保険業法 第53条の38(補償契約及び役員等のために締結される保険契約)
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会社法第二編第四章第十二節(第四百三十条の二第五項後段を除く。)(補償契約及び役員等のために締結される保険契約)の規定は、相互会社の役員等について準用する。この場合において、同法第四百三十条の二第一項(補償契約)中「役員等に」とあるのは「役員等(保険業法第五十三条の三十三第一項に規定する役員等をいう。以下同じ。)に」と、「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とあるのは「取締役会」と、同条第二項第二号中「第四百二十三条第一項」とあるのは「保険業法第五十三条の三十三第一項」と、同条第四項中「取締役会設置会社においては、補償契約」とあるのは「補償契約」と、同条第六項中「第三百五十六条第一項及び第三百六十五条第二項(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四百二十三条第三項並びに」とあるのは「保険業法第五十三条の十五において読み替えて準用する第三百五十六条第一項及び第三百六十五条第二項(これらの規定を同法第五十三条の三十二において読み替えて準用する第四百十九条第二項前段において準用する場合を含む。)、同法第五十三条の三十三第三項並びに同法第五十三条の三十六において読み替えて準用する」と、同法第四百三十条の三第一項(役員等のために締結される保険契約)中「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」とあるのは「取締役会」と、同条第二項中「第三百五十六条第一項及び第三百六十五条第二項(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)並びに第四百二十三条第三項」とあるのは「保険業法第五十三条の十五において読み替えて準用する第三百五十六条第一項及び第三百六十五条第二項(これらの規定を同法第五十三条の三十二において読み替えて準用する第四百十九条第二項前段において準用する場合を含む。)並びに同法第五十三条の三十三第三項」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
補償契約及び役員等のために締結される保険契約とは何ですか?
定義補償契約及び役員等のために締結される保険契約とは、保険業法第53条の38に定められた規定で、「会社法第二編第四章第十二節(第四百三十条の二第五項後段を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第53条の38(補償契約及び役員等のために締結される保険契約)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第53条の38の条文原文は「会社法第二編第四章第十二節(第四百三十条の二第五項後段を除く。」で始まります。
- 保険業法第53条の38は第十目 役員等の損害賠償責任に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第53条の38の前の条は保険業法第53条の37です。
- 保険業法第53条の38の次の条は保険業法第54条です。
- 保険業法第53条の38には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の38 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第53条の38(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/53_38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法53条の40は、会社法の補償契約と役員等賠償責任保険契約の規定を相互会社の役員等に準用する。読替えにより決議機関は取締役会に一本化される。
Q · 相互会社の役員も、補償契約や D&O 保険で守られるの?
守られる。ただし取締役会の決議があって初めて存在する
保険業法53条の40は、会社法430条の2(補償契約)および430条の3(役員等賠償責任保険契約)を相互会社の役員等に準用します。読替えにより、株式会社では「株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)」とされる決議機関が、相互会社では一律に取締役会となります。社員総会(総代会)の承認は不要です。また、役員自身が対象者であっても、利益相反取引の承認規定(会社法356条1項等)は適用除外とされているため、その決議に参加できます。
解説
相互会社の取締役や監査役を引き受けるとき、あなたが本当に見るべき書類は報酬通知ではない。取締役会議事録に「補償契約」と「役員賠償責任保険(D&O 保険)」の決議があるかどうかだ。保険業法53条の40は、会社法430条の2・430条の3を相互会社に準用し、株式会社と同じ二つの盾を用意している。補償契約は、あなたが職務執行で訴えられたときの弁護士費用や和解金を会社が肩代わりする契約。D&O 保険は、その支払原資を保険会社に転嫁する契約。ここで効いてくるのが読替えだ。株式会社なら株主総会または取締役会で決めるところ、相互会社は社員総会ではなく取締役会決議に一本化されている。つまりあなたを守る契約の成否は、同僚の取締役たちの一票で決まる。さらに、この決議には利益相反取引の規制が適用されない。あなた自身が対象者でも、その決議から自動的に排除されるわけではない。守られる側と決める側が重なるこの構造を知らないまま就任すると、無保険で最前線に立つことになる。
法的な位置づけ
保険業法53条の40は、会社法第二編第四章第十二節に定める補償契約および役員等のために締結される保険契約の規定を、相互会社の役員等について準用する規定である。準用に際して決議機関を取締役会に読み替え、責任の主体および根拠条文を保険業法53条の33第1項に読み替える技術的規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.就任前に補償契約と保険証券を確認 就任承諾書に署名する前に、補償契約書の写しと D&O 保険証券の填補限度額・免責金額・退任者カバーの有無を求める。就任前は交渉力が最も高い段階
- 2.取締役会で契約内容を決議する 相互会社では取締役会決議により補償契約および役員等賠償責任保険契約の内容を決定する(53条の40による読替え)。総代会に諮る必要はない。議事録には契約の必要性と内容を詳細に記録する
- 3.カバーの穴(免責・除外事由)を洗い出す 悪意または重過失がある場合の賠償金、通常要する費用を超える部分、求償可能部分は補償対象外。保険の免責金額部分を補償契約でカバーする二層設計になっているかを確認する
- 4.責任追及を受けたら直ちに保険会社へ通知 D&O 保険は請求ベース(クレームズメイド)が通例のため、請求を受けた事実を保険会社に直ちに通知する。通知遅延は免責事由になりうる
- 5.防御費用の前払いを書面で請求する 答弁書を出す前に、会社法430条の2第1項1号に基づく防御費用の前払いを会社へ書面で請求する。自腹で立て替えてから請求すると金額の妥当性を後から査定される立場になる
- 6.補償実行後の取締役会報告を履行する 補償を実行した後、遅滞なく補償についての重要な事実を取締役会に報告する(会社法430条の2第4項、相互会社では読替えにより一律適用)。報告の記録が後日の説明責任の基礎になる
よくある質問 AI による整理
Q1補償契約とは何ですか?
役員が職務執行に関して responsibility を追及された際の防御費用や賠償金を、会社が肩代わりする契約です。会社法430条の2が本体規定で、相互会社には保険業法53条の40が準用します。
Q2D&O 保険は誰が決めるのですか?
相互会社では取締役会の決議で内容を決定します。保険業法53条の40の読替えにより、会社法430条の3第1項の「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」が「取締役会」に置き換わるためです。
Q3相互会社で総代会の承認は必要ですか?
不要です。53条の40の読替えで決議機関は取締役会に一本化されています。総代会に諮ると決議のタイミングを無用に遅らせることになります。
Q4補償契約で払えないものは何ですか?
通常要する費用を超える部分、会社が第三者へ賠償して求償できる部分、役員に悪意または重過失があった場合の賠償金です(会社法430条の2第2項)。
Q5自分が被保険者でも議決に参加できる?
参加できます。会社法430条の3第2項の読替え適用により、利益相反取引の承認規定などが適用除外とされているためです。
Q6補償を受けた後に返還を求められることはある?
あります。役員に自己または第三者の利益を図る目的、あるいは会社に損害を加える目的があったと判明した場合、会社は補償額の返還を請求できます(会社法430条の2第3項)。
Q7補償契約の実行後に報告義務はある?
あります。補償をした取締役および補償を受けた取締役は、遅滞なく補償についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(会社法430条の2第4項)。
Q8相互会社の役員は誰から訴えられる?
保険契約者である社員です。保険業法53条の33以下が役員等の責任規定を準用し、社員による責任追及の訴えの仕組みが用意されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1補償契約と D&O 保険、両方あれば安心ということですか?
重なる部分もありますが、穴の位置が違います。補償契約は会社が払う約束なので会社が破綻すれば絵に描いた餅、D&O 保険は保険会社が払うので会社の信用力に左右されません。逆に保険には免責金額と填補限度額があります。実務のポイント:多くの会社は保険の免責金額部分を補償契約でカバーする設計にしています。この二層の噛み合わせを確認せず「両方ある」で安心すると、免責金額分だけ自腹という穴が残る
Q2相互会社って株主がいないのに、誰が役員を訴えるんですか?
保険契約者である社員が訴えます。保険業法53条の33以下が会社法の役員責任規定を準用し、社員による代表訴訟(責任追及の訴え)の仕組みも用意されています。株主がいないことは、訴えられないことを意味しません。実務のポイント:相互会社は社員数が数百万人規模になることがあり、提訴のハードルは低い。一方で総代会を通じた日常的な監視は弱いため、問題が表面化したときに一気に訴訟へ振れやすい構造がある
Q3取締役会で自分の保険の議案が出たら、席を外すべきですか?
外す必要はありません。会社法430条の3第2項が読替え適用され、利益相反取引の承認規定(356条1項)や責任の推定規定が適用除外とされているためです。全役員が被保険者になるのが通常なので、排除すると決議自体が成立しません。実務のポイント:適用除外があるからこそ、議事録には保険の内容と必要性を丁寧に記録しておくべき。後で「お手盛りだ」と攻められたとき、議事録の記載密度が唯一の防御線になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「補償契約があれば何でも会社が払ってくれる」と理解している人は多い。だが深刻なのは除外の範囲だ。会社法430条の2第2項により、通常要する費用を超える部分、会社が第三者に賠償して求償できる部分、そして役員に悪意または重過失があった場合の賠償金は補償できない。さらに同条3項では、図利加害目的が判明したら会社は補償額の返還を請求できる。網は張られているが、目は粗い
- 「相互会社だから社員総会(総代会)の承認が要る」という前提そのものが誤っている。53条の40の読替えで「株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)」は「取締役会」に置き換えられており、相互会社では一律に取締役会決議で足りる。総代会に諮る必要はない。この誤解のせいで、決議のタイミングを一年待ってしまう会社がある
- あなたから見れば D&O 保険は会社が買う福利厚生の一種だが、法律から見れば役員と会社の間の潜在的な利益相反取引である。だからこそ会社法430条の3は、あえて356条1項・365条2項・423条3項の適用を外すという明文の手当てをした。手当てが必要だったという事実そのものが、この契約の危うさを示している。適用除外を知らずに手続を組むと、逆に無効リスクを抱え込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守る手段の性質 | 保険業法53条の40:補償契約(会社が払う)+ D&O 保険(保険会社が払う) | 保険業法53条の36:責任限定契約(責任額の上限を予め定める) 保険業法53条の33:役員等の会社に対する損害賠償責任(守られる対象そのもの) |
| 決議機関 | 取締役会(読替えにより一本化、総代会不要) | 定款の定めが前提(定款変更は総代会事項) 責任免除は原則として総代会の決議が必要 |
| 利益相反規制の適用 | 適用除外(会社法430条の3第2項の読替え適用) | 保険業法53条の15の準用による規制枠組みの中で処理 利益相反取引による責任は加重される構造 |
| 悪意・重過失がある場合 | 賠償金は補償対象外(会社法430条の2第2項)、図利加害目的なら返還請求 | 責任限定契約は善意かつ重過失がない場合に限り効力 任務懈怠責任そのものが成立し全額負担 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は2018年会社法改正で董事責任保険の締結と最近一次董事会への報告義務を明文化。相互保険会社の組織規定は保険法が別途定める
韓国は商法が取締役の責任免除・責任限定を定め、D&O 保険は実務慣行として普及。相互会社形態は日本ほど一般的でない
ドイツは D&O 保険につき取締役に一定の自己負担(Selbstbehalt)を法律上義務づける点が日本と大きく異なる。相互保険会社は VVaG として VAG が規律
米国は会社補償(indemnification)と役員保険の法制が最も発達し、日本の令和元年会社法改正はこの系譜の影響を受けている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生命保険相互会社の社外取締役に就任した。報酬は年600万円。ある日、契約者から「不適切な運用で剰余金配当が減った」と代表訴訟を起こされる。弁護士費用は着手金だけで数百万円、判決まで三年。補償契約がなければ全額自腹の立替えから始まる。就任時に議事録を確認していれば、この夜は眠れたはずだ
- 取締役会で D&O 保険の更新議案が回ってきた。あなたは被保険者本人でもある。「自分が対象なんだから議決権を外すべきでは」と考えるかもしれないが、会社法430条の3第2項の読替えにより、356条1項(利益相反取引の承認)は適用されない。あなたは堂々と一票を投じてよい。この構造を知らずに棄権すると、定足数を欠いて保険が切れる
- もし、金融庁の立入検査で業務改善命令が出たら? 命令自体は会社に対するものだが、その後に責任追及の社員代表訴訟(保険業法53条の33以下)が続くことがある。補償契約があっても、悪意または重過失があった場合の賠償金は補償対象外(会社法430条の2第2項)。カバーの穴がどこにあるかを、訴えられてから知るのでは遅い
- 相互会社の執行役員から取締役に昇格する内示を受けた。あと10日で就任承諾書に署名する。この10日で確認すべきは、補償契約の締結有無、D&O 保険の填補限度額、免責金額、そして退任後の期間もカバーされるか。就任してからでは交渉力が消える
- 監査役を退任して2年後、在任中の案件で訴えられた。D&O 保険は「保険期間中に提起された請求」を填補する請求ベース(クレームズメイド)が通例。会社が保険を更新し続けていなければ、退任者は真っ先に切り捨てられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 責任追及の通知や訴状が届いたら、対応方針を決める前に補償契約の有無と D&O 保険証券を入手する2. 保険は請求ベースが通例なので、請求を受けた事実を保険会社へ直ちに通知する。通知遅延は免責事由になりうる3. 会社に対し、会社法430条の2第1項1号に基づく防御費用の前払いを書面で請求4. 会社と自分の利害が対立する局面(会社側が責任ありと主張する場合)では、会社顧問弁護士とは別に自分の代理人を立てる
訴えられた側:1. まず自分の行為に悪意または重過失があったと評価される余地を冷静に検討、ここが補償の可否を分ける2. 取締役会の議事録・稟議書・社外専門家の意見書など、経営判断の過程を示す資料を確保3. 補償を受けた後に図利加害目的が判明すると返還請求を受ける(430条の2第3項)、事実関係を会社に隠さない4. 取締役会は補償実行後に遅滞なく報告を要する(同条4項、相互会社では読替えにより一律適用)、報告義務の履行状況も確認する
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。役員の会社に対する任務懈怠責任の追及は、保険業法53条の33第1項に基づく請求権として一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年または権利行使可能時から10年)に服する。D&O 保険は請求ベースが通例で、保険期間中に請求を受けた事案のみが対象になるため、退任後の空白期間に注意
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)会社法改正に伴う整備 会社法に補償契約(430条の2)と役員等賠償責任保険契約(430条の3)が新設されたことを受け、相互会社の役員等にこれらを準用する規定として本条が整備された。従来は明文なく解釈に委ねられていた領域が立法的に明確化された。具体的な新設・改正の別および施行時期は人的検証が必要
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