民事執行法 第60条(売却基準価額の決定等)
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- 執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)を定めなければならない。
- 2.執行裁判所は、必要があると認めるときは、売却基準価額を変更することができる。
- 3.買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。
この条文の基本情報
売却基準価額の決定等とは何ですか?
定義売却基準価額の決定等とは、民事執行法第60条に定められた規定で、「執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第60条(売却基準価額の決定等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第60条の条文原文は「執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。」で始まります。
- 民事執行法第60条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第60条の前の条は民事執行法第59条です。
- 民事執行法第60条の次の条は民事執行法第61条です。
- 民事執行法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法60条は、執行裁判所が評価人の評価に基づき不動産競売の売却基準価額を定めると規定する。入札の下限は基準価額から二割を引いた買受可能価額以上である。
Q · 競売物件って、裁判所が決めた売却基準価額を払えば買えるの?
いいえ、下限は基準価額の二割引き(買受可能価額)です
民事執行法60条により、執行裁判所は評価人の評価に基づいて「売却基準価額」を定めます。ただし入札できる下限は基準価額そのものではなく、そこから二割を控除した「買受可能価額」以上です(60条3項)。例えば評価額1,000万円・基準価額700万円なら、下限は560万円から。逆に売られる側は、基準価額が低く決まるほど売却後に残る借金が増えます。基準価額の算定に重大な誤りがあれば、売却不許可を求めて争う余地があります(71条)。
解説
住宅ローンが払えなくなった家は、最後に競売にかけられる。その競売で「いくらから買えるか」を決めるのが60条だ。執行裁判所は評価人(不動産鑑定士など専門家)の評価をもとに「売却基準価額」を定める。ここが肝心:入札できる下限はこの基準価額そのものではなく、そこから二割引いた「買受可能価額」以上でよい。つまり一般の人でも、相場より安い価格帯から競売不動産を狙える。逆に、あなたの不動産が競売にかけられる側なら、この基準価額が低く決まるほど、売却で消えずに残る借金が増える。しかも基準価額の算定に重大な誤りがあれば、売却不許可を求めて争える(71条)。買う側にとっては入り口、売られる側にとっては防衛線。同じ一条が、立場によって全く違う顔を見せる。
法的な位置づけ
民事執行法60条は不動産競売における売却基準価額を定める規定であり、執行裁判所が評価人の評価に基づいて売却の基準となる価額を決定する。買受けの申出額は、この売却基準価額から十分の二を控除した買受可能価額以上でなければならず、基準価額は執行裁判所が必要に応じて変更することもできる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.三点セットを入手して読み込む 裁判所や不動産競売物件情報サイト BIT で、物件明細書・現況調査報告書・評価書の三点セットを入手する。評価書で売却基準価額の内訳、現況調査報告書で占有状況、物件明細書で権利関係を確認する
- 2.買受可能価額と保証金を計算する 売却基準価額から二割を控除して買受可能価額(入札の下限)を算出する。基準価額700万円なら下限は560万円。さらに原則として基準価額の二割(140万円)の買受申出保証金を用意する。一円でも下限を下回る入札は無効
- 3.リスクを織り込んで入札額を決め、期間内に入札する 内覧原則不可・契約不適合責任なし・占有者リスクを織り込んで入札上限を決める。裁判所が定める入札期間内に入札書と保証金を提出する。期間経過後の入札は無効になる
- 4.(売られる側)算定の誤りは売却許可決定前に争う 面積・権利関係・相場の取り違えなど売却基準価額の算定に客観的な誤りがあれば、売却許可決定の前に執行異議(民執11条)、決定後は告知から1週間以内に執行抗告(民執74条)を申し立てる。売却が確定すると覆すのは極めて困難になる
よくある質問 AI による整理
Q1売却基準価額とは何ですか?
執行裁判所が評価人の評価に基づいて定める、不動産競売の売却の基準となる価額です(民執60条1項)。この価額から二割を引いた買受可能価額が入札の下限になります。
Q2買受可能価額はどう計算しますか?
売却基準価額から十分の二(二割)を控除した額です(民執60条3項)。基準価額700万円なら買受可能価額は560万円で、入札はこの額以上でなければ無効です。
Q3競売の買受申出の保証金はいくらですか?
原則として売却基準価額の十分の二(二割)です(民事執行規則39条)。基準価額700万円なら140万円を期限内に納付する必要があります。
Q4競売の三点セットとは何ですか?
物件明細書・現況調査報告書・評価書の三つを指します。売却基準価額の算定根拠や占有状況、権利関係を確認できる、入札前の必読資料です。
Q5競売不動産は内覧できますか?
原則としてできません。内部を確認できない前提で価格が減価されており、その分が売却基準価額に反映されています。三点セットの写真や現況調査報告書で判断します。
Q6競売物件に占有者がいたらどうなりますか?
引渡命令(民執83条)で明渡しを求められる場合があります。ただし対抗力ある賃借人など退去させられない占有もあり、現況調査報告書での事前確認が重要です。
Q7剰余を生ずる見込みがない場合とは?
買受可能価額が手続費用と優先債権に満たない状態です(民執63条)。差押債権者が買受けを申し出るなどしなければ競売手続が取り消されます。
Q8競売物件情報はどこで見られますか?
不動産競売物件情報サイト BIT や各地方裁判所で三点セットを閲覧できます。売却基準価額や買受可能価額も公告で確認できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1競売の家って、本当に相場より安く買えるんですか?
多くの場合は安く買えます。売却基準価額は評価人が通常の市場価格に競売特有の減価(内覧不可・引渡しの手間など)を織り込んで算定し、入札下限はさらにその二割引きの買受可能価額です(60条3項)。ただし人気物件は入札が競合して相場近くまで上がることもあります。実務のポイント:安さの裏には占有者の立ち退き問題があり、引渡命令(83条)で対処できるかを事前に見極められる人だけが本当に得をします。三点セットの現況調査報告書で占有状況を読むのが分かれ目です
Q2自分の家が競売で安く売られそう、この価格って争えないんですか?
争える余地はあります。売却基準価額の算定に重大な誤りがあれば売却不許可事由になり(71条7号)、売却許可決定に対して執行抗告できます(74条)。ただし『安すぎる』という主観では足りず、面積・権利関係・評価手法の客観的な誤りが必要です。実務のポイント:競売より任意売却の方が高く売れるのが通常で、金融機関も残債回収の観点から任意売却に応じることが多い。競売開始後でも、開札前なら取下げてもらえる可能性が残っています
Q3売却基準価額って、一度決まったらもう変わらないんですか?
変わることがあります。執行裁判所は必要があると認めれば売却基準価額を変更できます(60条2項)。一度目の入札で買受人が現れなければ、価額を下げて再度売却に付すのが一般的です。実務のポイント:だから狙っている競売物件が一度不成立になっても諦めない方がいい。回を重ねるごとに基準価額が下がり、買受可能価額の下限も切り下がります。ただし何度も売れ残る物件は、占有や権利関係に難があるサインでもあります
間違えやすい点 AI による整理
- 「競売なら売却基準価額さえ払えば買える」と思っている人がいるが、問いの立て方がずれている。払うべき下限は基準価額ではなく、その二割引きの買受可能価額だ。しかも人気物件では基準価額を大きく超える入札が飛び交い、結局は相場並みに落ち着くことも多い。『いくらから入札できるか』と『いくらで買えるか』は、まったく別の話である
- 売られる側は「安く売られても、その分だけ借金が減るなら同じこと」と考えがちだが、深刻さはそこにない。競売の基準価額は市場価格より低く設定されるのが通常で、任意売却なら得られたはずの差額分、残債が余計に膨らむ。安く叩かれること自体が、あなたの負債を静かに増やしている
- 「裁判所が一度決めた基準価額は動かない」と思われているが、執行裁判所は必要があれば売却基準価額を変更できる(60条2項)。一度目の売却が不成立になったり市況が動いたりすれば、価額が下方修正されることは実務で珍しくない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民執60条:売却基準価額と買受可能価額の決定 | 民執58条:評価人の評価(基準価額算定の前提) 民執63条:剰余を生じない場合の措置 |
| 誰が何を決めるか | 執行裁判所が基準価額を定め、二割引きの下限を設定 | 評価人が不動産を評価し評価書を作成 買受可能価額が優先債権・費用に満たないかを判定 |
| 争う手段 | 算定の重大な誤りは71条7号・74条で執行抗告 | 評価の誤りは基準価額を通じて71条で争う 手続取消しの当否を執行異議・執行抗告で争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行法院が鑑定と債権者・債務者の意見を経て拍賣の最低価額を核定する点で日本と類似。ただし二割控除のような一律の下限緩衝帯は制度化されていない
韓国も執行裁判所が鑑定に基づき最低売却価格を決定する。売れ残った場合に一定割合で低減して再入札に付す運用があり、日本の再売却実務と近い
ドイツは Verkehrswert(市場価値)を裁判所が確定し、7/10未満・5/10未満の申出に対する保護規定を置く。二割控除ではなく割合基準による下限保護という設計思想の違いがある
米国は連邦統一法がなく州ごとに異なる。upset price や fair value 制度で著しい低額落札を制限するが、日本のような一律の基準価額・二割控除方式ではない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 地方の戸建てが競売に出ていて、評価額1,000万円、売却基準価額700万円と公告されている。あなたが入札できる下限は、そこからさらに二割引いた560万円。相場1,000万円の家に560万円から手が届く計算だ。ただし内覧原則不可、契約不適合責任なし、占有者リスクとセットで、その減価分こそが安さの正体である
- あなたの自宅がローン滞納で競売にかけられ、売却基準価額が相場よりかなり低く出た。この価格で落札されれば、売却で消えなかったローンは残債としてあなたに残り続ける。評価の前提(面積・権利関係・相場の取り違え)に重大な誤りがあれば、売却不許可を申し立てて争う余地がある(71条7号)
- もし、入札期間の締め切りまであと三日だとしたら? 買受可能価額を一円でも下回った入札は、その瞬間に無効。基準価額から二割を控除する計算をひとつ間違えると、準備した資金も熱意も門前払いになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 競売開始決定の通知が来たら、まず任意売却の可能性を金融機関に打診する。競売より高く売れれば残債を圧縮でき、開札前なら競売取下げに応じてもらえる余地がある2. 評価書・物件明細書・現況調査報告書(三点セット)を閲覧し、売却基準価額の算定根拠を確認3. 面積・権利関係・相場の取り違えなど客観的な誤りがあれば、売却許可決定の前に執行異議、決定後は執行抗告を検討(71条、74条) 4. 動くなら早く。売却が確定すると覆すのは極めて困難になる
訴えられた側:1. 裁判所や不動産競売物件情報サイト(BIT)で三点セットを入手し、評価書で売却基準価額の内訳を読む2. 入札下限は買受可能価額(基準価額の八割)。一円でも下回れば無効なので計算を厳密に3. 内覧原則不可・契約不適合責任なし・占有者リスクを織り込んで入札上限を決める4. 買受けの申出の保証(原則、売却基準価額の二割)を期限内に納付し、落札後の残代金納付期限も厳守する
時効(請求できる期限):60条の価額決定そのものに特定の時効はない。売却基準価額を争うには、売却許可決定前の執行異議(11条)、売却の許可・不許可の決定に対しては執行抗告を、決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内に行う(10条、74条)。入札は裁判所が定める入札期間内に限られ、期間経過後の入札は無効
学説
通説:売却基準価額は評価人の評価に基づき客観的に定まる基準額であり、これに二割の緩衝帯(買受可能価額)を設けることで、適正価格の確保と売却の実現という相反する要請の均衡を図るものと理解されている。算定に客観的で重大な誤りがある場合に限り、売却不許可・執行抗告により是正される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)改正、平成17年(2005年)施行 担保・執行法制の改正により、従来の硬直的な『最低売却価額』制度を『売却基準価額』へ改め、基準価額から二割を控除した『買受可能価額』以上での入札を認める仕組みを新たに導入した。売却不成立の頻発を緩和する狙い
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定。それまで民事訴訟法・競売法に分散していた強制執行・担保執行の規律を統合し、不動産競売の価額決定手続を整備した
- 2.平成16年(2004年) 改正:担保・執行法制の改正により、硬直的で売却不成立を招いていた従来の『最低売却価額』を『売却基準価額』へ改め、基準価額から二割を控除した『買受可能価額』以上での入札を認める仕組みを導入(平成17年施行)
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