不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第5条(不正アクセス行為を助長する行為の禁止)
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何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者以外の者に提供してはならない。
この条文の基本情報
不正アクセス行為を助長する行為の禁止とは何ですか?
定義不正アクセス行為を助長する行為の禁止とは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条に定められた規定で、「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条(不正アクセス行為を助長する行為の禁止)は、日本の不正アクセス行為の禁止等に関する法律に含まれる条文です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条の条文原文は「何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、当該アクセス制御機能に係るアクセス管理者及び当該識別符号に係る利用権者…」で始まります。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の公布日は平成11年8月13日です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条の前の条は不正アクセス行為の禁止等に関する法律第4条です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条の次の条は不正アクセス行為の禁止等に関する法律第6条です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000128 - 本サイト収録
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000128/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不正アクセス禁止法5条は、正当な理由なく他人のIDやパスワードを運営者・本人以外の第三者に提供することを禁止する。相手がログインしなくても違反が成立する。
Q · 他人のIDとパスワードを友達に教えただけで、犯罪になるの?
なりうる。ログインされなくても渡した時点で成立する
不正アクセス禁止法5条は、業務その他正当な理由がある場合を除き、他人の識別符号をアクセス管理者(運営者)と利用権者(持ち主本人)以外の者に提供することを禁じています。受け取った相手が実際にログインしたかは問いません。悪用目的を知らずに渡しても30万円以下の罰金(13条)、知っていれば1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(12条2号)の対象です。
解説
空き巣に入らなくても、他人の家の合鍵を見知らぬ誰かに配れば、それだけで罪になる。不正アクセス禁止法5条は、ネットの世界でこれと同じ線を引いている。他人のID・パスワード(法律上は「識別符号」:ログイン時に本人だと確認するための符号。生体情報なども含む)を、そのサービスの運営者(アクセス管理者)とアカウントの持ち主本人(利用権者)以外の人に渡してはならない。業務などの正当な理由があれば別である。多くの人が見落としている点が二つある。一つは、受け取った相手が実際にログインしたかどうかは関係なく、渡した時点で違反になること。もう一つは、相手の悪用目的を知らなくても30万円以下の罰金の対象になり(13条)、知っていた場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に上がること(12条2号)。グループLINEに貼った一枚のスクショも、注意喚起のつもりでXに載せた漏えいリストも、この条文の射程に入りうる。つまり問われるのは、誰に渡したかという送り先である。
法的な位置づけ
不正アクセス禁止法5条は、不正アクセス助長行為の一類型として識別符号の提供を禁止する規定である。アクセス制御機能に係る他人の識別符号を、アクセス管理者及び利用権者以外の者に提供する行為を対象とし、業務その他正当な理由がある場合を除外する。不正アクセス行為(3条)が現実に行われたことを要件としない。
手順
- 1.晒された投稿を証拠として保存する 自分のID・パスワードが晒されているのを見つけたら、削除依頼より先に、投稿のURL・投稿日時・投稿者アカウントが分かる形で画面全体を保存する
- 2.パスワード変更と二段階認証の設定 晒されたアカウントのパスワードを直ちに変更し、二段階認証を有効化する。同じパスワードを使い回している他のサービスもすべて変更する
- 3.運営者へ削除と調査を依頼する サービス運営者(アクセス管理者)に投稿削除と不正ログインの有無の調査を依頼する。運営者への識別符号の提供は5条の適用外である
- 4.警察相談と発信者情報開示の検討 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に相談し告訴を検討する。投稿者が匿名なら、情報流通プラットフォーム対処法に基づく発信者情報開示について早めに弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1不正アクセス禁止法5条とは?
他人のID・パスワードなどの識別符号を、運営者(アクセス管理者)と持ち主本人(利用権者)以外に渡すことを禁じる条文です。業務その他正当な理由があれば除かれます。
Q2他人のパスワードを教えたら何罪になる?
不正アクセス禁止法5条違反(識別符号の提供)です。悪用目的を知らなければ13条で30万円以下の罰金、知っていれば12条2号で1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。
Q3識別符号とは何ですか?
ログイン時に本人であることを確認するための符号で、IDとパスワードの組合せが典型です。指紋などの生体情報を用いる符号も含まれます(同法2条2項)。
Q4不正アクセス禁止法5条の罰則は?
基本は30万円以下の罰金(13条)。相手に不正アクセスの目的があると知って提供した場合は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に加重されます(12条2号)。
Q5ゲームアカウントの売買は違法?
他人名義のログイン情報ごと譲渡すると、規約違反にとどまらず5条の提供行為に当たりえます。買い手が持ち主に無断でログインすれば、買い手側の3条違反も問題になります。
Q6家族のパスワードを親戚に教えるのは違反?
家族であっても、渡す先が運営者や持ち主本人でなければ「他人の識別符号の提供」に当たりえます。持ち主本人の承諾や正当な理由の有無が判断の分かれ目になります。
Q7パスワード提供の時効はいつまで?
公訴時効は行為が終わった時から3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。13条の罰金刑、12条2号の拘禁刑のどちらでも同じです。
Q8パスワードを晒されたら警察に相談できる?
できます。投稿のURL・日時・投稿者アカウントを保存したうえで、都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に相談し、告訴を検討します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分の動画配信サービスのパスワードを友達に教えるのもアウトなんですか?
本条が禁じているのは「他人の」識別符号の提供であり、持ち主のあなたが自分のIDを教える行為は対象外である。友達のログインも持ち主の承諾があるので、不正アクセス(2条4項・3条)には当たらない。実務のポイント:刑事の問題にならなくても、多くのサービスの利用規約は共有を禁じている。発覚すればアカウント停止や契約違反の責任を問われるのは、刑法ではなく規約の側からである
Q2漏えいしたID・パスワードの一覧をネットで見つけました。注意喚起のために拡散していいですか?
公開すれば不特定多数への提供と評価されうる。正当な理由に当たるかは、公開する必要があったかまで含めて判断されるので危うい。運営者(アクセス管理者)や本人(利用権者)に渡すことは5条がはっきり認めている。実務のポイント:セキュリティの専門家は、該当するサービスやJPCERT/CCなどの調整機関に、符号を伏せた形で報告する。伏せ字のスクショ一枚が、善意の告発者でいられるかどうかの分かれ目になる
Q3「業務その他正当な理由」って、具体的にどこまでOKなんですか?
担当交代のときの社内での引き継ぎ、委託契約に基づいて保守業者に渡す場合、捜査機関への提出などが典型である。ただし条文に例が列挙されているわけではなく、境界の事例では実務上、解釈が分かれる。実務のポイント:社内規程や委託契約書に「認証情報を扱う者と目的」を書いておくだけで、後から正当な理由を説明するときの難しさがまるで違ってくる。口頭の引き継ぎは、いざというとき証拠にならない
Q4相手が乗っ取りに使うなんて知らなかったんです。それでも罪になりますか?
なる。悪用目的を知らなくても、他人の識別符号だと分かって第三者に渡せば30万円以下の罰金の対象である(13条)。悪用目的を知っていた場合は12条2号により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金になる。実務のポイント:捜査で焦点になるのは、相手の悪用目的を知っていたかどうかである。やり取りしたメッセージの文脈がそのまま認定の材料になるので、記憶を頼りに供述する前に、ログを読み返しておく
間違えやすい点 AI による整理
- 「誰もログインしていないから被害はない、だから罪にもならない」という考え方は、前提がずれている。本条が罰するのは侵入ではなく、その手前の「提供」である。不正アクセス(3条)が起きたかどうかに関係なく、他人の識別符号を第三者に渡した時点で違反は完結する
- 相手の悪用目的を知っていれば罪になることは、多くの人が分かっている。分かっていないのは、知らなくても処罰されるという点である。悪用目的を知らずに渡しても30万円以下の罰金(13条)。悪用目的を知って渡せば1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(12条2号)。善意だったという弁明は刑を軽くする方向に働くだけで、違反を消すものではない
- 漏えいしたパスワード一覧を見つけて「みんな気を付けて」とSNSで公開する。あなたから見れば公益のための警告だが、法律から見れば鍵を不特定多数にばらまく行為である。正当な理由に当たるかどうかは目的だけでなく、公開という手段が本当に必要だったかでも判断されるため、実務上、解釈が分かれる。一方、運営者や本人だけに知らせることは、条文上はっきり適用外とされている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制対象の行為 | 5条:他人の識別符号を第三者に提供する行為 | 3条:他人の識別符号等を用いて不正にログインする行為 4条:不正アクセスの目的で他人の識別符号を取得する行為 |
| 侵入の発生の要否 | 不要。渡した時点で違反が完結する | 侵入(不正アクセス行為)そのものが要件 不要。取得した時点で違反が成立する |
| 目的要件 | 不要(悪用目的の認識は12条2号で刑を加重) | 不要(無権限のアクセス自体が対象) 不正アクセス行為の用に供する目的が必要 |
| 適用除外 | アクセス管理者・利用権者への提供、業務その他正当な理由 | アクセス管理者・利用権者の承諾がある場合 目的要件を欠く取得 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は入侵電腦罪(358条)など侵入行為の処罰が中心で、他人のパスワードを提供する行為を独立に処罰する規定は置いていない。日本は提供段階で独立処罰する点で踏み込んでいる
韓国は情報通信網で処理・保管される他人の秘密の侵害・盗用・漏洩を禁止し、パスワードの漏洩もこの枠で扱われうる
ドイツはパスワード等の保護コードを他人に譲渡・入手可能にする準備行為を処罰し、日本の5条と構造が近い
米国連邦法はパスワードの不正取引(trafficking)を処罰するが、詐欺の意図(intent to defraud)を要件とする点で日本より狭い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 別れた恋人への仕返しのつもりで、相手のインスタのIDとパスワードを共通の友人グループLINEに貼った。誰一人ログインしていなくても、貼った時点で本条違反は成立しうる。誰かが乗っ取りに使うと分かっていて貼ったのなら、罰金だけでは済まず、1年以下の拘禁刑の対象になる
- 退職した元同僚から「前の部署の共有アカウントのパスワード、まだ覚えてる?」とLINEが来たら、教えてもいいのか? 在職中の引き継ぎなら業務上の正当な理由になりうる。だが退職者は、もはや利用権者でもアクセス管理者でもない。善意で返した一言が「提供」になる
- オンラインゲームのレアアカウントを、他人名義のログイン情報ごとフリマアプリで売った。手にした売上金より重いものを抱えることになる
- 「あなたのメールアドレスとパスワードが漏えいリストで見つかりました」という通知が届いた。リストを手に入れた者は、使い回されたパスワードで銀行・EC・SNSに順番にログインを試していく。残された時間は数時間単位である。パスワードの変更、二段階認証の設定、運営への通報を今夜のうちに済ませる
- 情シス担当が、全社員の初期パスワードをまとめた表計算ファイルを外部の委託業者にメールで送った。委託契約に基づく作業なら正当な理由と評価されうるが、契約外の業者や個人のアドレスに送れば話は変わる。何かあったとき、正当な理由を説明しなければならないのは送った側である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 晒された投稿は、URL・日時・投稿者アカウントを画面ごと保存する2. すぐにパスワードを変え、二段階認証を設定する。同じパスワードを使い回している他のサービスもすべて変える3. サービス運営者に削除と不正ログインの調査を依頼する4. 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に相談し、告訴を検討する5. 投稿者が匿名なら、情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法)に基づく発信者情報開示を視野に、早めに弁護士へ相談する
訴えられた側:1. 拡散を止めるため投稿を削除する。削除の前に、いつ・誰に・何を送ったかの記録は自分の手元に残しておく2. 渡した相手が運営者や持ち主本人ではなかったかを確認する。そうであれば本条の対象外である3. 業務上の引き継ぎや委託契約など、正当な理由を裏付ける資料を集める4. 相手の悪用目的を知っていたかどうかで、適用される罰則が13条か12条2号かに分かれる。取調べで話す前に弁護士と整理しておく
時効(請求できる期限):公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項6号。13条の罰金刑、12条2号の1年以下の拘禁刑のどちらも同じ)。民事の損害賠償は、損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年(民法724条)。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:5条は不正アクセス行為の前段階を処罰する危険犯的な規定であり、不正アクセスの発生を要しない。「正当な理由」は目的の正当性に加え、提供の相手方・方法の相当性も考慮して判断されると解される
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)制定 法律制定時は旧4条として新設された。他人の識別符号の提供を不正アクセス助長行為として禁止していたが、提供の態様を限定する要件が付いていた
- 平成24年(2012年)改正 識別符号の不正取得の禁止(4条)と保管の禁止(6条)が新設されたことに伴い、5条へ移った。提供の態様を限定していた要件が外れ、提供行為が広く禁止された。悪用目的を知って提供した場合の加重罰則(現12条2号)も設けられた
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:法律制定時に旧4条として新設。他人の識別符号の提供を不正アクセス助長行為として禁止したが、提供の態様を限定する要件が付されていた
- 2.平成24年(2012年) 改正:不正取得の禁止(4条)・保管の禁止(6条)の新設に伴い5条へ移動。態様の限定が外れ提供行為が広く禁止され、悪用目的を知った提供の加重罰則(現12条2号)が設けられた
- 3.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う整理により、12条の懲役が拘禁刑に改められた(2025年6月1日施行)
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