要点民事執行法 169 条は、不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡しを、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す方法で行うと定める。自力救済は許されない。
Q · 貸した物を返してもらえないとき、勝訴判決があれば自分で取りに行っていいの?
だめ。取り上げるのは執行官の仕事
民事執行法 169 条により、不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡しは、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す方法で実現します。勝訴判決があっても自力救済は原則禁止で、勝手に持ち出せば窃盗や住居侵入になりうる。準用される 123 条 2 項で、執行官は住居を捜索し施錠を実力で開ける権限を持ちます。物の引渡しを命じる債務名義に執行文を付し、動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官へ申し立てます。
友人に貸した一眼レフ、リース期間の切れた営業車、貸金庫にしまわれたままの株券。返せと言っても相手が首を縦に振らないとき、あなたに残された手段は何か。判決を握りしめて自分で取りに行く、これは最悪手だ。相手の家に無断で入れば住居侵入、勝手に持ち出せば窃盗になりうる。勝訴判決があっても自力救済は許されない。169条が定めるのは、その物を現実に取り戻す唯一の正規ルートだ。裁判所ではなく執行官が、債務者から直接その動産を取り上げ、あなたに引き渡す。しかも準用される123条2項により、執行官は債務者の住居を捜索し、施錠された金庫やドアを実力で開ける権限を持つ。有価証券、つまり株券や手形も「動産」に含まれ、この方法で取り上げられる。紙の判決を、現実の占有に変換する装置がここにある。
民事執行法 169 条は動産引渡しの強制執行を定める規定であり、不動産等以外の動産(有価証券を含む)について、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法によることを規定する。同条 2 項は 122 条 2 項・123 条 2 項・168 条 5 項から 8 項までを準用し、執行官に捜索および施錠開錠の権限を認める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
不動産以外の動産を、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す強制執行の方法です。民事執行法 169 条が根拠で、有価証券も対象に含まれます。
執行官への申立時に予納金が必要で、事案により数万円程度から。解錠技術者の同行費用等も含みますが、最終的には執行費用として債務者に負担させられます。
対象動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に申し立てます。物の引渡しを命じる債務名義と、書記官から付与された執行文が必要です。
取り上げられます。169 条は有価証券を「動産」に含めるため、株券・手形も執行官による取り上げの対象です。株主名簿の書換えとは別に現物占有を回復します。
対象動産が現場になく執行が空振りに終わった場合に作成される調書です。費用だけかかって物は戻らないため、相手が隠す前の迅速な着手が重要です。
訴訟の前後に占有者を固定しておく保全手続です。これを先に打つと、後で占有者が入れ替わっても引渡執行を続けられます。
物の引渡しを命じる確定判決・和解調書・調停調書などの債務名義、執行文、当事者を特定する資料、対象動産の所在を示す資料などが必要です。
取り返せません。公正証書は金銭の支払にしか債務名義にならず、物の引渡しには使えません。判決・和解調書・調停調書などが必要です。
だめです。日本は自力救済を原則禁止しており、勝訴していても相手の家に無断で入れば住居侵入罪(刑法130条)、勝手に持ち出せば窃盗罪(刑法235条)になりうる。取り上げの実力は169条により執行官だけが持つ。業界裏話ヒント:執行官への申立てには執行文付きの債務名義が必要で、しかも公正証書は「金銭の支払」にしか債務名義にならず、物の引渡しには使えない。ここを知らずに公正証書を握って動く人がつまずく
入れます。169条2項が準用する123条2項により、執行官は債務者の住居等を捜索し、施錠された金庫やドアを必要な限度で実力で開ける権限を持つ。抵抗すれば公務執行妨害になりうる。業界裏話ヒント:執行官は必要に応じて解錠の技術者を同行させる。その費用は債権者がいったん予納するが、最終的に執行費用として債務者に負担させられる。「鍵をかけて籠城すれば逃げ切れる」は通用しない
対象の動産をすでに第三者が占有していると、169条の執行はその相手に対しては空振り(執行不能)になります。だからこそ、訴訟を起こす前や係属中に「占有移転禁止の仮処分」をかけておくのが定石です。業界裏話ヒント:この仮処分を先に打っておくと、その後で占有者が入れ替わっても執行を続けられる。最初にこの布石を打つ人と打たない人で、勝訴後に物が戻るかどうかが分かれる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象 | 民執 169 条:不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡し | — |
| 執行方法 | 執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す | — |
| 執行官の権限 | 123 条 2 項準用で住居の捜索・施錠開錠が可能 | — |
| 覆せる手段 | 第三者異議の訴え(38 条)・請求異議・執行異議 | — |
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