要点民事執行法 170 条は、第三者が占有する物の引渡執行を定める。執行裁判所が債務者の引渡請求権を差し押さえ、その行使を債権者に許す方法で行い、手続は債権執行を準用する。
Q · 勝訴判決で『物を返せ』と決まったのに、その物が相手ではなく別の会社の倉庫にあったら取り戻せる?
はい。第三者への引渡請求権を差し押さえて取り戻せます
民事執行法 170 条により、第三者が目的物を占有し債務者への引渡義務を負う場合、執行裁判所が債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、その行使を債権者に許す命令を発します。債権者は債務者に成り代わり、第三者から直接引渡しを受けられます。動産引渡執行(169 条)は債務者本人が占有する物にしか効かないため、第三者占有の場面ではこの権利差押えルートを使います。手続は債権執行(145 条・147 条・155 条)を準用します。
判決で『あの機械をあなたに引き渡せ』と勝った。ところが相手のもとに現物がない。修理業者に預けたまま、あるいは倉庫会社が保管したまま。ここで多くの人が詰まる。執行官に頼んでも、動産の引渡執行(169条)は債務者が自分で握っている物にしか使えないからだ。第三者の倉庫へ執行官が押し入って持ち出すことはできない。170条はこの袋小路の抜け道だ。執行裁判所は、債務者が第三者に対して持っている『返せ』という請求権そのものを差し押さえ、その行使をあなたに許す。つまりあなたは債務者の立場に成り代わって、第三者へ直接『引き渡せ』と言える立場になる。仕組みは金銭債権の差押え(債権執行)をそっくり借りてくる。物を追う執行から、権利を追う執行へ。着眼点が一段上がる条文だ。
民事執行法 170 条は、第三者占有物の引渡しの強制執行を定める規定である。第三者が目的物を占有し債務者に引き渡す義務を負う場合、執行裁判所が債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、その行使を債権者に許す命令を発する方法により執行を行う。手続は債権執行(145 条以下)の規定を準用する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
第三者が占有する物の引渡しを、債務者の引渡請求権の差押えという方法で実現する規定です。執行裁判所が差押命令を発し、債権者が第三者から直接取り立てます。
債務者が第三者に対して持つ『物を返せ』という請求権そのものを差し押さえ、その行使権を債権者に移す手続です。物ではなく権利を執行対象にします。
169 条の動産引渡執行は債務者本人が占有する物にしか使えません。物が第三者の手にある場合は 170 条の引渡請求権差押えを用います。占有者が誰かで分岐します。
執行裁判所に引渡請求権の差押命令を申し立て、第三者に送達された後、147 条準用の陳述催告で物の有無を確認し、155 条準用で直接取り立てます。
執行裁判所に申し立てます。債権執行の管轄規定が準用され、原則として債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となります。
第三者(第三債務者)に物の有無・保管状態・他の差押えの有無を申告させる手続です。170 条 2 項が 147 条を準用し、取り立てる価値の有無を早期に見極められます。
差押命令送達後に債務者へ物を返すと二重引渡しの責任を負います。取立てに応じない場合は取立訴訟を提起して引渡しを求めることができます。
申立手数料や送達費用のほか、取立てが訴訟に発展すれば弁護士費用が加算されます。取り立てる請求権の中身が空でないかを先に確認するのが費用対効果の要です。
差押命令が届いた以上、原則として元の預け主(債務者)へは渡せません。渡すと差押債権者へもう一度引き渡す二重引渡しの危険があります。170条2項が準用する147条の陳述催告には正確に答え、引渡先は命令の内容と法務局・弁護士への確認で決めてください。業界裏話ヒント:あなた自身の保管料債権や商人間の留置権(商法521条)は、この差押えで消えません。物の引渡しと引き換えに保管料を主張する立場は保てるので、黙って渡す前に自社の債権を必ず洗い出す。
泣き寝入りではありません。債務者が下請け工場に対して持つ返還請求権を、170条で執行裁判所に差し押さえてもらい、あなたがその請求権を行使して工場から直接引渡しを受けられます。動産引渡執行(169条)が空振りでも、別ルートが残っています。業界裏話ヒント:鍵は、工場へ差押命令が届く前に相手が機械を引き取ってしまわないこと。差押えの効力は第三者への送達で生じる(145条準用)ため、それまでに返還されると対象が消える。判決確定と同時に動く速さが結果を分ける。
差し押さえた引渡請求権に中身がなければ、現物の回収はできません。だからこそ170条2項は147条の陳述催告を準用し、第三者に物の有無・状態を早期に申告させる仕組みを置いています。業界裏話ヒント:現物が滅失していれば、別途、債務者が第三者に対して持つ損害賠償請求権を差し押さえる(債権執行)という次善策を検討できる。『物が無い=終わり』ではなく、金銭に化けた権利を追えないか、次の一手まで詰めておく。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 占有者 | 170 条:第三者が目的物を占有(債務者は引渡請求権を保有) | — |
| 執行の対象 | 物ではなく債務者の第三者に対する引渡請求権 | — |
| 執行機関・方法 | 執行裁判所が差押命令を発する(債権執行を準用) | — |
| 取立て・準用条文 | 145 条・147 条・155 条準用、陳述催告と直接取立て | — |
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