介護保険法 第87条(指定介護老人福祉施設の基準)
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- 指定介護老人福祉施設の開設者は、次条第二項に規定する指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準に従い、要介護者の心身の状況等に応じて適切な指定介護福祉施設サービスを提供するとともに、自らその提供する指定介護福祉施設サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより常に指定介護福祉施設サービスを受ける者の立場に立ってこれを提供するように努めなければならない。
- 2.指定介護老人福祉施設の開設者は、指定介護福祉施設サービスを受けようとする被保険者から提示された被保険者証に、認定審査会意見が記載されているときは、当該認定審査会意見に配慮して、当該被保険者に当該指定介護福祉施設サービスを提供するように努めなければならない。
この条文の基本情報
指定介護老人福祉施設の基準とは何ですか?
定義指定介護老人福祉施設の基準とは、介護保険法第87条に定められた規定で、「指定介護老人福祉施設の開設者は、次条第二項に規定する指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準に従い、要介護者の心身の状況等に応じて適切な指定介護福祉施設サ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第87条(指定介護老人福祉施設の基準)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第87条の条文原文は「指定介護老人福祉施設の開設者は、次条第二項に規定する指定介護老人福祉施設の設備及び運営に関する基準に従い、要介護者の心身の状況等に応じて適切な指定介護福祉施設サ…」で始まります。
- 介護保険法第87条は第一款 指定介護老人福祉施設に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第87条の前の条は介護保険法第86条の2です。
- 介護保険法第87条の次の条は介護保険法第88条です。
- 介護保険法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法87条は、特別養護老人ホームの開設者に、基準に従った適切なサービス提供と質の自己評価、被保険者証の認定審査会意見への配慮を努力義務として課す。
Q · 特養は、被保険者証に書かれた認定審査会意見に従わないといけないの?
配慮する努力義務がある。ケアへの反映を求められる
介護保険法87条2項により、指定介護老人福祉施設の開設者は、被保険者証に認定審査会意見が記載されているとき、その意見に配慮してサービスを提供するよう努めなければなりません。努力義務であり87条自体に罰則はありませんが、施設は88条に基づく設備運営基準にも従う必要があり、基準違反が続けば勧告・命令・指定取消の対象になりえます。家族は施設サービス計画への反映を具体的に求めることができます。
解説
特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設)に親を預けたとき、施設側が背負っている義務の中身を、あなたは読んだことがあるだろうか。介護保険法87条は二つの努力義務を課している。第一に、設備運営基準に従い、入所者の心身の状況に応じた適切なサービスを提供し、さらに自らサービスの質を評価して、常に利用者の立場に立って提供するよう努めること。第二に、被保険者証に「認定審査会意見」が記載されている場合、その意見に配慮してサービスを提供するよう努めること。ここで見落とされがちなのが後者だ。要介護認定の際、介護認定審査会は「この方はリハビリ中心の対応が望ましい」「口腔ケアの重点的実施が必要」といった意見を付すことがあり、それは被保険者証に印字されている。多くの家族は被保険者証の要介護度の欄しか見ない。だが審査会意見欄が埋まっていれば、それは施設に配慮義務を発生させる公的な文書である。施設面談でその欄を指さして「ここに配慮していただけますか」と確認できる家族と、できない家族では、ケアプランの中身が変わる。
法的な位置づけ
介護保険法87条は、指定介護老人福祉施設の開設者の責務を定める規定であり、第1項で設備運営基準に従った、要介護者の心身の状況に応じた適切なサービス提供と、サービスの質の自己評価その他の措置を、第2項で被保険者証に記載された認定審査会意見への配慮を、いずれも努力義務として課している。
手順
- 1.被保険者証とケアプランを照合する 被保険者証の認定審査会意見欄と、施設が作成した施設サービス計画(ケアプラン)を並べ、意見の内容が計画に反映されているかを確認する
- 2.施設ケアマネに書面で見直しを依頼する 反映されていない点があれば、施設の介護支援専門員に書面またはメールで計画の見直しを依頼し、送信記録を保存する
- 3.サービス担当者会議で議題化する 改善がない場合は担当者会議での議題化を求め、認定審査会意見を根拠に要望を述べる。議事録への記載を確認し、次回会議で進捗を確認する
- 4.公的窓口に苦情を申し立てる それでも改善されない場合、市区町村の介護保険担当課または国保連の苦情処理窓口に、経過を時系列で整理した資料を添えて申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1特養の入所条件は?
原則として要介護3以上の方が対象です。要介護1・2でも、やむを得ない事情がある場合は特例入所が認められることがあります。
Q2特養 苦情 どこに言う?
まず施設の苦情受付窓口に申し出ます。解決しない場合は、市区町村の介護保険担当課や都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)に相談できます。
Q3認定審査会意見がないとどうなる?
記載がなければ87条2項の配慮義務は生じません。ただし1項の、心身の状況に応じた適切なサービスを提供する努力義務は残ります。
Q4特養のケアプランは見直しできる?
できます。施設サービス計画は入所者の状態変化に応じて変更されるもので、家族は施設の介護支援専門員に見直しを依頼できます。
Q5特養で転倒事故が起きたら施設の責任は?
予見可能性と回避措置の有無が争点になります。民法415条・709条で判断され、運営基準や87条は注意義務の水準を測る材料になりえます。
Q6特養の運営基準は何で決まっている?
介護保険法88条の委任を受けた厚生労働省令(指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準)で、人員配置・設備・運営ルールが定められています。
Q7特養が指定取消になるのはどんな場合?
人員・設備・運営基準に従わない場合や、介護報酬の不正請求などが典型です。介護保険法92条以下に取消事由が定められています。
Q8サービス担当者会議に家族は参加できる?
施設サービス計画の作成・変更時に開かれ、入所者本人や家族が参加して意見を述べるのが一般的です。議事は記録に残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1努力義務って書いてあるんですが、施設に文句を言っても意味ないんじゃないですか?
意味はある。87条自体に罰則はないが、施設は次条2項の設備運営基準(厚生労働省令)にも従う義務があり、著しい違反は介護保険法92条以下の勧告・命令・指定取消の対象になりうる。実務のポイント:施設が最も気にするのは家族の苦情そのものより、市区町村の実地指導で指摘されることだ。国保連や市町村の窓口に相談があった事実は施設側に伝わる。個別のクレームより、公的窓口を経由した一言のほうが動きが速い。
Q2認定審査会意見って、どこを見れば分かるんですか?
介護保険被保険者証の記載欄にある。要介護認定の際、介護認定審査会が必要と認めた場合に、サービスの種類の指定や療養に関する事項が記載される(介護保険法27条5項等)。記載があれば87条2項の配慮義務が施設に生じる。実務のポイント:認定結果の通知書だけ保管して被保険者証の中身を見ていない家族が非常に多い。更新認定のたびに記載は変わりうるので、更新のたびに写真を撮って保存しておくと、数年後の交渉材料になる。
Q3施設の「質の評価」って、家族が見せてもらうことはできますか?
87条1項は施設に自己評価等の措置を求めており、多くの施設は自己評価や第三者評価の結果を保有している。介護サービス情報の公表制度(介護保険法115条の35以下)により、都道府県のサイトで施設ごとの情報を誰でも閲覧できる。実務のポイント:公表制度のサイトは検索性が悪く家族にほぼ使われていないが、職員数・研修実施状況・看取り対応の有無まで載っている。見学前にこれを印刷して持参すると、施設側の説明の精度が一段上がる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「努力義務だから守らなくても罰則がない、言っても無駄」と考えるのは、努力義務の実務上の働きを見誤っている。87条自体に罰則はないが、指定基準違反が重なれば92条以下の勧告・命令・指定取消の対象になりうるし、民事訴訟では施設の注意義務水準を測る物差しになる。罰則がないことと、影響がないことは全く別である。
- 認定審査会意見について「聞いたことがない、うちの親の証には多分ない」と思っている人が多い。実は被保険者証の記載欄自体はすべての被保険者証に存在し、審査会が意見を付した場合に記載される。「ない」のか「見ていない」のかを区別していない時点で、交渉材料を一つ捨てている。
- 家族から見れば「施設が良くしてくれるかどうかは施設次第、運の問題」に見える。だが法律から見れば、施設は基準に従い利用者の立場に立って提供する義務を負う主体であり、家族は契約当事者として履行を求める地位にある。運任せの視点でいる限り、行使できる立場を自ら使わずに終わる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 87条:開設者の努力義務(理念と質の自己点検) | 88条:設備運営基準の省令委任(具体的な最低ライン) 92条:指定の取消し等(行政上の担保) |
| 違反時の効果 | 本条自体に罰則なし | 基準違反は行政指導・勧告・命令の対象 指定取消・効力停止 |
| 家族にとっての使い方 | 認定審査会意見を根拠にケアへの反映を求める | 省令の具体基準を根拠に不足を指摘する 重大な違反を行政窓口に通報する際の前提知識 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は税財源中心の長期照顧制度を採り、長照機構に対する評鑑(評価)制度で質を担保する。日本のような社会保険方式・被保険者証への審査会意見記載の仕組みはない
韓国は2008年に社会保険方式の老人長期療養保険を導入し、日本の制度と構造が近い。長期療養機関に対する評価制度がある
ドイツは1995年に介護保険を導入。施設の運営主体が介護の質に責任を負う旨を定め、質の審査制度を設けている
米国は Medicare・Medicaid の参加要件として、ナーシングホームに入居者ごとのケアプラン作成や入居者の権利保障を求める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父を特養に入所させて半年、面会のたびに車椅子に座らされたままで、入所前にできていた歩行訓練が一切行われていない。被保険者証を見直すと認定審査会意見に「機能訓練の継続が望ましい」と記載されていた。87条2項は施設にこの意見への配慮を求めている。次の担当者会議で、この一行を根拠に機能訓練計画の見直しを求められる。
- 特養の施設長として、入所判定と受入体制を組む立場にあるあなた。87条1項の「自らその提供するサービスの質の評価を行う」は努力義務だが、指定基準(省令)側では自己評価と改善の仕組みが運営上求められ、実地指導で必ず確認される項目になっている。努力義務だからと自己評価記録を残していないと、指導の場で真っ先に指摘される。
- もし、施設で転倒事故が起き、家族から「適切なサービスではなかった」と言われたらどうなる? 87条は努力義務で直接の損害賠償根拠にはならない。だが訴訟では民法415条(債務不履行)や709条の「注意義務の水準」を認定する際の判断材料として持ち出される。努力義務は裁判で無力ではない。
- 入所契約の説明を受けている最中、あなたの手元に親の被保険者証がある。認定審査会意見欄に何か書かれているか、その場で確認する時間は30秒。契約書にサインしてからでは、施設側の初期対応方針はもう固まっている。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず被保険者証の認定審査会意見欄と、施設が作成した施設サービス計画(ケアプラン)を並べ、意見が計画に反映されているか照合する。2. ずれがあれば、介護支援専門員(施設ケアマネ)に書面またはメールで計画見直しを依頼し、記録を残す。3. 改善されない場合、担当者会議での議題化を求める。4. なお改善しないなら、市区町村の介護保険担当課または国民健康保険団体連合会(国保連)の苦情処理窓口へ申立てる。国保連の調査は施設への指導につながりうる。
訴えられた側:1. 施設側は、87条1項の自己評価の実施記録、2項の認定審査会意見の確認・反映の記録を、日付入りで残しているか点検する。2項は被保険者証に記載がある場合の義務なので、入所時の被保険者証確認手順を文書化しておく。2. 苦情申立てを受けたら、まず事実経過を時系列で整理し、計画作成時の判断根拠を示す。3. 基準(次条2項の省令)に照らして不足があれば、指導・勧告に至る前に自主的な改善計画を提示するほうが、結果的に処分リスクを下げる。
時効(請求できる期限):87条自体に特定の期限規定はない。ただしサービスに起因する損害賠償を求める場合、債務不履行なら民法166条(権利行使できると知った時から5年、または権利行使可能時から10年)、不法行為なら民法724条・724条の2(知った時から3年、人の生命・身体侵害は5年、行為時から20年)が適用される。国保連への苦情申立ては法定の期限はないが、事実確認が可能な期間内に動くこと(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
一般的理解:努力義務規定は直接の私法上の請求権を基礎づけないが、行政指導の根拠となり、民事訴訟では施設の注意義務の水準を判断する材料として考慮されうると理解されている
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定により、指定介護老人福祉施設の開設者の責務として規定。同法は平成12年(2000年)4月に施行
- 介護保険法 第88条設備運営基準の省令委任、本条の内容を具体化
- 介護保険法 第86条指定介護老人福祉施設の指定要件
- 介護保険法 第92条基準違反時の勧告・命令・指定取消
- 介護保険法 第27条認定審査会意見の付記手続、本条2項の前提
- 介護保険法 第115条の35介護サービス情報の公表、質の外部可視化
- 老人福祉法 第20条特別養護老人ホームの設置根拠法
- 社会福祉法 第82条福祉サービス苦情解決の体制整備義務
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 第21条施設従事者による虐待の通報義務(通称 高齢者虐待防止法)
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