民事執行法 第68条の2(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等)
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- 執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、債務者又は不動産の占有者が不動産の売却を困難にする行為をし、又はその行為をするおそれがあるときは、差押債権者(配当要求の終期後に強制競売又は競売の申立てをした差押債権者を除く。次項において同じ。)の申立てにより、買受人が代金を納付するまでの間、担保を立てさせて、次に掲げる事項を内容とする保全処分(執行裁判所が必要があると認めるときは、公示保全処分を含む。)を命ずることができる。
- 一債務者又は不動産の占有者に対し、不動産に対する占有を解いて執行官又は申立人に引き渡すことを命ずること。
- 二執行官又は申立人に不動産の保管をさせること。
- 2.差押債権者は、前項の申立てをするには、買受可能価額以上の額(以下この項において「申出額」という。)を定めて、次の入札又は競り売りの方法による売却の実施において申出額に達する買受けの申出がないときは自ら申出額で不動産を買い受ける旨の申出をし、かつ、申出額に相当する保証の提供をしなければならない。
- 3.事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより又は職権で、第一項の規定による決定を取り消し、又は変更することができる。
- 4.第五十五条第二項の規定は第一項に規定する保全処分について、同条第三項の規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項の申立てについての裁判、前項の規定による裁判又は同項の申立てを却下する裁判について、同条第七項の規定は前項の規定による決定について、同条第八項及び第九項並びに第五十五条の二の規定は第一項に規定する保全処分を命ずる決定について、第五十五条第十項の規定は第一項の申立て又は同項の規定による決定の執行に要した費用について、第六十三条第四項の規定は第二項の保証の提供について準用する。
この条文の基本情報
買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等とは何ですか?
定義買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等とは、民事執行法第68条の2に定められた規定で、「執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、債務者又は不動産の占有者が不動産の売却を困難にする…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第68条の2(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第68条の2の条文原文は「執行裁判所は、裁判所書記官が入札又は競り売りの方法により売却を実施させても買受けの申出がなかつた場合において、債務者又は不動産の占有者が不動産の売却を困難にする…」で始まります。
- 民事執行法第68条の2は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第68条の2の前の条は民事執行法第68条です。
- 民事執行法第68条の2の次の条は民事執行法第68条の3です。
- 民事執行法第68条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第68条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第68条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/68_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法68条の2は、競売で買受けの申出がなく占有者が売却を妨害する場合に、自ら買い受けると申し出た差押債権者の申立てで占有を排除する保全処分を認める。
Q · 競売にかけたのに占有屋が居座って誰も入札しないとき、どうすればいいですか?
自ら買い受けると申し出れば占有者を排除できます
民事執行法68条の2により、入札や競り売りで買受けの申出がなかった場合、占有者が売却を困難にしているとき、差押債権者は買受可能価額以上の額を定めて自ら買い受ける旨を申し出て、その額に相当する保証を積むことで、占有を解いて執行官または申立人へ引き渡させる保全処分を得られます。申立てができるのは、買受けの申出がなかった後、買受人が代金を納付するまでの間に限られます。自ら競落した場合は差引納付で現実の持ち出しを圧縮できます。
解説
あなたが取引先に運転資金を貸し、担保として相手の不動産に抵当権をつけたとする。返済が止まり、いよいよ競売にかけた。ところが入札日、誰も手を挙げない。調べると物件には得体の知れない男が住み着き、内見に来た人を睨みつけ、買い手を全員追い返していた。占有屋だ。担保を取ったはずのあなたの債権は、紙くずになりかけている。ここで効くのが民事執行法68条の2だ。あなたは裁判所に「次の入札でも誰も最低価格で買わないなら、自分がその値段で買う」と宣言し、保証を積む。その代わりに、居座る占有者の占有を解いて執行官または自分に引き渡させる保全処分を勝ち取れる。妨害者を排除し、売却を仕切り直す。担保が眠ったまま腐るのを、あなた自身の手で止められる条文である。
法的な位置づけ
民事執行法68条の2は、競売の入札や競り売りで買受けの申出がなかった場合に、売却を困難にする行為をする債務者・占有者に対し、自ら買い受ける旨を申し出て保証を提供した差押債権者の申立てにより、占有を解いて執行官または申立人に引き渡させる保全処分を認める規定である。執行妨害を排除し、担保不動産の換価を実現する手続的手段として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.買受けの申出がなかった事実を確認 入札または競り売りで買受けの申出がなかったことを確認する。68条の2は売却の空振りが発動の前提であり、まだ売却実施前や応札がある段階では使えない
- 2.妨害の事実を証拠で裏づける 執行官の現況調査報告書、内見妨害の記録、写真等で「売却を困難にする行為またはそのおそれ」を裏づける。誰がどのように占有し妨害しているかを特定する
- 3.申出額を定めて保証を積み申立て 買受可能価額以上の申出額を定め、次の売却で申出額に達する買受けがなければ自ら申出額で買い受ける旨を申し出る。申出額に相当する保証を提供し、占有を解いて執行官または申立人に引き渡させる保全処分を申し立てる
- 4.公示保全処分で占有を遮断し差引納付 必要なら公示保全処分も求め、執行官に占有を移させて妨害を遮断する。次の売却で自ら競落した場合は差引納付(78条4項)を用い、配当で戻る取り分を差し引いて現実の持ち出しを圧縮する
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法68条の2とは何ですか?
競売で買受けの申出がなく占有者が売却を妨害するとき、自ら買い受けると申し出た差押債権者の申立てにより、占有を解いて執行官等に引き渡させる保全処分を認める規定です。
Q2競売で誰も入札しないとどうなりますか?
そのままでは売却が空振りを繰り返し担保が塩漬けになります。占有者による妨害がある場合は68条の2で債権者自ら買い受ける申出をして膠着を打開できます。
Q3占有屋を合法的に追い出す方法はありますか?
68条の2の保全処分で占有を執行官や申立人に引き渡させられます。買受人となった後は引渡命令(83条)で退去させることも可能です。
Q4買受申出の保証金はいくら必要ですか?
買受可能価額以上に定めた申出額に相当する額の保証を提供します(68条の2第2項)。定めた申出額そのものが基準となる点が通常の入札保証と異なります。
Q568条の2の申立てはいつまでできますか?
入札・競り売りで買受けの申出がなかった後、買受人が代金を納付するまでの間に限られます。この手続的な窓を逃すと申立てそのものができません。
Q6差引納付とは何ですか?
債権者が自ら競落した場合、配当で受け取る自分の取り分と代金を差し引いて納付できる仕組みです(民事執行法78条4項)。現実の持ち出しが差額で済みます。
Q7公示保全処分とは何ですか?
保全処分の内容を現場に公示して第三者への効力を確保する処分です。裁判所が必要と認めるとき、68条の2の保全処分に付加して命じられます。
Q8競売の入札を妨害すると罪になりますか?
偽計や威力で公の競売・入札を妨害すると、刑法96条の3・96条の4の競売等妨害罪にあたる可能性があります。占有屋の実力妨害は刑事責任を伴い得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1抵当権を持っているのに、なぜ自分が金を出して買わなきゃいけないんですか?
強制ではなく選択肢です。68条の2は「次も誰も買わないなら自分が買う」と申し出て保証を積むことで、居座る占有者を排除する保全処分を得る仕組み。買わずに済むなら理想ですが、その覚悟を示すからこそ裁判所は妨害排除を認めます。実務のポイント:自ら競落した場合、配当で戻る自分の取り分と代金を差し引ける(民事執行法78条4項の差引納付)ので、現実の持ち出しは差額だけで済むことが多い。全額用意しないと使えないと思い込んで諦める債権者が、実は損をしている
Q2住んでいる人がちゃんとした借家人でも、追い出せるんですか?
68条の2の保全処分は「売却を困難にする行為」をする占有者が対象で、対抗要件を備えた正当な賃借人を狙い撃ちにするものではありません。対抗力ある賃借権なら、買受人はその賃貸借を引き受ける形になります。実務のポイント:問題は「正当そうに見える偽装賃貸借」。競売直前に作られた賃貸借契約は執行妨害目的と疑われ、現況調査報告書と賃料授受の実態で真偽が判定される。本物の入金記録がない賃借権は、まず崩される
Q3自分で買い受けた後、その物件はどうするんですか? 転売できますか?
買受人として所有権を取得すれば、通常の不動産と同じく自由に転売できます。占有者は引渡命令(民事執行法83条)で排除でき、更地にして売るのも賃貸に回すのも自由。実務のポイント:債権者が自ら競落するのは損切りではなく「時間を買う戦略」。妨害で二束三文になる前に自分で押さえ、占有問題を片づけてから市場価格で売り直せば、回収額が跳ね上がることがある。サービサーや金融機関が日常的に使う手筋です
間違えやすい点 AI による整理
- 「抵当権さえあれば貸金は安全」と考えている貸し手は多いが、優先順位を持っていることと、現実に回収できることは別問題である。占有屋が一人住み着いて内見を妨害するだけで、担保は入札ゼロのまま塩漬けになる。担保の強さを知っていても、それが妨害一つで無力化される深刻さを知らない人が、回収現場で立ち尽くす
- 債務者の側は「占有し続ければ競売を無限に引き延ばせる」と信じていることがあるが、その前提そのものが崩れている。債権者が68条の2で自ら買い受けると宣言した瞬間、「売れなくする」という妨害の効き目は消える。引き延ばしは時間稼ぎではなく、自分を引渡しへ早く追い込む行為に反転する
- あなたから見れば「自分が金を出して買うなんて丸損だ」と映るが、法律から見れば、それは眠った担保を現金化する最短ルートになりうる。この落差に気づかず「買うくらいなら諦める」と手を引いた債権者が、妨害者の思う壺にはまって回収額を大きく削る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申立てできる人 | 68条の2:差押債権者(自ら買受けを申し出る者) | 55条:差押債権者(売却前の妨害段階) 77条:買受人(代金納付後の占有確保) |
| 発動の時点 | 買受けの申出がなかった後、代金納付までの間 | 売却の実施前・手続の各段階 買受け後、引渡し確保のため |
| 債権者に課される負担 | 申出額以上の自己買受け宣言 + 相当の保証 | 保証(濫用防止のため) 保証(濫用防止のため) |
| 狙い | 空振りの膠着を債権者買受けで打開し妨害を排除 | 売却実施前に妨害・価値減少を防止 買受人の権利実現(占有取得)を保全 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は拍定(落札)後に執行法院が不動産の点交を命じ、債務者・第三者の占有を除去できる。占有排除を執行手続内で実現する点で機能的に近いが、日本の68条の2のような『債権者の自己買受け宣言』を発動要件とする構造は採らない。
韓国民事執行法も不動産の売却手続における妨害排除・引渡しの仕組みを備えるが、条文構成の詳細対応は人的検証を要する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先に運転資金2,000万円を貸し、相手の自社ビルに抵当権を設定した。返済が止まり競売を申し立てたが、入札日が来ても応札ゼロ。現況調査報告書を見ると、聞いたこともない会社の看板が掲げられ、内見希望者を「ここは俺たちの事務所だ」と追い返していた。担保は取ったのに一円も回収できない。ここで68条の2の申立てを準備する。占有者を退かせる保全処分と、自ら買い受ける覚悟をセットで裁判所に示す
- もし、次の入札の実施まで残り10日、今回もまた誰も買わないと分かっていたら、あなたは何をすべきか。答えは「次の売却実施の前」に申出額を定めて保証を積み、自ら買い受ける申出をしておくこと。窓が開くのは今回の空振りの後、そして次の入札の前だけ。この時機を逃すと、また数か月の空転が始まる
- あなたは住宅ローンを滞納し、自宅が競売にかけられた側だ。「居座り続ければ買い手はつかず、時間を稼げる」と考えていた。ところが債権者が「次も売れなければ自分が買う」と宣言し、あなたに占有を解いて執行官へ引き渡せという決定が届く。引き延ばし戦術が、逆に自分の立場を早く終わらせてしまう
- 反社まがいの占有屋が一人住み着いただけで、価値5,000万円の物件が競売で塩漬けになる。債権者は68条の2で「自分が買う」と腹を括り、執行官に占有を移させて妨害を断ち切る。妨害者の唯一の武器「売れなくする力」が、この一手で無効になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入札または競り売りで買受けの申出がなかった事実を確認(68条の2は空振りが前提) 2. 執行官の現況調査報告書、内見妨害の記録、写真で「売却を困難にする行為またはそのおそれ」を裏づける3. 買受可能価額以上の申出額を定め、その額で自ら買い受ける旨を申し出て、相当の保証を提供して申立て4. 必要なら公示保全処分も求め、執行官に占有を移させて妨害を遮断。自ら競落した後は差引納付(民事執行法78条4項)で現実の持ち出しを圧縮する
訴えられた側:1. 自分の占有が対抗要件を備えた正当な賃借権など真正な権原に基づくなら、その証拠(本物の契約書、賃料の入金記録、領収書)を固める。68条の2の保全処分は「売却を困難にする行為」をする占有者が対象で、妨害の実態がなければ争える2. 事情の変更があれば決定の取消し・変更を申し立てる(同条3項) 3. 決定に不服なら執行抗告(第55条6項の準用)を検討4. 引渡しが避けられない局面なら、早期の任意明渡しと引換えの条件交渉に切り替える
時効(請求できる期限):特定の消滅時効はない。ただし本条の申立てが可能なのは、入札・競り売りで買受けの申出がなかった後、かつ買受人が代金を納付するまでの間に限られる。この手続的な窓を逃すと申立て自体ができない。保全処分を命ずる決定に対する執行抗告は、告知を受けた日から1週間(第55条6項・民事執行法10条2項の準用。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:68条の2は、占有屋や債務者の妨害により売却が空振りを繰り返し担保が事実上無価値となる事態を打開するための執行妨害対策と理解される。要件を『売却を困難にする行為またはそのおそれ』に絞り、申立人に自己買受けの宣言と相当の保証を課すことで、妨害排除の実効性と占有者の手続保障との均衡を図る規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)新設 担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正法により新設された執行妨害対策の一つ。買受けの申出をした差押債権者のための保全処分として創設された。以降、準用先の第55条の2等の改正で条文構成が動いている可能性があり、正確な改正回数は人的検証を要する
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正法により新設された執行妨害対策の一つ。買受けの申出をした差押債権者のための保全処分として創設された。以降、準用先の第55条・第55条の2等の改正により条文構成が変動している可能性があり、正確な改正回数は人的検証を要する。
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