民事執行法 第169条(動産の引渡しの強制執行)
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- 第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。)の引渡しの強制執行は、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法により行う。
- 2.第百二十二条第二項、第百二十三条第二項及び第百六十八条第五項から第八項までの規定は、前項の強制執行について準用する。
この条文の基本情報
動産の引渡しの強制執行とは何ですか?
定義動産の引渡しの強制執行とは、民事執行法第169条に定められた規定で、「第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第169条(動産の引渡しの強制執行)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第169条の条文原文は「第百六十八条第一項に規定する動産以外の動産(有価証券を含む。」で始まります。
- 民事執行法第169条は第二章 強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第169条の前の条は民事執行法第168条の2です。
- 民事執行法第169条の次の条は民事執行法第170条です。
- 民事執行法第169条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第169条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第169条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/169
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法169条は、不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡しを、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す方法で行うと定める。自力救済は許されない。
Q · 貸した物を返してもらえないとき、勝訴判決があれば自分で取りに行っていいの?
だめ。取り上げるのは執行官の仕事
民事執行法169条により、不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡しは、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す方法で実現します。勝訴判決があっても自力救済は原則禁止で、勝手に持ち出せば窃盗や住居侵入になりうる。準用される123条2項で、執行官は住居を捜索し施錠を実力で開ける権限を持ちます。物の引渡しを命じる債務名義に執行文を付し、動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官へ申し立てます。
解説
友人に貸した一眼レフ、リース期間の切れた営業車、貸金庫にしまわれたままの株券。返せと言っても相手が首を縦に振らないとき、あなたに残された手段は何か。判決を握りしめて自分で取りに行く、これは最悪手だ。相手の家に無断で入れば住居侵入、勝手に持ち出せば窃盗になりうる。勝訴判決があっても自力救済は許されない。169条が定めるのは、その物を現実に取り戻す唯一の正規ルートだ。裁判所ではなく執行官が、債務者から直接その動産を取り上げ、あなたに引き渡す。しかも準用される123条2項により、執行官は債務者の住居を捜索し、施錠された金庫やドアを実力で開ける権限を持つ。有価証券、つまり株券や手形も「動産」に含まれ、この方法で取り上げられる。紙の判決を、現実の占有に変換する装置がここにある。
法的な位置づけ
民事執行法169条は動産引渡しの強制執行を定める規定であり、不動産等以外の動産(有価証券を含む)について、執行官が債務者からこれを取り上げて債権者に引き渡す方法によることを規定する。同条2項は122条2項・123条2項・168条5項から8項までを準用し、執行官に捜索および施錠開錠の権限を認める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.物の引渡しを命じる債務名義を用意する 確定判決・和解調書・調停調書など「動産の引渡し」を命じる債務名義を揃える。金銭の支払のみを内容とする公正証書は物の引渡しには使えないため、必ず引渡しを命じる名義かを確認する
- 2.執行文の付与を受ける 債務名義の正本に、裁判所書記官(公正証書は公証人)から執行文の付与を受ける。当事者の承継がある場合は承継執行文が必要になる
- 3.執行官に引渡執行を申し立て、費用を予納する 対象動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に動産引渡執行を申し立て、予納金を納める。解錠技術者の同行が必要な場合はその費用も見込む
- 4.動産の所在を特定し、必要なら仮処分を先に打つ 自宅・事務所・倉庫など動産の在り処を事前調査で特定して執行官に伝え、初回執行での空振りを防ぐ。隠匿や転売の恐れがあれば、申立て前に占有移転禁止の仮処分を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1動産引渡執行とは何ですか?
不動産以外の動産を、執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す強制執行の方法です。民事執行法169条が根拠で、有価証券も対象に含まれます。
Q2動産引渡執行の費用はいくらかかりますか?
執行官への申立時に予納金が必要で、事案により数万円程度から。解錠技術者の同行費用等も含みますが、最終的には執行費用として債務者に負担させられます。
Q3動産引渡執行の申立てはどこにしますか?
対象動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に申し立てます。物の引渡しを命じる債務名義と、書記官から付与された執行文が必要です。
Q4株券や手形も強制執行で取り上げられますか?
取り上げられます。169条は有価証券を「動産」に含めるため、株券・手形も執行官による取り上げの対象です。株主名簿の書換えとは別に現物占有を回復します。
Q5執行不能調書とは何ですか?
対象動産が現場になく執行が空振りに終わった場合に作成される調書です。費用だけかかって物は戻らないため、相手が隠す前の迅速な着手が重要です。
Q6占有移転禁止の仮処分とは何ですか?
訴訟の前後に占有者を固定しておく保全手続です。これを先に打つと、後で占有者が入れ替わっても引渡執行を続けられます。
Q7動産引渡執行に必要な書類は何ですか?
物の引渡しを命じる確定判決・和解調書・調停調書などの債務名義、執行文、当事者を特定する資料、対象動産の所在を示す資料などが必要です。
Q8公正証書があれば動産を取り返せますか?
取り返せません。公正証書は金銭の支払にしか債務名義にならず、物の引渡しには使えません。判決・和解調書・調停調書などが必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1判決で勝ったんだから、自分で取りに行ってもいいですよね?
だめです。日本は自力救済を原則禁止しており、勝訴していても相手の家に無断で入れば住居侵入罪(刑法130条)、勝手に持ち出せば窃盗罪(刑法235条)になりうる。取り上げの実力は169条により執行官だけが持つ。実務のポイント:執行官への申立てには執行文付きの債務名義が必要で、しかも公正証書は「金銭の支払」にしか債務名義にならず、物の引渡しには使えない。ここを知らずに公正証書を握って動く人がつまずく
Q2執行官って、勝手に家の鍵を壊して中に入れるんですか?
入れます。169条2項が準用する123条2項により、執行官は債務者の住居等を捜索し、施錠された金庫やドアを必要な限度で実力で開ける権限を持つ。抵抗すれば公務執行妨害になりうる。実務のポイント:執行官は必要に応じて解錠の技術者を同行させる。その費用は債権者がいったん予納するが、最終的に執行費用として債務者に負担させられる。「鍵をかけて籠城すれば逃げ切れる」は通用しない
Q3相手が「もう他人に売った、貸した」と言ったら、もう取り返せませんか?
対象の動産をすでに第三者が占有していると、169条の執行はその相手に対しては空振り(執行不能)になります。だからこそ、訴訟を起こす前や係属中に「占有移転禁止の仮処分」をかけておくのが定石です。実務のポイント:この仮処分を先に打っておくと、その後で占有者が入れ替わっても執行を続けられる。最初にこの布石を打つ人と打たない人で、勝訴後に物が戻るかどうかが分かれる
間違えやすい点 AI による整理
- 「勝訴判決が出れば、相手は物を返さざるを得なくなる」と思われているが、判決自体には物を動かす力はない。相手が無視すれば、別途「強制執行」の申立てをしない限り、物は永遠に戻ってこない。判決は執行の入場券にすぎない
- 「どうやって自分で取り返すか」を考えている時点で、問いの立て方が間違っている。日本では自力救済が原則禁止で、勝訴していても勝手に持ち出せば犯罪になりうる。正しい問いは「どの執行官に、いつ申し立てるか」だ
- 執行官が来れば必ず物が戻る、と軽く考えている人が多い。実際は、対象の動産が現場になければ執行は空振りに終わり、費用だけかかって「執行不能調書」が残る。相手が隠す前に動く速さこそが成否を分ける、その深刻さを見落としている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 民執169条:不動産以外の動産(有価証券を含む)の引渡し | 民執168条:不動産等の引渡し・明渡し 民執122条:金銭債権実現のための動産差押え |
| 執行方法 | 執行官が債務者から取り上げて債権者に引き渡す | 執行官が債務者の占有を解いて債権者に占有を取得させる 執行官が動産を差し押さえて換価・配当する |
| 執行官の権限 | 123条2項準用で住居の捜索・施錠開錠が可能 | 占有を解くための実力行使が可能 123条2項により捜索・施錠開錠が可能 |
| 覆せる手段 | 第三者異議の訴え(38条)・請求異議・執行異議 | 第三者異議・請求異議・執行異議 第三者異議・配当異議 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も動産の交付執行を執行機関(執行官に相当)が取り上げて債権者に交付する方法で行う点で日本と近い
韓国も動産引渡請求の執行を執行官による取り上げ方式とし、日本の169条とほぼ同じ構造をとる
ドイツは特定動産の引渡しを Gerichtsvollzieher(執行官)が債務者から取り上げて債権者に引き渡す。日本169条の直接の淵源にあたる
米国は動産回復令状により、保安官等が対象動産を占有者から回収する。手続や要件は州法により分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸したブランドバッグを返してもらえないまま、相手が「もう売った」と言い出した。あと数日で本当に転売されたら、取り戻す対象そのものが消える。判決を待っている間に動産が処分されれば、執行官が現場に着いても「執行不能」の調書が一枚残るだけだ
- ある朝、執行官が令状を手に玄関に立ち、リース会社に返していなかったコピー機を持っていくと告げる。あなたが「今は困る」と言っても、執行官は施錠された事務所のドアを開けて機械を運び出せる。抵抗すれば公務執行妨害の問題にもなる
- 会社の株券を元共同経営者が握ったまま返さない場合、どうやって取り返す? 有価証券も169条の「動産」に含まれるため、執行官による取り上げの対象になる。株主名簿の書換えと並行して、現物の占有を回復する必要がある
- 離婚時に「あの絵はお前に渡す」と調停調書に書いたのに、元配偶者が絵を引き渡さない。調停調書は債務名義になる。執行官への申立てで、絵を取り上げてもらえる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 確定判決・和解調書・調停調書など「物の引渡し」を命じる債務名義を用意(金銭のみの公正証書は不可)2. 裁判所書記官から執行文の付与を受ける3. 対象動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に引渡執行を申し立て、費用を予納4. 動産の在り処を具体的に特定して伝える。隠匿の恐れがあれば、申立て前に占有移転禁止の仮処分を検討する
訴えられた側:1. 提示された債務名義と執行文が有効か、対象動産の特定が正しいかを確認2. その動産が実は第三者の所有・占有なら第三者異議の訴え(民事執行法38条)を検討3. 元の請求権が弁済等で消滅しているなら請求異議の訴え4. 執行手続自体の違反には執行異議。ただし正当な債務名義がある物を実力で隠す、移すのは状況を悪化させるだけで避ける
時効(請求できる期限):強制執行の申立て自体に厳密な期限はないが、債務名義となった確定判決で確定した権利の消滅時効は10年(民法169条)。実質的にはそれ以前に、対象動産が処分・隠匿される前の迅速な着手が生死を分ける(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:169条は自力救済の禁止を前提に、動産の引渡請求権を国家機関である執行官の実力によって直接実現する規定と解される。有価証券も動産に含まれ、2項の準用により捜索・施錠開錠の権限が及ぶと理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法・競売法に分散していた強制執行規定を統合・整理。動産引渡しの強制執行を169条として明文化し、122条2項・123条2項等を準用する構造を採用
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