環境基本法 第7条(地方公共団体の責務)
クイックジャンプ
地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
この条文の基本情報
地方公共団体の責務とは何ですか?
定義地方公共団体の責務とは、環境基本法第7条に定められた規定で、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 環境基本法第7条(地方公共団体の責務)は、日本の環境基本法に含まれる条文です。
- 環境基本法第7条の条文原文は「地方公共団体は、基本理念にのっとり、環境の保全に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する…」で始まります。
- 環境基本法第7条は第一章 総則に置かれています。
- 環境基本法の公布日は平成5年11月19日です。
- 環境基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 環境基本法第7条の前の条は環境基本法第6条です。
- 環境基本法第7条の次の条は環境基本法第8条です。
- 環境基本法第7条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第7条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091 - 本サイト収録
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第7条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/405AC0000000091/7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点環境基本法7条は、地方公共団体に、国の施策に準じた施策と地域の自然的社会的条件に応じた独自施策を策定・実施する責務を課す。住民の請求権は直接生じない。
Q · 環境問題って国の仕事じゃないの?市や県にも責任があるの?
ある。国準拠と地域独自の環境施策を行う責務がある
環境基本法7条により、都道府県や市町村などの地方公共団体は、国の施策に準じた施策と、その区域の自然的社会的条件に応じた独自の施策を策定・実施する責務を負います。上乗せ排水基準やメガソーラー規制条例などはこの流れにあります。ただし本条は責務規定で、住民が本条だけを根拠に自治体を訴えることは難しいと一般に解されています。
解説
国が決めた環境基準は、多くの場合「最低ライン」にすぎない。環境基本法7条は、都道府県や市町村(地方公共団体)に二つの仕事を課している。一つは国の施策に準じた施策。もう一つは、その土地の「自然的社会的条件」に合わせた独自の施策である。後者があるからこそ、東京都はディーゼル車の排ガス規制や大規模事業所の CO2排出量取引を条例で始めた。各地の自治体がメガソーラーの設置を規制する条例を作ってきたのも同じ流れである。ただし落とし穴がある。本条は自治体に「責務」を課すにとどまり、住民が「この条文を守れ」と裁判で直接求められる権利までは与えていない、というのが一般的な理解だ。だから使い方が大事になる。工場の悪臭、夜中まで続く機械音、裏山の伐採。最初に動かす相手は霞が関ではなく、市役所や県庁の環境担当課である。担当者を動かす根拠の一つが、この一文だ。
法的な位置づけ
環境基本法7条は地方公共団体の責務を定める規定であり、地方公共団体が同法の基本理念にのっとり、環境の保全に関して、国の施策に準じた施策及びその区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、実施する責務を有する旨を規定する。国の責務(同法6条)と対をなし、具体的施策は同法36条で具体化される。
よくある質問 AI による整理
Q1環境基本法7条とは何ですか?
都道府県や市町村に、国に準じた環境施策と、地域の自然的社会的条件に応じた独自の環境施策を策定・実施する責務を課す条文です。
Q2上乗せ条例とは何ですか?
国の法律が定める基準より厳しい基準を、自治体が条例で定めるものです。大気汚染防止法4条や水質汚濁防止法3条3項が明文で認めています。
Q3工場の騒音 相談先はどこ?
市区町村の環境担当課が基本です。騒音規制法では、規制基準違反の工場への改善勧告・改善命令は市町村長の権限とされています(同法12条)。
Q4メガソーラー 条例で規制できる?
自治体が独自の条例で届出、住民説明、設置を抑える区域の指定などを定める例があります。対象や効力は条例ごとに異なるため、例規集で確認が必要です。
Q5環境基本計画 自治体 どこで見られる?
多くの自治体は環境基本計画を公式サイトの環境部局ページで公開しています。改定時にはパブリックコメントで意見を出せる場合があります。
Q6住民監査請求 いつまで?
原則として財務会計上の行為があった日から1年以内です(地方自治法242条2項)。正当な理由がある場合は例外が認められることがあります。
Q7環境条例違反 罰則はある?
条例には2年以下の懲役(拘禁刑)や100万円以下の罰金などの罰則を設けることができます(地方自治法14条3項)。実際の罰則は条例ごとに確認します。
Q8条例の制定を住民が求めることはできる?
有権者の50分の1以上の署名を集めれば、条例の制定・改廃を首長に直接請求できます(地方自治法74条)。議会で可決されるかは別問題です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1国の基準より厳しい条例って、そもそも作っていいの?
法律の範囲内であれば作れる(日本国憲法94条)。最高裁は徳島市公安条例事件(最大判昭和50.9.10)で、条例が法律に反するかどうかは、両者の趣旨・目的・内容・効果を比べて判断すると示した。大気汚染防止法4条のように、上乗せを明文で認める法律もある。実務のポイント:もめやすいのは、法律が明文で認めていない「横出し」規制や、条例ではなく要綱による事実上の強制の方だ。条例か要綱かで拘束力はまったく違う
Q2近所の工場がうるさいとき、警察と市役所どっちに言えばいいの?
工場や建設作業の騒音が続いているなら、まず市区町村の環境担当課だ。騒音規制法では、規制基準に違反した工場への改善勧告や改善命令は市町村長の権限とされている(騒音規制法12条)。実務のポイント:苦情は電話より文書、一回きりより記録付きの方が強い。騒音計で実測してくれる自治体もあり、その測定値が勧告に向けた出発点になる
Q3市が環境をまったく守ってくれない。7条違反で訴えられる?
本条だけを根拠に訴えるのは難しいと一般に解されている。責務規定は、具体的な義務の中身まで定めていないからだ。実務のポイント:勝負の場は別にある。緑地の売却や補助金の支出のように、お金や財産が動いた場面なら、住民監査請求(地方自治法242条)とその後の住民訴訟(同242条の2)で争える。環境問題を財務会計の問題に置き換えられるかどうかが分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「環境問題は国の仕事だから、市役所に言っても無駄」と思われがちだが、法律はむしろ逆の作りになっている。騒音規制法や水質汚濁防止法など多くの公害規制法では、規制地域の指定、改善勧告、改善命令といった現場の権限が都道府県知事や市町村長に置かれている。最初に叩く扉を間違えると、数か月を無駄にする
- 「7条違反で市を訴えられるか」という問い自体がずれている。本条は責務規定であり、具体的な作為義務や住民の請求権を直接生むものではないと一般に解されている。実際に争う土俵は、個別法に基づく処分の取消訴訟・義務付け訴訟、住民監査請求と住民訴訟、国家賠償の方にある
- 事業者の目線では「国の基準さえ守れば安全」。だが法律の目線では、国の基準は地域ごとに上乗せされうる床にすぎない。大気汚染防止法4条や水質汚濁防止法3条3項は、都道府県が条例でより厳しい基準を定めることを明文で認めている。立地を決める前に県条例を確認しなかった会社は、このずれのせいで設備投資をやり直すことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責務の主体 | 環境基本法7条:地方公共団体 | 環境基本法6条:国 環境基本法36条:地方公共団体(施策の実施) |
| 規定の性格 | 責務規定(施策を策定・実施する責務) | 責務規定(基本的かつ総合的な施策の策定・実施) 施策実施の方針規定(総合的・計画的な推進) |
| 施策の範囲 | 国に準じた施策+区域の自然的社会的条件に応じた施策 | 全国を対象とする基本的・総合的施策 第5節の国の施策に準じた施策+地域の条件に応じた施策 |
| 住民にとっての意味 | 自治体窓口に対応を求める際の根拠の一つ | 国の環境政策全体の出発点 自治体の環境基本計画・条例を読む際の手がかり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の環境基本法も国民・事業者・各級政府が環境保護の責任を共に負う構造をとり、地方政府の役割を定める点で日本と近い。
韓国も国家と地方自治団体の責務を一つの条文で定め、地方自治団体に地域の環境条件に応じた計画の策定・実施を求める。
中国は地方各級人民政府が行政区域の環境質に責任を負うと定め、日本の責務規定より結果責任の色彩が強い。
米国は連邦政府が州・地方政府と協力して環境政策を進めると定める。州法による独自規制が広く認められる連邦制の構造。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 隣の空き地が太陽光パネルで埋まると聞いた。「国の法律では止められない」と言われたが、本当だろうか? 県や市が独自のメガソーラー規制条例を持っていれば、届出、住民説明、設置を抑える区域の定めなどが適用される場合がある。最初にやることは、自治体の例規集(条例や規則をまとめたデータベース)の検索である
- あなたは小さな食品工場の経営者。国の排水基準はクリアしているはずなのに、県から「基準超過」の指摘を受けた。県が水質汚濁防止法3条3項に基づき、条例でより厳しい上乗せ排水基準を定めていたのだ。「国の基準は守っていた」という言い分は通らない
- 夜10時を過ぎても工場の低い機械音が止まらない。電話すべき先は警察ではなく、市役所の環境担当課である
- 市の保全緑地が開発業者に売却されたと、市議会だよりで知った。公有財産の処分に問題があると考えるなら、住民監査請求の期限は原則として売却などの行為から1年。残りの月数を今夜のうちに数えておきたい
- 県の環境審議会で委員を公募していて、応募しようか迷っていると友人から相談された。自治体の環境基本計画は、こうした審議会での議論を経て作られる。地域独自の施策の中身は、委員の一言やパブリックコメント一通で変わることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 騒音・悪臭・排水・伐採の被害を、日時入りの写真や動画で記録する2. 市区町村の環境担当課に公害苦情として相談する(公害紛争処理法49条)。国の窓口より先にここへ行く3. 例規集で環境基本条例や太陽光規制などの個別条例を確かめ、該当条項を示して文書で対応を求める4. それでも解決しなければ、都道府県の公害審査会等への調停申請、あるいは条例の制定・改廃の直接請求(地方自治法74条、有権者の50分の1以上の署名)も選択肢になる
訴えられた側:1. 自治体からの指導が、条例に基づく命令や勧告なのか、法的拘束力のない行政指導なのかを書面で確かめる2. 行政指導であれば、地方公共団体の行政指導には行政手続法ではなく各自治体の行政手続条例が適用される(行政手続法3条3項)。趣旨や責任者を書面で示すよう求められる場合がある3. 上乗せ基準や横出し規制が法律の範囲を超えていないか(日本国憲法94条)を専門家と検討する4. 争う前に改善計画を出し、協議の記録を残す
時効(請求できる期限):本条そのものに時効はない。ただし関連する手段には期限がある。住民監査請求は、原則として財務会計上の行為があった日から1年以内(地方自治法242条2項)。住民訴訟は、監査結果の通知などから30日以内(同242条の2第2項)。個別法に基づく処分の取消訴訟は、処分があったことを知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)
学説
通説:本条は地方公共団体の責務を宣言する規定であり、具体的な作為義務や住民の請求権を直接生じさせない。自治体の独自施策の正当化根拠として機能し、その外枠は憲法94条と個別法の上乗せ・横出し許容範囲で決まる。
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年)制定 公害対策基本法(昭和42年)を廃止し、環境基本法を制定した際に設けられた条文。旧法にあった地方公共団体の責務規定を受け継ぎ、地球環境保全や自然環境まで視野に入れた「環境の保全」全般の責務として位置付けた
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 新設:公害対策基本法を廃止して環境基本法を制定した際に新設。旧法の地方公共団体の責務規定を引き継ぎ、地球環境保全や自然環境を含む環境の保全全般に責務の対象を広げた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める