健康増進法 第53条(秘密保持義務等)
クイックジャンプ
- 登録試験機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、許可試験の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
- 2.許可試験の業務に従事する登録試験機関の役員又は職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
この条文の基本情報
秘密保持義務等とは何ですか?
定義秘密保持義務等とは、健康増進法第53条に定められた規定で、「登録試験機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、許可試験の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 健康増進法第53条(秘密保持義務等)は、日本の健康増進法に含まれる条文です。
- 健康増進法第53条の条文原文は「登録試験機関の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、許可試験の業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」で始まります。
- 健康増進法第53条は第七章 特別用途表示等に置かれています。
- 健康増進法の公布日は平成14年8月2日です。
- 健康増進法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 健康増進法第53条の前の条は健康増進法第52条です。
- 健康増進法第53条の次の条は健康増進法第54条です。
- 健康増進法第53条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第53条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000103 - 本サイト収録
健康増進法(平成十四年法律第百三号)第53条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/414AC0000000103/53
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点健康増進法53条は、登録試験機関の役職員と元役職員に許可試験で知り得た秘密の漏えいを禁じ、試験に従事する役職員を刑法上の公務員とみなす規定である。
Q · 特別用途食品の許可試験をする民間機関の職員って、法律上はただの会社員なの?
刑法の適用上は公務員とみなされ、収賄罪の対象になる
健康増進法53条2項により、許可試験の業務に従事する登録試験機関の役員・職員は、刑法その他の罰則の適用について公務に従事する職員とみなされます。所属が民間法人でも、職務に関して金品や接待を受ければ収賄罪(刑法197条)が成立しうるし、渡した側も贈賄罪(刑法198条)に問われます。また同条1項により、試験業務で知り得た秘密を漏らすことは、在職中に限らず退職後も禁止されています。
解説
特別用途食品(病者用食品、えん下困難者用食品、乳児用調製乳などの、国の許可マーク付き食品)を世に出すには、許可試験(成分や表示内容が基準どおりかを確かめる国の指定試験)に合格しなければならない。試験を担う登録試験機関には、メーカーの配合比、製法、原料の調達先といった企業秘密の核心がそのまま持ち込まれる。本条はそこに二つの錠をかけている。第1項は秘密を漏らすことの禁止で、対象には辞めた元職員も含まれる。転職しても退職しても、義務は消えない。第2項は、試験業務に従事する役員・職員を刑法の適用上「公務員」とみなす規定である。民間の財団や会社の社員であっても、メーカーから金品や接待を受けて試験に手心を加えれば、ただの社内不祥事ではなく収賄罪になり、渡した側のメーカー担当者は贈賄罪に問われる。試験を依頼する側にとっては、自社の配合表を預けられる根拠になる。同時に、試験担当者との付き合い方を誤れば刑事事件になるという線引きでもある
法的な位置づけ
健康増進法第53条は、特別用途表示の許可試験を実施する登録試験機関について、役員・職員およびその職にあった者に試験業務上の秘密保持義務を課すとともに、試験業務に従事する役員・職員を刑法その他の罰則の適用上、法令により公務に従事する職員とみなす規定である。民間機関に委ねた公的試験の秘密性と公正性を刑事法により担保する機能を持つ。
手順
- 1.提出前に秘密情報を特定して記録する 許可試験の申込み時、配合表・製法・原料調達先など提出資料ごとに「秘密情報」と表示し、提出日・提出先・受領者を記録した提出台帳を作成する
- 2.試験期間中の接触ルールを社内で決める 試験担当者との会食・贈答は原則禁止、やむを得ない打合せは記録を残すといった社内ルールを定め、開発・営業担当者に周知する
- 3.漏えいの疑いが生じたら証拠を保全する 競合製品の分析結果、提出資料の控え、担当者の異動・転職情報を時系列でまとめ、改変できない形で保存する
- 4.試験機関・行政・弁護士に順に働きかける 試験機関へ書面で調査を求めて回答を記録し、消費者庁へ情報提供する。民事請求や刑事告訴、不正競争防止法に基づく差止めは弁護士と協議して判断する
よくある質問 AI による整理
Q1みなし公務員とは何ですか?
民間の法人や団体に所属していても、法律の規定により刑法などの罰則の適用上は公務員として扱われる人のことです。健康増進法53条2項は、許可試験に従事する登録試験機関の役職員をこれに当たるとしています。
Q2登録試験機関とはどんな機関ですか?
特別用途食品の表示許可に必要な許可試験を、国の登録を受けて実施する機関です。登録制度は健康増進法44条が定めています。
Q3登録試験機関の職員に贈り物をすると違法?
職務に関する趣旨があれば、贈った側は贈賄罪、受け取った側は収賄罪に問われうるため違法となる可能性があります。相手が53条2項によりみなし公務員とされるためです。
Q4試験機関の守秘義務は退職後いつまで続く?
法律上の期限はありません。53条1項は「これらの職にあった者」も対象とし、退職後も期限を設けずに義務を課しています。
Q5許可試験に従事しない職員もみなし公務員になる?
53条2項の対象は「許可試験の業務に従事する」役員・職員です。試験業務に関わらない職員は同項の対象外です。ただし1項の守秘義務は役職員全般にかかります。
Q6試験機関から配合情報が漏れたらどうすればいい?
提出資料と受領記録を時系列で保全し、試験機関への書面照会、消費者庁への情報提供、弁護士相談の順に進めるのが基本です。
Q7特別用途食品の許可試験で企業秘密は守られる?
守られる仕組みがあります。53条1項が登録試験機関の役職員と元役職員に秘密漏えいを禁じており、違反には罰則が設けられています。
Q8試験機関の職員と会食するのはNG?
一律に禁止されているわけではありませんが、試験の申込み中や結果待ちの時期の接待は職務との関連性を疑われやすいので、割り勘や辞退が安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1試験機関の人にお中元を送るくらい、別にいいですよね?
相手が許可試験の業務に従事している役員・職員なら、本条2項によって刑法上は公務員とみなされます。収賄罪(刑法197条)は職務に関して賄賂を受け取ることで成立し、賄賂の金額に下限はありません。実務のポイント:実務では、金額よりも試験の申込み中や結果待ちの時期かどうかが重く見られます。審査期間中の贈答は、少額でも職務との関連性を疑われやすいです
Q2辞めた試験機関の元職員が、うちの配合を競合に話したみたいです。辞めた人にも責任はありますか?
あります。本条1項は「これらの職にあった者」も対象にしており、退職後も秘密保持義務は続きます。違反すれば刑事罰の対象になり、民事でも民法709条の請求ができます。実務のポイント:本条だけで争うより、不正競争防止法の営業秘密侵害も並行して主張すると、差止め請求が使えます。ただしその前提として、自社が配合情報を「秘密」として管理していたという社内記録が必要です
間違えやすい点 AI による整理
- 「試験機関は民間法人なのだから、担当者への手土産や会食は通常の取引先との付き合いと同じだ」と考えるメーカー担当者がいる。しかし本条2項によって、試験業務に従事する役員・職員は刑法の適用上公務員とみなされる。同じ会食でも、相手が一般の取引先なら社内規程の問題で済むところ、ここでは贈収賄の構図が成り立つ
- 秘密保持義務と聞くと在職中だけの話だと思いがちだが、本条1項は「これらの職にあった者」を明記している。退職後、何年たっても期限は設けられていない。社内の就業規則の守秘条項(退職後2年までなど)よりも、法律上の義務のほうが長く残る
- メーカー側は「秘密が漏れたら試験機関を訴えればいい」と考えがちだが、そもそも何を秘密として預けたのかを証明できなければ、損害賠償の入口にも立てない。法律が守ってくれるかどうかより先に、自社が秘密の範囲を記録で特定しているかが問われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 健康増進法53条:試験機関の役職員の守秘義務とみなし公務員 | 健康増進法43条:特別用途表示の許可と許可試験 健康増進法44条:登録試験機関の登録 |
| 義務・規律を受ける者 | 登録試験機関の役員・職員および元役職員 | 特別用途表示をしようとする事業者 試験業務を行おうとする機関 |
| 実務での意味 | 秘密を預ける安心と、接待・贈答の刑事リスク | 許可マークを付けるための入口 どの機関が試験を担えるかの枠組み |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は刑法総則で「法令により委託を受けて公共事務に従事する者」を公務員に含める一般規定を置く。日本のように個別法ごとに「みなす」規定を置く方式とは立法技術が異なる
ドイツは行政任務を担う民間主体の者を Amtsträger に含める一般定義で対応し、贈収賄罪(§ 331 ff.)の主体とする
米国連邦法は public official に「合衆国のために行動する者」を含め、民間受託者も贈収賄罪の対象となりうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 試験機関の担当者を年末に高級料亭で接待したら、どうなる? 本条2項により相手はみなし公務員である。「審査をよろしく」という趣旨が少しでも絡めば、あなたは刑法198条の贈賄罪の当事者になる
- 競合メーカーから出たとろみ調整食品が、自社が三年かけて開発した配合とほぼ同じ比率だった。調べると、自社の許可試験を担当した元職員がその競合に転職していた。「これらの職にあった者」も秘密保持義務を負うので、転職後の漏えいも本条1項違反になる
- あなたは登録試験機関の分析担当である。学会発表のスライドに、依頼メーカーの製品名がわかる分析値を「事例」として載せようとしている。発表は来週。匿名化が不十分なら、それだけで業務上知り得た秘密の漏えいになりうる
- 退職した試験機関の職員に、ヘッドハンターが「前職で見た各社のデータの話を聞かせてほしい」と持ちかけてきた。話した本人は1項違反に問われる。聞き出した側も、不正競争防止法上の営業秘密侵害の問題に発展しうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏えいの疑いが生じたら、提出資料の控え、提出日時、受領記録、競合製品の分析結果を時系列で保全する2. 試験機関に書面で調査を求め、回答を記録に残す3. 監督官庁である消費者庁へ情報提供し、行政としての対応(適合命令や登録取消しなど)を促す4. 民事では漏えいした個人に民法709条、機関に715条で賠償を請求する。営業秘密に当たれば、不正競争防止法に基づく差止めも並行して検討する5. 刑事告訴を視野に入れるなら、早めに弁護士に相談する
訴えられた側:1. 漏らしたとされる情報が、既に公開済みの情報や自分の一般的な知見ではないかを検証する。公知情報なら「秘密」に当たらないと主張できる2. 学会発表や論文で使った場合は、依頼者の同意書や匿名化の過程を示す資料を集める3. 金品の授受が問題になった場合は、職務との関連性(対価性)がなかったことを示す事実を整理する4. 捜査機関から連絡があった段階で、供述する前に弁護人へ相談する
時効(請求できる期限):秘密漏えいの罪は法定刑が軽いため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)である(罰則の内容は最新の改正状況をご確認ください)。単純収賄罪(刑法197条1項、5年以下の拘禁刑)は公訴時効5年。民事の損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法724条)
学説
通説:みなし公務員規定は、民間に委ねた公的事務の公正さと社会の信頼を確保するための立法技術であり、対象者は刑法上の公務員と同様に贈収賄罪・職権濫用罪等の罰則の適用を受けると解されている。
- 健康増進法 第43条特別用途表示の許可と許可試験の根拠
- 健康増進法 第44条登録試験機関の登録制度
- 刑法 第197条みなし公務員に適用される収賄罪
- 刑法 第198条試験担当者への贈賄罪
- 不正競争防止法 第2条営業秘密の定義と侵害行為の類型
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