民事執行法 第68条の3(売却の見込みのない場合の措置)
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- 執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に売却を実施させても売却の見込みがないと認めるときは、強制競売の手続を停止することができる。この場合においては、差押債権者に対し、その旨を通知しなければならない。
- 2.差押債権者が、前項の規定による通知を受けた日から三月以内に、執行裁判所に対し、買受けの申出をしようとする者があることを理由として、売却を実施させるべき旨を申し出たときは、裁判所書記官は、第六十四条の定めるところにより売却を実施させなければならない。
- 3.差押債権者が前項の期間内に同項の規定による売却実施の申出をしないときは、執行裁判所は、強制競売の手続を取り消すことができる。同項の規定により裁判所書記官が売却を実施させた場合において買受けの申出がなかつたときも、同様とする。
この条文の基本情報
売却の見込みのない場合の措置とは何ですか?
定義売却の見込みのない場合の措置とは、民事執行法第68条の3に定められた規定で、「執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第68条の3(売却の見込みのない場合の措置)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第68条の3の条文原文は「執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法による売却を三回実施させても買受けの申出がなかつた場合において、不動産の形状、用途、法令による利用の規制その他…」で始まります。
- 民事執行法第68条の3は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第68条の3の前の条は民事執行法第68条の2です。
- 民事執行法第68条の3の次の条は民事執行法第68条の4です。
- 民事執行法第68条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第68条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第68条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/68_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法68条の3は、3回の競売で買受けがなく売却見込みがないとき執行裁判所が競売を停止でき、差押債権者が3か月以内に売却を申し出なければ手続が取り消されると定める。
Q · 差し押さえた不動産が競売で3回も売れなかったら、どうなるの?
裁判所が競売を停止し、3か月動かなければ取り消される
民事執行法68条の3により、入札・競り売りを3回実施しても買受けの申出がなく、形状・用途・利用制限などから今後も売れる見込みがないと執行裁判所が認めれば、強制競売の手続を停止できます。その旨は差押債権者に通知され、債権者は通知を受けた日から3か月以内に「買いたい人がいる」として売却実施を申し出なければ(2項)、裁判所は手続を取り消せます(3項)。取り消されると差押えの効力も消えますが、債権自体は残るため、預金・給与・別の不動産を改めて差し押さえられます。
解説
貸した金が返らず、訴訟に勝ち、相手の不動産を差し押さえた。ここまでは順調だ。ところが競売にかけても3回連続で誰も入札しない。地方の山林、再建築不可の土地、心理的瑕疵物件。世の中には「差し押さえても売れない不動産」が確実に存在する。民事執行法68条の3は、その局面で裁判所が握る幕引きのスイッチである。3回売却を実施しても買受けの申出がなく、形状・用途・法令上の利用制限などの事情から今後も売れる見込みがないと認めれば、執行裁判所は強制競売手続を停止できる。そしてあなた(差押債権者、つまり差押えを申し立てた側)に通知が届く。ここからが本番だ。通知を受けた日から3か月以内に「買いたい人がいる」と申し出て売却を求めなければ、手続そのものが取り消され、差押えの効力まで消える。あなたが動かなければ、勝ち取ったはずの勝訴判決は執行の出口を失う。
法的な位置づけ
民事執行法68条の3は、売却見込みのない不動産についての強制競売手続の停止及び取消しを定める規定である。3回の売却実施でも買受けの申出がなく、更に売却しても見込みがないと執行裁判所が認めるとき手続を停止し、差押債権者が通知後3か月以内に売却実施を申し出ないときは手続を取り消しうる旨を規律する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.停止通知の受領日を記録する 執行裁判所からの停止通知が届いたら、封筒の消印と実際の受領日を記録する。68条の3第2項の3か月はこの受領日を起算点とするため、初日を取り違えると期限を誤る
- 2.対象不動産に買い手がつかないか至急打診する 地元の不動産業者・隣地所有者・任意売却業者へ、値下がりした現在の水準で買い手候補がいないかを打診する。3回入札ゼロでも価格次第で隣地所有者等が動くことがある
- 3.3か月以内に売却実施を申し出る 買い手候補が見つかれば、通知から3か月以内に執行裁判所へ「買受けの申出をしようとする者がある」として売却実施を求める旨を申し出る。裁判所書記官が64条に従い改めて売却を実施する
- 4.見込みが薄ければ別財産へ切り替える 買い手の見込みが立たないなら、無駄な費用をかけずに手続の取消しを受け入れ、債務者の預金・給与・他の不動産など回収可能性の高い財産への執行に切り替える
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法68条の3とは何ですか?
3回の競売でも買受けの申出がなく売却見込みがないとき、執行裁判所が強制競売手続を停止し、差押債権者が3か月動かなければ取り消せる制度です。
Q2競売が3回不成立になるとどうなりますか?
形状・用途・利用制限から更に売却しても見込みがないと裁判所が認めれば、68条の3第1項で競売手続が停止され、差押債権者に通知されます。
Q3売却見込みなしの通知が届いたら何をすべきですか?
まず受領日を記録します。3か月の起算点です。買い手を探し、期間内に執行裁判所へ売却実施を申し出れば競売を続行できます(2項)。
Q4差押債権者が3か月以内に申し出ないと手続は取り消されますか?
取り消されうります。3項により、期間内に売却実施の申出がないとき執行裁判所は強制競売手続を取り消すことができます。
Q5競売が取り消されたら差押えの効力は消えますか?
消えます。手続の取消しで差押えの効力も失われます。ただし債権自体は残るため、他の財産を改めて差し押さえられます。
Q6売れない不動産を差し押さえるとどうなりますか?
回収できないまま費用だけがかさむ恐れがあります。地方の山林や再建築不可の土地は3回競売でも売れず、68条の3で手続が取り消される典型例です。
Q768条の3は担保不動産競売にも適用されますか?
適用されます。民事執行法188条により、担保不動産競売の手続にも68条の3が準用されます。
Q8競売の停止と取消しはどう違いますか?
停止は1項で手続を一旦止める段階、取消しは3項で手続そのものを終了させる段階です。停止から3か月の猶予を経て取消しに進みます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1競売が3回も不成立になったら、借金は帳消しになるんですか?
なりません。68条の3で消えるのは差押えの効力と競売手続だけで、債権そのものは残ります。債権者は預金・給与・別の不動産など、他の財産をあらためて差し押さえられます(第3項)。実務のポイント:競売の取消しは債務者にとって一時的な猶予にすぎず、債権も時効も生きたまま。売れない不動産を抱えて競売が止まった局面こそ、任意売却や減額和解を持ちかける好機で、そこで動く債務者ほど傷が浅く済む。
Q2差し押さえた家が全然売れません。もう回収は諦めるしかないですか?
諦める前に、68条の3第2項の3か月の窓を使えます。買いたい人を見つけて執行裁判所に売却実施を申し出れば、64条の手続で改めて売却されます。実務のポイント:実務では価格が下がった段階で隣地所有者や地元業者が動くことがあり、3回入札ゼロでも買い手が付くケースは珍しくない。裁判所任せにせず、自分で買主を探した債権者だけが最後の回収にたどり着く。
間違えやすい点 AI による整理
- 差押えさえすれば回収は時間の問題、と考える人は多い。差押えの効力自体は知っていても、売れなければその効力が3か月後に消え去ることまでは知らない。差押えは保全にすぎず、売却が完了して初めて回収になる。深刻なのは、止まった時点で油断すると回収機会そのものを失う点だ
- 「どうすれば競売を早く終わらせられるか」と問う債務者がいるが、問いの立て方が逆である。68条の3の停止・取消しは債務者が申し立てる制度ではなく、売却実施を求めるか否かを握っているのは差押債権者だけだ。債務者にできるのは、売れない不動産だという事情を裁判所に届けて停止の判断材料にしてもらうことにとどまる
- 「手続が取り消されたら借金も消える」と誤解する債務者がいるが、消えるのは差押えの効力と競売手続だけで、債権そのものは残る。債権者は預金・給与・別の不動産をあらためて差し押さえられる。競売の失敗は、債務の消滅ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 停止・取消しの理由 | 68条の3:3回売却しても買受けがなく、更に売却しても見込みがない | 63条:手続費用等を差し引くと剰余が生じない(無剰余) 53条:不動産の滅失その他売却による権利移転が不能 |
| 誰の判断・申出で動くか | 執行裁判所が停止、差押債権者の3か月内の申出の有無で存続が決まる | 差押債権者への通知と買受け・保証の申出が判断材料 事情が生じれば執行裁判所が取消し |
| 段階構造の有無 | 停止 → 3か月の猶予 → 取消し(回収機会を保障する二段階) | 一定期間内に申出がなければ取消し 取消しへ直行(猶予なし) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は減価拍賣を重ね、なお拍定に至らない場合の再拍賣や視為撤回(申立てが撤回されたものとみなす)の措置を置く。売れ残り物件の手続を畳む発想は日本68条の3と共通する
韓国も不動産強制競売について再売却手続を定め、剰余がない場合等の取消しを規律する。売却不能物件の処理という機能面で日本と類似する
ドイツの強制競売法は反復競売や最低売却価額の枠組みを定める。売却不調時の手続の扱いに関し、日本の不動産執行制度の母法的位置にある
米国は州ごとに judicial foreclosure の売却手続を規律し、買い手がつかない場合は credit bid や再売却、手続終了で処理する。統一ルールはなく州法に委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 友人に貸した300万円。勝訴判決を取り、相手の唯一の資産である地方の実家を差し押さえた。だが競売は3回とも入札ゼロ。裁判所から停止通知が届き、残された時間はあと3か月。ここで買い手を見つけられなければ、判決も差押えも水の泡になる。動くなら今夜からだ
- もし、あなたが差し押さえた不動産が再建築不可の土地だったら? 買い手はまず現れない。3回の競売不成立ののち、裁判所は68条の3で手続を停止し、あなたが動かなければ取り消す。差し押さえる前に「売れる不動産か」を見極めなかったツケが、ここで一気に回ってくる
- 差し押さえられた田舎の土地が、競売で3回とも売れ残った。あなた(債務者)は競売が止まってほっとする。だが債務は1円も減っていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 停止通知が届いたら、まず消印と受領日を記録する。3か月の起算点はこの日だ2. 対象不動産に本当に買い手がつかないか、地元の不動産業者・隣地所有者・任意売却業者へ至急打診する3. 買い手候補が見つかれば、期間内に執行裁判所へ「売却を実施させるべき旨」を申し出る(2項) 4. 見込みが立たないなら、無駄な費用をかけず、債務者の預金・給与・別不動産など他の財産への切替えを検討する
訴えられた側:1. 差押えを受けた不動産が売れる見込みの薄いものなら、その形状・利用制限・立地の事情を書面で裁判所に届け、停止の判断材料にしてもらう2. ただし手続が取り消されても債務は消えず、別財産を差し押さえられる点を忘れない3. 根本解決は任意売却か債権者との減額和解、あるいは自己破産の検討だ。競売が止まったことに安心せず、弁護士・司法書士に全体戦略を相談する
時効(請求できる期限):差押債権者が停止通知を受けた日から3か月以内に売却実施の申出をしないと、執行裁判所は強制競売手続を取り消すことができる(68条の3第2項・第3項)。起算点は通知を受けた日。この3か月を過ぎると、裁判所は手続を取り消せる状態に入る。2項で改めて売却を実施しても買受けがなかったときも、同様に取り消しうる
学説
通説:68条の3は、売れない不動産の競売を漫然と続ける手続の空回りを止める効率の要請と、差押債権者の回収機会の保障とを両立させる規定と解される。いきなり取り消さず一度「停止」にとどめ、3か月の猶予を与える段階構造にその趣旨が表れる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 改正:民事執行法制定。旧競売法および旧民事訴訟法の強制執行編を統合し、不動産強制競売の手続を体系化
- 2.平成16年(2004年) 新設:民事関係手続の改善のための改正により68条の3を新設。売却見込みのない不動産の競売手続を停止・取消しできる措置を導入し、空回りする執行の打切りを可能にした
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