保険業法 第271条の22(保険持株会社の子会社の範囲等)
クイックジャンプ
- 保険持株会社は、次に掲げる会社(以下この条及び第二百七十一条の三十二第二項第三号において「届出対象子会社」という。)以外の会社を子会社としようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
- 一生命保険会社
- 二損害保険会社
- 2.2_2 少額短期保険業者
- 三銀行
- 四長期信用銀行
- 3.4_2 資金移動専門会社
- 五証券専門会社
- 六証券仲介専門会社
- 4.6_2 第百六条第一項第六号の二に掲げる会社
- 七信託専門会社
- 八保険業を行う外国の会社
- 九銀行業を営む外国の会社(前号に掲げる会社に該当するものを除く。)
- 十有価証券関連業を行う外国の会社(前二号に掲げる会社に該当するものを除く。)
- 十一信託業を営む外国の会社(前三号に掲げる会社に該当するものを除く。)
- 十二次に掲げる業務を専ら営む会社(イに掲げる業務を営む会社にあっては、主として当該保険持株会社、その子会社(第一号、第二号及び第八号に掲げる会社に限る。)その他これらに類する者として内閣府令で定めるものの行う業務のためにその業務を営んでいるものに限る。)
- 一保険会社又は第二号の二から前号までに掲げる会社の行う業務に従属する業務として内閣府令で定めるもの
- 二第百六条第二項第二号に規定する金融関連業務
- 十三新たな事業分野を開拓する会社として内閣府令で定める会社(当該保険持株会社又はその子会社のうち前号に掲げる会社で内閣府令で定めるもの(次号及び第十五号において「特定子会社」という。)以外の子会社が、合算してその基準議決権数(第百七条第一項に規定する基準議決権数をいう。次号及び第十五号において同じ。)を超える議決権を保有していないものに限る。)
- 十四経営の向上に相当程度寄与すると認められる新たな事業活動を行う会社として内閣府令で定める会社(その事業に係る計画又は当該計画に基づく措置について内閣府令で定める要件に該当しない会社にあっては、当該保険持株会社又はその特定子会社以外の子会社が、合算してその基準議決権数を超える議決権を保有していないものに限る。)
- 十五地域の活性化に資すると認められる事業活動を行う会社として内閣府令で定める会社(当該保険持株会社又はその特定子会社以外の子会社が、合算してその基準議決権数を超える議決権を保有していないものに限る。)
- 十六届出対象子会社のみを子会社とする持株会社で内閣府令で定めるもの(当該持株会社になることを予定している会社を含む。)
- 十七届出対象子会社のみを子会社とする外国の会社であって、持株会社と同種のもの又は持株会社に類似するもの(当該会社になることを予定している会社を含み、前号に掲げる会社に該当するものを除く。)
- 5.前項の承認を受けようとする保険持株会社は、当該承認の申請に係る会社の業務の内容、資本金の額、人的構成その他の内閣府令で定める事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
- 6.内閣総理大臣は、第一項の承認の申請があったときは、当該申請に係る会社が行い、又は行おうとする業務の内容が、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない。
- 一当該業務の内容が、次のイ又はロに該当することから、当該申請をした保険持株会社の子会社である保険会社の社会的信用を失墜させるおそれがあること。
- 一当該業務の内容が、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあること。
- 二当該業務の内容が、国民生活の安定又は国民経済の健全な発展を妨げるおそれがあること。
- 二当該業務の内容が、当該申請に係る会社の資本金の額、人的構成等に照らして、当該申請に係る会社の経営の健全性を損なう危険性が大きく、かつ、その経営の健全性が損なわれた場合には、当該申請をした保険持株会社の子会社である保険会社の経営の健全性が損なわれることとなるおそれがあること。
- 7.第一項の規定は、届出対象子会社以外の会社が、保険持株会社又はその子会社の担保権の実行による株式又は持分の取得、保険持株会社又はその子会社による同項第十三号から第十五号までに掲げる会社の株式又は持分の取得その他内閣府令で定める事由により当該保険持株会社の子会社となる場合には、適用しない。ただし、当該保険持株会社は、その子会社となった当該会社を引き続き子会社とすることについて内閣総理大臣の承認を受けた場合を除き、当該会社が当該事由(当該保険持株会社又はその子会社による同項第十三号から第十五号までに掲げる会社の株式又は持分の取得その他内閣府令で定める事由を除く。)の生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう、所要の措置を講じなければならない。
- 8.保険持株会社が、銀行若しくは長期信用銀行を子会社とすることにより銀行持株会社(銀行法第二条第十三項(定義等)に規定する銀行持株会社をいう。以下この項及び第二百七十二条の三十九第六項において同じ。)若しくは長期信用銀行持株会社(長期信用銀行法第十六条の四第一項(子会社の範囲等)に規定する長期信用銀行持株会社をいう。以下この項及び第二百七十二条の三十九第六項において同じ。)になろうとする場合又は銀行持株会社若しくは長期信用銀行持株会社である場合には、前各項の規定を適用せず、銀行法又は長期信用銀行法の相当規定の定めるところによる。
この条文の基本情報
保険持株会社の子会社の範囲等とは何ですか?
定義保険持株会社の子会社の範囲等とは、保険業法第271条の22に定められた規定で、「保険持株会社は、次に掲げる会社(以下この条及び第二百七十一条の三十二第二項第三号において「届出対象子会社」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第271条の22(保険持株会社の子会社の範囲等)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第271条の22の条文原文は「保険持株会社は、次に掲げる会社(以下この条及び第二百七十一条の三十二第二項第三号において「届出対象子会社」という。」で始まります。
- 保険業法第271条の22は第二款に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第271条の22の前の条は保険業法第271条の21の3です。
- 保険業法第271条の22の次の条は保険業法第271条の23です。
- 保険業法第271条の22には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の22 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第271条の22(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/271_22
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法271条の22は、保険持株会社が届出対象子会社以外の会社を子会社とする際に内閣総理大臣の事前承認を要すると定め、承認を拒否できる事由を二系統に限定する。
Q · 保険会社のグループが新しい会社を傘下に入れるとき、国の承認は必ず要るのですか?
届出対象子会社以外を傘下に入れるときだけ事前承認が必要です
保険業法271条の22第1項は、生命保険会社・損害保険会社・銀行・証券専門会社などを「届出対象子会社」として列挙し、これ以外の会社を子会社としようとする場合にあらかじめ内閣総理大臣の承認を受けるよう求めます。承認は役所の自由裁量ではなく、第3項が「次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない」と定める羈束的な仕組みです。拒否できる理由は、保険会社の社会的信用を失墜させるおそれと、経営の健全性が連鎖して損なわれるおそれの二系統に限られます。
解説
保険持株会社が新しく会社を傘下に入れるたび、金融庁の承認印が要る。ただし条文が並べた類型に当たれば要らない。骨格はそれだけだが、本当に効くのは第3項である。申請があったとき、内閣総理大臣は「次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない」。役所に自由裁量はない。傘下の保険会社の社会的信用を失墜させるおそれ、または経営の健全性が連鎖して損なわれるおそれ、この二系統の理由を示せなければ承認は拒めない。承認制を役所の気分次第と読んでいた人には、ここが逆転点だ。第4項はもう一つの盲点で、担保権を実行して株式を握った場合など、意図せず子会社が生まれたときは事前承認が不要。その代わり、その日から一年で子会社でなくすか、継続保有の承認を取るかの二択に追い込まれる。
法的な位置づけ
保険業法271条の22は、保険持株会社の子会社の範囲を定める規定である。生命保険会社・銀行・証券専門会社などの届出対象子会社は事前承認を要しないが、それ以外の会社を子会社とするには内閣総理大臣の事前承認が必要となる。承認は羈束的であり、法定の拒否事由に該当しない限り与えなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象会社が届出対象子会社の類型に乗るかを最初に判定する 第1項各号を上から当て、生命保険会社・銀行・証券専門会社・外国の保険会社などの列挙に該当するか、ベンチャー企業・新たな事業活動を行う会社・地域の活性化に資する会社の類型に乗るかを確認する。類型に乗れば事前承認は不要で事後届出に移るため、案件スケジュールが一か月単位で変わる
- 2.議決権の括弧書き条件を合算ベースで検算する ベンチャー企業・新たな事業活動を行う会社・地域の活性化に資する会社の類型は、持株会社または特定子会社以外の子会社が合算して基準議決権数(107条1項)を超える議決権を保有しないことが条件。出資主体を持株会社本体・投資専門の特定子会社・傘下の保険会社のどこに置くかで上限が変わるため、スキーム確定前に計算する
- 3.申請前に資本金の額と人的構成を整える 第3項の拒否事由は、対象会社の資本金の額・人的構成等に照らして経営の健全性を損なう危険が大きいかで判断される。増資と役員体制の入替えを申請前に終えれば争点自体が消える。提出してから直すと審査は振り出しに戻る
- 4.第2項の記載事項を満たした申請書を提出する 業務の内容、資本金の額、人的構成その他内閣府令で定める事項を記載した申請書を内閣総理大臣(金融庁)に提出する。申請書は説得文ではなく要件充足の証明書として組み立て、二系統の拒否事由に当たらない根拠を自ら先に潰しておく。標準処理期間は行政手続法6条に基づく公表内容を個別に確認する
- 5.担保権実行で子会社化した場合は一年のカウントダウンを起点管理する 第4項本文により事前承認は不要だが、事由が生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなる措置を講じるか、継続保有の承認を得なければならない。延長規定はないため、売却プロセスと承認申請の打診を並行で起案する
- 6.銀行を傘下に入れる場合は適用法令の乗り換えを社内規程に反映する 第5項により、銀行または長期信用銀行を子会社として銀行持株会社・長期信用銀行持株会社になる場合、前各項は適用されず銀行法または長期信用銀行法の相当規定による。社内規程とチェックリストが保険業法のままだと、届出も承認も静かに抜け落ちる
よくある質問 AI による整理
Q1保険持株会社とは何ですか?
保険会社を子会社とし、その経営管理を行うことを主たる業務とする持株会社です。設立等には内閣総理大臣の認可が必要で、傘下に置ける会社の範囲が本条で規制されます。
Q2基準議決権数とは何ですか?
保険業法107条1項が定める議決権保有の上限基準です。ベンチャー企業などを子会社の類型に乗せる場合、持株会社と特定子会社以外の子会社が合算してこの数を超える議決権を持てません。
Q3特定子会社とは何ですか?
一定の業務を専ら営む会社のうち内閣府令で定めるもので、実務上は投資専門子会社を指します。ベンチャー企業等の議決権制限の計算では、持株会社本体と並んで枠外に置かれます。
Q4承認申請書には何を書きますか?
第2項により、申請に係る会社の業務の内容、資本金の額、人的構成その他内閣府令で定める事項を記載して内閣総理大臣に提出します。第3項の拒否事由はこれらに照らして判断されます。
Q5一年の期限はいつから数えますか?
担保権の実行など第4項の事由が生じた日から起算し、一年を経過する日までです。延長規定はなく、その日までに子会社でなくす措置を講じるか、継続保有の承認を得る必要があります。
Q6外国の保険会社を子会社にできますか?
できます。保険業を行う外国の会社、銀行業を営む外国の会社、有価証券関連業を行う外国の会社、信託業を営む外国の会社はいずれも届出対象子会社に列挙され、事前承認は不要です。
Q7承認を受けずに子会社化したらどうなりますか?
届出対象子会社以外を無承認で子会社とすれば保険業法違反となり、監督上の措置の対象となり得ます。第4項の事由で意図せず子会社となった場合は違反ではなく、一年以内の措置義務が生じます。
Q8少額短期保険持株会社にもこの規定は及びますか?
272条の39により、少額短期保険持株会社には本条が読み替えて適用される構造です。規模は異なっても子会社範囲規制の枠組みは共通するため、読替後の文言を条文で確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険会社のグループがスタートアップを買うのに、いちいち国の承認が必要なんですか?
必要な場合とそうでない場合があります。第1項は届出対象子会社の類型を並べ、それ以外の会社を子会社にするときだけ事前承認を求める構造です。新たな事業分野を開拓する会社(いわゆるベンチャー企業)は類型に入っていますが、議決権に関する括弧書きの条件が付きます。実務のポイント:実務では案件の初期に「どの号に乗せるか」を決めてから買収スキームを組みます。号が決まればスケジュールも出資主体も自動的に決まるので、逆順で進めた案件はほぼ後戻りします
Q2承認が下りなかったら、それで終わりですか?
第3項は「次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない」と書いており、拒否できる理由は保険会社の社会的信用を失墜させるおそれと、経営の健全性が連鎖して損なわれるおそれの二系統に限られます。不承認は行政処分なので、審査請求や取消訴訟の入口もあります。実務のポイント:実際に訴える例はほとんどありません。ただし拒否事由のどちらに当たるのかを書面で照会するだけで論点が可視化され、修正して再申請する道が見えます
Q3担保に取っていた株を実行したら子会社になってしまいました。すぐ違法ですか?
違法ではありません。第4項本文が、担保権の実行による株式または持分の取得などを事前承認の対象から外しています。ただし同項ただし書により、その事由が生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなるよう措置を講じる義務があり、持ち続けたいなら内閣総理大臣の承認が必要です。実務のポイント:この一年に延長規定はありません。実行の意思決定と同時に売却プロセスと承認申請の打診を並行起案するのが定石で、片方だけ走らせた案件が期限直前に詰まります
Q4銀行も傘下に入れたら、規制は二重になるんですか?
二重にはなりません。第5項は、銀行または長期信用銀行を子会社として銀行持株会社・長期信用銀行持株会社になる場合、前各項を適用せず銀行法または長期信用銀行法の相当規定によると定めています(銀行法2条13項、長期信用銀行法16条の4第1項を参照)。実務のポイント:規制の乗り換えは社内規程の書き換えを伴います。条文が移っただけで内容は似通っているため、現場は旧様式のまま運用を続けがちで、この継ぎ目が最も見落とされます
間違えやすい点 AI による整理
- 「承認が下りるだろうか」という問いの立て方が既にずれている。第3項が定めているのは、拒否事由に当たらない限り承認しなければならないという羈束(役所の裁量を縛る書き方)である。問うべきは「当社の案件に拒否事由があるか、あるとすれば資本金の額と人的構成のどこを直せば消えるか」。問いを変えた瞬間、申請書は説得文ではなく要件充足の証明書になる
- 届出対象子会社の類型に入っていれば自由に持てると読まれがちだが、類型の多くに括弧書きの条件が付いている。ベンチャー企業や地域の活性化に資する事業活動を行う会社は、持株会社や特定子会社以外の子会社が合算で基準議決権数を超えないことが条件。リストに載っていることと、無条件であることは別の話である
- 担保権実行で子会社ができても事前承認は不要、ここまでは金融実務の担当者なら知っている。深刻なのはその先で、一年を過ぎてもなお子会社のままなら、保険業法上の措置義務違反としてグループ全体の当局対応コストが跳ね上がる。この一年は運用上の目安ではなく、条文に書かれた期日であり、延長規定が置かれていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の名宛人 | 保険業法271条の22:保険持株会社(グループの頂点) | 保険業法106条:保険会社本体 銀行法52条の23:銀行持株会社 |
| 事前規制の方式 | 届出対象子会社は事前承認不要、それ以外は事前承認 | 子会社の範囲を法定し、範囲外は原則として子会社化できない 銀行持株会社版の子会社範囲規制(保険持株会社版と対をなす設計) |
| 行政庁の裁量 | 羈束的。第3項の二系統の拒否事由に当たらなければ承認しなければならない | 範囲の該当性判断が中心で、承認の可否という枠組みとは構造が異なる 銀行法側の枠組みに従い、第5項により保険業法の適用が外れる |
| 意図しない子会社化の扱い | 担保権実行等は事前承認の対象外だが、一年以内に処分か継続保有の承認(第4項) | 本体についても議決権取得制限(107条)が別途かかる 銀行法の相当規定による(第5項で乗り換え) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も金融持株会社の転投資を主管機関の核准にかからせる。金融関連事業と非金融事業で規律を分ける点が、日本の届出対象子会社と承認対象の切り分けに対応する
韓国も金融持株会社の子会社編入を当局の承認事項とし、業種ごとに編入可能な範囲を法定する。日本と同じく持株会社を単位としたグループ規制の建て付けを採る
ドイツは保険グループ監督を Solvency II 由来の枠組みで行い、重要な持分取得を監督当局への届出・審査にかからせる。個別の子会社類型を法律で列挙する日本型とは規制手法が異なる
米国は州ごとの保険持株会社法により、支配権の取得と関連会社取引を州保険当局の事前承認にかからせる。連邦一元ではなく州単位である点が日本と大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険持株会社の経営企画部にいて、グループでヘルスケア系スタートアップを買収する案件を任された。届出対象子会社の類型に乗るかどうかで、案件スケジュールは一か月単位で変わる。乗らなければ事前承認が必要で、申請書には対象会社の業務内容・資本金の額・人的構成まで書き込む(第2項)。デューデリの終盤で法務に投げると、審査期間が丸ごとはみ出す
- もし承認申請が通らなかったら、そこで案件は終わりなのか。終わりではない。第3項は拒否できる場合を限定列挙しており、不承認は行政処分(役所が特定の相手に直接下す具体的な決定)だから、審査請求や取消訴訟の入口はある。実際に争うかは別として、どの拒否事由に当たったのかを書面で問う立場が最初からある
- 融資の担保に取っていた非上場株を実行したら、その会社が子会社になってしまった。事前承認は不要である(第4項本文)。だが実行の日から一年を経過する日までに、売却か継続保有の承認取得か、どちらかを終えていなければならない
- insurtech の創業者として、保険グループの投資部門から出資を受ける交渉に入った。出し手が持株会社本体や投資専門の特定子会社なのか、傘下の保険会社なのかで、相手が取れる株式比率の上限が変わる。ベンチャー企業を子会社化する枠は用意されているが、特定子会社以外の子会社が合算して基準議決権数(保険業法107条1項)を超えて持てない設計になっている。誰の財布から出る金かを聞くだけで、交渉の天井が読める
- グループで銀行を子会社にした瞬間、この条文の適用がまるごと外れる。第5項により、銀行持株会社または長期信用銀行持株会社になる場合は前各項を適用せず、銀行法または長期信用銀行法の相当規定に乗り換える。適用法令が移ったのに社内規程とチェックリストが保険業法のままだと、届出も承認も静かに抜け落ちる
取るべき行動
被害を受けた側:出資や買収を受ける側なら、まず相手の出資主体を確認する。持株会社本体か、投資専門の特定子会社か、傘下の保険会社か。次に自社が届出対象子会社の類型に入るかを相手の法務に書面で確認させ、事前承認が必要ならスケジュールに審査期間を織り込む。承認が下りず案件が消える場合でも、第3項の拒否事由は限定列挙なので、どの事由に当たったのかの説明を求める価値がある
訴えられた側:無承認で子会社化した、または一年の期限が迫っている側なら、継続保有の承認取得と株式処分の二本を同時に走らせる。第4項ただし書は継続保有の承認を明示的に認めているので、投げ売りを決める前に申請の可否を当局に打診する。申請書には業務内容・資本金の額・人的構成を記載し(第2項)、拒否事由に当たらない根拠を自分から先に潰しておく。銀行を傘下に持つ場合は第5項で適用法令が銀行法側に移る点も確認する
時効(請求できる期限):事前承認は子会社としようとするときに「あらかじめ」(第1項)であり、事後申請という選択肢はない。担保権の実行など第4項の事由で子会社になった場合は、当該事由が生じた日から一年を経過する日までに子会社でなくなる措置を講じるか、継続保有の承認を得る必要がある(延長規定なし)。承認申請そのものに要する期間は、行政手続法6条に基づき金融庁が公表する標準処理期間を個別に確認すること
学説
条文構造から導かれる通説的理解:第3項が「次の各号のいずれかに該当する場合を除き、その承認をしなければならない」と定める以上、本条の承認は自由裁量ではなく羈束的な要件審査と理解される。拒否事由は社会的信用の失墜と健全性の連鎖的毀損の二系統に限定列挙されている
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める