介護保険法 第67条(保険給付の支払の一時差止)
クイックジャンプ
- 市町村は、保険給付を受けることができる第一号被保険者である要介護被保険者等が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間が経過するまでの間に当該保険料を納付しない場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めるものとする。
- 2.市町村は、前項に規定する厚生労働省令で定める期間が経過しない場合においても、保険給付を受けることができる第一号被保険者である要介護被保険者等が保険料を滞納している場合においては、当該保険料の滞納につき災害その他の政令で定める特別の事情があると認める場合を除き、厚生労働省令で定めるところにより、保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めることができる。
- 3.市町村は、前条第一項又は第二項の規定により支払方法変更の記載を受けている要介護被保険者等であって、前二項の規定による保険給付の全部又は一部の支払の一時差止がなされているものが、なお滞納している保険料を納付しない場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該要介護被保険者等に通知して、当該一時差止に係る保険給付の額から当該要介護被保険者等が滞納している保険料額を控除することができる。
この条文の基本情報
保険給付の支払の一時差止とは何ですか?
定義保険給付の支払の一時差止とは、介護保険法第67条に定められた規定で、「市町村は、保険給付を受けることができる第一号被保険者である要介護被保険者等が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間が経過する…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第67条(保険給付の支払の一時差止)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第67条の条文原文は「市町村は、保険給付を受けることができる第一号被保険者である要介護被保険者等が保険料を滞納しており、かつ、当該保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間が経過する…」で始まります。
- 介護保険法第67条は第六節 保険給付の制限等に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第67条の前の条は介護保険法第66条です。
- 介護保険法第67条の次の条は介護保険法第68条です。
- 介護保険法第67条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第67条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第67条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/67
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法67条は、保険料を滞納する65歳以上の要介護者等への保険給付の支払を市町村が一時差し止める規定。災害等の特別の事情があれば差止は行われない。
Q · 介護保険料を滞納し続けると、介護保険の給付はどうなるの?
サービスは使えるが、給付の支払が止まり保険料に充てられうる
介護保険法67条により、65歳以上の第一号被保険者である要介護者等が保険料を滞納し、納期限から厚生労働省令で定める期間が過ぎても納付しない場合、市町村は保険給付の全部又は一部の支払を一時差し止めます(1項)。期間経過前でも差止が可能です(2項)。さらに滞納が続けば、事前通知のうえ差止額から滞納保険料を控除できます(3項)。ただし災害等の特別の事情があれば差止は行われません。
解説
介護保険料を滞納したまま一定期間が過ぎると、市町村はあなたの保険給付の支払を「一時差止」にできる。ここで多くの人が誤解する。介護サービスが使えなくなるのではない。使えるが、いったん全額を自己負担で払い、後から市町村に請求する償還払い(前条66条の支払方法変更)に切り替わったうえで、その返ってくるはずのお金の支払いが止まる。つまり月30万円のサービスを使えば、30万円が自分の財布から出ていき、戻ってこない状態が続く。さらに3項が効いてくる。市町村は事前通知のうえ、その差し止めた給付費から滞納保険料を天引きできる。あなたの介護費用が、あなたの同意なしに保険料の回収原資になる。ただし出口はある。災害その他の政令で定める特別の事情があれば、差止は行われない。この一文を知っているかどうかで、役所の窓口で何を主張するかが変わる。
法的な位置づけ
介護保険法67条は保険給付の一時差止を定める規定であり、保険料を滞納する第一号被保険者である要介護被保険者等に対し、市町村が保険給付の支払を一時的に差し止める旨を規定する。1項は所定期間経過後の義務的差止、2項は期間経過前の裁量的差止、3項は差止額からの滞納保険料の控除を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.届いた通知の種別と日付を確認する 市町村からの通知が支払方法変更(66条)、一時差止(67条1項・2項)、控除の事前通知(67条3項)のどれかを確認し、通知日と記載された期限を控える
- 2.特別の事情にあたる出来事を洗い出す 滞納期間中に災害、盗難、生計を主に維持する人の死亡や長期入院、事業の廃止・休止、著しい収入減などがなかったかを確認し、裏付け資料を集める
- 3.窓口で特別の事情の申立てと納付相談を同時に行う 市町村の介護保険担当窓口に、特別の事情の申立てを書面と資料で提出し、あわせて分割納付の相談と納付誓約を行う。口頭のみで済ませず提出記録を残す
- 4.控除の期日前に一部でも納付する 控除の事前通知が届いている場合、控除の実行前に滞納保険料の一部を納付し、差止給付から引かれる額を圧縮する
- 5.納得できなければ審査請求を検討する 差止や控除の処分に不服がある場合、処分を知った日の翌日から3か月以内に介護保険審査会へ審査請求を行う。生活が困窮している場合は生活困窮者自立支援窓口にも同時に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険料の滞納で給付が差し止められるのはいつから?
保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間が経過しても納付しない場合に差止となります(67条1項)。期間経過前でも市町村の判断で差し止められることがあります(2項)。
Q2介護保険料の時効は何年?
保険料を徴収する権利は2年で時効消滅します(介護保険法200条)。ただし時効で消えた期間がある場合、69条により給付額の減額という別の不利益が生じます。
Q3保険給付一時差止の通知が届いたらどうする?
通知の日付と種別を控え、滞納期間中の災害・入院・失業などの事情を洗い出したうえで、市町村の介護保険担当窓口に特別の事情の申立てと納付相談を早めに行います。
Q4介護保険料の滞納分は分割で払える?
市町村の納付相談で分割納付に応じる運用が一般的です。納付誓約を書面で出し、計画どおり払い続けることが差止や控除の回避・縮小に向けた現実的な手段になります。
Q5給付の一時差止に不服申立てはできる?
できます。差止は行政処分にあたり、介護保険審査会への審査請求が可能です。期間は原則として処分を知った日の翌日から3か月以内です(行政不服審査法18条)。
Q640〜64歳の人も介護保険法67条の対象?
67条の対象は第一号被保険者(65歳以上)です。40〜64歳の第二号被保険者については、医療保険料の滞納を理由とする差止が68条で別に定められています。
Q7滞納保険料を払えば差し止められた給付は戻る?
滞納が解消されれば差止の理由がなくなり、差し止められていた給付が支払われるのが原則です。ただし3項で控除が実行された分は保険料に充当済みとなります。
Q8年金天引きの人も給付が差し止められる?
年金からの特別徴収では滞納が生じにくいため、差止の対象となるのは主に納付書や口座振替で納める普通徴収の人です。年金額が一定未満の人は普通徴収になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保険料を滞納したら、もうヘルパーさんもデイサービスも使えなくなるんですか?
利用そのものは可能である。67条が止めるのは保険給付の「支払」であり、前段の66条で償還払いに変更されたうえで、その償還が保留される。つまり一度全額を事業者に払う必要が生じる。実務のポイント:ケアマネジャーは滞納の事実を市町村から直接は知らされないことが多い。差止が始まる前に自分からケアマネに伝えると、区分支給限度額内でのプラン組み替えや、償還払いでも家計が持つサービス構成に事前調整できる。
Q2「特別の事情」って、具体的にどこまで認められるんですか?
政令で定める類型で、災害による財産の著しい損害、生計を主として維持する者の死亡・長期入院、事業の廃止や休止、著しい損失などが中心である(67条1項但書)。単に生活が苦しいという一般的事情だけでは認められにくく、実務上、認定の幅は自治体で運用差がある。実務のポイント:申立ては口頭で終わらせず必ず書面と疎明資料で出す。後日の審査請求で、申立ての有無と資料提出の記録が唯一の争点になる。
Q3差し止められたお金から勝手に保険料を引かれるって本当ですか?
本当である。67条3項は、66条の支払方法変更の記載を受け、かつ差止中の被保険者が滞納を続ける場合、事前通知のうえ差止給付額から滞納保険料額を控除できると定める。実務のポイント:控除は「できる」規定であり、通知後に納付計画を立てて実行に移せば控除を見送る運用をする自治体もある。通知を受けた時点が交渉の最終局面で、放置と即日相談とで結果が分かれる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「保険料を滞納すると介護サービスが受けられなくなる」と理解している人が大半だが、問いの立て方が違う。給付を受ける資格は消えていない。止まるのは資格ではなく現金の流れであり、争うべき土俵も「サービス利用の可否」ではなく「差止処分の適法性と特別の事情の有無」である。
- 差止の存在自体は知っていても、3項の深刻度を見落としている人が多い。差止は一時的な保留ではなく、控除により最終的な没収に転化しうる。事前通知が届いた時点が、天引きを止められる最後の分岐点である。
- 本人視点では「支払えないから仕方ない」だが、法律の視点では1項の差止は「するものとする」、つまり要件を満たせば市町村に選択の余地がない羈束処分に近い。役所の担当者に情を訴えても動かないのはそのためで、動かせるのは特別の事情の立証だけである。この落差を知らない人が窓口で時間を浪費する。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 措置の内容 | 67条:保険給付の全部又は一部の支払を一時差止、さらに差止額から滞納保険料を控除可 | 66条:現物給付から償還払いへの支払方法変更 69条:時効消滅期間に応じた給付額の減額・高額介護サービス費等の不支給 |
| 発動の前提 | 保険料の滞納が続き、省令期間が経過(2項は経過前でも可) | 保険料の納期限から省令期間が経過しても滞納 保険料徴収権が時効で消滅した期間がある |
| 市町村の裁量 | 1項は「するものとする」、2項・3項は「できる」 | 要件充足で記載を行う 要件充足で減額の記載を行う |
| 対象者 | 第一号被保険者である要介護被保険者等 | 第一号被保険者である要介護被保険者等 第一号被保険者である要介護被保険者等 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾には介護の社会保険がなく、長期介護は税財源の長期照顧服務法で運営される。保険料滞納による給付停止は全民健康保険で、納付能力がありながら滞納する者に限って認められる点が日本より限定的
韓国は日本を参考に2008年に長期療養保険を導入。保険料は健康保険料と一体で徴収され、滞納時の給付制限も健康保険の枠組みで扱われる
ドイツは社会介護保険の原型国。保険料滞納時の給付停止(Ruhen)は健康保険法側に規定があり、緊急時の給付は停止しない設計が採られている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 年金から天引きされない普通徴収の第一号被保険者(65歳以上)で、通帳残高が足りず納付書が机の上に溜まっていった。ある日、要介護認定を受けてデイサービスを使い始めたら、利用料の全額を窓口で請求された。差額9割は後から返るはずだが、その返還が止まっている。
- 親の介護を引き継いだ子が、通帳と納付書の束を初めて開けた。滞納は1年半分。役所に問い合わせる前に確認すべきは、その滞納期間に入院・被災・失業・生計中心者の死亡がなかったか。特別の事情に該当すれば、差止そのものが行われない。
- もし市町村から「保険給付の一時差止予告通知」が届いたら、どうなる? 無視した先にあるのは3項の控除である。差し止められた給付費から滞納分が天引きされ、あなたには一円も戻らない。
- 市町村の介護保険担当として滞納者名簿を前にしている側。2項は期間経過前でも差止「できる」と定めるが、これは裁量であり、機械的な運用は行政処分(役所があなたに直接下す具体的な決定)として争われうる。弁明の機会と特別の事情の調査記録が防御線になる。
- 限度額いっぱいのサービスを使いながら差止を受けた人に残された時間は短い。月額自己負担は一気に十倍になる。次の納付相談窓口の予約まであと数日、その間に用意すべきは通帳と診断書と罹災証明である。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 通知書の種別を確認(支払方法変更の記載=66条、一時差止=67条1項・2項、控除=3項)と日付を控える2. 滞納期間に災害・盗難・生計中心者の死亡や長期入院・事業廃止・著しい収入減がなかったか洗い出し、罹災証明・診断書・離職票・所得証明で裏付ける3. 特別の事情の申立てと分割納付誓約を同時に市町村介護保険課へ提出4. 控除の事前通知が来ている場合は、その期日前に一部納付を行い控除額を圧縮5. 納得できない処分なら審査請求を検討(介護保険審査会)。生活困窮なら同時に生活保護・生活困窮者自立支援窓口へ。
訴えられた側:市町村担当として:1. 1項は羈束的だが、特別の事情(施行令で定める災害等)の調査を尽くしたかが適法性の分水嶺2. 2項の期間経過前の差止は裁量処分であり、機械的運用は裁量権の逸脱濫用として取り消される余地がある。判断理由を記録に残す3. 3項の控除は事前通知が効力要件、通知の送達記録を保存4. いずれの通知にも教示(審査請求の宛先と期間)を付す。
時効(請求できる期限):1項の差止は保険料の納期限から厚生労働省令で定める期間の経過が起算点(省令の現行期間は最新の改正状況をご確認ください)。処分に不服がある場合の審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。保険料徴収権自体は2年で時効消滅する(介護保険法200条)が、時効完成分は給付減額の対象として別途扱われる点に注意。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法(平成9年法律第123号)の制定により、保険料滞納者に対する保険給付の一時差止と控除の規定として設けられた。制度は2000年4月に施行された。
- 介護保険法 第66条償還払い化の支払方法変更、本条の前提処分
- 介護保険法 第68条医療保険料滞納者に対する給付の差止
- 介護保険法 第69条時効消滅分に対応する給付額減額と高額介護サービス費の不支給
- 介護保険法 第129条第一号被保険者の保険料賦課の根拠
- 介護保険法 第200条保険料徴収権の2年時効、控除可能額の外枠
- 行政不服審査法 第18条差止処分に対する審査請求期間の一般法
- 国民健康保険法 第63条滞納者への給付一時差止の同型規定
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める