保険業法 第272条の23(立入検査)
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- 内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、少額短期保険業者の営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 2.内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に、少額短期保険業者の子法人等若しくは当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該少額短期保険業者に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- 3.少額短期保険業者の子法人等又は当該少額短期保険業者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による質問及び検査を拒むことができる。
この条文の基本情報
立入検査とは何ですか?
定義立入検査とは、保険業法第272条の23に定められた規定で、「内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、少額短期保険業者の営業所、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第272条の23(立入検査)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第272条の23の条文原文は「内閣総理大臣は、少額短期保険業者の業務の健全かつ適切な運営を確保し、保険契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該職員に、少額短期保険業者の営業所、…」で始まります。
- 保険業法第272条の23は第四節に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第272条の23の前の条は保険業法第272条の22です。
- 保険業法第272条の23の次の条は保険業法第272条の24です。
- 保険業法第272条の23には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第272条の23 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第272条の23(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/272_23
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法272条の23は、少額短期保険業者への立入検査を定める。第2項で子法人等・業務委託先にも及ぶが、それらの者は正当な理由があれば拒める。
Q · 保険会社じゃなく事務を請け負っているだけの会社にも、金融庁の立入検査は来るの?
原則として立入りを受けます。ただし受託者側は正当な理由で拒めます。
保険業法272条の23第2項により、少額短期保険業者の子法人等および業務の委託を受けた者の施設にも立入り・質問・検査が及びます。ただし「特に必要があると認めるとき」かつ「その必要の限度において」という二重の制限がかかり、質問・検査の対象も当該少額短期保険業者に対する質問・検査に必要な事項に限られます。さらに第3項により、子法人等および受託者は正当な理由があるときは質問及び検査を拒むことができます。少額短期保険業者本体には、この拒否権の規定がありません。
解説
少額短期保険(ミニ保険)を営む会社に、金融庁の職員が予告なく営業所のドアを開けて入ってくる。その法的根拠がこの条文だ。ここで押さえるべきは二階建ての構造である。一階は少額短期保険業者本体への立入検査。二階は、その子会社や、業務委託を受けた外部の会社。つまり保険会社と契約して事務代行やコールセンターを請け負っているだけの会社にも、金融庁の職員が入ってくる。あなたが保険の募集代行や保全事務を受託している立場なら、自分は保険業の免許など持っていないのに検査対象になりうる。ただし第3項が重要な逃げ道を残している。子会社や受託者は「正当な理由があるとき」は質問と検査を拒める。本体にこの拒否権はない。あなたが受託者側なら、この非対称性が唯一の交渉材料になる。
法的な位置づけ
保険業法272条の23は、少額短期保険業者に対する立入検査の権限を定める規定である。第1項は内閣総理大臣による本体への立入り・質問・帳簿書類等の検査、第2項は特に必要と認める限度における子法人等および業務受託者の施設への立入り、第3項は子法人等および受託者が正当な理由により質問及び検査を拒み得ることを規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.検査官の身分と立入りの根拠項を確認して記録する 来訪時に所属・氏名・身分証を確認し、立入りが第1項(本体)か第2項(子法人等・業務受託者)かを明示的に聞いて記録する。根拠項が範囲交渉のすべての前提になる
- 2.第2項の場合、検査範囲を委託業務関連に限定するよう求める 第2項は「特に必要」かつ「その必要の限度において」、さらに対象事項も当該少額短期保険業者に対する質問・検査に必要な事項に限定されている。委託業務と無関係な他社案件や自社独自事業は範囲外であることを、その場で口頭確認する
- 3.拒否を検討する資料は即答せず持ち帰り、理由を書面化する 他社の営業秘密、委託業務外の顧客の個人情報など第3項の正当な理由が問題になる資料は、その場で開示せず持ち帰り判断とする。拒否するときは口頭でなく、理由を書面で示して「理由なく拒んだ」との評価余地を潰す
- 4.提出物の控えと質疑応答を時系列で残す 提出した帳簿書類はすべて自社側で複製を保管し、何をいつ出したかを目録化する。質問への回答は事実のみに限り、推測や評価を混ぜない。担当者ごとに回答がぶれないよう窓口を一本化する
- 5.委託元と検査結果・対応方針を共有する 第2項の立入りは委託元本体の検査に付随するため、受託者側の対応は委託元の評価に直結する。開示範囲・拒否した項目・理由を委託元に共有し、契約解除リスクの芽を早期に潰す
よくある質問 AI による整理
Q1少額短期保険業者の立入検査は誰が行うのですか?
条文上の主体は内閣総理大臣ですが、実際の立入りは権限の委任を受けた金融庁および財務局の職員が行います。検査官の所属と氏名は最初に確認して記録しておくべきです。
Q2立入検査に事前の予告はありますか?
本条の条文には予告義務の定めがありません。無予告で来所する運用もあり得るため、受付対応と初動の社内フローを平時に決めておく必要があります。
Q3立入検査を拒んだらどうなりますか?
本条自体に罰則は書かれていませんが、本体には拒否権の規定がなく、対応の遅延や不提出は検査忌避と評価され、業務改善命令や登録取消し等の判断材料になり得ます。
Q4子法人等とはどこまでの範囲ですか?
少額短期保険業者が議決権等を通じて支配する法人が中心で、単なる取引先は含まれません。ただし業務委託先は別枠で第2項の対象に明記されています。
Q5立入検査で見せる物件には何が含まれますか?
条文は「帳簿書類その他の物件」と定め、紙の帳簿に限られません。電磁的に保存された契約データ、査定記録、通話ログなども実務上は対象になり得ます。
Q6検査官の身分証明書は提示されますか?
本条の条文には提示義務が明記されていません。実務上は身分証の提示を求め、所属・氏名・立入りの根拠項を記録に残すのが基本対応です。
Q7委託契約に検査協力条項がある場合、第3項の拒否権は使えますか?
行政に対する第3項の拒否権自体は残りますが、無条件協力を約束していると委託元との民事上の債務不履行が問題になります。契約段階での留保文言が鍵です。
Q8立入検査の後にはどのような処分がありえますか?
検査結果に応じて業務改善命令、業務停止命令、登録取消し等の監督処分が検討されます。不利益処分には審査請求や取消訴訟という不服申立ての道があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちは保険会社じゃなくて事務代行なんですが、本当に立入検査されるんですか?
されます。272条の23第2項が、少額短期保険業者から業務の委託を受けた者の施設への立入りを認めています。ただし「特に必要があると認めるとき」かつ「その必要の限度において」という二重の制限つきです。実務のポイント:委託元が検査を受けている最中に受託先へ話が飛ぶことが多い。委託元から「検査が入った」と連絡があった時点が、自社の準備を始める合図です
Q2第3項の「正当な理由」って、具体的に何が認められるんですか?
条文には書かれておらず、実務上も解釈が分かれています。一般には、委託業務と無関係な第三者の営業秘密、受託業務外の顧客の個人情報などが候補になりますが、単に多忙・社内手続き未了といった理由では認められにくい。実務のポイント:拒否するなら口頭ではなく、理由を書面で示すのが実務。後から「理由なく拒んだ」と評価される余地を潰せます
Q3少額短期保険業者って、普通の保険会社と何が違うんですか?
引受ける保険金額に上限があり、保険期間も短い(損害保険で2年以内、生命保険・医療保険で1年以内)小規模事業者で、免許ではなく登録制です。ペット保険や家財保険で多く見られます。実務のポイント:登録制ゆえ参入障壁が低い分、監督当局は立入検査で実質的な健全性を担保している。検査頻度・深度は規模の割に軽くないと考えておくべきです
間違えやすい点 AI による整理
- 「立入検査は保険業の免許を持つ会社の話」と思われているが、第2項が対象を子法人等と業務受託者にまで広げている。あなたが単なる下請けのシステム会社・事務代行会社でも、委託元の検査に必要と判断されれば施設に職員が入ってくる
- 第3項の「拒むことができる」を読んで安心する人がいるが、実はここが最も危険な誤解だ。拒否権があるという事実は知られていても、「正当な理由」の中身が法文に書かれていないという深刻さが理解されていない。実務上、何が正当な理由にあたるかは解釈が分かれており、根拠なく拒めば委託元本体の検査忌避と評価されかねない。拒否権は、事前に法務が理由を組み立てておいて初めて使える武器である
- 「検査を拒否したら罰則」と一括りに考えがちだが、法律から見ると本体と受託者は全く別の立場に置かれている。本体には拒否権の規定がなく、受託者には明文の拒否権がある。同じ検査官が同じ日に訪れても、あなたがどちら側に立っているかで使えるカードが違う。この落差を認識していない受託者は、持っている権利を使わずに全部開示してしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 行政の手段 | 272条の23:職員による施設への立入り・質問・物件検査 | 272条の22:業務・財産に関する報告または資料の徴求 129条:保険会社(免許業者)への立入検査 |
| 対象となる者 | 少額短期保険業者本体+子法人等+業務受託者(第2項) | 少額短期保険業者本体が中心(報告義務者) 保険会社本体+その子法人等・業務受託者 |
| 拒否できるか | 本体は拒否権の規定なし/子法人等・受託者は正当な理由で拒否可(第3項) | 報告徴求に対する明文の拒否権はない 構造は272条の23と同型(免許業者向けの原型規定) |
| 負担の重さと帰結 | 現場への物理的立入り。対応次第で監督処分の判断材料になる | 書面提出で足りる段階。立入検査の前段階として機能 免許業者向けで規模に応じた検査。登録制の少短より監督全体が重い |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も主管機関が保険業の業務・財務状況を随時検査でき、関係資料の提出を求められる。委託先への波及は実務運用に委ねられる部分が大きく、日本のように受託者の拒否権を条文上明記する構造はとっていない
韓国も金融監督院による検査の枠組みを持ち、資料提出と現場検査が一体で規律される。少額短期保険という独立カテゴリーは日本ほど明確でなく、小規模共済は別法体系に置かれる場合がある
ドイツは BaFin が営業所への立入りと帳簿検査の権限を持ち、アウトソーシング先に対しても監督権限が及ぶことが明文で整理されている。EU の Solvency II 体制を背景に、監督権限の域外・委託先への到達が制度設計上意識されている
米国は州ごとの保険庁が検査権限を持ち、モデル法を各州が採用する形。third-party administrator への検査権も別途規律され、委託先への到達という課題認識は日本と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ミニ保険会社からコールセンター業務を受託している BPO 企業に、ある朝、金融庁の職員が来た。「委託元の検査に必要」と告げられる。受託業務と無関係な他社案件のデータベースまで見せろと言われたら、それは第2項の「必要の限度」を超える。第3項の正当な理由として拒否を検討する場面がここだ
- 少額短期保険業者の経理担当として、月末の決算処理中に検査官が来所。帳簿書類の提出を求められる。このとき本体には拒否権がなく、遅延や不提出は業務改善命令や登録取消しの引き金になりうる。「今は忙しい」は通用しない
- もし、あなたの会社が保険会社の子会社で、保険とは全く別のシステム開発事業をやっていたとしたら? 第2項の立入りは「当該少額短期保険業者に対する質問若しくは検査に必要な事項」に限定される。親会社の保険業務と無関係な自社の事業内容まで開示する義務はない
- 受託先への立入検査を告げられ、社内で「拒否できるのか」の判断を今日中に出さなければならない。第3項の正当な理由は認められるのか、拒否が後日の委託契約解除につながらないか。あと数時間で回答期限。この二択を独断で決めると、どちらに転んでも責任を負う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 検査官の身分証と、立入りの根拠が第1項か第2項かを確認し記録する2. 第2項による受託者への立入りなら、対象を委託業務関連の帳簿・物件に限定するよう求める3. 他社の営業秘密や委託業務と無関係な個人情報の開示要求には、第3項の正当な理由として即答せず持ち帰り、顧問弁護士に確認4. 検査官とのやり取りは日時・氏名・要求内容を時系列でメモ、後日の争点整理の基礎になる
訴えられた側:1. 少額短期保険業者本体には第3項の拒否権がない。検査忌避と評価される対応は避け、帳簿書類は速やかに提出する2. 提出物のコピーを自社側でも保管し、何を出したか記録を残す3. 質問への回答は事実のみ、推測や評価を混ぜない。担当者ごとに回答がぶれると不誠実と受け取られる4. 子会社・委託先にも検査が及ぶ可能性を事前に共有し、対応窓口を一本化する
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。ただし検査後の業務改善命令や登録取消処分(保険業法272条の26、272条の27)に不服がある場合、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は6か月以内(行政事件訴訟法14条)。起算点は処分を知った日である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政調査論):本条の立入検査は直接強制を伴わない行政調査であり、犯罪捜査のために認められたものではない。もっとも、拒否や遅延が監督処分の判断材料となり得る点で事実上の強制力を持つため、調査の必要性と相手方の不利益との比較衡量による限界づけが必要とされる。
受託者保護の観点からの指摘:第3項の「正当な理由」は法文上その内容が特定されておらず、受託者は自らのリスクで判断を迫られる。委託業務と無関係な第三者の営業秘密や個人情報の保護が典型的な考慮要素とされるが、単なる多忙や社内手続の未了は理由になりにくいと解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:保険業法の改正により少額短期保険業者制度が創設され、無認可共済を登録制の枠組みに取り込むのに合わせて本条が置かれた。保険会社向けの129条を原型とし、本体・子法人等・業務受託者という三層の検査構造がそのまま採用された。
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