要点借地借家法 12 条は、地主が弁済期の到来した最後の二年分の地代等について、借地人が所有する建物の上に先取特権を有すると定める。効力の保存には地上権または土地賃貸借の登記が必要となる。
Q · 地代を滞納されたら、地主は借地人の家を競売にかけて回収できるの?
はい、借地人の建物を競売にかけ優先弁済を受けられます
借地借家法 12 条により、地主は弁済期の到来した最後の二年分の地代等について、借地人がその土地に所有する建物の上に先取特権を持ち、建物を競売にかけて優先弁済を受けられます。契約書に担保の定めがなくても法律上当然に発生します。ただし効力を保存するには地上権または土地賃貸借の登記が必要で、借地の登記より前に登記された抵当権には劣後します。優先回収できるのは最後の二年分に限られるため、滞納が長引くほど古い分は無担保となり回収が困難になります。
土地を貸している地主が、借地人から地代を二年分も滞納された。普通の感覚なら「払ってもらえなければ建物を取り上げるしかない」と思うだろう。だが借地借家法 12 条は、もっと静かで強力な武器を地主に与えている。借地人がその土地の上に建てた建物そのものに、地主は自動的に先取特権(さきどりとっけん。担保の一種で、その財産を競売にかけ、他の債権者より先に弁済を受けられる権利)を持つのだ。契約書に何も書かなくても、法律上当然に発生する。ただし守備範囲は「弁済期の到来した最後の二年分の地代等」に限られ、効力を保つには地上権または土地賃貸借の登記が必要だ。さらに落とし穴がある。この先取特権は、借地の登記より前に設定された抵当権には負ける。建物に銀行の抵当権が先に付いていれば、地主の権利は後回しになる。強力に見えて、タイミング次第で紙くずになる権利である。
借地借家法 12 条は地代等債権を担保する法定先取特権を定める規定であり、借地権設定者は弁済期が到来した最後の二年分の地代等について、借地権者が当該土地上に所有する建物の上に先取特権を取得する。この担保物権は地上権または土地賃貸借の登記により効力を保存し、転借地権者が所有する建物にも準用される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特定の債権について、債務者の財産から他の債権者に優先して弁済を受けられる法定の担保物権です。当事者の合意がなくても法律の規定により当然に発生する点が抵当権と異なります。
弁済期の到来した最後の二年分の地代等に限られます。十年分の滞納があっても、先取特権で優先回収できるのは直近二年分だけで、それ以前は無担保の一般債権になります。
建物所在地の地方裁判所に担保不動産競売(先取特権の実行)を申し立てます。滞納額・登記状況・先行抵当権の有無を確認し、競売費用との採算を試算してから着手するのが実務です。
地上権または土地賃貸借の登記が必要です(借地借家法 12 条 2 項)。この登記がない間は第三者に対抗できず、抵当権者との順位争いでも不利になります。
留置権は債務の弁済まで物を留め置く権利で優先弁済権はありません。先取特権は目的物を競売にかけ、売却代金から優先して弁済を受けられる点が異なります。
地代等の債権自体は一般の消滅時効(民法 166 条、原則 5 年)にかかります。ただし先取特権で優先回収できる範囲は別に最後の二年分へ限定されます。
注意が必要です。売主が地代を滞納していると、買った建物に地主の先取特権が付いたままになることがあります。購入前に地代の支払状況の確認が欠かせません。
いいえ。借地借家法 12 条による先取特権は法律上当然に発生する法定担保物権で、契約書に担保の文言がなくても成立します。ただし効力保存には登記が必要です。
取り上げる(所有権を奪う)のではなく、建物を競売にかけて売却代金から優先弁済を受けられます(借地借家法 12 条 1 項)。ただし回収できるのは弁済期の来た最後の二年分の地代等だけです。業界裏話ヒント:多くの地主はこの先取特権の存在自体を知らず、滞納が何年も積み上がってから弁護士に相談します。その時点では古い滞納分は担保から外れて回収不能。二年という射程を知っているかどうかで、回収できる金額が文字通り変わる
いいえ、必ずしも先ではありません。12 条 3 項但書で、借地の登記より前に登記された抵当権・質権には劣後します。共益費用、不動産保存・工事の先取特権にも負けます。業界裏話ヒント:借地上の建物には住宅ローンの抵当権が付いていることが多く、その抵当権が借地登記より古ければ、地主の先取特権は実質的に紙くずになる。競売しても配当が銀行に吸われて手取りゼロ、というのが実務でよくある結末です
あります。12 条 4 項が転借地権者の建物にも先取特権を準用します。又貸しの構造でも、最終的に土地の上に建つ建物に対して地主の担保は届きます(借地借家法 12 条 4 項)。業界裏話ヒント:転貸を許可するとき、地主は「又貸し先が滞納したら回収できない」と不安になりがちですが、12 条 4 項があるので担保自体は確保されている。むしろ問題は転借人の建物にも先行抵当権がないかで、許可前に確認するのが玄人の対応です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 借地借家法 12 条:借地特有の法定先取特権 | — |
| 対象物 | 借地上に借地人が所有する建物 | — |
| 担保・回収の範囲 | 弁済期の到来した最後の二年分の地代等 | — |
| 行使の効果 | 建物の競売による優先弁済(借地登記前の抵当権には劣後) | — |
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