仲裁法 第50条(仲裁人の報酬)
クイックジャンプ
- 仲裁人は、当事者が合意により定めるところにより、報酬を受けることができる。
- 2.前項の合意がないときは、仲裁廷が、仲裁人の報酬を決定する。この場合において、当該報酬は、相当な額でなければならない。
この条文の基本情報
仲裁人の報酬とは何ですか?
定義仲裁人の報酬とは、仲裁法第50条に定められた規定で、「仲裁人は、当事者が合意により定めるところにより、報酬を受けることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 仲裁法第50条(仲裁人の報酬)は、日本の仲裁法に含まれる条文です。
- 仲裁法第50条の条文原文は「仲裁人は、当事者が合意により定めるところにより、報酬を受けることができる。」で始まります。
- 仲裁法第50条は第九章 雑則に置かれています。
- 仲裁法の公布日は平成15年8月1日です。
- 仲裁法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 仲裁法第50条の前の条は仲裁法第49条です。
- 仲裁法第50条の次の条は仲裁法第51条です。
- 仲裁法第50条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第50条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000138 - 本サイト収録
仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第50条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/415AC0000000138/50
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点仲裁法50条は、仲裁人の報酬を当事者の合意で定めると規定する。合意がなければ仲裁廷が報酬を決め、その額は相当な額でなければならない。
Q · 仲裁人の報酬って、結局だれが金額を決めるの?
合意があれば合意で、なければ仲裁廷が相当な額を決める
仲裁法50条1項により、仲裁人の報酬はまず当事者の合意で定めます。仲裁機関の規則を契約で指定していれば、その報酬基準が合意として扱われるのが通常です。合意がない場合は同条2項により仲裁廷が自ら報酬を決定しますが、その額は「相当な額」でなければなりません。機関を指定しないアドホック仲裁では合意がないまま手続に入りやすいため、仲裁人の就任承諾前に報酬の計算方法を書面で決めておくことが重要です。
解説
仲裁人の報酬額を最終的に決めるのは誰か。答えは意外なことに、報酬を受け取る仲裁人自身であることがある。仲裁法50条1項は、報酬を当事者の合意で決めると定める。合意がないときは、2項により仲裁廷(事件を判断する仲裁人の合議体)自身が報酬額を決める。歯止めは「相当な額でなければならない」という一句だけである。JCAA(日本商事仲裁協会)のような仲裁機関を使う場合は、機関の規則に報酬基準が書いてある。その規則を契約で指定すれば、「合意あり」として扱われるのが通常である。危ないのは、機関を指定しないアドホック仲裁(仲裁人を当事者が直接選んで進める方式)で、報酬の取り決めがないまま手続に入るケースである。そうなると、判断を下す相手に自分の財布の中身まで決めさせる構図になる。仲裁条項を起案する段階で、あるいは仲裁人の選任時に報酬の計算方法を書面にしておけば、この構図そのものを避けられる。
法的な位置づけ
仲裁法第50条は、仲裁人の報酬額の決定方法を定める規定である。報酬は当事者の合意による決定を原則とし、合意がない場合に限り仲裁廷が報酬を決定する権限を持つ。仲裁廷による決定には「相当な額」という客観的な制約が課される。報酬を当事者間でどう負担するかは本条ではなく、仲裁費用の分担に関する規定が扱う。
手順
- 1.仲裁条項の機関指定と報酬基準を確認 契約書の仲裁条項に仲裁機関名と規則の指定があるかを確認する。機関の指定がなければアドホック仲裁となり、報酬の合意がない限り仲裁廷が報酬を決める構図になる
- 2.起案段階で報酬の決め方を条項に書き込む 契約交渉時に仲裁機関の規則を指定するか、時間単価・上限・予納額の決め方を仲裁条項に明記する。一語の追加で費用の予測可能性が手に入る
- 3.仲裁人の就任承諾前に報酬合意を書面化 仲裁人候補との面談時に、時間単価、報酬上限、着手時の予納額、和解など途中終了時の精算方法の四点を書面の合意案として提示し、就任承諾前に合意する
- 4.合意がない場合は算定根拠を書面で求める 仲裁廷から報酬見積りが届いたら、時間単価と想定稼働時間の内訳を書面で求め、「相当な額」(50条2項)といえるか検証する。異議があれば手続中に書面で記録を残す
よくある質問 AI による整理
Q1仲裁法50条とは?
仲裁人の報酬の決め方を定めた条文です。報酬は当事者の合意で定めるのが原則で、合意がないときは仲裁廷が相当な額を決定します。
Q2アドホック仲裁で報酬を決めていないとどうなる?
仲裁法50条2項により、仲裁廷が仲裁人の報酬を自ら決定します。歯止めは「相当な額」という要件だけで、当事者は金額の主導権を失います。
Q3仲裁人の報酬の合意は書面でないとダメ?
50条自体は合意の方式を定めていません。ただし後日の紛争を防ぐため、時間単価・上限・予納額などを書面で残しておくのが実務上の基本です。
Q4仲裁人を三名選ぶと報酬はどう決まる?
合意があればそれに従い、なければ仲裁廷が各仲裁人の報酬を相当な額で決定します。人数が増える分、報酬総額は単独仲裁より大きくなりやすい点に注意が必要です。
Q5仲裁費用の予納を払わないとどうなる?
仲裁法は仲裁廷が費用の概算額の予納を命じられる規定を置いています。予納しないと手続が進まなくなるおそれがあるため、予納段階で分割や上限を交渉するのが現実的です。
Q6仲裁機関の規則を指定すれば報酬の合意になる?
通常はなります。契約で JCAA などの機関規則を指定すれば、規則中の報酬基準が当事者の合意として扱われ、仲裁廷が自ら報酬を決める場面を避けられます。
Q7仲裁人報酬の「相当な額」の基準は?
条文に具体的な算定基準はありません。実務上は稼働時間、事件の規模・難易度、機関規則の報酬基準などが相当性を判断する材料として参照されます。
Q8仲裁人が無報酬で引き受けるのは違法?
違法ではありません。50条1項は報酬を「受けることができる」と定めるにとどまり、当事者が合意すれば無報酬の仲裁人も可能です。業界団体の仲裁などで例があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仲裁人の報酬って、だいたいどれくらいかかるんですか?
法律上の基準額はない。合意があればそれに従い(50条1項)、なければ仲裁廷が相当な額を決める(同2項)。機関仲裁では各機関の規則に時間単価や上限などの基準がある(最新の規則をご確認ください)。実務のポイント:見積りが高いと感じたら、単価よりも「想定稼働時間」に注目するとよい。期日の回数と書面の往復回数を減らす手続設計のほうが、総額への効果は大きい
Q2仲裁廷が決めた報酬が高すぎるとき、裁判所で下げてもらえますか?
簡単ではない。仲裁判断の取消事由は仲裁法に限定的に列挙されており、報酬が高いこと自体はそこに直接当たらない。報酬決定の性質や争い方については、実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:争う余地が最も大きいのは、決定前に算定根拠の開示を求め、その記録を残しておくことである。事後に裁判所で争うより、手続の途中で書面により異議を述べておくほうが効果的である
Q3和解で早めに終わったら、報酬は減るんですか?
報酬の合意の中身によって決まる。時間制であれば稼働した分だけ、定額制であれば合意内容次第となる。合意がなければ、仲裁廷が50条2項の「相当な額」として稼働実績を踏まえて決めることになる。実務のポイント:報酬の合意に「途中終了時の精算方法」を一行入れている当事者は少ない。この一行があるかどうかで、和解交渉の時点での費用の見通しがまったく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 仲裁は裁判より安いと思われがちだが、裁判官の給与は国が払うのに対し、仲裁人の報酬は当事者が負担する。三名構成の国際仲裁では、仲裁人報酬だけで訴訟の印紙代を大きく上回ることも珍しくない
- 「相当な額」とあるから高額になれば裁判所が減額してくれる、と期待する人がいる。しかし仲裁判断の取消事由は仲裁法上限定列挙されており、報酬額が高いことを理由に裁判所で争える道は狭い。仲裁廷が決めた報酬の拘束力をどこまで争えるかについては、実務上、解釈が分かれている
- 仲裁人の報酬は誰が払うのかと聞く人が多いが、そもそも問いの立て方がずれている。50条が定めるのは報酬の額と決め方であり、当事者間でどう負担するかは費用分担の規定と合意の問題である。両者を混同すると、交渉で取るべき論点を一つ落とす
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 仲裁法50条:仲裁人の報酬の額と決め方 | 仲裁法51条:仲裁費用の予納 仲裁法52条:仲裁費用の当事者間の分担 |
| 基本ルール | 当事者の合意が原則、合意がなければ仲裁廷が相当な額で決定 | 仲裁廷が費用の概算額の予納を当事者に命じられる 当事者の合意による分担が原則 |
| 実務上の交渉タイミング | 仲裁条項の起案時と仲裁人の就任承諾前 | 予納命令を受けた段階(分割・上限の提案) 仲裁条項の起案時(敗訴者負担か各自負担か) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は仲裁費用を行政院と司法院が定める規則で枠付けする方式をとり、仲裁廷に報酬を自ら決めさせる日本の50条2項とは設計が異なる
中国は機関仲裁が中心で、仲裁委員会の費用表により仲裁費用を納付する仕組み。仲裁廷が自ら報酬を決める構図は想定されにくい
ドイツ ZPO には仲裁人報酬を直接定める規定がなく、報酬は当事者と仲裁人の契約(Schiedsrichtervertrag)で定めるのが原則とされる
改正統一仲裁法は仲裁人の費用・報酬を仲裁判断の定めに従って支払うと規定する。実務では AAA 等の機関規則の報酬表が広く用いられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外の取引先との販売代理店契約に「紛争は東京における仲裁により解決する」とだけ書かれていた。仲裁機関の指定も報酬の定めもない。紛争が起きて三名の仲裁人が選ばれた後、仲裁廷から時間単価による報酬見積りが届き、総額はあなたの請求額の三割に近い。合意がない以上、50条2項で額を決めるのは仲裁廷である
- 仲裁人の報酬に上限を付けたいと思ったら、いつまでに交渉すればよいのか? 最も強く出られるのは、仲裁人候補が就任を承諾する前である。就任後に報酬を争えば、判断者と対立することになる
- あなたは建設会社の法務担当で、下請との紛争でアドホック仲裁を申し立てた側である。相手方は「仲裁人報酬は申立人が全額払うべきだ」と主張してきた。報酬額の問題と、その報酬を誰が負担するかの問題は別の論点である。費用の分担は仲裁法の費用分担規定と当事者の合意で決まる
- 仲裁人候補との面談まであと3日。報酬の時間単価、上限、着手時の予納額、和解で終わった場合の扱いの四点を、書面の合意案として用意できているかで、その後の数百万円が決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 報酬に関する合意の有無を確認する。仲裁条項、機関規則の指定、選任時の書面を点検する2. 合意がない場合は、仲裁廷に算定根拠(時間単価・稼働時間)を書面で求め、「相当な額」(50条2項)かを検証する3. 予納を求められたら、その段階で上限や分割の合意を提案する4. 金額の大きい事件では、仲裁に詳しい弁護士に費用面の早期レビューを依頼する
訴えられた側:仲裁人の立場で報酬を請求する側に回ったとき:1. 就任承諾前に報酬の計算方法を書面で合意しておけば、後日の紛争をほぼ防げる2. 合意がなく2項で自ら決める場合は、稼働記録と市場相場(機関規則の基準など)を根拠として残す3. 過大と見られる額は忌避(仲裁法18条)の申立てや信用低下のリスクを招くため、相当性の説明を準備する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。報酬債権には一般の消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される。報酬額の交渉は、仲裁人の就任承諾前までが実質的な期限である
改正沿革 AI による整理
- 平成15年(2003年)制定 UNCITRAL モデル法に準拠した仲裁法の制定に伴い、仲裁人の報酬規定が置かれた(当初の条番号は要確認)
- 令和5年(2023年)改正 暫定保全措置に関する規定の整備などに伴い、条番号が移動した可能性がある。人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:UNCITRAL 国際商事仲裁モデル法を基礎とする仲裁法の制定に伴い、仲裁人の報酬に関する規定が置かれた(制定時の条番号は e-Gov 改正履歴で要確認)
- 2.令和5年(2023年) 改正:暫定保全措置に関する規定の整備等を内容とする仲裁法改正に伴い、条番号が現行の50条に移動したとみられる。報酬規定の実質内容の変更の有無は人的検証が必要
- 仲裁法 第51条仲裁費用の予納(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第52条仲裁費用の分担(現行効力を要確認)
- 仲裁法 第17条仲裁人の選任、報酬合意の実務的契機
- 仲裁法 第18条仲裁人の忌避事由(現行効力を要確認)
- 弁護士法 第72条報酬目的の法律事務の規制、仲裁人就任との関係
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める