債務名義を要せず、執行手続の中で元本と同時に取り立てられます。通常は費用請求に債務名義が必要ですが、執行費用は例外です。ただし3項があり、基礎となった債務名義が後で取り消されれば、取り立てた執行費用相当額を債務者に返還しなければなりません。費用額は裁判所書記官が確定し、告知から1週間以内に異議を申し立てられます。
解説
裁判で勝った。だが相手は一円も払わない。仕方なく財産を差し押さえると、今度は差押えの申立手数料、予納金、送達費用がかかる。この「執行費用」を誰がかぶるのか。民事執行法42条1項は明快だ、債務者の負担である。しかも2項が効いてくる。金銭債権の強制執行なら、この執行費用を別に裁判を起こすことなく、その手続の中で元本と同時に取り立てられる。通常、費用を請求するには債務名義(判決など、強制執行を正当化する公的文書)が必要なのに、執行費用だけは例外扱いだ。ただし裏面もある。3項、基礎となった判決が後で取り消されれば、あなたは取り立てた執行費用を債務者に返さねばならない。費用額は裁判所書記官が決定し、不服があれば告知の日から1週間以内に異議、さらに執行抗告まで争える。
法的な位置づけ
民事執行法42条は執行費用の負担と回収方法を定める規定である。強制執行に必要な費用は債務者が負担し、金銭債権の強制執行では債務名義を要せず元本との同時取立が認められる。費用額は執行裁判所の裁判所書記官が確定し、その処分は確定しなければ効力を生じない。基礎となる債務名義が取り消された場合は返還義務が生じる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.強制執行の申立時に執行費用を回収対象へ組み込む 回収がすべて終わった後に費用だけ別途請求すると相手の財産は空になりがち。金銭債権なら42条2項の同時取立を前提に、申立段階で執行費用を回収対象として意識して手続を設計する
- 2.立て替えた執行費用の領収書を項目別に整理・保管 申立手数料、予納金、送達費用などの領収書を全部保管し、金額を項目別に整理する。後の費用額確定申立てで根拠資料となる
- 3.同時取立の対象外費用は費用額確定を申し立てる 2項で取り立てられなかった費用や、3項で返還すべき額がある場合、42条4項に基づき執行裁判所の裁判所書記官へ費用額確定の申立てをする
- 4.書記官の処分に不服なら1週間以内に異議を申し立てる 書記官が定めた費用額に納得できなければ、告知を受けた日から1週間の不変期間内に執行裁判所へ異議を申し立てる。この期間は原則延長できない
- 5.異議の決定になお不服なら執行抗告する 異議についての執行裁判所の決定に不服がある場合、42条7項により執行抗告ができる。抗告期間は裁判の告知を受けた日から1週間(民執10条2項)
よくある質問 AI による整理
Q1執行費用とは何ですか?
強制執行に必要な費用のことです。民事執行法42条1項が根拠で、申立手数料、予納金、送達費用、差押えの実費などが含まれ、原則として債務者の負担となります。
Q2強制執行の費用は誰が払うのですか?
最終的な負担者は債務者です(民事執行法42条1項)。ただし債権者が先に立て替え、金銭債権なら差し押さえた財産から元本と同時に取り立てて回収する流れになります。
Q3同時取立とは何ですか?
金銭債権の強制執行で、執行費用を債務名義なしに元本と同時に取り立てられる仕組みです(民事執行法42条2項)。費用のために別訴を起こす必要がありません。
Q4執行費用額確定処分の異議はいつまでですか?
裁判所書記官の処分の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民事執行法42条5項)。土日を挟むと実働はさらに短く、過ぎると額が確定します。
Q5執行費用に含まれるものは何ですか?
申立手数料、予納金、送達料、差押えの実費など手続の遂行に必要な費用です。弁護士に支払った報酬は原則として含まれないのが実務の扱いです。
Q6予納金は返ってきますか?
予納金は執行費用として債務者負担であり、金銭債権なら財産から同時取立で回収できます。ただし相手に財産がなければ事実上回収できず、空振りリスクは債権者が負います。
Q7執行抗告とはどんな手続ですか?
執行裁判所の決定に対する不服申立てです。費用額の異議についての決定にも執行抗告ができ(42条7項)、抗告期間は告知の日から1週間です(10条2項)。
Q8執行費用と訴訟費用の違いは何ですか?
訴訟費用は裁判手続の費用で敗訴者負担(民訴61条)、執行費用は強制執行の費用で債務者負担(民執42条)です。執行費用は金銭債権なら同時取立できる点が大きく異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1執行費用って、弁護士に払った着手金や報酬も相手から取れるんですか?
原則として取れません。42条1項の執行費用は、申立手数料、予納金、送達費用など手続の遂行に必要な実費を指し、あなたが弁護士に支払った報酬は含まれないのが実務の扱いです。実務のポイント:多くの人が「勝てば弁護士費用も全部相手持ち」と思い込んでいますが、日本は原則各自負担。だからこそ回収額と弁護士費用のバランスを最初に試算しないと、勝訴しても手元が赤字になるケースが実際にある
Q2差押えをやったのに相手の口座が空っぽで空振り。それでも費用は返ってこないんですか?
費用の負担者はあくまで債務者ですが(42条1項)、同時取立は差し押さえた財産から回収する仕組みなので、財産がなければ費用も事実上回収できません。空振りリスクはあなたが先にかぶります。実務のポイント:闇雲に差押えをかける前に、相手の財産の当たりをつけるのが鉄則。財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民事執行法197条以下)を先に使い、回収見込みを立ててから執行費用を投じるかを判断する
Q3第一審で勝って先に差押えたけど、控訴で負けたらどうなりますか?
42条3項が働きます。強制執行の基礎となった債務名義を取り消す裁判が確定すると、あなたは支払を受けた執行費用に相当する金銭を債務者に返還しなければなりません。元本の返還と合わせて、攻守が逆転します。実務のポイント:仮執行宣言付き判決で早期回収に走るときは、この巻き戻しをセットで想定しておく。確定前の回収は「借りている状態」に近く、上訴の勝算が薄い側が先走ると、返還と遅延分でかえって傷が深くなることがある
Q4書記官が決めた費用の金額、高すぎる気がするんですが誰に文句を言えばいいですか?
裁判所書記官の処分に対して、告知を受けた日から1週間の不変期間内に、執行裁判所へ異議を申し立てられます(42条5項)。理由ありと認められれば、執行裁判所が自ら適正な額を定めます(42条6項)。その決定にはさらに執行抗告が可能です(42条7項)。実務のポイント:この1週間は不変期間で、原則として延長も救済もない。土日祝を挟むと実働がさらに短い。処分の告知が届いたら金額の内訳をその日のうちに確認し、争うなら即動くのが実務の分かれ目
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行費用を相手に負わせるには、それ用に別の訴訟を起こさないといけない」と思って諦めている人が多い。だが立てた問いそのものが間違っている。金銭債権の強制執行では、42条2項によって債務名義なしで、執行手続の中で元本と同時に取り立てられる。別訴という発想自体が不要だ
- 「執行費用に弁護士費用も含まれる」という誤解。ここでいう執行費用は、申立手数料、予納金、送達料、差押えの実費など、手続に必要な費用であって、あなたが弁護士に払った報酬は原則として含まれない。相手から全額取り返せると期待すると、回収額の計算が狂う
- 執行費用は債務者の負担だと知っている人でも、42条3項の返還リスクの重さは見落としている。第一審判決で先に差押えを断行して費用まで回収した後、その判決が取り消されれば、取り立てた執行費用相当額を債務者に返さなければならない。勝ち逃げは効かない構造になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる費用 | 民執42条:執行費用(申立手数料・予納金・送達費用・差押えの実費等) | 民訴61条:訴訟費用(裁判手続に要した費用) 民訴71条:訴訟費用額の確定対象 |
| 負担者 | 債務者(42条1項) | 原則として敗訴者(民訴61条) 判決で定まった負担者 |
| 回収の方法 | 金銭債権は債務名義不要で元本と同時取立(42条2項) | 判決主文で負担者を決定 裁判所書記官の費用額確定処分で回収 |
| 額を確定する主体 | 執行裁判所の裁判所書記官(42条4項) | 本案裁判所(判決主文) 第一審裁判所の裁判所書記官(民訴71条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行費用を必要部分に限り債務者負担とし、執行手続内で同時に徴収できる点で日本と構造を共有する。
韓国も執行費用を債務者負担とし、執行手続内での回収を認める。日本の民事執行法を強く参照した立法である。
ドイツは執行費用を債務者負担とし、原則として別段の債務名義なく主債権と同時に取り立てられるとする。本条の母法的位置にある。
米国は連邦・州法で執行費用を判決債務者に課すが、大陸法のような統一的な同時取立規定はなく、費用の taxation 手続で処理されることが多い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸したお金の返還判決を取ったが相手が払わず、預金を差し押さえた。申立手数料も予納金もあなたが立て替えた。だがこれは自腹ではない。42条2項で、差し押さえた預金から元本と一緒にこの執行費用も取り立てられる。多くの債権者はこれを知らず、費用分を泣き寝入りしている
- あなたが債務者側で、給与を差し押さえられた。驚くのはここからだ。差押えにかかった相手の費用まで、あなたの負担として上乗せされ、同時に取り立てられていく。元本だけ返せば終わりだと思っていたら、費用が雪だるまになっていた
- もし、あなたが差押えを断行した後で、その根拠だった第一審判決が控訴審でひっくり返ったら? 42条3項が牙をむく。あなたは取り立てた執行費用に相当する金銭を、今度は債務者に返還しなければならない。攻守が逆転する瞬間だ
- 裁判所書記官から「執行費用額を定める処分」の告知が届いた。金額に納得がいかない。だが猶予はない。異議申立ての不変期間は告知の日から1週間。土日を挟めばあと数日。この期間を1日でも過ぎたら、書記官が出した額でそのまま確定する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 強制執行の申立時に、執行費用も回収対象として意識する。金銭債権なら42条2項で元本と同時に取り立てられる2. 立て替えた費用(申立手数料、予納金、送達費用など)の領収書を全部保管し、金額を項目別に整理3. 同時取立の対象外となった費用や、返還すべき額がある場合は、42条4項に基づき執行裁判所の裁判所書記官へ費用額確定の申立てをする4. 書記官が定めた額に不服があれば、告知の日から1週間の不変期間内に執行裁判所へ異議を申し立てる
訴えられた側:1. 差押えを受けたら、取り立てられる金額に元本以外の執行費用が上乗せされていないか内訳を確認する2. 執行費用として計上された項目に、本来含まれないもの(相手方の弁護士報酬など)が紛れていないか精査3. 書記官の費用額確定処分に過大な部分があれば、告知から1週間以内に異議を申し立てる4. 基礎となった判決を上訴で争っている場合、勝てば42条3項により支払った執行費用相当額の返還を求められる、その可能性を交渉材料にする
時効(請求できる期限):書記官の費用額確定処分に対する異議は、告知を受けた日から1週間の不変期間内(42条5項)。異議についての決定には執行抗告ができる(42条7項、抗告期間は裁判の告知を受けた日から1週間、民事執行法10条2項)。処分は確定しなければ効力を生じない(42条8項)。43条以下の実体的請求権とは別枠なので、時効ではなく不変期間の管理が勝敗を分ける
学説
通説:42条1項の執行費用は、申立手数料・予納金・送達費用・差押えの実費など手続の遂行に必要な費用を指し、債権者が委任した弁護士の報酬は原則として含まれないと解されている。同時取立(2項)はこれら手続費用に限られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧強制執行法から独立した執行手続の一般規定として執行費用の負担・同時取立・費用額確定の枠組みを整備した。
- 民事執行法 第22条債務名義の定義、2項の同時取立が例外となる前提
- 民事執行法 第10条執行抗告、7項が定める不服申立ての手続的根拠
- 民事執行法 第11条執行異議、書記官処分への不服申立ての一般構造
- 民事執行法 第39条強制執行の停止、基礎判決取消し時の巻き戻し局面と連動
- 民事執行法 第40条執行処分の取消し、債務名義失効時の処理
- 民事訴訟法 第61条訴訟費用の敗訴者負担、費用負担原則の一般法
- 民事訴訟法 第71条訴訟費用額の確定処分、費用額確定手続の対応規定
- 民事訴訟法 第74条費用額確定処分の更正、9項が準用する規定
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