受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月9日読了 7 分7 分7 分

民事執行法 第61条(一括売却)

クイックジャンプ

執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。)と一括して同一の買受人に買い受けさせることが相当であると認めるときは、これらの不動産を一括して売却することを定めることができる。ただし、一個の申立てにより強制競売の開始決定がされた数個の不動産のうち、あるものの買受可能価額で各債権者の債権及び執行費用の全部を弁済することができる見込みがある場合には、債務者の同意があるときに限る。

この条文の基本情報

一括売却とは何ですか?

定義一括売却とは、民事執行法第61条に定められた規定で、「執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 民事執行法第61条(一括売却)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
  2. 民事執行法第61条の条文原文は「執行裁判所は、相互の利用上不動産を他の不動産(差押債権者又は債務者を異にするものを含む。」で始まります。
  3. 民事執行法第61条は第二目 強制競売に置かれています。
  4. 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
  5. 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
  6. 民事執行法第61条の前の条は民事執行法第60条です。
  7. 民事執行法第61条の次の条は民事執行法第62条です。
  8. 民事執行法第61条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第61条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
  • 本サイト収録民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第61条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/61

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点民事執行法61条は、相互の利用上相当なとき複数の不動産を一括売却できると定める。ただし一物件で全債権を弁済できる場合、超過分の一括売却には債務者の同意が必要となる。

Q · 自宅と土地をまとめて競売にかけられたら、全部売られてしまうの?

原則まとめて売れるが、超過売却には債務者の同意が要る

民事執行法61条により、執行裁判所は相互の利用上相当と認めれば、複数の不動産を一括して同一の買受人に売却できます。ただし但書が重要です。一個の申立てで複数の不動産が競売にかけられ、そのうち一つの買受可能価額(売却基準価額から2割引いた最低ライン)だけで全債権者の債権と執行費用が弁済できる見込みがあるなら、残りを一括で売るには債務者の同意が必要です。同意しなければ超過部分は売れません。借金を超えて財産を勝手に処分されないためのブレーキが、債務者に用意されています。

解説

借金の担保にマンションと駐車場、あるいは自宅と隣接する畑をまとめて差し押さえられた。競売でこれらがバラバラに売られると価値が落ち、あなたの手元に戻る残余金も減る。民事執行法61条は、執行裁判所が「相互の利用上」まとめて一人の買受人に売った方が相当だと判断すれば、複数の不動産を一括して売却できると定める。ここまでは債権者と買受人に有利な話だ。だがこの条文の本当の武器は但書にある。一個の申立てで複数の不動産が競売にかけられ、そのうち一つの買受可能価額(売却基準価額から2割引いた最低ライン)だけで全債権者への弁済と執行費用がまかなえる見込みがあるなら、残りを一括で売るには債務者であるあなたの同意が要る。つまり、借金より多くの財産を勝手に売り払われないための盾が、あなたに用意されている。この一行を知らないまま同意書にサインすると、盾を自分の手で捨てることになる。

法的な位置づけ

民事執行法61条は不動産の一括売却を定める規定であり、執行裁判所が相互の利用上相当と認める場合に、複数の不動産をまとめて同一の買受人に売却できる旨を規定する。ただし書は、一物件の買受可能価額で全債権と執行費用を弁済できる見込みがあるとき、超過部分の一括売却に債務者の同意を要求し、過剰換価を抑制する特則として機能する。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.競売開始決定が届いたら対象物件と価額を確認 競売開始決定書が届いたら、対象不動産の一覧と各物件の売却基準価額・買受可能価額を確認する。どの物件が一括の対象になっているかを最初に把握する
  2. 2.一物件で弁済できるかを電卓で計算 一つの物件の買受可能価額だけで、全債権者の債権総額と執行費用が弁済できそうかを計算する。上回るなら61条但書が発動し、あなたの同意なしに一括売却はできない
  3. 3.一括売却の同意を求められても即答しない 裁判所から一括売却への同意を求める書面が届いても、その場でサインしない。自宅など残したい物件を売却対象から外す交渉材料として活用する
  4. 4.任意売却の可能性を並行して探る 金融機関・不動産業者と任意売却の可能性を検討する。競売より高値で処分できれば残債を減らせるため、同意の判断と並行して進める
  5. 5.売却許可決定の確定前に動く 売却の許可決定(民事執行法69条)が確定すると売却条件を争う機会は原則失われる。同意の諾否や移送・執行異議の申立ては、それ以前に行う

よくある質問 AI による整理

Q1一括売却とは何ですか?

執行裁判所が相互の利用上相当と認めるとき、複数の不動産をまとめて同一の買受人に売却する制度です。民事執行法61条が根拠で、バラ売りより高値がつく場合に用いられます。

Q2超過売却の禁止とは何ですか?

借金より多くの財産を換価してはならないという原則です。61条但書は、一物件で全債権が弁済できるなら超過分の一括売却に債務者の同意を要求し、過剰執行を防ぎます。

Q3買受可能価額とは何ですか?

売却基準価額から2割を引いた、競売で買い受けられる最低ラインの金額です(民事執行法60条)。この額で全債権を弁済できるかが但書発動の判定基準になります。

Q4一括売却に債務者の同意はいつ必要ですか?

一物件の買受可能価額だけで全債権者の債権と執行費用を弁済できる見込みがある場合、超過部分を一括で売るときに必要です。それ以外は原則同意なしで一括できます。

Q5一括売却の決定は誰がしますか?

執行裁判所が売却実施前に判断します。相互の利用上一括した方が相当かを審査し、必要なら物件明細書で一括の範囲を公示します(民事執行法62条)。

Q6担保不動産競売でも一括売却はありますか?

あります。民事執行法188条により61条が準用され、抵当権実行としての担保不動産競売にも一括売却のルールが及びます。

Q7一括売却の同意を拒否したらどうなりますか?

超過部分は競売の対象から外れる可能性があり、必要な範囲の不動産だけが売却されます。残したい物件を守る交渉材料にもなります。

Q8物件が一括売却対象か確認する方法は?

物件明細書(民事執行法62条)で一括売却の範囲が公示されます。買受希望者は入札前にこの明細書で対象物件の組み合わせを確認します。

この条文についての質問 AI による整理

Q1競売でマンションを買いたいけど、部屋だけ安く落札ってできないんですか?

できません。分譲マンションの専有部分と敷地利用権は区分所有法22条で分離処分が禁じられ、民事執行法61条の一括売却の対象として必ず一体で売られます。部屋と土地の権利はセットでしか落札できません。実務のポイント:区分所有建物の競売では、敷地権が登記上どう設定されているかで一括の範囲が変わることがある。物件明細書の『敷地利用権』欄を最初に確認すると、何が付いてくるかが一目で分かる

Q2借金より価値のある不動産を全部競売にかけられそうです。止められませんか?

止められる可能性があります。一個の申立てで複数の不動産が競売にかけられ、そのうち一つの買受可能価額で全債権と執行費用が弁済できる見込みなら、民事執行法61条但書により、残りの一括売却には債務者であるあなたの同意が必要です。同意しなければ超過部分は売れません。関連する73条は超過売却となる場合の措置も定めています。実務のポイント:この但書を知らずに『同意書』へ署名してしまう債務者は多い。書記官は制度説明はするが、断れば財産が残るとまでは踏み込まないことが多い。同意を求められたら、まず一物件で返済可能かを計算してから返事をする

間違えやすい点 AI による整理

  • 「競売は裁判所が全部決めるから、債務者に口出しの余地はない」と思われているが、一括売却が超過売却になる場面では、債務者の同意がなければ執行裁判所も一括では売れない。あなたには手続の一部を止める一票がある
  • 一括売却を「まとめ売りで手間が省ける便利な制度」だと理解している人は多い。だがその深刻さを知らない。バラ売りなら片方だけ残せたはずの財産が、一括決定によってまとめて他人の手に渡る。まとめて売る相当性の判断こそが、あなたの財産の運命を分ける分岐点だ
  • 「複数の不動産を一括にした方が高く売れる」とあなたは考えるかもしれない。だが法律の関心は総額の最大化ではなく、相互の利用上の相当性と、債務者への過剰執行の防止にある。あなたが『高く売れるか』を問うている間に、裁判所は『そもそもまとめて売るべきか』を問うている。この視点のずれが、同意すべきかの判断を誤らせる
比較の観点この条文ほかの条文
規定の役割民執61条:複数不動産の一括売却と超過時の同意要件民執73条:超過売却となる場合の措置
民執60条:売却基準価額・買受可能価額の定義
債務者保護の働き方超過部分の一括売却に同意権を与える超過売却そのものを抑制・調整する
弁済見込み判定の金額的基準を提供する
適用の前提相互の利用上一括が相当+一物件で弁済見込み複数物件のうち一部で債権が満たされる状況
評価人の評価に基づく価額決定
買受希望者への影響一括決定があれば一人でまとめて落札できる超過となる物件は売却されない場合がある
最低入札額(買受可能価額)が定まる

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
強制執行法第96条・第50条の1

台湾も数宗財産の合併拍売を認めつつ、超過差押えの禁止で過剰執行を抑制する点で日本と構造が近い。

韓国
대한민국 민사집행법 제98조

韓国は一括売却決定(일괄매각결정)を明文化し、複数不動産の一括処分を裁判所の判断に委ねる点で日本と類似する。

ドイツ
ZVG § 63(Gesamtausgebot)

ドイツは Einzelausgebot(個別競売)と Gesamtausgebot(一括競売)を併存させ、より高い結果となる方を採用する仕組みで、換価最大化の発想を共有する。

アメリカ
各州の execution sale 実務

米国では州ごとに parcel sale か bulk sale かの原則が分かれ、過剰換価(selling more than necessary)を制限する法理が判例・制定法で発達している。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし、自宅とその隣の空き地がまとめて競売にかけられ、片方の落札額だけで借金が返せるとしたら? 残りの一括売却には、あなたの同意が必要だ。同意を求められたとき、断る権利があると知っているかどうかで、手元に残る財産が変わる
  • あなたが競売で工場と隣接倉庫をまとめて落札しようとしている。一括売却の決定が出ていれば一人でまとめて買えるが、決定がなければ別々の入札になり、片方だけ他人に取られて事業計画が崩れる。物件明細書で一括売却の有無を最初に確認する
  • 農地とその上の農業用倉庫。別々に売れば買い手がつかない。一括売却なら価値が保たれる
  • 売却実施の準備が進むなか、裁判所から一括売却への同意を求める書面が届いた。断れば残りの不動産は競売の対象から外れる可能性がある。この数日の判断が、あなたに残る財産の量を決める

取るべき行動

被害を受けた側:1. 競売開始決定が届いたら、対象不動産の一覧と各物件の売却基準価額・買受可能価額を確認する2. 一つの物件の買受可能価額だけで全債権と執行費用がまかなえそうなら、61条但書によりあなたの同意なしに一括売却はできない、この計算を最優先で行う3. 一括売却への同意を求められても即答しない、自宅など残したい物件を売却対象から外す交渉材料にする4. 並行して任意売却の可能性を金融機関・不動産業者と探り、競売より高値で処分して残債を減らす道を検討する

訴えられた側:1. 買受希望者なら、一括売却の決定が出ているかを物件明細書で確認、まとめて落札したい複数物件が一括対象かで入札戦略が変わる2. 債権者なら、相互の利用上一括した方が高値になると考える物件について、執行裁判所に一括売却の相当性を上申する3. ただし超過売却になる場面では債務者の同意が壁になる、同意が得られないと一括では売れないことを織り込む4. 相互利用上の関連性(同一利用の土地建物、隣接地など)を疎明する資料を早めに裁判所へ提出する

時効(請求できる期限):一括売却を定めるかは執行裁判所が売却実施前に判断する。債務者が但書の同意を求められた場合、売却の準備が整うまでに諾否を明らかにする必要がある。個別の時効はないが、売却の許可決定(民事執行法69条)が確定すると売却条件を争う機会は原則失われるため、それ以前に動くこと

学説

通説:61条本文の一括売却は、相互の利用上の相当性が認められれば換価価値の最大化として許容される。もっとも但書は、一物件で全債権を弁済できる場合に超過部分の一括売却へ債務者の同意を要求し、過剰執行の禁止という債務者利益との調整を図る、というのが一般的理解である。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧競売法・旧民事訴訟法上の不動産競売規律を統合。一括売却と超過売却時の債務者同意要件が現行61条として整理された。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

民事執行法の全文を見る所属する編章節を開く:第二目 強制競売

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›