保険業法 第231条(免許の取消し等)
クイックジャンプ
- 内閣総理大臣は、免許特定法人又は引受社員が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、引受社員の日本における業務の全部若しくは一部の停止若しくは日本における代表者の解任を命じ、又は第二百十九条第一項の免許を取り消すことができる。
- 一法令(外国の法令を含む。)、法令に基づく内閣総理大臣の処分又は第二百二十条第三項第一号から第四号までに掲げる書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反したとき。
- 二当該免許に付された条件に違反したとき。
- 三公益を害する行為をしたとき。
この条文の基本情報
免許の取消し等とは何ですか?
定義免許の取消し等とは、保険業法第231条に定められた規定で、「内閣総理大臣は、免許特定法人又は引受社員が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、引受社員の日本における業務の全部若しくは一部の停止若しくは日本における…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第231条(免許の取消し等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第231条の条文原文は「内閣総理大臣は、免許特定法人又は引受社員が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、引受社員の日本における業務の全部若しくは一部の停止若しくは日本における…」で始まります。
- 保険業法第231条は第六節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第231条の前の条は保険業法第230条です。
- 保険業法第231条の次の条は保険業法第232条です。
- 保険業法第231条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第231条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第231条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/231
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法231条は、免許特定法人や引受社員が法令(外国の法令を含む)違反、免許条件違反、公益を害する行為をしたとき、内閣総理大臣が業務停止、日本における代表者の解任、免許取消しを命じられると定める。
Q · ロイズ経由の保険、引受側が英国で処分されたら日本の免許も飛ぶの?
飛びうる。1号が「外国の法令を含む」と明記している
飛びうります。保険業法231条1号は違反の対象となる法令について「外国の法令を含む」と明記しており、本国や第三国での規制違反も日本の免許取消事由になりえます。処分の選択肢は業務の全部・一部停止、日本における代表者の解任、219条1項の免許取消しの三段階で、いずれも内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)の権限です。さらに3号「公益を害する行為」は具体的な法令違反を要件としない包括条項であり、行政裁量の幅が広い点に注意が必要です。
解説
ロイズ・オブ・ロンドン。この名前を聞いたことがあるなら、あなたはすでに本条の射程内にいる。保険業法231条は、日本で保険を引き受ける「免許特定法人」と、その傘下で実際にリスクを引き受ける「引受社員」に対して、内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)が振り下ろせる最重量級の処分を定めている。業務停止、日本における代表者の解任、そして免許取消し。注目すべきは第一号の括弧書きだ。「法令(外国の法令を含む。)」。つまり英国本国の規制に違反しただけで、日本の免許が飛ぶ設計になっている。国内で一件の事故も起こしていなくても、である。さらに第三号の「公益を害する行為」は、具体的な法令違反すら不要な包括条項だ。あなたが企業のリスクマネジメント担当で、海外の特殊リスク(船舶、航空、美術品、サイバー、興行中止)をロイズ経由で手当てしているなら、その保険の生殺与奪を握る条文がこれである。
法的な位置づけ
保険業法231条は、免許特定法人および引受社員に対する監督上の不利益処分を定める規定である。法令違反(外国の法令を含む)、免許条件違反、公益を害する行為を事由として、内閣総理大臣が日本における業務の停止、日本における代表者の解任、または219条1項の免許取消しを命じることができる。国内保険会社に対する133条、外国保険会社等に対する205条と対応する位置にある。
よくある質問 AI による整理
Q1免許特定法人とは何ですか?
保険業法219条以下に基づき、日本で保険引受を行う免許を受けた特定法人です。実務上はロイズ市場を念頭に置いた制度で、免許は組織体に与えられ、リスク引受は個々の引受社員が行う二層構造です。
Q2保険業法231条の処分は誰が出しますか?
条文上は内閣総理大臣ですが、実務上は金融庁長官に委任されています。処分内容は金融庁の行政処分公表ページで確認できます。
Q3外国の法令違反で日本の免許は取り消せる?
取り消せます。231条1号は「法令(外国の法令を含む。)」と明記しており、日本国内で違反がなくても本国や第三国での違反が取消事由になりえます。
Q4日本における代表者の解任命令とは?
行政庁が民間法人の個人の地位を直接剥奪する命令です。株主総会決議も会社法上の解任手続も不要で、行政庁の命令一本で職を失う極めて強い介入手段です。
Q5公益を害する行為とは具体的に何ですか?
条文に定義はなく行政庁の裁量的判断に委ねられた包括条項です。反社会的勢力との関係、著しく不適切な保険金不払いなどが想定されますが、外延については解釈が分かれています。
Q6業務停止命令が出たら既存契約はどうなる?
業務停止は将来に向けた業務の禁止であり、既契約に基づく保険金支払義務が当然に消滅するわけではありません。ただし免許取消しに至れば清算段階に入り、支払いの確実性は揺らぎます。
Q7231条の処分は争えますか?
争えます。不利益処分の前に行政手続法13条の聴聞があり、処分後は審査請求(行政不服審査法)と取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)が可能です。
Q8処分を争う期限はいつまでですか?
審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)が原則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1免許特定法人って結局ロイズのことですか?
保険業法上は「特定法人」という一般的な枠組みですが、実務上これに該当するのはロイズ市場を念頭に置いた制度設計です(保険業法219条以下)。免許は組織体に与えられ、実際のリスク引受は個々の引受社員が行う二層構造になっています。実務のポイント:この二層構造のため、処分が「法人」に向くか「引受社員」に向くかで契約への影響範囲が全く違う。証券に書かれた引受主体の名称を確認しておくと、ニュースを見た瞬間に自社への影響が判断できる
Q2業務停止命令が出たら、すでに入っている保険は無効になるんですか?
無効にはなりません。業務停止は将来に向けた業務の禁止であり、既存契約に基づく保険金支払義務が当然に消えるわけではありません。ただし免許取消しに至れば清算段階に入り、支払いの確実性は大きく揺らぎます。実務のポイント:処分の種類ごとに影響が段階的に違うので、報道の見出しだけで判断しない。金融庁が公表する処分内容の本文には、停止される業務の範囲が具体的に列挙されている。読むべきはそこ
Q3「公益を害する行為」って、具体的に何をしたらアウトなんですか?
条文に定義はなく、行政庁の裁量的判断に委ねられた包括条項です。反社会的勢力との関係、著しく不適切な保険金不払い、社会的信用を著しく損なう行為などが想定されますが、実務上、その外延については解釈が分かれています。実務のポイント:この種の包括条項は、個別の法令違反を立証しにくい事案で行政庁が使う予備の刀。逆に言えば、処分を争う側にとっては裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)を主張する余地が最も大きい入口でもある
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本で違法なことをしなければ日本の免許は安全」という前提そのものが誤っている。1号の括弧書きは「外国の法令を含む」と明記する。本国での規制違反、あるいは第三国での違反であっても、日本の免許取消事由になりうる。問われているのは「どこで違反したか」ではなく「その者が引受主体として適格か」である
- 免許取消しの重さは知られているが、その前段にある「日本における代表者の解任命令」の異質さは見落とされている。行政庁が民間法人の個人の地位を直接剥奪する権限は、日本の行政法制の中でも限られた場面にしかない。銀行法52条の34などと並ぶ、極めて強い介入手段である
- 「処分が出たら終わり」と諦めるのは早い。231条による処分は行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)であり、行政手続法上の聴聞を経る必要があり、事後には審査請求(行政不服審査法)と取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)の道が開いている。争える余地がどこにあるかを知っているかどうかで、処分通知を受けた日の初動が変わる
- 「ロイズは保険会社だ」と思っている人が多いが、法的構造が違う。免許特定法人(ロイズという組織体)と引受社員(実際にリスクを引き受ける個々のメンバー)は別人格であり、231条は両者を並列で処分対象に掲げている。誰が処分されると自分の契約が影響を受けるのか、この区別を知らないと事態を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処分の対象 | 231条:免許特定法人・引受社員(ロイズ型の二層構造) | 133条:日本の保険会社 205条:外国保険会社等(支店型) |
| 処分の種類 | 日本における業務の全部・一部停止/日本における代表者の解任/219条1項免許の取消し | 業務停止/役員解任/免許取消し 日本における業務停止/日本における代表者の解任/免許取消し |
| 外国法令違反の扱い | 1号が「法令(外国の法令を含む。)」と明記 | 国内法令違反が中心 外国保険会社等についても外国法令違反が考慮されうる |
| 包括条項の有無 | 3号「公益を害する行為」(法令違反不要) | 公益を害する行為の事由あり 公益を害する行為の事由あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も主管機関(金融監督管理委員会)が業務停止・負責人解任・許可撤銷を段階的に行える構造で、日本231条と機能的に対応する
韓国も金融委員会が外国保険会社国内支店に対し業務停止・임원해임요구・허가취소を行える。日本と同じ三段階構造
ドイツは BaFin が経営者の解任(Abberufung)と免許の取消し(Widerruf der Erlaubnis)を行う。EU 単一免許制度のもとで本国監督当局との協調が前提となる点が日本と異なる
米国は州単位の監督で、ロイズは多くの州で surplus lines insurer として扱われ、州保険庁が eligibility の停止・剥奪を行う。連邦単位の免許取消しという概念がない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自社の貨物船が特殊航路を通るため、国内保険会社では引受不能でロイズの引受社員に付保している。ある日、英国 FCA が当該シンジケートに業務改善命令を出したとのニュースが流れる。日本の免許にも波及しうるのか。231条1号の「外国の法令を含む」がまさにこの場面を捕捉する。契約継続の可否を、更新期日の前に確認する必要がある
- あなたが免許特定法人の日本における代表者だったとしたら? 処分の対象はあなたの会社だけではない。あなたの「地位そのもの」が解任命令の対象になる。会社法上の解任手続でも株主総会決議でもなく、行政庁の命令一本で職を失う。防御の機会は、行政手続法13条の聴聞(不利益処分の前に言い分を述べる場)にある
- 興行主が大型音楽フェスの中止保険をロイズで手配していた。開催三週間前、引受社員側に業務停止命令が出る。既契約はどうなるのか。業務停止は新規引受の禁止が中心で、既存契約の保険金支払義務が当然に消えるわけではない。だが実務上の混乱と資金繰りへの影響は確実に生じる。あと21日で開催、代替付保を探す時間は事実上ない
- 保険ブローカーとして顧客にロイズ商品を提案しようとしている。あなたが確認すべきは商品の補償内容だけではない。当該引受社員に付された免許条件(2号)が何か、金融庁の処分歴があるかまで見る。行政処分歴は金融庁サイトで公表されており、誰でも読める
- 金融庁が「公益を害する行為」(3号)を理由に処分を検討している。ここには具体的な条文違反の要件がない。反社会的勢力との取引、著しく不適切な保険金不払い、社会的信用を毀損する行為。何が該当するかは行政庁の判断に委ねられており、実務上、解釈の幅がある論点だ
取るべき行動
被害を受けた側:契約者側として処分の影響を受ける立場なら、1. 保険証券で引受主体(免許特定法人か個々の引受社員か)を特定する2. 金融庁の行政処分公表ページと当該法人の開示で、処分の範囲(新規引受停止か全業務停止か)を確認3. 業務停止でも既契約の保険金支払義務は当然には消滅しないため、支払遅延が生じたら書面で請求と催告を行い記録を残す4. 更新期日が近いなら、代替の引受先を並行して探し、無保険期間を作らない
訴えられた側:処分を受ける側なら、1. 報告徴求・立入検査の段階で外部弁護士を入れ、事実関係を自主的に整理して提出する2. 不利益処分の前に行政手続法13条の聴聞が実施されるので、そこで文書と口頭の両方で反論を残す。この記録が後の訴訟の土台になる3. 自主的な業務改善計画を先行して提出し、処分の軽減を図る4. 処分後は審査請求(原則3か月以内)または取消訴訟(原則6か月以内)を検討、期間管理を最優先する
時効(請求できる期限):本条自体に処分の除斥期間の定めはない。処分を受けた側の不服申立ては、審査請求が処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟が処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。聴聞の通知を受けたら、指定された期日までに主張と証拠を準備する必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
行政法一般(通説):231条3号のような不確定概念を用いた包括的処分要件は行政庁に広い裁量を認めるが、その行使は比例原則と平等原則による統制を受け、裁量権の逸脱・濫用にあたれば取消しの対象となると解されている
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める