保険業法 第12条(取締役等の資格等)
クイックジャンプ
- 株式会社に対する会社法第三百三十一条第一項第三号(取締役の資格等)(同法第三百三十五条第一項(監査役の資格等)及び第四百二条第四項(執行役の選任等)において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同号中「この法律」とあるのは、「保険業法、この法律」とする。
- 2.心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者は、株式会社の取締役、執行役又は監査役となることができない。
- 3.会社法第三百三十一条第二項ただし書(同法第三百三十五条第一項において準用する場合を含む。)、第三百三十二条第二項(取締役の任期)(同法第三百三十四条第一項(会計参与の任期)において準用する場合を含む。)、第三百三十六条第二項(監査役の任期)、第三百八十九条第一項(定款の定めによる監査範囲の限定)及び第四百二条第五項ただし書の規定は、株式会社については、適用しない。
この条文の基本情報
取締役等の資格等とは何ですか?
定義取締役等の資格等とは、保険業法第12条に定められた規定で、「株式会社に対する会社法第三百三十一条第一項第三号(取締役の資格等)(同法第三百三十五条第一項(監査役の資格等)及び第四百二条第四項(執行役の選任等)において準用…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第12条(取締役等の資格等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第12条の条文原文は「株式会社に対する会社法第三百三十一条第一項第三号(取締役の資格等)(同法第三百三十五条第一項(監査役の資格等)及び第四百二条第四項(執行役の選任等)において準用…」で始まります。
- 保険業法第12条は第一節 保険業を営む株式会社の特例に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第12条の前の条は保険業法第11条です。
- 保険業法第12条の次の条は保険業法第13条です。
- 保険業法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法12条は保険会社の役員資格に関する会社法の特則で、非公開会社であっても取締役の任期伸長や監査範囲の会計限定は認められず、保険業法違反の刑も欠格事由となる。
Q · 保険会社でも、非公開会社なら取締役の任期を10年に伸ばせますか?
できません。保険会社には任期伸長の特例が適用されません
保険業法12条3項が会社法332条2項の適用を除外しているため、保険会社は株式を公開していなくても取締役の任期を10年に伸長できません。原則どおり取締役は2年、監査役は4年です。あわせて監査役の監査範囲を会計に限定する会社法389条1項、役員を株主に限る定款を認める会社法331条2項ただし書も適用されません。会社法だけを前提に組み立てた定款案は、認可の事前相談でほぼ確実に指摘されます。
解説
会社法の解説書には、非公開会社ならこう設計できる、という定番の技がいくつも並んでいる。取締役の任期は10年まで伸ばせる。監査役の仕事は会計チェックだけに絞れる。役員は株主に限定できる。中小企業の定款では、どれも当たり前に使われている条項だ。保険業法12条3項は、その定番をまとめて封じる。保険会社である以上、株式を一切公開していなくても、取締役の任期は原則2年、監査役は4年、監査役は必ず業務監査の権限を持ち、役員を株主に限る定款も書けない。さらに2項は、心身の故障のため職務を適正に執行できない者を内閣府令で定めて欠格とし、1項は会社法331条1項3号の読み替えによって、保険業法違反で受けた刑まで欠格事由の射程に引き込む。あなたが保険会社の人事や定款に触れる立場なら、会社法だけを読んで作った案は、ほぼ確実にどこかで撃ち落とされる。
法的な位置づけ
保険業法12条は、保険会社である株式会社の取締役・執行役・監査役の資格について会社法の特則を定める規定である。会社法331条1項3号の欠格事由に保険業法違反の刑を加え、心身の故障のため職務を適正に執行することができない者を内閣府令で定めて欠格とし、非公開会社に認められる任期の伸長および監査範囲の会計限定に関する規定を適用除外とする。
手順
- 1.定款案を開いたら任期条項と監査範囲条項を先に見る 親会社やテンプレートから流用した定款案は、取締役の任期10年、監査役の監査範囲を会計に限定、役員を株主に限る、の三点が入っていないかを最初に確認する。いずれも保険業法12条3項により保険会社では効力を持たない
- 2.役員候補の欠格事由を書面で確認する 会社法331条1項各号に加え、保険業法12条1項の読み替えにより保険業法違反の刑も欠格事由に入る。候補者本人の記憶頼みのヒアリングでは足りないため、欠格事由確認書に署名を得たうえで、官報および処分公表の照合を行う
- 3.刑の執行を終えた日を特定して2年を計算する 起算点は判決確定日ではなく、刑の執行を終えた日または執行を受けることがなくなった日である。罰金であれば納付が完了した日を領収書等で確定させ、選任予定日までに2年を経過しているかを計算する
- 4.招集通知の発送前に候補者を確定させる 発送後に欠格事由が判明すると、議案の差し替えと招集通知のやり直しが必要になり、総会日程そのものが後ろへずれる。確認作業は招集通知の発送期限から逆算して十分な余裕をもって完了させる
- 5.会社法の原則に戻して任期満了時期を再計算する 任期伸長の定款条項が無効となる場合でも、直ちに全役員の地位が消えるわけではない。取締役2年(会社法332条1項)、監査役4年(同336条1項)の原則で任期満了時期を計算し直し、必要なら選任やり直しと登記補正を行う
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法12条とは何ですか?
保険会社である株式会社の取締役・執行役・監査役の資格について、会社法の特則を定める規定です。欠格事由の拡張(1項・2項)と、非公開会社向け緩和規定の適用除外(3項)の二本立てになっています。
Q2保険会社で役員を株主に限る定款は書けますか?
書けません。会社法331条2項ただし書は非公開会社に限り役員を株主に限定する定款を認めますが、保険業法12条3項がその適用を除外しています。監査役についても同様です(会社法335条1項の準用部分)。
Q3執行役にも同じ資格制限がかかりますか?
かかります。12条1項は会社法402条4項の準用場面を明示し、2項も取締役・執行役・監査役を並べて規定しています。指名委員会等設置会社を選んでも資格制限から逃れることはできません。
Q4「心身の故障」に当たるかは誰が判断しますか?
12条2項は「内閣府令で定める者」と委任しており、具体的な基準は内閣府令に置かれます。属性ではなく職務を適正に執行できるかという機能で線を引く建て付けのため、実務上は医師の診断等を踏まえた個別判断になります。
Q5保険会社では会計参与の任期も伸ばせませんか?
伸ばせません。12条3項は会社法332条2項について、会計参与の任期に準用される同法334条1項の場合を含めて適用除外としています。会計参与を置いても任期伸長の効果は得られません。
Q6欠格事由のある人を役員に選任してしまったらどうなりますか?
選任決議は決議内容の法令違反として無効を主張される余地があります(会社法830条2項)。実務上は臨時株主総会での選任やり直しと登記の補正、監督当局への報告要否の検討を同時並行で進めることになります。
Q7相互会社の役員にも12条は適用されますか?
12条の文言は「株式会社に対する」「株式会社の取締役、執行役又は監査役」と限定されています。相互会社については保険業法の別の条文群が規律するため、条文を取り違えないよう適用対象を必ず確認してください。
Q8任期が満了したのに後任がいない場合、その役員はどうなりますか?
会社法346条1項により、後任者が就任するまで引き続き役員としての権利義務を有します。ただし登記上は任期満了の事実が残るため、放置すると過料や登記補正の問題につながります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社の取締役の任期って、10年に伸ばせないんですか?
伸ばせない。会社法332条2項は非公開会社に限って任期を最長10年まで伸長できるとするが、保険業法12条3項がその適用を丸ごと外している。非公開でも取締役は原則2年(会社法332条1項)、監査役は4年(同336条1項)で改選が回る。実務のポイント:効いてくるのは登記費用ではなく解任リスクだ。任期が短いほど、次の定時総会で入れ替える正規ルートが早く来る。解任決議という荒業を使わずに役員構成を替えられる
Q2うちは株式非公開なんですが、監査役の仕事を会計監査だけに限定できますよね?
保険会社ではできない。会社法389条1項は非公開会社に監査範囲の会計限定を認めるが、保険業法12条3項がこれを適用除外にしている。保険会社の監査役は、必ず業務監査の権限と義務を持つ。実務のポイント:会計限定なら見なくてよかった引受・支払審査・与信の現場が、そのまま監査役の責任範囲に入る。就任を打診されたら、報酬より先に内部監査部門と直結する情報経路があるかを確認する
Q3昔、保険業法違反で罰金を払ったことがあります。もう役員は無理ですか?
永久に無理ではない。会社法331条1項3号は、刑の執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者を欠格とし、保険業法12条1項の読み替えで保険業法違反の刑もこの枠に入る。裏を返せば、2年を過ぎれば資格は戻る(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:起算点は判決確定日ではなく、罰金を納め終えた日である。納付が遅れるほど、復帰できる日も後ろへずれる
Q4成年後見が付いている人は、そもそも役員になれないのでは?
その前提はすでに古い。2019年(令和元年)の欠格条項見直しで、成年被後見人・被保佐人を一律に欠格とする規定は廃止され、会社法331条の2が就任承諾の手続を定めている。保険業法12条2項は「心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者」という機能基準に置き換わった。実務のポイント:属性ではなく機能で判定する建て付けなので、後見が付いていない現職役員でも、重い疾患で判断能力が落ちれば射程に入りうる
間違えやすい点 AI による整理
- 「成年後見が付いた人は役員になれない」という前提そのものが、すでに古い。2019年(令和元年)の欠格条項見直しで、成年被後見人・被保佐人を一律に排除する規定は削除された。今の12条2項は「心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者」という機能基準に置き換わっている。属性で聞く質問は、もう答えを持っていない
- 12条3項が適用除外規定であることは知っていても、その効果が二方向に走っていることまでは追えていない人が多い。一方は任期、つまり改選と登記が回る頻度。もう一方は監査役の権限範囲、つまり与信・引受・支払審査の現場まで監査役の責任が及ぶかどうか。後者は、就任を受けるかどうかの判断そのものを変える
- あなたから見れば、これは社内の人事と定款文言の話だ。監督当局から見れば、保険業を的確に遂行できる人的構成があるかという適格性審査の一部である。この落差に気付かないまま「形式は整えた」と報告すると、事前相談の席で前提から崩される
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 保険業法12条:役員(取締役・執行役・監査役)の資格そのもの | 会社法331条:株式会社一般の取締役の資格等(一般法) 保険業法133条:法令違反時の業務改善命令・免許取消し等の監督処分 |
| 効果が発生する場面 | 選任時および在任中(欠格事由該当で資格を失う/定款条項が効力を持たない) | 選任時(欠格事由該当者は取締役となれない) 違反発生後(当局の処分として役員の解任等を求められる) |
| 誰が動かすか | 会社自身(定款設計・候補者選定の段階で自律的に遵守) | 会社自身(会社法上の一般的な適法性確保) 監督当局(内閣総理大臣・金融庁) |
| 違反したときのコスト | 定款の作り直し、選任やり直し、登記補正、認可の事前相談での差戻し | 選任決議の無効、登記の却下 業務改善命令・業務停止・免許取消しという事業継続そのものへの打撃 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保険業の負責人(責任者)について、主管機関が定める準則で積極的資格要件と消極的欠格要件を細かく規定する。日本が会社法の適用除外という形で緩和を封じるのに対し、台湾は独立した資格基準準則を置く点が対照的
韓国は2016年以降、保険会社を含む金融会社の役員資格要件を単一の지배구조法に集約した。業法ごとに散在していた規定を横断法へ統合した点で、日本の業法個別方式と設計思想が異なる
ドイツは Geschäftsleiter に fachliche Eignung(専門的適性)と Zuverlässigkeit(信頼性)を要求する監督法型の規律。欠格事由の列挙ではなく監督当局による適格性審査を中核に置く
米国は州ごとの保険法により、役員就任時に biographical affidavit の提出と州保険局の審査を求める運用が一般的。連邦統一法ではなく州単位の事前審査で担保する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険子会社の設立準備で、あなたは親会社のテンプレ定款をそのまま流用した。取締役の任期は10年、監査役の監査範囲は会計に限定。会社法上はどちらも完全に適法な条項だ。だが保険業法12条3項が、この二つを同時に無効化する。認可の事前相談で指摘されれば、定款を作り直し、発起人の同意を取り直すところからやり直しになる
- もし、来月の定時株主総会で選任予定の監査役候補が、3年前に保険業法違反で罰金刑を受けていたと今日わかったら? 刑の執行を終えた日から2年を過ぎていれば選任できる。過ぎていなければ候補者を差し替え、招集通知を出し直すしかない。判定を分けるのは、納付が完了した日付ひとつだ
- 登記所から補正の連絡が入る。取締役の任期を10年とする定款の記載が、保険会社では効力を持たないためだ。任期満了は、2年前にすでに来ていた
- 招集通知の発送期限まであと5日。役員候補6名の欠格事由チェックが、まだ2名分終わっていない。会社法331条1項各号に加えて保険業法違反の有無まで洗う必要があり、本人の記憶頼みのヒアリングでは足りない。官報と処分公表の照合が今夜から始まる
- あなたが保険会社の株主として総会に出席し、選任議案の候補者が、明らかに職務を執行できる状態にないと感じた。法律が属性ではなく職務執行能力で線を引いていると知っていれば、その場で投げる質問の切り口が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 選任された役員に欠格事由があると疑うなら、登記簿と総会議事録で選任日・就任承諾の有無を確認する2. 会社法331条1項各号に加え、保険業法違反の刑の有無を官報や処分公表で照合し、刑の執行終了日から2年を経過しているかを計算する3. 欠格者の選任は決議内容の法令違反として無効を主張する余地がある(会社法830条2項、出訴期間の制限なし)。手続の瑕疵を争うなら決議取消しの訴えで決議の日から3か月(同831条1項) 4. 監督当局への情報提供という経路も並行して存在する
訴えられた側:1. 指摘を受けたら、まず起算点を特定する。刑の執行を終えた日から2年を経過していれば資格は回復しており、争う余地がある2. 定款条項が12条3項に触れる場合、その条項が効力を持たないだけで、直ちに全役員の地位が消えるわけではない。会社法の原則(取締役2年、監査役4年)に戻して任期満了時期を計算し直す3. 必要なら臨時株主総会で選任をやり直し、登記を補正する4. 当局への報告の要否を、法務・コンプライアンス部門と同日中に詰める
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。争う場面での期限は、株主総会決議の取消しの訴えが決議の日から3か月(会社法831条1項)、決議内容の法令違反を理由とする無効確認の訴えは期間制限なし(同830条2項)。資格側の時間軸は、刑の執行を終えた日または執行を受けることがなくなった日から2年(会社法331条1項3号、保険業法12条1項の読み替え適用)。任期の起算は、取締役が選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時(会社法332条1項)、監査役は4年(同336条1項)で、保険会社はこれを伸長できない
学説
通説:12条3項の適用除外は、契約者から長期間にわたり資金を預かる保険会社について、株式が非公開であることを理由とするガバナンスの緩和を一切認めない趣旨と解される。閉鎖性の利益は株主に、そのリスクは契約者に帰属するという非対称を遮断する規定と位置づけられる
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)欠格条項の適正化 成年被後見人・被保佐人を一律に欠格とする条項が削除され、代わりに「心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者」という機能基準の規定が置かれた。属性による一律排除から職務執行能力による個別判断への転換(施行日と項番号の対応は要検証)
- 平成17年(2005年)会社法制定に伴う整備 旧商法の条文引用が会社法の条番号に置き換えられ、読み替え規定と適用除外規定が整理された(改正の具体的範囲は要検証)
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 新設:保険業法の全部改正により制定。旧商法の規定を前提とした役員資格の特則として、欠格事由の拡張と機関設計緩和規定の適用除外が置かれた(条文番号の変遷は要検証)
- 2.平成17年(2005年) 改正:会社法の制定に伴う関係法律の整備により、旧商法の条文引用が会社法の条番号へ置き換えられ、読み替え規定と適用除外規定が整理された(改正の具体的範囲は要検証)
- 3.令和元年(2019年) 改正:成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化を図る一連の法整備により、成年被後見人・被保佐人を一律に欠格とする条項が削除され、心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者という機能基準に置き換えられた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める