民事執行法 第57条(現況調査)
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- 執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。
- 2.執行官は、前項の調査をするに際し、不動産に立ち入り、又は債務者若しくはその不動産を占有する第三者に対し、質問をし、若しくは文書の提示を求めることができる。
- 3.執行官は、前項の規定により不動産に立ち入る場合において、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。
- 4.執行官は、第一項の調査のため必要がある場合には、市町村(特別区の存する区域にあつては、都)に対し、不動産(不動産が土地である場合にはその上にある建物を、不動産が建物である場合にはその敷地を含む。)に対して課される固定資産税に関して保有する図面その他の資料の写しの交付を請求することができる。
- 5.執行官は、前項に規定する場合には、電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を行う公益事業を営む法人に対し、必要な事項の報告を求めることができる。
この条文の基本情報
現況調査とは何ですか?
定義現況調査とは、民事執行法第57条に定められた規定で、「執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第57条(現況調査)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第57条の条文原文は「執行裁判所は、執行官に対し、不動産の形状、占有関係その他の現況について調査を命じなければならない。」で始まります。
- 民事執行法第57条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第57条の前の条は民事執行法第56条です。
- 民事執行法第57条の次の条は民事執行法第58条です。
- 民事執行法第57条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第57条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第57条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/57
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法57条は、執行裁判所が執行官に競売不動産の形状・占有関係の調査を命じると定める。執行官は令状なしで立ち入り、閉鎖した戸を開くこともできる。
Q · 競売にかかった家に執行官が来るって聞いたけど、入るのを断れるの?
断れません。執行官は令状なしで立ち入れます
民事執行法57条2項により、執行官は現況調査のために不動産へ立ち入り、債務者や占有する第三者に質問し、文書の提示を求めることができます。同条3項は、必要があるときに閉鎖した戸を開くための処分まで認めており、刑事手続のような裁判官の令状は不要です。調査結果は現況調査報告書となり、競売の三点セットの一つとして公開されます。占有者にできるのは拒否ではなく、賃貸借契約書などを提示して占有権原を報告書に正確に記録させることです。
解説
競売物件が市場価格の6割で買える、その甘い話の裏には必ずこの条文がある。民事執行法57条は、執行裁判所が執行官に対し、競売にかける不動産の形状・占有関係・現況を調べるよう命じる仕組みだ。執行官はその調査のために、あなたの留守中でも不動産に立ち入り、占有者に質問し、文書の提示を求め、必要なら閉まった戸をこじ開けることまでできる。刑事の家宅捜索と違い、裁判官の令状は要らない。この調査の結果が「現況調査報告書」になり、競売の三点セット(現況調査報告書・評価書・物件明細書)の一つとして誰でも読めるかたちで公開される。あなたが競売物件を買うなら、この報告書に占有者が誰か、賃借人がいるか、明渡しでもめそうかが滲んでいる。逆にあなたが債務者や占有者なら、ある朝この執行官が玄関に立つ。どちらの側に立っても、この一枚の中身を読めるかどうかで、次の一手がまるで変わる。
法的な位置づけ
民事執行法57条は、不動産競売手続における現況調査を定める規定であり、執行裁判所が執行官に対して不動産の形状・占有関係その他の現況の調査を命じる旨を規定する。執行官には立入り、質問、文書提示の求め、閉鎖した戸を開く処分、市町村への固定資産税関係資料の交付請求、電気・ガス・水道等の公益事業者への報告請求の権限が与えられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.BIT で三点セットを入手する 不動産競売物件情報サイト(BIT)で対象物件の現況調査報告書・評価書・物件明細書をダウンロードする。まず現況調査報告書の「占有関係」欄から読む
- 2.占有関係欄の危険サインを拾う 「占有者不明」「賃貸借契約書の提示なし」「債務者以外の第三者が居住」「立入りできず外観のみ」の記載を探す。いずれも明渡し難航のサインで、入札額から明渡コストを差し引く根拠になる
- 3.調査日と現地の現在を突き合わせる 報告書の写真撮影日・占有者陳述日を確認し、現地で郵便受け・電気メーター・表札を自分の目で確かめる。調査から入札まで数か月あり、占有者が入れ替わっていることがある
- 4.明渡し手段と期限を先に試算する 落札後に引渡命令(民事執行法83条)が使えるか、抵当建物使用者の明渡猶予6か月(民法395条)が付くかを事前に判断する。引渡命令の申立ては代金納付日から6か月以内
- 5.占有者側は調査当日に占有権原を記録させる 執行官の調査を受ける側なら、正規の賃貸借契約書と賃料の振込記録を提示し、契約日と抵当権設定日の前後関係を報告書に残す。後の明渡交渉・立退料の書面上の根拠になる
よくある質問 AI による整理
Q1現況調査報告書とは何ですか?
執行官が民事執行法57条に基づいて競売不動産を調査し、形状・占有関係・写真などをまとめた書面です。競売の三点セットの一つとして公開されます。
Q2競売の三点セットはどこで見られますか?
不動産競売物件情報サイト(BIT)で公開され、誰でも無料で閲覧できます。現況調査報告書・評価書・物件明細書の3点で構成されます。
Q3執行官の現況調査はいつ行われますか?
競売開始決定後、執行裁判所が執行官に調査を命じた段階で行われます。入札の数か月前が通常で、報告書の日付と現在の状況にはずれが生じます。
Q4現況調査に立ち会いは必要ですか?
法律上の立会義務はありませんが、占有権原を主張したい賃借人は立ち会って契約書や賃料の振込記録を提示する方が有利です。
Q5現況調査報告書に名前が載るのは違法ではないですか?
違法ではありません。占有関係は買受人の判断に不可欠な情報として、民事執行法57条の調査結果に基づき記載・公開されます。
Q6空き家の競売物件でも現況調査はありますか?
あります。無人でも執行官は立ち入って現況を確認し、電気・ガス・水道の使用状況を公益事業者に照会して居住実態を裏取りできます(57条5項)。
Q7現況調査の費用は誰が負担しますか?
競売を申し立てた債権者が予納金として立て替え、最終的には売却代金から手続費用として優先的に回収されます。
Q8現況調査報告書の記載が実態と違ったらどうなりますか?
売却基準や物件明細書の前提が崩れ、売却不許可や引渡命令の争点になり得ます。入札前に現地確認で裏を取るのが実務上の防御です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1執行官が来たとき、家に入れるのを拒否できますか?
現況調査は民事執行法57条2項・3項に基づく執行官の正式な権限で、占有者の同意は要件ではありません。実力で妨害すれば公務執行妨害罪(刑法95条)のリスクもあります。実務のポイント:拒否はできませんが、執行官に『何を』見せ『何を話すか』はあなたが選べる。正規の賃貸借契約書を提示して占有権原を報告書に記録させると、後の明渡し交渉で立退料の根拠になる。黙って締め出すより、記録を残す方が得策なことが多い
Q2競売の現況調査報告書に書いてあることは、鵜呑みにして大丈夫ですか?
参考にはなりますが鵜呑みは危険です。報告書は執行官が民事執行法57条に基づき調査時点の外形を記録したもので、占有者の妨害や虚偽で実態と食い違うことがあります。実務のポイント:ベテランの競売業者は報告書の『写真の撮影日』と『占有者の陳述日』の食い違いを読む。調査から落札まで数か月あり、その間に占有者が入れ替わることもある。報告書の日付と現地の郵便受け・電気メーターを自分の足で確かめるのが玄人の作法
Q3アパートを借りているだけなのに、大家の借金で追い出されることがあるんですか?
あり得ます。2004年の改正で短期賃貸借保護は廃止され、抵当権設定後の賃借人は買受人に対抗できないのが原則です。ただし代金納付から6か月の明渡猶予が与えられます(民法395条)。実務のポイント:抵当権設定日より前から住んでいる賃借人なら買受人に対抗できる。自分の賃貸借契約日と、登記簿に載っている抵当権設定日を比べるだけで、追い出される側か対抗できる側かが分かる。競売の気配を感じたらまず登記簿謄本を取る
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行官が家に入るには令状か、少なくとも自分の同意が要る」と思っている人が多い。違う。57条2項・3項は、占有者の同意なしに立ち入り、閉まった戸をこじ開ける権限を執行官に直接与えている。刑事の家宅捜索と違い、裁判官の令状は要らない
- 「現況調査報告書に書いてあることは全部正しい」と信じて落札する人がいるが、問いの立て方が間違っている。報告書は執行官が調査時点で外形的に把握した現況にすぎず、占有者が妨害したり虚偽を述べたりすれば実態と食い違う。あなたが問うべきは『報告書は正しいか』ではなく『報告書のどこに調査の限界が滲んでいるか』だ
- 占有者から見れば「自分は賃借人だから追い出されない」と安心しがちだが、法律から見ると景色が違う。2004年の改正で短期賃貸借保護制度は廃止され、抵当権設定後の賃借人は原則として買受人に対抗できない。残されたのは6か月の明渡猶予(民法395条)だけ。この落差を知らずに居座ると、その猶予すら使い損なう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が作るか | 民事執行法57条:執行官が現況調査報告書を作成 | 民事執行法58条:評価人(不動産鑑定士)が評価書を作成 民事執行法62条:裁判所書記官が物件明細書を作成 |
| 何が分かるか | 形状・占有関係・写真・賃貸借の有無など事実面の現況 | 売却基準価額の根拠となる評価額と算定過程 買受人が引き受ける権利関係(引受・消滅)の法的整理 |
| 強制的な調査権限 | 立入り・質問・文書提示の求め・戸のこじ開け・行政資料および公益事業者への照会 | 現況調査結果を前提とし、独自の強制的立入権限は予定されない 書面審査が中心で、現況調査報告書と評価書を基礎とする |
| 落札後の使いどころ | 占有者の特定と占有権原の記録が引渡命令の前提資料になる | 入札額の妥当性判断の基準 民事執行法83条の引渡命令が使えるかの判断材料 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では執行官が査封時に作成する査封筆録に不動産の現況と占有使用状況を記載する。日本の現況調査報告書ほど独立した公開資料としては発達していない
韓国も執行官による現況調査を明文化し、賃借人の有無や保証金の調査を含む。日本法の強い影響下にある制度設計
ドイツは執行官による現況調査より、裁判所が選任する鑑定人の鑑定意見を通じて市場価値と物件状況を把握する運用が中心となる
米国の競売は原則 as-is で、公的機関が内部に立ち入って現況を調べ公開する制度は一般に存在せず、買受人が自らリスクを負う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競売で家を買ったら、前の住人が居座っていたらどうなる? 実はその答えの半分は、落札前に読める現況調査報告書にもう書いてある。占有者が誰で、いつから住んでいて、賃貸借契約書の提示があったか。執行官が57条で調べ上げた情報が、あなたの明渡しリスクを入札前に教えてくれる。ここを読み飛ばした者だけが、落札後に地雷を踏む
- ある朝、玄関のインターホンが鳴り、執行官と名乗る人物が「この建物の現況調査に来ました」と言う。あなたは賃借人で、大家(債務者)が借金を返せず物件が競売にかかったことすら知らない。執行官はあなたに質問し、賃貸借契約書の提示を求める。ここであなたが何を答え、何を見せるかが、半年後の明渡しであなたの立場を書面で裏付けるか、それとも空手で交渉に臨むかを分ける
- あなたが留守の間に、執行官が鍵屋を連れて閉まった玄関をこじ開け、家の中の写真を撮っていく。違法ではない。57条3項がそれを認めている
- 競売物件を落札し、代金も納めた。だが前の占有者が出て行かない。引渡命令(83条)を申し立てるにも、現況調査報告書に占有者の氏名と占有権原が正確に記載されているかが勝負を分ける。代金納付から6か月という申立ての持ち時間の中で、報告書の一行が武器になるか、やり直しの原因になるか
取るべき行動
被害を受けた側:1. BIT(不動産競売物件情報サイト)で三点セットを入手し、現況調査報告書の占有関係欄を最優先で読む2.『占有者不明』『賃貸借契約書の提示なし』『債務者以外の第三者が居住』の記載は明渡し難航のサイン、入札額を下げるか見送る3. 占有者がいるなら、落札後に引渡命令(民事執行法83条)が使えるか、明渡猶予(民法395条)が付くかを事前に試算4. 不安なら競売に強い弁護士・司法書士に三点セットを見せ、占有リスクを金額に換算してもらう
訴えられた側:1. 執行官の現況調査自体は法律上の権限(57条)なので、立入りや質問を実力で妨害すれば公務執行妨害(刑法95条)のリスク2. ただし虚偽を述べる義務はない、正規の賃貸借契約書と賃料振込記録があれば提示し、占有権原を報告書に正確に記録させる3. 抵当権設定より前からの賃借人か後かで対抗力が全く違う、契約日と登記簿上の抵当権設定日を確認4. 立退料の交渉余地や明渡猶予6か月(民法395条)を見据え、早めに競売専門の弁護士・司法書士へ相談
時効(請求できる期限):現況調査それ自体に消滅時効はない、競売開始決定後に執行裁判所が執行官へ調査を命じることで手続が動き出す。占有者・落札者にとっての実務上の分水嶺は、買受人による引渡命令の申立期間(代金を納付した日から6か月以内、民事執行法83条2項)と、抵当建物使用者の明渡猶予6か月(民法395条、起算点は買受人の代金納付時)。この6か月の使い方で結果が変わる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:57条の立入り・解錠権限は憲法35条の令状主義との緊張をはらむが、目的が現況調査に限定され、執行裁判所の命令に基づき中立的な執行官が行う点で正当化されるとするのが一般的な理解である
実務上の理解:現況調査報告書は調査時点の外形的現況を記録した資料にとどまり、記載の正確性が保証されるものではないため、買受希望者は物件明細書・評価書および現地確認と併せて判断すべきとされる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法の強制執行編と競売法を統合。不動産競売の現況調査を執行官の職務として明文化した
- 2.令和元年(2019年) 改正:第4項・第5項を新設し、市町村が保有する固定資産税関係資料の写しの交付請求と、電気・ガス・水道等の公益事業者への報告請求を認め、調査の実効性を強化した
- 民事執行法 第58条評価人による評価、三点セットの評価書の根拠
- 民事執行法 第62条物件明細書の作成、現況調査報告書を基礎とする
- 民事執行法 第64条売却の方法、調査結果を前提とする換価手続
- 民事執行法 第6条執行官の職務執行の確保、抵抗排除の威力使用
- 民事執行法 第83条引渡命令、落札後の占有者排除手続
- 民法 第395条抵当建物使用者の6か月明渡猶予、占有者保護の実体法(現行効力を要確認)
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