確定給付企業年金法 第87条(終了時の掛金の一括拠出)
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第八十三条の規定により確定給付企業年金が終了する場合において、当該終了する日における積立金の額が、当該終了する日を第六十条第三項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき算定した最低積立基準額を下回るときは、第五十五条第一項の規定にかかわらず、事業主は、当該下回る額を、掛金として一括して拠出しなければならない。
この条文の基本情報
終了時の掛金の一括拠出とは何ですか?
定義終了時の掛金の一括拠出とは、確定給付企業年金法第87条に定められた規定で、「第八十三条の規定により確定給付企業年金が終了する場合において、当該終了する日における積立金の額が、当該終了する日を第六十条第三項に規定する事業年度の末日とみなし…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 確定給付企業年金法第87条(終了時の掛金の一括拠出)は、日本の確定給付企業年金法に含まれる条文です。
- 確定給付企業年金法第87条の条文原文は「第八十三条の規定により確定給付企業年金が終了する場合において、当該終了する日における積立金の額が、当該終了する日を第六十条第三項に規定する事業年度の末日とみなし…」で始まります。
- 確定給付企業年金法第87条は第十章 確定給付企業年金の終了及び清算に置かれています。
- 確定給付企業年金法の公布日は平成13年6月15日です。
- 確定給付企業年金法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 確定給付企業年金法第87条の前の条は確定給付企業年金法第86条です。
- 確定給付企業年金法第87条の次の条は確定給付企業年金法第88条です。
- 確定給付企業年金法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/413AC0000000050 - 本サイト収録
確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/413AC0000000050/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点確定給付企業年金法87条は、制度終了日の積立金が最低積立基準額を下回るとき、事業主に不足額を掛金として一括拠出する義務を課す。保障されるのは最低積立基準額までに限られる。
Q · 企業年金が終了した時点で積立金が足りなかったら、不足分は誰が払うの?
事業主(会社)が不足額を掛金として一括で払う
確定給付企業年金法87条により、制度が終了する日を事業年度の末日とみなして最低積立基準額(60条3項)を計算し、積立金がこれに届かなければ、事業主が差額を掛金として一括拠出しなければなりません。通常の定期拠出のルール(55条1項)は適用されません。ただし保障されるのは終了日までの加入期間の分に限られ、事業主に支払能力がない場合に国が肩代わりする制度はありません。
解説
企業年金を「畳めば、足りない分もなかったことにできる」と考える経営者は少なくない。確定給付企業年金法87条は、その抜け道を塞いでいる。確定給付企業年金(会社があらかじめ約束した額の年金や一時金を払う制度。通称 DB)が83条に基づいて終了するとき、終了日を決算日とみなして最低積立基準額を計算する。最低積立基準額とは、それまでに働いた期間の分として従業員がすでに得た給付をまかなうために、今の時点で必要な額のことである。手元の積立金がこれに届かなければ、会社は不足額を「掛金」としてまとめて払わなければならない。本来、掛金は55条1項により規約に沿って年1回以上、定期的に分けて払うものだが、終了時にはこの分割のルールが外れる。従業員にとっての意味は明快だ。制度が終わっても、会社への請求権は残る。ただし注意がいる。保障されるのは「最低積立基準額」までであり、将来も働き続けていれば増えたはずの分は含まれない。そして会社にお金がなければ、この請求権は紙の上にしか存在しない
法的な位置づけ
確定給付企業年金法87条は、確定給付企業年金の終了時に事業主が負う一括拠出義務を定める規定である。終了日を事業年度の末日とみなして60条3項に基づき最低積立基準額を算定し、終了日の積立金がこれを下回る場合、事業主は55条1項の定期拠出の原則によらず、その差額を掛金として一括して拠出しなければならない。
手順
- 1.非継続基準の不足額を複数の終了日で試算する 終了を検討する段階で、年金数理人に終了日の候補ごとの最低積立基準額と積立金の差額を試算させる。資産の時価や割引率の前提によって、一括拠出額は大きく変わる
- 2.一括拠出の資金と税務処理を確定する 試算した不足額を一括で払える資金の手当てをつけ、拠出する事業年度と損金算入の扱いを税理士と確認する。資金の見通しがないまま終了手続に入らない
- 3.加入者の同意取得と終了の手続を行う 不足額と一括拠出の方針、代替となる制度や上乗せ給付を説明資料に明記したうえで、加入者側の同意手続と行政への申請を行う(法84条など)
- 4.終了日時点で確定した不足額を一括拠出する 終了日の積立金と最低積立基準額を確定させ、下回る額を掛金として一括拠出する。そのうえで清算と残余財産の分配(法89条)へ進む
よくある質問 AI による整理
Q1最低積立基準額とは何ですか?
その時点までの加入期間に応じて加入者がすでに得た給付をまかなうために必要な額です。確定給付企業年金法60条3項に算定方法の定めがあり、制度終了時の一括拠出額を決める基準になります。
Q2企業年金終了時の一括拠出はいつまでに払う?
87条自体は拠出期限を定めておらず、期限や手続は厚生労働省令などに委ねられています。規約と最新の省令を年金数理人・専門家とあわせて確認する必要があります。
Q3確定給付企業年金の終了に従業員の同意は必要?
終了には加入者側の同意手続と行政の承認等が必要とされています(法84条など)。同意前であれば、不足額の埋め方や給付の水準について交渉できる余地があります。
Q4非継続基準とはどういう意味ですか?
制度が今すぐ終了したと仮定して、それまでに発生した給付を支払えるかを見る財政検証の考え方です。87条の一括拠出額はこの考え方に沿った最低積立基準額との差で決まります。
Q5企業年金の終了で将来の年金は減る?
減る可能性があります。一括拠出で保障されるのは終了日までの加入期間分であり、終了後も働き続けていれば増えたはずの給付は含まれません。
Q6企業年金の一括拠出をしないと違法?
87条は「拠出しなければならない」と定める法律上の義務です。拠出されない不足額は事業主に対する債権として残り、清算手続や監督の場面で問題になります。
Q7DB から確定拠出年金へ移行するとき積立不足はどうなる?
DB を終了させる形をとる場合は、原則として87条による一括拠出の問題が生じます。不足の扱いが決まらないまま移行すると、移換される原資が小さくなるおそれがあります。
Q8企業年金の積立状況はどこで確認できる?
事業主が加入者に周知する業務概況・財政状況の資料で確認できます。積立比率が毎年下がっていないかを継続して見ておくことが大切です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社が年金をやめるって言ってるけど、今まで積み立てた分はどうなるの?
終了日までの加入期間に対応する最低積立基準額が基準になり、積立金が不足していれば事業主が一括で拠出する義務を負う(法87条)。そのうえで清算を経て、残った資産が加入者等に分配される(法89条)。実務のポイント:終了日をいつにするかで不足額は動く。会社側は数字の良い日を選びたがるので、試算の前提になった日付と割引率を必ず聞くこと
Q2会社が倒産したら、年金の穴はどこが埋めてくれるんですか?
法律上の拠出義務者は事業主だが(法87条)、倒産した会社から全額を回収できるとは限らない。日本の確定給付企業年金には、国などが支払を保証する制度がない。実務のポイント:倒産を目前にしてからでは手遅れになりやすい。会社が周知する業務概況や財政状況の資料で、毎年の積立比率が下がり続けていないかを見ておくのが唯一の早期警報になる
Q3一括でドカンと払ったら、会社の税金はどうなるの?
拠出するのは法87条に基づく「掛金」なので、原則として法人税法施行令135条による損金算入の対象になる(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:どの事業年度に拠出するかで税負担の出方が変わる。終了日と決算期の組み合わせは、年金数理人と税理士を同じ席に呼んで決めるのが実務の定石だ
Q4積立金が余ったら会社に戻るんですか?
戻らない。清算後の残余財産は加入者等に分配されると定められており(法89条)、事業主への返還は想定されていない。実務のポイント:不足なら会社が埋め、余れば従業員に行くという片方向の設計なので、積立が潤沢な年金を終了させることは、会社側にとって経済的な動機が乏しい。終了の話が出たら、まず不足があるかどうかを疑うこと
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が不足分を一括で払ってくれるなら、約束されていた年金は満額もらえる」と受け取られがちだが、そうではない。基準になるのは最低積立基準額、つまり終了日までの加入期間の分として計算した額である。定年まで働けば得られたはずの将来の給付までは保障されない。制度の終了が決まった時点で、あなたの年金は事実上そこで止まる
- 一括拠出義務があることは知っていても、それが倒産の場面でどれほど弱いかまでは知られていない。義務は条文上たしかに生じるが、支払う資力のない会社に対しては債権として残るだけで、倒産手続でどの順位に置かれるかは手続の種類や時期によって異なり、実務上、解釈が分かれる部分がある。制度が終了してからではなく、会社が健全なうちに積立状況を追いかけておく方が、はるかに身を守れる
- 「年金の積立不足は年金基金や信託銀行の問題だ」という見方は、立て方そのものがずれている。条文が支払義務者として名指しするのは「事業主」、つまり勤務先の会社である。運用機関の成績が悪くても、穴を埋める責任は最後には会社のバランスシートに戻ってくる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される場面 | 87条:制度が83条により終了するとき | 55条1項:制度が継続している平常時 89条:終了後の清算の段階 |
| お金の流れ | 事業主から制度へ不足額を一括拠出 | 事業主から制度へ規約に沿って年1回以上定期拠出 制度から加入者等へ残余財産を分配 |
| 金額の基準 | 終了日を事業年度末とみなした最低積立基準額(60条3項)と積立金の差額 | 規約と財政計算に基づく掛金額 清算後に残った資産の額 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の旧制退職金では、事業主が勞工退休準備金を積み立て、翌年度に支払う退職金に足りない見込みなら年度内に差額を一括で補う義務を負う。制度終了時ではなく毎年の補足である点が日本と異なる
韓国の確定給付型退職年金は、財政検証で積立金が基準に届かない場合に事業主が不足を解消する義務を負う。日本の定期的な財政検証に近い仕組み
ドイツでは事業主の支払不能時に PSVaG(年金保障協会)が企業年金の給付を肩代わりする。日本にはこれに相当する公的な保証機構がない
米国では確定給付プランの終了時に積立不足があれば事業主が責任を負い、支払えない場合は PBGC が一定の上限まで給付を保証する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 社内説明会で「企業年金を終了し、確定拠出年金へ移行します」と告げられた。配布資料に積立不足の額と、その埋め方が書いていないなら、最初に質問すべきなのはそこである
- あなたは中堅製造業の財務部長だ。業績不振で DB を畳めば、年間の掛金負担が消えると役員会は期待している。だが終了日時点で最低積立基準額に8億円足りなければ、その8億円は分割ではなく一括で支払う義務になる。資金繰り表に載っていない現金流出が、終了の決議ひとつで確定する
- もし、年金を受け取っている元社員の会社が倒産し、DB も終わることになったら、どうなる? 87条の一括拠出義務は形のうえでは生じる。しかし破産した会社から全額を回収できる見込みは乏しく、残った資産の分配(89条)では約束の額を割り込むことがある。日本の DB には、米国の PBGC(年金給付保証公社)のような公的な支払保証の仕組みがない
- 買収側のデューデリジェンス(買収前の調査)担当として、対象会社の DB の決算資料を渡された。見るべきは帳簿上の退職給付債務だけではない。買収後に制度を畳んだ瞬間に現金で払う必要が出る「非継続基準」での不足額である。クロージング(取引の実行)まであと2週間。この数字を価格交渉に反映できるのは今しかない
- 終了の同意書が回ってきて、提出期限は3日後。サインする前に、不足額は会社が一括で払う前提なのか、それとも給付の減額とセットなのかを確認する。同意書の一枚が、あなたの老後資金の上限を決める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 終了の説明資料で、最低積立基準額、積立金の額、不足額の三つの数字を必ず確認し、資料に載っていなければ書面での開示を求める2. 不足額を事業主が一括で払う前提になっているか、給付の減額と組み合わせていないかを確かめる3. 労働組合や加入者代表を通じて、同意の前に条件を交渉する4. 会社の経営が危うい兆しがあるなら、社会保険労務士や弁護士に早めに相談し、残余財産の分配(89条)の見通しを把握しておく
訴えられた側:1. 終了を決める前に、年金数理人に非継続基準での不足額を複数の終了日で試算させる2. 一括拠出の資金を確保できる見通しがないまま終了手続に入らない3. 移行先の制度や上乗せ給付を含めた代替案を示し、加入者の同意を取りやすくする4. 拠出額の税務上の扱い(法人税法施行令135条による損金算入)を税理士と事前に確認する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。拠出義務は終了日の積立金と最低積立基準額との比較によって確定し、拠出の期限や手続は厚生労働省令などで定められる(最新の改正状況をご確認ください)。事業主に対する債権としては、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が問題となりうる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成13年(2001年) 新設:確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)の制定により新設。制度終了時に最低積立基準額との差額を事業主が一括拠出する仕組みが設けられた
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