保険業法 第318条の2
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- 被調査会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二百四十条の九第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
- 2.被管理会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二百四十七条の二第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第318条の2は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第318条の2の条文原文は「被調査会社の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人若しくは支配人その他の使用人又はこれらの者であった者が第二百四十条の九第一項の規定による報告をせず、若し…」で始まります。
- 保険業法第318条の2は第六編に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第318条の2の前の条は保険業法第318条です。
- 保険業法第318条の2の次の条は保険業法第319条です。
- 保険業法第318条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第318条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第318条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/318_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法318条の2は、被調査会社・被管理会社の役職員や元役職員が報告拒否・虚偽報告・検査忌避をした場合、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金を科す。
Q · 破綻した保険会社の調査で、もう辞めた会社のことでも報告しないと罪になるんですか?
退職後でも報告義務があり、嘘を書けば1年以下の拘禁刑です
保険業法318条の2は、被調査会社(240条の9)・被管理会社(247条の2)の取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人、支配人その他の使用人に加え、「これらの者であった者」、すなわち退職した元役員・元従業員も処罰対象に明記しています。報告をしない場合、虚偽の報告をした場合、検査を拒み、妨げ、忌避した場合のいずれについても、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されます。罰せられるのは会社ではなく行為者個人であり、上司の指示に従ったという事情は直ちには免責理由になりません。
解説
保険会社が破綻へ向かうとき、金融庁は二つの手を打つ。一つは保険契約者保護機構による「被調査会社」への立入調査(240条の9)、もう一つは保険管理人が入った「被管理会社」への調査(247条の2)である。本条は、その調査に対して報告を拒む、嘘を書く、検査を妨げる、逃げ回る、こうした行為に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科す。注目すべきは主語だ。「これらの者であった者」、つまり退職した元役員・元使用人も処罰対象に含まれる。破綻の責任を問われそうな幹部が辞表を出して逃げる、そのルートを条文が先回りして塞いでいる。あなたが保険会社の経理担当で、会社が破綻手続に入り、上司から「あの資料は無いことにしておけ」と言われたとする。従えば、退職後であってもあなた個人が刑事罰を受ける。会社が罰せられるのではない、あなたが罰せられる。
法的な位置づけ
保険業法318条の2は、保険会社の破綻処理過程における調査の実効性を刑罰で担保する罰則規定である。同法240条の9に基づく被調査会社への調査、および247条の2に基づく被管理会社への調査に対し、報告の不提出、虚偽報告、検査の拒否・妨害・忌避を行った役職員および元役職員を、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。処罰対象は法人ではなく自然人である。
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法318条の2とは何ですか?
破綻処理下の保険会社に対する調査で、報告をしない、虚偽の報告をする、検査を拒む・妨げる・忌避する行為を処罰する罰則規定です。法定刑は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
Q2被調査会社と被管理会社の違いは何ですか?
被調査会社は保険契約者保護機構が240条の9により調査する会社、被管理会社は保険管理人が選任され247条の2により調査される会社です。根拠条文と調査主体が異なります。
Q3検査忌避とはどこからが該当しますか?
明確な拒絶だけでなく、日程を引き延ばす、担当者を不在にし続けるなど、検査の実施を事実上妨げる行為も、回数と意図によっては忌避と評価される余地があります。
Q4報告を出しさえすれば処罰されませんか?
いいえ。本条は「報告をせず」と「虚偽の報告」を同一の刑で処罰します。提出した事実は免罪符にならず、記載内容が事実と異なれば構成要件に触れます。
Q5退職した元社員にも報告義務はありますか?
あります。本条は「これらの者であった者」を明文で対象としており、在職中の業務に関する報告義務は退職によって消滅しません。
Q6拘禁刑とは懲役と何が違いますか?
拘禁刑は懲役と禁錮を一本化した自由刑で、刑務作業が一律義務ではなく改善更生に応じた処遇が行われます。刑期の上限は本条では1年です。
Q7会社が罰金を肩代わりしてくれますか?
本条は自然人を処罰する規定であり、刑罰は一身専属的です。会社が事実上費用負担したとしても、前科として記録されるのは行為者個人です。
Q8保険業法318条の2の公訴時効は何年ですか?
長期1年の拘禁刑にあたる罪であり、刑事訴訟法250条2項により公訴時効は3年です。起算点は報告期限の経過時または虚偽報告書の提出時です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1上司の指示で資料を出さなかった場合でも、自分が罰せられるんですか?
本条は行為者個人を処罰対象としており、指示があったことは直ちに免責理由になりません。ただし故意の有無や責任の軽重を判断する材料にはなります。実務のポイント:この種の事件で明暗を分けるのは、指示が記録に残っているかどうかです。口頭指示だけだと、後に上司が「そんな指示はしていない」と述べた瞬間、担当者一人が矢面に立つ構図になる
Q2もう退職した会社のことなんて、正直よく覚えていません。それでも報告義務があるんですか?
本条は「これらの者であった者」を明記しており、退職者にも義務が及びます。ただし処罰されるのは報告をしない場合と虚偽の報告をした場合であり、記憶が不確かな点を「記憶にない」と正確に書くこと自体は虚偽にあたりません。実務のポイント:危険なのは、体裁を整えようとして推測で埋める回答です。空欄や記憶にない旨の記載は不利に見えて、実は最も安全な選択肢である
Q3保険会社が破綻したら、私の保険契約はどうなるんですか?
保険契約者保護機構が資金援助や契約の引受けを行い、契約は原則として継続しますが、責任準備金の一定割合までの補償となり、予定利率が引き下げられる場合もあります(保険業法259条以下)。実務のポイント:破綻時に解約すると早期解約控除が上乗せされ、かえって受取額が減るケースがあります。破綻報道を見て反射的に解約する前に、機構の公表する補償条件を確認する方が有利なことが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社の不祥事は会社が責任を取る」という前提そのものが本条では成立しない。本条1項2項が名指しするのは取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人・支配人その他の使用人という自然人であり、法人処罰ではない。命令に従った担当者個人に拘禁刑の可能性が立つ
- 「報告を拒否しなければ大丈夫」と考える人は、リスクの半分しか見ていない。本条は「報告をせず」だけでなく「虚偽の報告」も同じ刑で処罰する。誠実に提出したつもりでも、内容に事実と異なる記載があれば構成要件に触れる。提出すること自体は免罪符にならない
- 退職者の側から見れば「自分はもう部外者」だが、法律から見れば「在職時の事実を最もよく知る証人」である。この認識の落差が危険で、元役員が気軽に「知りません」と回答した結果、それが虚偽報告と評価される事態が起こりうる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の性質 | 318条の2:調査妨害に対する刑事罰(1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金) | 240条の9:被調査会社に対する報告徴求・立入検査の権限規定 247条の2:被管理会社に対する報告徴求・立入検査の権限規定 |
| 名宛人 | 取締役・執行役・会計参与・監査役・会計監査人・支配人その他の使用人および元役職員(自然人) | 被調査会社(法人)に対する調査権限 被管理会社(法人)に対する調査権限 |
| 発動の局面 | 上記2条の調査に対し報告拒否・虚偽報告・検査拒否妨害忌避があったとき | 保険契約者保護機構による資金援助等の判断に必要なとき 保険管理人が業務・財産の管理を行うために必要なとき |
| 退職者への適用 | 「これらの者であった者」を明記し、元役職員にも及ぶ | 調査の名宛人は会社であるが、回答実務は在職者・元役職員に及ぶ 同左(保険管理人が実際の資料所持者に照会する) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は金融監督管理委員会の検査妨害を高額の行政罰鍰で制裁する構成をとり、刑事罰ではない点で日本と設計思想が異なる
韓国も検査拒否・虚偽報告を制裁対象とするが、保険会社の破綻処理は예금자보호법の枠組みと連動する点が日本と異なる
ドイツは保険監督法に Strafvorschriften と Bußgeldvorschriften を並置し、報告義務違反を刑事罰と過料に振り分ける二層構造をとる
米国は州の保険長官が receiver として管財に入り、調査妨害は州法上の制裁および裁判所の contempt により担保される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 勤務先の生保が業務停止命令を受け、保険管理人が乗り込んできた。247条の2に基づく報告徴求で、あなたが管理していた運用損失の内部資料の提出を求められる。上司は「まだ確定していない数字だから出すな」と言う。出さなければ「報告をせず」に該当しうる。あなたの判断で刑事責任が分かれる
- 退職して二年、転職先で平穏に働いていたある朝、保護機構から前職に関する報告を求める文書が届く。「もう辞めた会社だから関係ない」は通用しない。本条は「これらの者であった者」を明記しており、在職時の業務について報告義務を負う
- もし調査当日に「担当者が出張中で不在」を繰り返したらどうなるか。単なる日程調整に見えるが、回数と意図によっては「検査を忌避した」と評価される余地がある。拒否・妨害だけでなく、逃げ続けることそれ自体が構成要件だ
- 会計監査人として保険会社を担当していた公認会計士が、監査調書の提出を求められた。守秘義務を理由に渋れば、法律上の報告義務と職業上の守秘義務が正面から衝突する。実務上、法令に基づく報告は守秘義務の例外として扱われるが、範囲の線引きは解釈が分かれている
- あと10日で報告期限。手元の資料は散逸し、当時の担当者は全員退職済み。「分からないので白紙で出す」か「推測で埋める」か。後者を選ぶと虚偽報告のリスクが立ち上がる。分からないことを分からないと書く方が、法的には安全である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 報告徴求や立入検査の通知を受けたら、根拠条文が240条の9か247条の2かを最初に確認し、義務の相手方と範囲を特定する2. 回答内容は上司の指示のままではなく、自分が確認できた事実に限定して記載し、不明な部分は「確認できず」と明記する3. 社内で提出を止められた場合、その指示を書面・メールで残す4. 守秘義務や退職合意との衝突が生じたら、提出前に弁護士へ相談する。提出後では取り返しがつかない
訴えられた側:1. まず自分の行為が「報告をせず」「虚偽の報告」「拒否・妨害・忌避」のどれに当たると評価されているかを特定する2. 虚偽性が争点なら、作成時点で入手可能だった資料の範囲を示し、認識の誤りにすぎず故意がなかったことを立証する3. 上位者の指示があった場合、その指示の記録は責任の所在を示す重要証拠になる4. 拘禁刑または罰金の選択刑であり、事案によっては罰金にとどまる余地がある。早期の事実関係整理と協力姿勢が量刑に影響する
時効(請求できる期限):長期1年の拘禁刑に当たる罪であり、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は犯罪行為が終わった時、つまり報告期限の経過時または虚偽報告書の提出時。報告徴求自体への回答期限は個別の通知で指定されるため、通知書面の日付欄を最優先で確認すること
学説
一般的理解:本条は行政取締法規型の罰則であり、保護法益は破綻処理手続における情報把握の実効性にあると解される。両罰規定による法人処罰ではなく行為者個人を直接処罰する構造をとる点に、破綻責任を問われうる者から情報を確保するという立法趣旨が表れている
実務上の議論:会計監査人等の職業上の守秘義務と法令に基づく報告義務が衝突する場面では、法令上の開示義務が優先すると解するのが実務の一般的扱いであるが、報告徴求の範囲を超える情報にまで開示義務が及ぶかについては線引きに解釈の幅がある
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成7年(1995年) 改正:保険業法全部改正(平成7年法律第105号)。保険会社に対する監督・罰則体系が現行の枠組みに再編された
- 2.平成10年(1998年) 改正:保険契約者保護機構が創設され、破綻保険会社に対する資金援助・契約引受けの枠組みと、その前提となる調査権限が整備された
- 3.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、本条の法定刑も「1年以下の拘禁刑」と改められた
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