民事執行法 第189条(船舶の競売)
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前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。この場合において、第百十五条第三項中「執行力のある債務名義の正本を提示し、かつ、同項に規定する事由を疎明しなければ」とあるのは「同項に規定する事由を疎明し、かつ、担保権の登記(仮登記を除く。)がされている場合を除き、第百八十九条において準用する第百八十一条第一項(第一号を除く。)、第二項若しくは第三項の規定により提出すべき文書を提示し、又はこれらの規定により提出すべき電磁的記録を提出しなければ」と、第百八十一条第一項第二号ハ中「一般の先取特権」とあるのは「先取特権」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
船舶の競売とは何ですか?
定義船舶の競売とは、民事執行法第189条に定められた規定で、「前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第189条(船舶の競売)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第189条の条文原文は「前章第二節第二款及び第百八十一条から第百八十四条までの規定は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売について準用する。」で始まります。
- 民事執行法第189条は第三章に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第189条の前の条は民事執行法第188条です。
- 民事執行法第189条の次の条は民事執行法第190条です。
- 民事執行法第189条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
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- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第189条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第189条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/189
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法189条は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売に、船舶執行と担保権実行の規定を準用する。担保権の登記があれば申立時の提出書類が軽減される。
Q · 給料が未払いのまま船会社が行き詰まったら、その船を競売にかけられますか?
はい、船そのものを競売にかけて回収できます
民事執行法189条により、船舶を目的とする担保権(船舶抵当権や船舶先取特権)は、担保権の実行としての競売によって実現できます。勝訴判決などの債務名義は不要で、準用される181条に従い、担保権の登記に関する書類または担保権の存在を証明する文書等を提出すれば手続を開始できます。さらに準用される115条により、裁判所が船舶国籍証書等を取り上げ、船を出港させない措置を取ることも可能です。
解説
外国航路の貨物船に半年乗り組んだのに給料が未払いのまま、船会社が資金繰りに行き詰まった。あなたに残された手は、泣き寝入りではない。その船そのものを競売にかけ、売却代金から給料を回収できる。民事執行法189条は、船を目的とする担保権(銀行がつける船舶抵当権や、船員給料・救助料に自動発生する船舶先取特権)を実行するための競売手続を定める。陸の不動産を抵当競売するのと同じ発想を、海に浮かぶ船に持ち込む条文だ。鍵は登記の有無にある。抵当権のように登記があれば提出書類が大幅に軽くなり、登記のない先取特権は、その存在を証明する文書を自分で用意しないと手続が始まらない。さらに船舶執行では、裁判所が船舶国籍証書を取り上げ、船を出港させない措置まで取れる。逃げる船を港に縛りつける、それがこの手続の隠れた威力だ。
法的な位置づけ
民事執行法189条は、船舶を目的とする担保権の実行としての競売に関する準用規定である。船舶に対する強制執行の規定(前章第二節第二款)および担保権実行の開始要件等を定める181条から184条までを準用し、115条3項については、執行力のある債務名義の正本の提示に代えて、担保権の登記または担保権の存在を証明する文書等の提示を求める読替えを行う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の担保権の種類を確定する 船舶抵当権(登記あり)か、船員の雇用契約に基づく債権・救助料などから生じる船舶先取特権(登記なし)かを確定する。189条が準用する181条により、登記があれば登記事項証明書等、なければ担保権の存在を証明する文書等が必要になる
- 2.対象船舶の現在地と出港予定を特定する 船が今どの港に停泊しているか、次の出港予定はいつかを至急確認する。189条が準用する船舶執行の規定では、船舶の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となるため、所在地の特定が申立先の決定に直結する
- 3.船舶国籍証書等の取上げを同時に求める 競売の申立てと同時に、189条が準用する115条に基づき船舶国籍証書等の取上げを求める。読替え後の115条3項により、担保権の登記があるときは提示書類が軽減され、登記がないときは181条各項により提出すべき文書の提示等が必要となる
- 4.執行裁判所へ担保権実行としての競売を申し立てる 船舶の所在地を管轄する地方裁判所に、担保権の実行としての競売を申し立てる。債務名義(勝訴判決)は不要で、189条が準用する181条の開始文書があれば手続を開始できる
- 5.開始決定後の不服・停止の動きに備える 開始決定に対しては189条が準用する182条により執行異議が、183条により手続の停止・取消しが問題となりうる。相手方から担保権の不存在を主張されうる点を想定し、証拠を厚くしておく
- 6.売却・代金納付・配当まで見届ける 売却が実施され買受人が代金を納付すると、189条が準用する184条により買受人は船舶を取得する。配当では船舶先取特権が船舶抵当権に優先する順位関係が結果を左右するため、自らの順位を確認しておく
よくある質問 AI による整理
Q1船舶競売とは何ですか?
船舶を目的とする担保権(船舶抵当権・船舶先取特権)を実行し、船を売却して代金から弁済を受ける手続です。民事執行法189条が準用の枠組みを定めています。
Q2船の競売はどこの裁判所に申し立てますか?
189条が準用する船舶執行の規定により、船舶の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となります。船が今どの港にいるかで申立先が変わります。
Q3船舶国籍証書の取上げとは何ですか?
裁判所が船舶国籍証書等を取り上げ、船を法的に出港できなくする措置です。189条が準用する115条に基づき、担保の対象が海外へ消えるのを防ぎます。
Q4船舶抵当権の登記はどこで行いますか?
登記された日本船舶については船舶登記の制度があり、抵当権も登記により公示されます。登記があると189条の競売申立時の提出書類が軽くなります。
Q5仮登記でも書類の軽減を受けられますか?
受けられません。条文は「担保権の登記(仮登記を除く。)」と明記しており、仮登記のままでは担保権の存在を証明する文書等の提示が別途必要になります。
Q6競売が始まった船は運航できますか?
船舶国籍証書等が取り上げられると、事実上運航できなくなります。運航停止による損害が拡大するため、船主側は早期の弁済や手続の停止を検討する必要があります。
Q7船の競売を止める方法はありますか?
189条が準用する183条により、担保権の不存在を証明する文書の提出や弁済等により、競売手続の停止・取消しを求める道があります。
Q8電磁的記録でも競売の申立てはできますか?
条文は提出すべき文書の提示に加え「電磁的記録を提出」する場合を明記しており、電子的な方法による提出が想定されています。実務運用は裁判所にご確認ください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1船を競売にかけるのに、裁判で勝ってからじゃないとダメなんですか?
担保権の実行としての競売は、勝訴判決などの債務名義を必要としません。189条が準用する181条により、担保権の登記に関する書類や担保権の存在を証明する文書を提出すれば手続を始められます。実務のポイント:だからこそ船舶抵当権は「登記」まで済ませておくことが決定的に効きます。登記があれば提出書類が軽くなり(読み替え後の115条3項)、いざというとき最短で船を押さえられる。契約時に登記を怠った担保は、実行局面で必ず足を引っ張ります
Q2船員の未払給料って、銀行の抵当権より先に払ってもらえるんですか?
優先します。船員の雇用契約に基づく債権は船舶先取特権として、船舶抵当権に優先して弁済を受けられます(商法842条・847条、最新の改正状況をご確認ください)。189条の競売手続の中で、この優先順位に従って配当されます。実務のポイント:船舶金融の与信では、抵当権の順位より上に見えない先取特権が常に割り込みうる。銀行が船への融資を陸の不動産より慎重に審査する本当の理由が、この優先順位にあります
Q3外国の船でも日本で競売できるんですか?
日本国内に所在する船舶であれば、外国船籍でも担保権実行としての競売の対象になりえます。189条・181条以下の手続に従い、まず船が港にいる間に船舶国籍証書等を押さえること(準用115条)が要になります。実務のポイント:外国船を相手にする場合、船はいつ出港するか分かりません。海事事件に強い弁護士は、船が入港した情報をつかんだ瞬間に動く。申立ての速さそのものが回収の可否を決めます
間違えやすい点 AI による整理
- 「船舶抵当権さえ押さえておけば一番手として安心」と思う融資担当者は多いが、その順位の本当の意味を分かっていない。船員給料や救助料に発生する船舶先取特権は、後から生じても抵当権に優先して弁済を受ける。あなたが一番手の抵当権者でも、配当の場面で先取特権者に先を越される。これは順位を知っているつもりで深刻さを見落としている典型だ
- 「船の競売なんて船主や大手海運会社の話で、自分には縁がない」と思い込んでいるが、船に発生する担保権の担い手は幅広い。命がけで働いた乗組員、遭難船を救った救助者、港湾使用料の債権者、そして船に融資した銀行、これらすべてが競売を動かす側に立ちうる
- 「まず船会社を訴えて勝訴判決を取ってから競売」と考える人がいるが、問いの立て方が一段遠回りになっている。担保権実行としての競売は、勝訴判決(債務名義)がなくても、担保権の登記や担保権の存在を証明する文書だけで始められる(189条が準用する181条)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象財産 | 民執189条:船舶を目的とする担保権の実行としての競売 | 民執181条:不動産を目的とする担保権の実行としての競売 民執112条以下:船舶に対する強制執行(債務名義に基づく) |
| 手続開始に必要なもの | 担保権の登記に関する書類または担保権の存在を証明する文書等(債務名義は不要) | 同じく担保権の登記または担保権の存在を証明する文書等 執行力のある債務名義の正本が必要 |
| 対象物を逃がさない手段 | 準用115条による船舶国籍証書等の取上げ(物理的に出港不能) | 不動産は移動しないため同種の措置は不要 同じく船舶国籍証書等の取上げが可能 |
| 優先順位で注意すべき点 | 船舶先取特権が船舶抵当権に優先しうる(商法の規定、現行効力を要確認) | 登記の先後が原則として優劣を決める 一般債権者間は差押えの先後・按分による |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も船舶を独立の執行対象とし、海事優先権が船舶抵当権に優先する構造をとる。船舶の航行を制限する保全措置が置かれている点も日本と発想が近い
韓国も担保権実行としての船舶競売を独立の条文で規律し、不動産の担保権実行規定を準用する立法技術をとる。日本法との構造的な近さが顕著
中国は海事法院という専門裁判所が船舶の差押えと競売を扱う点が特徴。船舶優先権が船舶抵当権に優先する順位関係は日本と共通
ドイツは強制競売法において船舶および建造中の船舶の強制競売を独立に規律し、不動産競売の規定を準用する。準用による立法技術は日本の189条と同型
米国は船舶自体を被告とする対物訴訟(in rem)により船舶を差し押さえ、連邦裁判所が司法売却する。maritime lien が preferred ship mortgage に優先する順位は日本の先取特権優先と実質的に同じ思想
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたの会社が代金回収のために船の競売を申し立てたのに、その船が明日の朝には出港予定だとしたら? 港にいる今夜のうちに船舶国籍証書等の取上げを裁判所に求めなければ、担保の対象は海の向こうへ消える。残された時間は数時間
- あなたが船主で、乗組員から未払給料を理由に船を差し押さえられた。船は動かせず、次の運航契約も履行できない。ここで初めて、船員の給料債権が銀行の抵当権より強い先取特権だったと思い知る
- 銀行の融資担当のあなたが船舶抵当権を実行しようと競売を申し立てる。登記が済んでいれば提出書類は最小限で足りるが、仮登記のままだった場合はその軽減を受けられず、担保権の存在を示す文書の提示を追加で求められる。契約時の登記の一手間が、ここで効いてくる
- 救助した遭難船が、代金を払わないまま姿を消した。だがその船が日本の港に現れれば、救助料の先取特権で競売にかけられる。海の借りは、海の担保で取り立てる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の権利が船舶抵当権(登記あり)か船舶先取特権(登記なし)かを確定し、それを証明する文書を揃える(189条が準用する181条) 2. 対象の船が今どこの港にいるか、出港予定はいつかを至急特定する3. 管轄裁判所へ担保権実行としての競売を申し立て、同時に船舶国籍証書等の取上げ(準用115条)を求めて船を動けなくする4. 海事に強い弁護士へ相談し、船が港にいるうちに動くことを最優先にする
訴えられた側:1. 競売申立てと国籍証書取上げがなされると船は運航不能になるため、まず申立ての根拠となる担保権が本当に有効かを確認する2. 先取特権を主張された場合、その債権が本当に船舶先取特権の類型に当たるか、1年の消滅期間を過ぎていないかを精査する3. 被担保債権額を弁済または供託して手続を止める道を検討する4. 運航停止による損害が拡大する前に、早期の弁済・和解と競売手続の停止・取消しを弁護士と詰める
時効(請求できる期限):船舶先取特権は、その債権が生じた時から1年を経過すると消滅する(商法846条、最新の改正状況をご確認ください)。一般の債権より格段に短く、船員給料や救助料の先取特権はこの1年を過ぎると担保としての効力を失う。競売手続自体に固有の出訴期間はないが、被担保権利の消滅時点から逆算して動く必要がある
学説
通説:189条は独立の実体規定ではなく、船舶執行と担保権実行の規律を接続する準用規定と理解されている。実体的な担保権の内容・順位は商法等の規定に委ねられ、189条は開始文書要件と船舶国籍証書等の取上げについて読替えを施すことで手続面を整える役割を担う
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)担保・執行法制改正 担保権実行の開始文書要件(181条以下)が整備され、189条の準用・読み替えもこれに対応して改正されたとみられる。要検証
- 令和5年(2023年)民事執行法等のデジタル化改正 条文中の「電磁的記録を提出しなければ」の文言は、提出書類の電子化を認めるデジタル化改正に由来するとみられる。施行は段階的。改正年・内容の確定は要検証
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法の強制執行編と競売法に分散していた執行・競売の規律を統合。担保権の実行としての競売が本法に取り込まれ、船舶についての準用規定として189条が置かれた
- 2.近年(改正年は要検証) 改正:条文中の「電磁的記録を提出しなければ」という文言は、民事手続のデジタル化に対応する改正に由来するとみられる。改正法の年次・施行時期の確定は要検証
- 民事執行法 第181条準用される担保権実行の開始文書要件
- 民事執行法 第182条開始決定に対する執行異議の準用
- 民事執行法 第183条担保権実行手続の停止・取消の準用
- 民事執行法 第184条代金納付による買受人の権利取得の準用
- 民事執行法 第115条読み替えで文書提示要件を修正、船舶国籍証書等の取上げ
- 商法 第847条船舶抵当権の実体的根拠(現行効力を要確認)
- 商法 第842条船舶先取特権を生ずる債権の実体的根拠(現行効力を要確認)
- 商法 第846条船舶先取特権の1年消滅(現行効力を要確認)
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