民事執行法 第171条(代替執行)
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- 次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。
- 一作為を目的とする債務についての強制執行債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。
- 二不作為を目的とする債務についての強制執行債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすべきこと。
- 2.前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
- 3.執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
- 4.執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、申立てにより、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。
- 5.第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
- 6.第六条第二項の規定は、第一項の規定による決定を執行する場合について準用する。
この条文の基本情報
代替執行とは何ですか?
定義代替執行とは、民事執行法第171条に定められた規定で、「次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第171条(代替執行)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第171条の条文原文は「次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。」で始まります。
- 民事執行法第171条は第二章 強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第171条の前の条は民事執行法第170条です。
- 民事執行法第171条の次の条は民事執行法第172条です。
- 民事執行法第171条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第171条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第171条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/171
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法171条は代替執行を定め、代替的作為債務は債務者の費用で第三者に実施させられる。同条4項の費用前払決定で執行費用を債務者から先取りできる。
Q · 勝訴判決を取ったのに相手が建物を撤去しない。自分で壊すしかないの?
第三者に代わりに実施させ、費用は相手負担にできます
民事執行法171条の代替執行により、建物撤去など第三者でも実現できる義務(代替的作為債務)は、勝訴した債権者が業者に代わりに実施させ、その費用を債務者に負担させられます。さらに同条4項の費用前払決定を申し立てれば、業者への支払いを債務者から先に取り立てられ、自腹での立替えを避けられます。ただし相手にしかできない義務は間接強制(172条)によります。決定前には債務者の審尋(3項)があり、決定には執行抗告(5項)で不服を申し立てられます。
解説
あなたが裁判で勝った。相手の違法建築を撤去せよという判決を手にした。ところが相手は動かない。ここで多くの人が「じゃあ自分で壊すしかないのか、費用も自腹か」と諦める。それが最大の誤解だ。民事執行法171条の代替執行は、相手にしかできないこと以外なら、あなたが解体業者を呼んで壊させ、その費用を相手に負担させる仕組みを用意している。さらに4項の費用前払決定を使えば、業者に払う金を相手から先に取り立てられる。自腹を切って後で回収するのではなく、最初から相手の財布から出させる。裁判所は決定前に相手を審尋するが、それでも相手が拒めるわけではない。勝訴判決という紙を、現実の撤去に変える最後のスイッチがこの条文だ。
法的な位置づけ
民事執行法171条の代替執行とは、代替的作為債務または不作為債務について、執行裁判所の決定により債務者の費用で第三者に当該作為をさせ、または不作為義務違反の結果を除去する強制執行方法をいう。決定前には債務者の審尋を要し、費用前払決定を併せて命じることができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務名義の主文の種類を確認 判決・和解調書等の主文が代替的作為債務か不作為債務か、それとも相手にしかできない不代替的作為債務かを見分ける。不代替なら代替執行ではなく間接強制(172条)に切り替える
- 2.執行文の付与を受ける 債務名義を発した裁判所書記官等に執行文の付与を申請する。執行力ある正本がなければ代替執行の申立てはできない
- 3.執行裁判所に代替執行を申し立てる 33条2項の区分に従った執行裁判所(171条2項)に授権決定を求める申立てを行う。第三者に実施させる範囲と見積費用を具体的に示す
- 4.同時に費用前払決定を申し立てる 171条4項の費用前払決定を併せて申し立て、業者代金を債務者から先に支払わせる。この一項目を忘れると数百万円を自腹で立て替える羽目になる
- 5.授権に基づき第三者に実施させ、超過分を取り立てる 決定が出たら解体・撤去業者等に授権に基づき実施させる。前払額を超える費用が生じたら、財産開示手続等で相手の資産を把握しつつ別途取り立てる
よくある質問 AI による整理
Q1代替執行とは何ですか?
第三者でも実現できる義務について、執行裁判所の決定により債務者の費用で第三者に代わりに実施させる強制執行方法です。民事執行法171条が根拠で、建物収去などが典型例です。
Q2代替執行の申立てはどこにしますか?
執行裁判所に申し立てます。管轄は債務名義の区分に応じて33条2項で定まり(171条2項)、事前に執行文の付与を受ける必要があります。
Q3建物収去の判決に相手が従わないときは?
代替執行を申し立てれば、あなたが選んだ解体業者に撤去させ、費用を相手に負担させられます。費用前払決定を併せて取れば業者代金を先取りできます。
Q4代替執行の執行抗告はいつまでにできますか?
決定の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民事執行法10条2項)。期限を過ぎると決定が確定し、争えなくなります。
Q5代替的作為債務とは何ですか?
債務者本人でなくても第三者が代わって実現できる作為義務です。建物撤去や物の除去が典型で、これに対しては代替執行が使えます。
Q6謝罪広告は強制執行できますか?
できます。最高裁大法廷昭和31年7月4日は、単なる事態の真相告白・陳謝の謝罪広告は代替執行が可能で良心の自由に反しないとしました。
Q7代替執行の費用は最終的に誰が負担しますか?
債務者が負担します。前払分を超える費用が生じた場合も、超過分を別途債務者から取り立てられます。回収には財産開示手続の活用が有効です。
Q8不作為義務違反にも代替執行は使えますか?
使えます。171条1項2号は、債務者の費用で違反行為の結果を除去し、将来のため適当な処分をすべきことを命じる執行を認めています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1代替執行と間接強制って、何が違うんですか?
代替執行(171条)は、第三者に義務を代わりにやらせて費用を債務者に負担させる方法。間接強制(172条)は、履行するまで「1日いくら」の制裁金を課して心理的に追い込む方法です。誰でも代われる義務(建物撤去等)は代替執行、その人にしかできない義務は間接強制が基本。実務のポイント:2003年改正で、代替できる義務でも債権者の選択で間接強制を使えるようになった(173条)。相手に資力があれば制裁金の間接強制の方が早く動くことも多い。弁護士はこの選択を最初に見極める
Q2撤去費用って、結局こっちが先に払うんですよね?
そこが分かれ目です。原則は債権者が業者に払い後で回収ですが、171条4項の費用前払決定を申し立てれば、裁判所が債務者に必要費用の前払いを命じられます。これで自腹を切らずに済む。実務のポイント:この費用前払の申立てを忘れて、数百万円の解体費を立て替える人が実際にいます。相手に資力がなければ立替金が回収不能になるリスクを、前払決定が消してくれる。申立書に必ず一項目加える
Q3相手が費用の前払いにも従わなかったら?
費用前払決定は金銭の支払を命じる債務名義になるので、相手の預金や給与を差し押さえて強制的に取り立てられます。前払いを命じられても払わなければ、通常の金銭執行に移行するだけです。実務のポイント:相手の財産の在りかを事前に把握しておくと執行が速い。財産開示手続(民事執行法196条以降)や第三者からの情報取得手続を使えば、勤務先や預金口座を裁判所経由で調べられる。ここまで準備して初めて執行は実効的になる
Q4ネットに書かれた記事の削除も、代替執行でできますか?
削除を命じる判決があり、それが第三者でも実現できる内容なら、代替執行の対象になりえます。ただし削除がプラットフォーム側の協力を要する場合など、実務上は間接強制を選ぶことも多い。実務のポイント:記事削除は代替執行か間接強制か、実務上、運用が事案により分かれています。サイト管理者が特定でき技術的に第三者削除が可能なら代替執行、そうでなければ制裁金で相手自身に消させる間接強制が現実的。判決を取る前から、どちらの執行に乗せるか設計しておくと後が速い
間違えやすい点 AI による整理
- 「判決さえ取れば、あとは裁判所が勝手に相手を従わせてくれる」と思っている人が多い。違う。代替執行は債権者が別途、執行裁判所に申し立てて初めて動く。判決書を持って待っていても、建物は一日も勝手に壊れない。勝訴と執行は、まったく別の手続だ
- 代替執行そのものは聞いたことがあっても、「費用前払決定」(171条4項)という武器を知る人は少ない。多くの人は「自分が先に業者代金を払って、後で相手から回収する」と思い込む。だが申し立てれば、裁判所は相手に費用の前払いを命じられる。この一手を知るかどうかで、あなたが数百万円を立て替えるかどうかが変わる
- 「相手が拒んでいる以上、無理やりやらせるしかない」という問いの立て方自体がずれている。法は義務を二つに切り分ける。誰でも代われる義務(代替的作為債務)は代替執行、その人にしかできない義務は間接強制(172条)。あなたの判決がどちらの箱に入るかで、使える武器がそもそも違う。相手を「やらせる」のではなく、相手抜きで「結果を作る」のが代替執行だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる義務 | 171条 代替執行:代替的作為債務・不作為債務 | 172条 間接強制:不代替的作為債務が本来型(173条で代替的義務も可) 民法414条:履行の強制全般の実体法上の根拠 |
| 執行の仕組み | 第三者に代わりに実施させ結果を実現する | 履行するまで一定額の制裁金を課し心理的に強制する 強制履行の方法を民事執行法等に委ねる包括規定 |
| 費用・金銭の扱い | 費用は債務者負担、4項の前払決定で先取り可 | 制裁金は債権者に支払われ、間接的に履行を促す 個別執行方法により異なる |
| 選択の可否 | 代替的義務なら間接強制との選択が可能(173条) | 資力があり心理的圧力が効く相手に有効 直接強制・代替執行・間接強制の振り分け原則 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も債務者の費用で第三者に代替履行させる代替執行を認める点で日本と同構造。可代替行為に限られる基本枠組みは共通
韓国も대체집행として、代替的作為義務を債務者の費用で第三者に実施させる制度を持つ。민법 제389조の強制履行規定と接続する
ドイツの代替行為(Ersatzvornahme)が日本の代替執行の源流。費用の前払を命じうる点まで含め日本171条4項と類似。非代替行為は § 888で処理
米国では特定行為を命じる判決に当事者が従わない場合、裁判所が第三者に実施させ費用を不履行者に負担させうる。ただし contempt(法廷侮辱)による間接強制が併用されることも多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 境界を越えて建てられた隣家の物置。裁判で「撤去せよ」の判決を取ったのに、相手は半年放置している。ここで代替執行を申し立てれば、あなたが選んだ解体業者が撤去し、費用は相手持ち。しかも費用前払決定を併せて取れば、業者代金を先に相手から回収できる。自腹ゼロで現実が動く
- もし、あなたが債務者の側で、建物収去の判決を受けたとしたら? ある日、裁判所からの決定書が届く。あなたの建物を第三者が壊すこと、その費用をあなたが前払いすること、両方が命じられている。しかも執行抗告の期限は決定告知から1週間。争うなら、今日動かないと間に合わない
- 名誉毀損の裁判で勝ち、「謝罪広告を掲載せよ」の判決を得た。だが加害者は掲載しない。謝罪広告は代替執行できる(最大判昭和31.7.4)。あなたが新聞社に手配して掲載させ、費用は加害者に負担させられる。良心の自由を理由に拒めない、と最高裁が既に決着をつけている
- 駐車場の入口に毎日車を止めて塞ぐ隣人。「妨害するな」という不作為の判決を取った。だが翌日また止められた。171条1項2号は、不作為義務違反の結果を除去し、将来のため適当な処分をする執行を認める。ブロックの設置などを相手の費用で実現できる
- あと3日で建物の使用を止めなければ違約金が膨らむ契約。相手業者が撤去義務を果たさない。代替執行は裁判所の決定を待つ時間がかかるが、間接強制と併用する選択肢(173条)もある。どちらが速く効くか、申立ての段階で戦略が決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 手元の債務名義(判決・和解調書等)の主文が代替的作為債務か不作為債務かを確認。相手にしかできない義務なら間接強制(172条)に切り替える2. 執行文の付与を受け、執行裁判所(171条2項、33条2項)に代替執行を申し立てる3. 同時に費用前払決定(171条4項)を申し立て、業者代金を相手から先取りする4. 決定が出たら第三者(解体・撤去業者等)に授権に基づき実施させ、超過費用があれば別途取り立てる
訴えられた側:1. 執行裁判所から審尋(171条3項)の機会が与えられるので、義務の範囲・履行済みの反論・費用見積もりの過大を具体的資料で主張2. 決定に不服なら告知から1週間以内に執行抗告(171条5項)。期限厳守、過ぎれば確定3. 費用前払決定が過大なら金額を争う4. 任意に履行した方が費用が安いケースは多い、自ら業者を手配して先に果たす選択も検討
時効(請求できる期限):代替執行の申立て自体に固有の時効はないが、前提となる債務名義上の請求権が時効消滅すれば執行できない(確定判決で確定した権利は民法169条により10年)。執行抗告は決定の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事執行法10条2項)
学説
通説:171条の代替執行は、義務が代替的作為債務または不作為債務であることを前提とし、執行裁判所の授権決定により第三者が債務者の費用で結果を実現する。相手にしかできない不代替的作為債務には及ばず、その場合は間接強制(172条)による。2003年改正後は代替的義務でも債権者の選択で間接強制を用いうる(173条)。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法の執行規定から代替執行の規律を本条に移管。作為債務・不作為債務それぞれの執行方法と費用前払決定を整理
- 2.平成15年(2003年) 改正:173条を整備し、代替的作為債務についても債権者の選択で間接強制を利用できることを明確化。代替執行との使い分けの柔軟性が高まった
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