民事執行法 第180条(不動産担保権の実行の方法)
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- 不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第四十三条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。以下この章において同じ。)を目的とする担保権(以下この章において「不動産担保権」という。)の実行は、次に掲げる方法であつて債権者が選択したものにより行う。
- 一担保不動産競売(競売による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法
- 二担保不動産収益執行(不動産から生ずる収益を被担保債権の弁済に充てる方法による不動産担保権の実行をいう。以下この章において同じ。)の方法
この条文の基本情報
不動産担保権の実行の方法とは何ですか?
定義不動産担保権の実行の方法とは、民事執行法第180条に定められた規定で、「不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第四十三条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第180条(不動産担保権の実行の方法)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第180条の条文原文は「不動産(登記することができない土地の定着物を除き、第四十三条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。」で始まります。
- 民事執行法第180条は第三章に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第180条の前の条は民事執行法第178〜179条です。
- 民事執行法第180条の次の条は民事執行法第181条です。
- 民事執行法第180条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第180条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第180条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/180
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法180条は、不動産担保権の実行方法として担保不動産競売と担保不動産収益執行を定め、債権者がいずれかを選択できる。両方式の併用も認められる。
Q · ローンが返せなくなったら、抵当に入れたマンションは必ず競売で売られてしまうの?
いいえ、売らずに家賃を回収する収益執行も選べます
民事執行法180条により、不動産担保権の実行方法は担保不動産競売だけではありません。債権者は、建物を売却して代金から回収する競売と、売却せずに賃料等の収益を裁判所選任の管理人が集めて弁済に充てる担保不動産収益執行の、二つの方式から選択できます。両方を同時に申し立てることも可能です。抵当割れが見込まれる物件では、売り急がず収益執行で家賃を回収し続ける選択がとられることもあります。
解説
銀行から融資を受けてマンションを一棟買った。返済が滞ったとき、あなたが恐れているのは「競売にかけられて建物を失うこと」だろう。だが民事執行法180条を読むと、抵当権者の手札はそれ一枚ではない。この条文は不動産担保権の実行方法を二つ並べている。一つは担保不動産競売、建物ごと売り払って代金から回収する昔ながらの方法。もう一つが担保不動産収益執行、建物を売らずに、そこから生まれる家賃を裁判所が選んだ管理人が集めて債権者に渡し続ける方法だ。しかも選ぶのは債権者。市況が悪くて競売しても二束三文なら、売らずに家賃だけ吸い上げる道を選べるし、両方を同時に走らせることもできる。あなたが入居者から受け取っていたはずの家賃が、ある日を境に管理人の口座へ流れ込む。建物は名義上あなたのものでも、キャッシュフローだけが先に止まる。
法的な位置づけ
民事執行法180条は不動産担保権の実行方法を定める規定であり、抵当権等の担保権者が担保不動産競売と担保不動産収益執行の二方式から選択して実行できる旨を規律する。競売は目的不動産の換価により、収益執行は賃料等の収益の収取により、それぞれ被担保債権の回収を図る手続として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象不動産が収益物件かを見極める 担保権を実行する前に、対象不動産が賃貸中のアパート・ビル等の収益物件か空き家かを確認する。空き家なら競売、賃料収入があるなら収益執行または両者の併用を検討する
- 2.抵当割れ物件は収益執行を軸に組む 競売しても残債に届かない抵当割れが見込まれる場合、売り急がず担保不動産収益執行で家賃を回収しながら市況回復や完済を待つ。競売と収益執行の同時申立ても検討する
- 3.法定添付文書を揃えて申し立てる 民事執行法181条に基づき、担保権の存在を証する法定文書(登記事項証明書等)を準備して管轄裁判所に申立書を提出する。担保権実行の開始要件を満たすことが前提となる
- 4.管理人選任後のコストを織り込む 収益執行では管理人が賃料を直接収取するが、管理人報酬・管理費が収益から差し引かれる。この目減りを回収計画に織り込み、収益の乏しい物件では収益執行を避ける判断もあり得る
よくある質問 AI による整理
Q1担保不動産収益執行とは何ですか?
抵当不動産を売却せず、賃料等の収益を裁判所選任の管理人が収取して被担保債権の弁済に充てる担保権実行方法です。民事執行法180条2号が定め、2004年に新設されました。
Q2担保不動産競売と収益執行の違いは?
競売は建物を売却して代金から一括回収する方法、収益執行は売却せず家賃を継続的に回収する方法です。競売は換価型、収益執行は収益型で、債権者がどちらかを選べます。
Q3抵当権の実行にはどんな方法がありますか?
民事執行法180条により、担保不動産競売と担保不動産収益執行の二つがあります。加えて民法372条・304条の物上代位による賃料差押えという実体法上の手段もあります。
Q4収益執行の管理人は誰が選ぶのですか?
裁判所が選任します。弁護士や不動産業者が選ばれることが多く、その報酬や管理費は物件の収益から差し引かれるため、実際の弁済額はその分目減りします。
Q5収益執行の申立てに必要な書類は?
民事執行法181条により、担保権の存在を証する法定文書が必要です。登記事項証明書など、抵当権の存在を証明する書面を準備して裁判所に提出します。
Q6抵当権の実行に時効はありますか?
実行の申立て自体に出訴期間はありません。ただし被担保債権が消滅時効(民法166条、原則5年または10年)で消滅すると、抵当権も付従性で消滅し実行できなくなります。
Q7収益執行と物上代位はどちらが有利ですか?
物上代位(民法372・304条)は賃料差押えのみで手軽ですが管理はできません。収益執行は手続が重い反面、管理人が物件全体を管理下に置けます。案件規模で使い分けます。
Q8収益執行が始まると賃料はいつから止まりますか?
開始決定が債務者に送達されると以後の賃料処分が禁じられ、管理人が入居者に通知した時点から賃料は管理人の口座へ移ります。数日単位で手元収入が止まります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1収益執行って、要するに大家の仕事を取り上げられるってことですか?
近いです。裁判所が管理人を選任し、その管理人が賃料の取立てや物件の管理を引き継ぎます(民事執行法180条、188条による強制管理規定の準用)。所有権はあなたに残りますが、収益の支配権は管理人へ移る。実務のポイント:管理人には弁護士や不動産業者が選ばれ、その報酬は物件の収益から差し引かれます。つまり家賃の一部は返済ではなく管理コストに消える。債権者側もこの目減りを嫌い、収益の乏しい物件では収益執行を避ける傾向がある
Q2銀行が競売と収益執行、両方いっぺんにやってくることはありますか?
あります。180条は債権者がどちらか一方を「選択」すると書きますが、実務では両方を並行して申し立てることが認められています。競売で売却しつつ、売れるまでの賃料も収益執行で回収する。実務のポイント:かつて抵当権者は民法372条・304条の物上代位で賃料を差し押さえていましたが、2004年に収益執行制度ができて選択肢が増えた。物上代位は手軽だが管理まではできない、収益執行は重いが物件全体を管理下に置ける。案件の規模でプロは使い分ける
Q3借りてる部屋の管理人から家賃を払えと言われました。無視したらどうなりますか?
無視できません。収益執行の開始後は賃料の支払先が管理人に移り、あなたが元の大家に払っても弁済と認められない恐れがあります(民事執行法180条以下)。二重払いになりかねない。実務のポイント:通知が来たら、まず開始決定の正本や管理人選任の裏付けを確認する。稀に大家を装った詐欺もあるため、裁判所の事件番号を照会すれば本物か確かめられる。正規の通知なら、以後は管理人に払うのが安全
間違えやすい点 AI による整理
- 多くの人は「抵当権が実行される=建物が競売で売られる」と問いを立てる。だがその問い自体が2004年で古くなった。今の債権者は、建物を一切売らずに家賃だけを吸い上げる収益執行を選べる。「どうすれば競売を止められるか」ではなく「家賃の流れをどう守るか」が本当の問いだ
- 収益執行という制度の存在は知っていても、その破壊力を見誤っている人が多い。管理人が選任されると、入居者はあなたにではなく管理人に家賃を払う。つまりあなたの手元には一円も入らないまま返済だけが続く。建物の所有名義は残っているのに、経済的にはすでに手放したのと変わらない状態になる
- あなたから見れば「まだ建物は自分のもの」だが、収益執行が始まれば法的にはその収益はすべて被担保債権の弁済に充てられる。所有権と収益権が切り離されるこの落差を知らないと、家賃がゼロなのに固定資産税だけ払い続ける袋小路に落ちる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 回収の仕組み | 担保不動産収益執行(180条2号):売却せず賃料等を管理人が収取して弁済 | 担保不動産競売(180条1号):不動産を売却し代金から一括回収 物上代位(民法372・304条):賃料債権を差し押さえて回収 |
| 所有権への影響 | 所有名義は債務者に残るが収益支配権が管理人へ移る | 売却により所有権が買受人へ移転する 所有権は残り、対象は特定の賃料債権のみ |
| 物件の管理 | 管理人が物件全体を管理下に置く | 売却まで債務者が管理(買受後は買受人) 管理はできず賃料回収のみ |
| 向いている局面 | 抵当割れ・市況低迷で売り急ぎたくない収益物件 | 換価が有利、または空き家で収益がない物件 手軽に賃料だけ押さえたい小規模案件 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は抵当物の拍賣(民法873条・強制執行法)に加え、強制管理により収益から弁済する制度を持ち、日本の収益執行と機能的に対応する
韓国は担保権実行のための競売手続を民事執行法に規定。収益収取型の実行は日本ほど独立した制度としては発達していない
ドイツは強制競売(Zwangsversteigerung)と強制管理(Zwangsverwaltung)を並置し、日本の収益執行はこの強制管理の発想を継受したとされる
米国はモーゲージのforeclosureが州法で規律され、収益収取はreceiver(管財人)選任により実現。州ごとに司法的・非司法的手続が分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが一棟マンションのオーナーで、ローン返済が三か月滞った。銀行は競売ではなく収益執行を申し立てた。ある朝、裁判所が選んだ管理人から入居者全員に「今後の家賃は当方の口座へ」という通知が届く。あなたの口座に入るはずだった月120万円が、翌月からゼロになる。建物はまだ売られていないのに、である
- もし競売にかけても抵当割れ(売却額が残債に届かないこと)になりそうな物件だったら、債権者はどう動く? 答えは収益執行。売らずに家賃を回収し続け、市況の回復か完済を待つ。あなたが「競売さえ止めれば逃げ切れる」と考えているなら、その前提そのものが崩れる
- 賃貸マンションに住むあなたのもとに、見知らぬ管理人から「家賃の振込先が変わりました」という通知が来た。大家が変わったわけではない。あなたの大家が返済に行き詰まり、収益執行が始まった合図だ
- 収益執行の開始決定が債務者に送達されると、以後の賃料の処分は禁じられる。あなたに残された猶予は数日。管理人が入居者へ通知を送る前に借換えや任意売却を動かせるか、送られた後かで、立て直しの難易度が跳ね上がる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 抵当権を実行する前に、対象不動産が収益物件(賃貸中のアパート・ビル)かを確認。空き家なら競売、賃料収入があるなら収益執行の併用を検討2. 収益執行は競売と同時申立てが可能、抵当割れしそうな物件は売り急がず家賃を回収しつつ待つ3. 申立てには担保権の存在を証する法定文書が必要(民事執行法181条)、登記事項証明書等を準備4. 管理人選任後は賃料が直接入るが、管理人報酬・管理費が収益から差し引かれる点をコスト計算に入れる
訴えられた側:1. 収益執行の開始決定が届いたら、以後の賃料処分は禁じられる。入居者への通知前なら借換え・任意売却の交渉余地がまだ残る、動くなら即日2. 被担保債権額に争いがあれば執行異議・請求異議で対抗3. 「競売だけ」と思い込まず、収益執行が併用されていないか開始決定書を精読4. 事業や生活の継続が危ういなら、民事再生など倒産手続で全体を組み替える選択肢を弁護士と検討
時効(請求できる期限):担保不動産競売・収益執行の申立て自体に出訴期間の定めはない。ただし被担保債権が消滅時効(民法166条、原則として権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)にかかり抵当権が付従性で消滅すると実行できなくなる。開始決定に不服なら執行異議はこれを知った後、遅滞なく申し立てる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:民事執行法180条は文言上、債権者がいずれか一方を『選択』する構造をとるが、実務・通説はいずれか一方に限定されず、担保不動産競売と担保不動産収益執行の併用申立てを認める。市況に応じて換価と収益収取を組み合わせる回収戦略が可能とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)公布、平成16年(2004年)4月1日施行 担保・執行法制の改正により、従来の担保不動産競売に加えて担保不動産収益執行の方法を新設。債権者が両方式から選択できる現在の二本立て構造が確立した
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧競売法・旧民事訴訟法に分散していた不動産担保権実行が統合され、担保権実行手続の基本構造が整備された
- 2.平成15年(2003年)公布・平成16年(2004年)施行 改正:担保・執行法制の改正により担保不動産収益執行を新設。従来の担保不動産競売に加え、収益を収取して弁済に充てる方式を導入し、債権者が両方式から選択できる現行の二本立て構造が確立した
- 民事執行法 第181条担保権実行の開始要件と法定添付文書
- 民事執行法 第188条収益執行への強制管理規定の準用
- 民事執行法 第43条本条が準用するみなし不動産の定義(現行効力を要確認)
- 民事執行法 第194条担保権実行への強制執行規定の準用
- 民法 第369条抵当権の内容、実行の実体的根拠となる特別法(実体法)
- 民法 第371条抵当権の効力が及ぶ賃料等収益、収益執行の実体的基礎
- 民法 第304条物上代位、収益執行に代わる賃料回収手段(372条で準用)
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