民事執行法 第63条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)
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- 執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定により手続を続行する旨の裁判があつたときは、その裁判を受けた差押債権者をいう。以下この条において同じ。)に通知しなければならない。
- 一差押債権者の債権に優先する債権(以下この条において「優先債権」という。)がない場合において、不動産の買受可能価額が執行費用のうち共益費用であるもの(以下「手続費用」という。)の見込額を超えないとき。
- 二優先債権がある場合において、不動産の買受可能価額が手続費用及び優先債権の見込額の合計額に満たないとき。
- 2.差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から一週間以内に、優先債権がない場合にあつては手続費用の見込額を超える額、優先債権がある場合にあつては手続費用及び優先債権の見込額の合計額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める申出及び保証の提供をしないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。ただし、差押債権者が、その期間内に、前項各号のいずれにも該当しないことを証明したとき、又は同項第二号に該当する場合であつて不動産の買受可能価額が手続費用の見込額を超える場合において、不動産の売却について優先債権を有する者(買受可能価額で自己の優先債権の全部の弁済を受けることができる見込みがある者を除く。)の同意を得たことを証明したときは、この限りでない。
- 一差押債権者が不動産の買受人になることができる場合申出額に達する買受けの申出がないときは、自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出及び申出額に相当する保証の提供
- 二差押債権者が不動産の買受人になることができない場合買受けの申出の額が申出額に達しないときは、申出額と買受けの申出の額との差額を負担する旨の申出及び申出額と買受可能価額との差額に相当する保証の提供
- 3.前項第二号の申出及び保証の提供があつた場合において、買受可能価額以上の額の買受けの申出がないときは、執行裁判所は、差押債権者の申立てに係る強制競売の手続を取り消さなければならない。
- 4.第二項の保証の提供は、執行裁判所に対し、最高裁判所規則で定める方法により行わなければならない。
この条文の基本情報
剰余を生ずる見込みのない場合等の措置とは何ですか?
定義剰余を生ずる見込みのない場合等の措置とは、民事執行法第63条に定められた規定で、「執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定によ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第63条(剰余を生ずる見込みのない場合等の措置)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第63条の条文原文は「執行裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その旨を差押債権者(最初の強制競売の開始決定に係る差押債権者をいう。ただし、第四十七条第六項の規定によ…」で始まります。
- 民事執行法第63条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第63条の前の条は民事執行法第62条です。
- 民事執行法第63条の次の条は民事執行法第64条です。
- 民事執行法第63条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第63条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第63条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/63
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法63条は、不動産の買受可能価額が手続費用と優先債権の見込額に満たない無剰余の場合、差押債権者が一週間以内に買受申出等をしなければ執行裁判所が競売を取り消すと定める。
Q · 差し押さえて競売にかければ、順位が低くても幾らかは回収できるの?
無剰余なら一週間以内に買受申出をしないと競売は取り消されます
民事執行法63条により、不動産の買受可能価額が手続費用や優先債権の見込額に満たない無剰余の場合、執行裁判所は差押債権者へ通知します。通知から一週間以内に、自ら申出額で買い受ける申出+保証提供、または先順位者の同意取得、無剰余不該当の証明のいずれもしなければ、強制競売手続は取り消されます(63条2項)。差し押さえれば必ず回収できるわけではなく、先順位の担保で価値が尽きていれば、あなたの取り分がゼロと判断された瞬間に競売そのものが職権で止まります。
解説
あなたが貸したお金を回収しようと、相手の土地建物を差し押さえて競売にこぎつけたとする。ところがその不動産には銀行の抵当権が先に付いていて、売っても優先する債権への返済で価値が消える。ここで執行裁判所はあなたに一通の通知を送る。「このまま売っても、あなたの取り分は一円も残らない」。民事執行法63条はそう告げる仕組みだ。通知を受けたあなたに残された時間は一週間。何もしなければ、あなたが起こした競売そのものが取り消される。逆に、あなた自身がその値段で買い取ると申し出て保証金を積むか、先順位者の同意を取れば、手続は続く。つまり本条は、後順位の債権者が「取り分ゼロと分かっていながら他人の担保を叩き売る」ことを止める安全弁だ。差し押さえれば必ず回収できるという思い込みが、この一条で崩れる。
法的な位置づけ
民事執行法63条は無剰余取消しを定める規定であり、不動産の買受可能価額が手続費用および優先債権の見込額に満たない場合に、執行裁判所が差押債権者へ通知し、一定の申出・保証提供等がなければ強制競売手続を取り消すべき旨を規定する。誰も配当を得られない無益な換価を防ぐ剰余主義を手続的に担保する条文である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.無剰余通知が届いたら登記簿で先順位を確認 通知を受け取ったら、まず対象不動産の登記簿で先順位の抵当権・優先債権の残高を確認し、買受可能価額(売却基準価額の8割)と手続費用を突き合わせて、本当に剰余が出ないかを検証する
- 2.一週間以内に三択で対応方針を決定 剰余が出ないなら、(a) 自ら申出額で買い受ける申出+保証提供、(b) 先順位者の同意取得、(c) 無剰余に該当しない証明、のいずれを選ぶかを通知到達日から一週間以内に決める
- 3.買受申出を選ぶなら申出額と保証を用意 自ら買い受けるなら、優先債権や手続費用を上回る申出額を定め、申出額に相当する保証を最高裁規則所定の方法で執行裁判所に提供する。資金計画なしに取消し回避だけを狙わない
- 4.同意取得を選ぶなら先順位者と交渉 先順位の優先債権者から続行の同意を取り付ける。相手も担保不動産の早期換価を望む局面では応じることがある。同意書一枚が取消しの土俵際で手続を救う
- 5.打つ手がなければ別財産の執行に切り替え 三択のいずれも打てないなら競売は取り消される。予納金の残額還付を受け、相手の給与・預金・売掛金など別財産への執行に速やかに切り替える
よくある質問 AI による整理
Q1無剰余取消しとは何ですか?
売っても差押債権者に配当が回らない無剰余の競売を、執行裁判所が職権で取り消す制度です。民事執行法63条が根拠で、無益な換価を防ぐ剰余主義に基づきます。
Q2買受可能価額とはどう決まりますか?
執行裁判所が定める売却基準価額の8割に相当する額です(民執60条)。この額が手続費用と優先債権の見込額を超えるかで、無剰余かどうかが判定されます。
Q3無剰余通知が届いたら何日以内に対応が必要ですか?
通知が現実に到達した日から一週間以内です。買受申出+保証提供、先順位者の同意、無剰余不該当の証明のいずれもしなければ、期間経過で競売は取り消されます。
Q4差押債権者が自ら買い受けるにはどうすればいいですか?
申出額を定め、自ら申出額で買い受ける旨の申出と、申出額に相当する保証を執行裁判所へ提供します(63条2項1号)。保証は最高裁規則所定の方法によります。
Q5先順位の抵当権者の同意があれば競売は続けられますか?
優先債権があり買受可能価額が手続費用を超える場合、優先債権者の同意を証明すれば、無剰余でも取消しを免れて手続を続行できます(63条2項但書)。
Q6担保不動産競売にも63条は適用されますか?
適用されます。担保不動産競売には民執188条により本条が準用され、抵当権実行による競売でも無剰余なら取消しの対象になります。
Q7無剰余で競売が取り消されたら予納金は返ってきますか?
実際に使われなかった予納金の残額は還付を受けられます。ただし登記費用や既に発生した手続費用は戻らず、そこまでの支出は回収できません。
Q8剰余主義とはどんな原則ですか?
順位の劣る債権者が配当の回らない不動産を競売にかけ、先順位者や債務者を無用な換価に巻き込むことを防ぐ原則です。63条がこれを手続的に具体化しています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1競売が取り消されたら、借りたお金は返さなくてよくなるんですか?
いいえ、返済義務は残ります。63条で取り消されるのは今回の競売「手続」だけで、債権そのものは消えません。債権者は将来あなたの預金・給与や別の不動産に改めて執行できます。実務のポイント:無剰余取消しは債務者にとって延命であって免除ではない。この猶予期間に任意売却や債務整理へ動けるかどうかで、その後の展開が大きく変わる。
Q2後順位でも競売を起こせば、圧力をかけて任意に払わせられますよね?
その戦術は63条で空振りになりがちです。剰余が出ないと判断されれば、あなた自身が買受申出+保証提供(63条2項)をしない限り手続は取り消されます。実務のポイント:実務では、後順位債権者はまず登記簿で担保余力を精査してから執行を判断する。剰余の出ない不動産に競売を仕掛けても予納金を溶かすだけ。狙うなら剰余の出る財産か、給与・売掛金への債権執行に切り替えるのが定石。
Q3「自分で買い受ける」と申し出たのに、誰も買いに来なかったらどうなりますか?
差押債権者が買受人になれる場合は、あなた自身がその申出額で買い取ることになります(63条2項1号)。買受人になれない立場で差額負担を申し出た場合、買受可能価額以上の入札がなければ、結局手続は取り消されます(63条3項)。実務のポイント:買受申出は「本気で買う覚悟」が要る。保証を積んだ以上、他に買い手が現れなければ自分が引き取る。資金計画なしに取消し回避だけを狙うと、望まない不動産を抱え込む。
間違えやすい点 AI による整理
- 「差し押さえて競売にかければ、優先順位が低くても幾らかは回収できる」と思われがちだが、63条の下では、先順位の担保で価値が尽きていれば、あなたの取り分がゼロと判断された瞬間に競売自体が取り消される。回収どころか、それまでに払った予納金や登記費用まで無駄になる
- あなたから見れば「自分の正当な債権を実現する手続」だが、法律から見れば「他人の担保を空売りして誰も得しない手続」。この落差を埋めるのが無剰余取消しで、あなたの主観的な回収意欲は、客観的な剰余の有無の前では無力になる
- 「競売が取り消されたら借金も消えるのでは」という問いは、そもそも立て方が間違っている。取り消されるのは今回の競売手続だけで、債務そのものは一円も減らない。債権者は将来、別の財産を狙って再び執行できる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民執63条:無剰余の場合に競売手続を取り消す(剰余主義) | 民執60条:売却基準価額・買受可能価額を決定 民執47条:二重開始決定と手続の続行 |
| 判断の基準額 | 買受可能価額 vs 手続費用+優先債権の見込額 | 評価人の評価に基づく売却基準価額(その8割が買受可能価額) 先行差押えの有無と続行裁判の対象 |
| 効果 | 申出・保証等がなければ手続を取り消さなければならない | 買受申出の下限を画定する 後行の差押債権者が続行債権者となる |
| 回避・続行手段 | 買受申出+保証、差額負担、優先債権者の同意、無剰余不該当の証明 | 評価・価額決定への執行異議 続行決定の申立て(47条6項) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も、拍賣不動產が優先債権や費用に満たない無実益の場合に執行を制限する。債権者に一定額での応買や差額負担の余地を残す構造は日本の63条と近い
韓国は「남을 가망이 없을 경우의 경매취소(余りが出る見込みがない場合の競売取消し)」を定め、剰余の見込みがなければ職権で競売を取り消す点で日本と同趣旨
ドイツの Deckungsprinzip(最低競売価額の原則)は、優先する権利と費用を下回る換価を認めない考え方で、本条剰余主義の母法にあたる
米国には剰余主義に直接対応する統一規定はなく、担保権実行は州ごとの foreclosure 手続で規律される。無剰余取消しに相当する画一的制度はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金の回収で相手の自宅を差し押さえ、競売開始までこぎつけた。三日後、裁判所から「無剰余」の通知が届く。抵当権者の銀行が満額持っていく見込みで、あなたの取り分はゼロ。あと一週間で「自分が申出額で買う」と決めて保証金を積むか、競売を諦めるかを選ばねばならない。判断を先延ばしにした瞬間、手続は取り消される
- もし、あなたの自宅が競売にかけられたのに、突然手続が取り消されたら? 後順位の債権者が起こした競売は、売っても優先する住宅ローンで価値が消えると裁判所が判断すれば、63条で取り消される。あなたは一時の猶予を得る。ただし借金が消えたわけではない
- あなたが一番抵当を持つ銀行の担当者だとする。格下の債権者が競売を仕掛けてきた。63条があなたの担保を守る盾になる。無剰余なら、その競売は止まる
- 競売不動産の投資家として、あなたが安く買い叩こうと入札を待っている。ところが差押債権者が「買受可能価額との差額を負担する」と申し出て保証を積んだ。値が底上げされ、あなたの安値落札の目論見は消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 無剰余通知が届いたら、まず対象不動産の登記簿で先順位の抵当権・優先債権の残高を確認、買受可能価額(売却基準価額の8割)と手続費用を突き合わせる2. 本当に剰余が出ないなら、一週間以内に(a)自ら申出額で買い受ける申出+保証提供、(b)先順位者の同意取得、(c)無剰余に該当しない証明、のいずれかを選ぶ3. どれも打てないなら競売は取消し。予納金の残額還付を受け、相手の給与・預金など別財産への執行に切り替える
訴えられた側:1. 自宅等が競売にかけられたら、誰が差押債権者かと、先順位の担保でその債権者に剰余が出るかを確認、無剰余なら63条で取消しの可能性がある2. ただし取消しは一時的な猶予にすぎず、債務は残る。任意売却や住宅ローンのリスケを並行して交渉する3. 先順位者が同意すれば競売は続行するので、取消しをあてにして放置しない。弁護士・司法書士に早期相談を
時効(請求できる期限):差押債権者は無剰余通知を受けた日から一週間以内に、買受申出+保証提供等をしなければならない(63条2項)。この期間を過ぎると執行裁判所は競売手続を取り消さなければならず、猶予はない。起算点は通知が現実に到達した日
学説
通説:63条の無剰余取消しは剰余主義の手続的表現であり、後順位債権者に配当の見込みがない場合の無益な換価を排除する。差押債権者には買受申出・差額負担・優先債権者の同意という続行手段が残され、これを行使しない場合に限り取消しに至ると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)担保執行法制改正 「最低売却価額」制度から「売却基準価額・買受可能価額」制度への転換に伴い、本条の剰余判断の基準額が買受可能価額に改められ、2項の買受申出・差額負担申出の仕組みが整備されたとされる。改正の全範囲・回数は要人的検証
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧競売法・旧民訴法下の剰余主義規定を再編して本条を新設。無剰余通知と一週間以内の買受申出・保証提供の枠組みを整備したとされる(詳細は要人的検証)
- 2.平成16年(2004年) 改正:担保執行法制改正に伴い「最低売却価額」制度から「売却基準価額・買受可能価額」制度へ転換。本条の剰余判断の基準額が買受可能価額に改められたとされる(改正の全範囲は要人的検証)
- 民事執行法 第47条二重開始決定と手続続行、本条の差押債権者の定義に直結
- 民事執行法 第60条売却基準価額・買受可能価額の決定、剰余判断の基準額
- 民事執行法 第42条執行費用・共益費用(手続費用)の範囲
- 民事執行法 第87条配当を受けるべき優先債権者の範囲
- 民事執行法 第188条担保不動産競売への本条の準用
- 破産法 第42条破産手続開始による個別強制執行の失効・禁止
- 民事再生法 第39条再生手続開始による強制執行の中止
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