民事執行法 第123条(債務者の占有する動産の差押え)
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- 債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。
- 2.執行官は、前項の差押えをするに際し、債務者の住居その他債務者の占有する場所に立ち入り、その場所において、又は債務者の占有する金庫その他の容器について目的物を捜索することができる。この場合において、必要があるときは、閉鎖した戸及び金庫その他の容器を開くため必要な処分をすることができる。
- 3.執行官は、相当であると認めるときは、債務者に差し押さえた動産(以下「差押物」という。)を保管させることができる。この場合においては、差押えは、差押物について封印その他の方法で差押えの表示をしたときに限り、その効力を有する。
- 4.執行官は、前項の規定により債務者に差押物を保管させる場合において、相当であると認めるときは、その使用を許可することができる。
- 5.執行官は、必要があると認めるときは、第三項の規定により債務者に保管させた差押物を自ら保管し、又は前項の規定による許可を取り消すことができる。
この条文の基本情報
債務者の占有する動産の差押えとは何ですか?
定義債務者の占有する動産の差押えとは、民事執行法第123条に定められた規定で、「債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第123条(債務者の占有する動産の差押え)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第123条の条文原文は「債務者の占有する動産の差押えは、執行官がその動産を占有して行う。」で始まります。
- 民事執行法第123条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第123条の前の条は民事執行法第122条です。
- 民事執行法第123条の次の条は民事執行法第124条です。
- 民事執行法第123条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第123条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第123条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/123
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法123条は、債務者が占有する動産の差押えを執行官が占有して行うと定める。住居や金庫の捜索・解錠も認められるが、現金66万円と生活必需品は差押禁止(131条)である。
Q · 執行官が家に来たら、金庫やタンスまで勝手に開けられるんですか?
はい。ただし現金66万円と生活必需品は差し押さえられません。
民事執行法123条により、債務者が占有する動産の差押えは執行官がその動産を占有して行います。執行官は住居や金庫を捜索し、必要なら閉じた戸や金庫を開くこともできます(2項)。ただし現金66万円と、標準的な生活に必要な家具・家電・衣類・一か月分の食料は差押禁止(131条)で対象外です。さらに相当と認めれば差押物を債務者に保管させ、その使用を許可できます(3〜4項)。
解説
玄関のチャイムが鳴り、「執行官です」と名乗る人物が立っている。この瞬間、多くの人は頭が真っ白になる。だが民事執行法123条を知っていれば、話は違う。執行官はあなたの住居に立ち入り、閉めた金庫やタンスをこじ開け、中の動産を差し押さえる強い権限を持つ。裁判所の令状を新たに取る必要すらない。債務名義(確定判決や公正証書など、取り立ての法的根拠となる文書)が、その令状の役割を果たすからだ。しかし権限には裏側がある。同じ法律の131条は、差し押さえてはならない動産を列挙している。標準的な世帯の生活に必要な家具・家電、一か月分の食料、そして現金66万円までは、執行官も手を出せない。さらに123条3項以下は、差し押さえた物をあなた自身に保管させ、使用まで許可できると定める。冷蔵庫に赤い札が貼られても、あなたはそれを使い続けられる場合がある。パニックになる人と、その場で線を引いて交渉できる人の差は、この条文を知っているかどうかだ。
法的な位置づけ
民事執行法123条は動産執行の方法を定める規定であり、債務者が占有する動産の差押えを、執行官がその動産を占有して行うものとする。執行官には住居等への立ち入り・捜索・解錠の権限が認められ、相当と認めるときは差押物を債務者に保管させ、その使用を許可できる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務名義に執行文の付与を受ける 確定判決・和解調書・公正証書などの債務名義に、強制執行が可能である旨の執行文を付与してもらう。あわせて相手方への送達証明書も取得する
- 2.執行官に動産執行を申し立てる 債務者の住所地を管轄する地方裁判所の執行官に対し、動産執行の申立てを行う。差押えの見込みがある高額動産の所在を把握して申立てに反映し、予納金を納める
- 3.執行官の臨場・差押えに立ち会う 執行官が債務者の住居に臨場し、住居の立ち入り・捜索・解錠を行って動産を差し押さえる(123条2項)。現金66万円と生活必需品は差押禁止(131条)と割り切り、換価価値のある物に狙いを絞る
- 4.差押物の売却(競売・入札)を経て配当を受ける 差し押さえた動産を競売または入札で換価する。中古家財は値が付きにくいため、宝飾品・美術品・事業用機器など高額動産を優先する。売却見込みがなければ債権執行への切り替えを早めに判断する
よくある質問 AI による整理
Q1動産執行とは何ですか?
債務者の家財・宝飾品・事業用機器などの動産を、執行官が占有して差し押さえ、換価して債権を回収する強制執行の一種です(民事執行法123条)。
Q2差押禁止動産とは何ですか?
標準的な世帯の生活に不可欠な家具・家電・衣類、一か月分の食料、現金66万円などで、131条により差し押さえが禁止されている動産です。
Q3執行官はいくらまで現金を差し押さえられますか?
現金66万円までは差押禁止(131条・民事執行法施行令)で対象外です。これを超える現金は差し押さえの対象になり得ます。
Q4動産執行は予告なしに来ますか?
動産執行は原則として事前予告なく執行官が臨場します。ただし実務上は開扉のため事前に日程調整の連絡が入ることもあります。
Q5差押えの赤い札とは何ですか?
差押物を債務者に保管させる場合に付す封印・差押えの表示(123条3項)です。この表示があってはじめて差押えの効力が生じます。
Q6動産執行の費用はいくらかかりますか?
執行官への予納金として数万円程度が必要です。売却費用等は差押物の売得金から充当され、回収額から差し引かれます。
Q7家族の物も差し押さえられますか?
対象は債務者が占有する動産です。家族名義でも占有の外形で対象化されうるため、購入時の領収書やレシートで所有を立証します(124条)。
Q8動産執行と債権執行の違いは何ですか?
動産執行は家財・機器などを差し押さえ、債権執行は給与や預金を差し押さえます。回収の確実性は一般に債権執行の方が高いとされます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1執行官が来たら、テレビも冷蔵庫も全部持っていかれるんですか?
全部ではありません。民事執行法131条が差押禁止動産を定めており、標準的な世帯の生活に不可欠な家具・家電・衣類、一か月分の食料、現金66万円は対象外です。テレビや冷蔵庫が一台なら通常は差押禁止です。実務のポイント:執行官は換価価値と手間を天秤にかけます。中古家財は競売してもほぼ値が付かず、高額品がなければ「差し押さえるべき物なし(執行不能)」で引き揚げるのが実務。慌てて対策に大金を払う前に、そもそも取られる物があるかを冷静に見極める
Q2差し押さえられた冷蔵庫、使ったら罪になりますか?
執行官の使用許可(123条4項)があれば適法に使えます。生活用・営業用の動産は債務者に保管させ(3項)、使用を許可するのが通常の運用です。ただし許可なく処分・隠匿すると封印等破棄罪(刑法96条)に問われます。実務のポイント:赤い札(差押えの表示)が貼られた物でも、その場で執行官に口頭で使用許可を求められることは意外と知られていません。生活や営業が止まらないよう、遠慮せずその場で申し出るのが正解です
Q3執行官が来る前に、大事な物を友人に預けておけばいいですか?
絶対にやめてください。差押えを免れる目的で財産を隠匿・移転すると、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)に問われ、3年以下の拘禁刑または250万円以下の罰金の対象です(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:執行官は捜索権(123条2項)で金庫やタンスの中まで開けられます。隠したつもりの物が見つかれば、刑事責任に加えて悪質と見られ、交渉も一気に不利になる。隠すより、差押禁止の範囲を主張する方が、結局は守れる財産が多い
間違えやすい点 AI による整理
- 差押禁止動産があること自体は知っていても、その範囲の狭さを知る人は少ない。131条が守るのは「標準的な世帯の生活」に必要な最低限だけ。高級腕時計、二台目の車、趣味のコレクションは容赦なく対象になる。テレビも一家に複数あれば、一台を残して差し押さえられうる。「生活必需品は守られる」という安心が、深刻さの見誤りを生む
- 「差し押さえられたら家財を全部トラックで運び出される」と思われがちだが、実際に執行官がその場で搬出することは多くない。大半は債務者にそのまま保管させ(123条3項)、赤い札で差押えを表示するだけだ。運び出しの手間とコストに見合う高額動産がなければ、「差し押さえるべき物なし」で引き揚げることも珍しくない
- 「執行官は無理やり家に押し入る違法な取り立て屋」と身構える人がいるが、問いの立て方が逆さまだ。執行官は裁判所の職員で、その立ち入り・捜索・解錠は123条2項が明文で認めた適法行為。実力で抵抗すれば、逆にあなたが公務執行妨害に問われる。戦うべき相手と土俵を、最初から取り違えている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象動産 | 123条:債務者が占有する動産 | 124条:第三者が占有する動産(提出を拒まない場合) 131条:差押禁止動産(対象外) |
| 執行官の権限 | 住居立入り・捜索・解錠が可能(2項) | 第三者占有は提出を待つ、強制捜索は原則不可 ―(そもそも差押え不可) |
| 保管・使用 | 債務者に保管・使用許可が可能(3〜4項) | 占有する第三者による保管が原則 ― |
| 制度の狙い | 強制執行の実効性を確保 | 第三者の権利・占有を尊重 現金66万円・生活必需品による生活基盤を保護 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行官が動産を査封する方式。第52条で生活必需の動産を差押禁止とする点も日本と共通する
韓国も執行官が有体動産を占有して差し押さえる。生計に必要な動産の差押禁止(제195조)も日本と類似する
ドイツは Gerichtsvollzieher が動産を差し押さえ、日本の執行官制度の母法にあたる。§ 811で差押禁止物を列挙する
米国は sheriff が令状に基づき動産を levy する。連邦は Fed. R. Civ. P. 69で州法に依拠し、exemption も州ごとに異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸した200万円が返ってこず、確定判決も取った。だが相手は「財産なんて何もない」と開き直る。本当に何もないのか? 執行官に動産執行を申し立てれば、相手の自宅に立ち入り、金庫やタンスの中まで捜索できる(123条2項)。ただし現金66万円と生活必需品は差押禁止(131条)、そこは取れない。狙うのは宝飾品や事業用機器だ
- あなたの店が資金繰りに詰まり、取引先が判決を取って執行官がやってきた。厨房機器に次々と赤い札が貼られていく。だが123条4項を持ち出せば、営業に使う機器の使用許可を求められる。差し押さえられても、店を回しながら分割弁済の交渉に持ち込める余地がある
- 「明日、執行官が伺います」。相手方弁護士からの通知。残された時間は一晩。ここで現金を隠したり動産を運び出せば、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)に問われる。慌てて動くのが最悪手だ
- 同居する家族が借金で執行を受けた。執行官が来て、あなた名義のノートパソコンまで差し押さえようとする。債務者以外の者が所有する物は本来対象外だが(124条)、その場の占有の外形で債務者の物と扱われかねない。購入時の領収書やレシートが、あなたの財産を守る盾になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 確定判決・公正証書などの債務名義に執行文を付し、動産執行を執行官に申し立てる2. 差押えの見込みがある高額動産(宝飾品、美術品、事業用機器、高級家電)の所在を事前に把握し、申立てに反映する3. 現金66万円・生活必需品は差押禁止(131条)と割り切り、換価価値のある物に狙いを絞る4. 動産に見るべき物がなければ、給与や預金を狙う債権執行への切り替えを早めに判断する
訴えられた側:1. 執行官の立ち入り・捜索・解錠は123条2項の適法行為、実力での抵抗は公務執行妨害になるので冷静に応対する2. 差押禁止動産(131条)に当たる物はその場で具体的に主張、生活必需品と現金66万円の線を示す3. 生活用・営業用の物は保管・使用許可(123条3〜4項)を求め、生活と商売を止めない4. 財産の隠匿・搬出は強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)のリスク、絶対にやらない。並行して分割弁済の和解交渉を進める
時効(請求できる期限):動産執行の申立て自体に固定の期限はないが、判決で確定した債権の消滅時効は10年(民法169条)、これを過ぎると債務名義があっても執行できなくなる。差押え後、売却の見込みがない場合、執行官は差押えを取り消せる(民事執行法130条)
学説
通説:123条の住居立入り・捜索・解錠および差押物の保管・使用許可は執行官の裁量(「相当と認めるとき」)に委ねられ、強制執行の実効性と債務者の生活保護を個別事情に応じて調整するものと解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法制定(法律第4号)。旧民事訴訟法の強制執行編を独立させ、動産執行の方法・執行官の捜索権・差押物の保管使用を体系化
- 民事執行法 第122条動産執行の開始(差押えによる開始)
- 民事執行法 第124条債務者以外の者が占有する動産の差押えの区別
- 民事執行法 第128条超過差押えの禁止、差押えの範囲の制限
- 民事執行法 第130条売却の見込みのない差押物の差押えの取消し
- 民事執行法 第131条差し押さえてはならない差押禁止動産の範囲
- 民事執行法 第132条差押禁止動産の範囲の裁量的変更
- 民事保全法 第49条仮差押えの執行に動産差押え手続を準用
- 国税徴収法 第56条滞納処分による動産差押えの特則(行政の自力執行)
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