環境基本法 第6条(国の責務)
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国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
この条文の基本情報
国の責務とは何ですか?
定義国の責務とは、環境基本法第6条に定められた規定で、「国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 環境基本法第6条(国の責務)は、日本の環境基本法に含まれる条文です。
- 環境基本法第6条の条文原文は「国は、前三条に定める環境の保全についての基本理念(以下「基本理念」という。」で始まります。
- 環境基本法第6条は第一章 総則に置かれています。
- 環境基本法の公布日は平成5年11月19日です。
- 環境基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 環境基本法第6条の前の条は環境基本法第5条です。
- 環境基本法第6条の次の条は環境基本法第7条です。
- 環境基本法第6条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第6条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091 - 本サイト収録
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第6条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/405AC0000000091/6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点環境基本法6条は、国が基本理念にのっとり、環境保全の基本的かつ総合的な施策を策定・実施する責務を負うと定める。個人の具体的な請求権は生じないと解される。
Q · 環境基本法6条を根拠に、国に環境対策をやらせることはできるの?
6条だけでは難しく、個別法の規制権限を根拠に争うのが現実的
環境基本法6条は、国が基本理念(3条〜5条)にのっとり環境保全の基本的かつ総合的な施策を策定・実施する責務を定めます。ただし一般に抽象的な責務規定と解され、個人がこの条文だけを根拠に国へ具体的な措置を請求することは困難です。実務では、大気汚染防止法や水質汚濁防止法など個別法の規制権限を特定し、行政手続法36条の3の処分等の求めや、規制権限不行使を理由とする国家賠償請求(国賠法1条)で争うのが一般的です。
解説
法律に国の「責務」と書いてあれば国を訴えられる、と考えるのは早い。環境基本法6条は、3条から5条の基本理念にのっとって、国が環境保全の施策を「策定し、実施する」責務を負うと定めている。基本理念とは、恵み豊かな環境を将来に引き継ぐこと、持続的に発展できる社会をつくること、国際協調で地球環境を守ることの三つである。ただし一般的な解釈では、この責務からあなた個人が国に「あの工場を止めろ」と直接求める権利は生まれない。実務では、裁判所は本条を抽象的な責務規定(方向性を示すだけで、具体的な義務の中身までは決めていない条文)として扱う傾向が強い。それでも無意味な条文ではない。本条は国の環境政策全体の出発点で、環境基本計画(15条)や国会への年次報告(12条)、大気汚染防止法・水質汚濁防止法などの個別の規制権限へと枝分かれしていく。国を動かしたいなら、狙うべきは6条そのものではなく、その先にある個別法の権限と手続である。
法的な位置づけ
環境基本法第6条は、環境の保全に関する国の責務を定める規定である。国は、環境の恵沢の享受と継承(3条)、持続的発展が可能な社会の構築(4条)、国際的協調による地球環境保全(5条)という基本理念にのっとり、基本的かつ総合的な施策を策定し実施する責務を負う。地方公共団体(7条)、事業者(8条)、国民(9条)の責務と並ぶ四者責務の一つである。
よくある質問 AI による整理
Q1環境基本法6条とは何ですか?
国が環境保全に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を定めた条文です。3条から5条の基本理念にのっとることが求められます。
Q2環境基本法の基本理念とは?
環境の恵沢の享受と将来世代への継承(3条)、持続的発展が可能な社会の構築(4条)、国際的協調による地球環境保全の推進(5条)の三つです。
Q3環境基本法はいつできた法律ですか?
平成5年(1993年)11月19日に公布されました。公害対策基本法に代わる環境政策の基本法として制定され、同時に公害対策基本法は廃止されました。
Q4環境基本法に罰則はありますか?
環境基本法自体は理念と基本施策を定める基本法で、違反に対する罰則規定は置かれていません。罰則は大気汚染防止法など個別の規制法に定められています。
Q5環境基本法の所管省庁はどこですか?
環境省です。環境基本計画の案の作成や、環境の状況と施策に関する年次報告(環境白書)のとりまとめも環境省が中心となって行います。
Q6環境権は日本の法律で認められていますか?
現行法に環境権を明文で定めた規定はありません。環境基本法も国の責務の形で定めており、裁判でも独立した私法上の権利としては認められていないのが一般的です。
Q7環境基本法と公害対策基本法の違いは?
公害対策基本法は公害の防止が中心でしたが、環境基本法は地球環境保全や持続可能な社会の構築まで対象を広げ、環境政策全体の基本法となりました。
Q8環境白書はどこで読めますか?
環境省のウェブサイトで無料公開されています。環境基本法12条に基づく国会への年次報告を基にしており、国の施策の進み具合を確認できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国が温暖化対策をサボってたら、国を訴えられるんですか?
6条だけを根拠にした訴えは、実務上認められにくい。本条は抽象的な責務規定と解されているからだ。現実的な勝ち筋は、個別法上の規制権限を使わなかったことを国家賠償法1条で問う形である。実務のポイント:日本でも気候変動訴訟は起こされているが、請求が認められた例は現時点では見当たらない(最新の動向をご確認ください)。多くは勝敗よりも、情報開示と世論への働きかけを狙う戦略訴訟として設計されている
Q2環境基本計画って、守らなくても罰則ないんですよね?
計画自体に罰則はない。ただし15条に基づいて閣議決定されるもので、政府全体の施策の指針になる。12条の年次報告で進み具合が国会に示されるため、目標に届かなければ政治的な説明責任に直結する。実務のポイント:自治体の環境計画や企業のサステナビリティ報告は、国の計画の用語や目標年を下敷きにしていることが多い。国の計画を先に読んでおくと、取引先の方針転換を先読みできる
Q3国と自治体、どっちに文句を言えばいいの?
環境基本法は、国の責務(6条)と地方公共団体の責務(7条)を分けて定めている。工場への改善命令のような実際の規制権限は、大気汚染防止法や水質汚濁防止法で都道府県知事などに与えられていることが多い。実務のポイント:苦情窓口では「国の基準の問題です」と言われがちだが、基準を守らせるための監視と命令の権限は、多くの場合目の前の自治体にある。権限を持つ者を条文で名指しすると、対応の速さが変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「国に責務がある」と書かれているのだから、国に環境対策の実施を裁判で求められると考えがちだ。しかし本条は一般に抽象的な責務規定と解されていて、個人に具体的な請求権を与えるものではないとされる。いわゆる「環境権」も、現行法に明文で定められた権利としては認められていない
- 「環境問題は国がやるべきか、企業がやるべきか」という問いの立て方自体がずれている。環境基本法は、国(6条)、地方公共団体(7条)、事業者(8条)、国民(9条)の四者にそれぞれ責務を割り振っている。責任の押し付け合いができない作りになっている
- 責務規定はお飾りだという理解は半分しか正しくない。本条を受けて政府は環境基本計画を定め、毎年、環境の状況と講じた施策を国会に報告する(12条)。そこに書かれた数値目標と進み具合は、行政に説明を求めるときに使える、国自身が認めた公式資料になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責務の主体 | 環境基本法6条:国 | 環境基本法7条:地方公共団体 環境基本法8条:事業者 |
| 責務の内容 | 基本的かつ総合的な施策の策定・実施 | 国の施策に準じた施策と、区域の自然的社会的条件に応じた施策の策定・実施 事業活動に伴う公害防止・自然環境の適正な保全のための措置 |
| 具体化する仕組み | 環境基本計画(15条)、国会への年次報告(12条)、個別規制法 | 地域の環境基本条例・環境基本計画、個別法上の知事・市町村長の権限 個別規制法の排出基準・届出義務等 |
| 個人が直接求められるか | 本条のみを根拠とする請求は困難(抽象的責務規定) | 本条のみでは困難、個別法の権限行使を求める形が現実的 本条のみでは困難、民法709条や個別法違反を根拠に争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も国民・事業・各級政府が共同で環境保護の義務と責任を負うとする責務分担型で、日本の四者責務構造と近い。
韓国は国家と地方自治体の責務を一つの条文で定める。基本計画を通じた具体化という構造は日本と類似する。
ドイツは憲法レベルで環境保護を国家目標として定める。個人の主観的権利を直接与えない点は日本の責務規定と共通する。
米国 NEPA も連邦政府の環境政策上の責任を宣言する。実効性は §102の環境影響評価手続を通じて担保される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 近所の川が年々濁っていく。市役所に言うと「県の所管」、県に言うと「国の基準内」とたらい回しにされる。6条の国の責務を持ち出しても窓口は動かない。動くのは、水質汚濁防止法の排水基準と、都道府県知事の改善命令権限を名指しした書面が届いたときである
- もし国が健康被害を知りながら規制を何年も放置していたら、国家賠償を請求できるのか? 6条違反だけを理由にした請求は通りにくい。ただし筑豊じん肺訴訟(最判平成16.4.27)と水俣病関西訴訟(最判平成16.10.15)で、最高裁は個別法上の規制権限を行使しなかったことを違法と認めた。争点は抽象的な「責務」ではなく、具体的な「権限を使わなかったこと」である
- あなたは市の環境部局の担当者で、住民説明会で「国の責務なのに市は何をしているのか」と詰め寄られた。7条は地方公共団体にも独自の責務を課している。「それは国の仕事です」という答弁は、条文上通らない
- 環境省が新しい計画案への意見募集を始めた。締切はおおむね30日後。6条の責務を具体化する設計図に、市民が文章で直接かかわれる数少ない窓口である
- 脱炭素投資の社内稟議で「国の方針はどうせ変わる」と反対された。国には施策を策定し実施する法律上の責務がある。方向性は閣議決定された計画で確認できる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害を記録する:日時、臭いや水の色の写真、体調不良の受診記録を残す2. 個別法を特定する:大気なら大気汚染防止法、水なら水質汚濁防止法、騒音なら騒音規制法。規制権限は多くの場合、都道府県知事や市町村長にある3. 行政手続法36条の3に基づき、書面で処分等を求める4. 解決しなければ、公害紛争処理法に基づく都道府県公害審査会の調停や、公害等調整委員会の手続を検討する
訴えられた側:国や自治体の担当者として責務違反を指摘されたら、本条は抽象的な責務規定であり、それだけで直ちに違法とはならないと整理する。そのうえで、実施中の施策と環境基本計画での位置付けを示し、説明責任を果たす。事業者が住民に「国の責任だ」と反論するのは逆効果になる。8条は事業者自身にも公害防止の責務を課しているため、個別法の基準を満たしていることを記録で示すのが最善の防御になる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。規制権限の不行使を理由とする国家賠償請求は国家賠償法4条で民法が適用され、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年(民法724条、724条の2)。意見募集は通常30日程度で締め切られる
学説
通説:環境基本法6条は国の政策上の責務を宣言した抽象的な規定であり、それ自体から国民の具体的な請求権や、国の特定の作為義務が直接導かれるものではない。責務の具体化は環境基本計画と個別法に委ねられる。
環境権論:良好な環境を享受する権利を憲法13条・25条から導き、国の責務規定をその裏付けとして位置付ける見解。学説上の主張は根強いが、現行法に明文はなく、裁判例でも独立の権利としては認められていないのが一般的である。
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年) 公害対策基本法に代わる環境基本法の制定により設けられた。制定後に本条の文言が改正されたかどうかは、人による確認が必要
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 新設:公害対策基本法に代わる環境政策の基本法として環境基本法が制定され、国の責務を定める規定として本条が設けられた。
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