不動産登記法 第76条の4(所有権の登記名義人についての符号の表示)
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登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。)が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、当該所有権の登記名義人についてその旨を示す符号を表示することができる。
この条文の基本情報
所有権の登記名義人についての符号の表示とは何ですか?
定義所有権の登記名義人についての符号の表示とは、不動産登記法第76条の4に定められた規定で、「登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第76条の4(所有権の登記名義人についての符号の表示)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第76条の4の条文原文は「登記官は、所有権の登記名義人(法務省令で定めるものに限る。」で始まります。
- 不動産登記法第76条の4は第二款 所有権に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第76条の4の前の条は不動産登記法第76条の3です。
- 不動産登記法第76条の4の次の条は不動産登記法第76条の5です。
- 不動産登記法第76条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第76条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第76条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/76_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法76条の4は、登記官が職権で、所有権の登記名義人が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合に、その旨を示す符号を登記記録に表示できると定める。名義は動かない。
Q · 登記簿に付く「死亡の符号」って、役所が相続登記をやってくれるってこと?
違います。事実を表示するだけで名義は動きません
不動産登記法76条の4は、登記官が職権で、所有権の登記名義人が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合に、その旨を示す符号を表示できると定めます。表示されるのは符号だけで、名義そのものは1ミリも動きません。相続登記の申請義務(同法76条の2、原則3年以内、違反は10万円以下の過料)は相続人側に残ったままです。対象者・場面はいずれも法務省令で限定されており、符号がない=生存している、ではありません。
解説
登記簿は長い間、名義人が生きているか死んでいるかを一切語らなかった。昭和に亡くなった人の名義のまま凍り付いた土地が積み上がり、所有者不明土地は国土の2割を超えるという調査結果まで出た。76条の4は、その沈黙を破る条文である。登記官が公的情報から名義人の死亡等を把握し、職権で「この名義人は権利能力を失ったとみられる」という符号を登記記録に表示できる。あなたが家や土地を買う前に登記事項証明書を取れば、売主として名前が並ぶ人が既に故人かどうかが、その場で見える。逆にあなたの実家が親名義のままなら、放置している事実が、誰でも取れる証明書の上に静かに可視化される。督促状は届かない。だが、見えている。ただし条文は対象を「法務省令で定めるものに限る」と二重に絞っており、符号がない=生存している、では決してない。
法的な位置づけ
不動産登記法76条の4に定める符号の表示とは、登記官が、法務省令で定める所有権の登記名義人について、権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合として法務省令で定める場合に、職権でその旨を示す符号を登記記録に表示する制度である。権利変動を生じさせる登記ではなく、公示機能を補完する事実表示にとどまる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取引前に登記事項証明書を取得して符号を確認 売買や担保設定の前に、所在と地番から登記事項証明書を取得し、所有権の登記名義人欄に符号が表示されていないかを最初に確認する。契約時と決済時で内容が変わることがあるため、決済当日の朝に取り直す
- 2.符号があれば取引を止め、相続人を確定する 符号は権利能力の喪失を示すだけで、相続人が誰かも遺産分割が済んでいるかも示さない。被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の現在戸籍、または法定相続情報一覧図の提示を売主に求める
- 3.遺産分割が未了なら相続人申告登記で申請義務を外す 自分が相続人側で協議がまとまらない場合、不動産登記法76条の3の相続人申告登記を単独で申し出る。他の相続人の同意も押印も不要で、これだけで76条の2の申請義務違反リスクを回避できる
- 4.正式な相続登記を申請して名義を移す 遺産分割協議書または遺言に基づき相続登記を申請する。名義が移れば表示の対象である登記名義人が入れ替わる。相続の開始および所有権の取得を知った日から3年以内が原則
よくある質問 AI による整理
Q1不動産登記の符号の表示とは何ですか?
登記官が職権で、所有権の登記名義人が権利能力を有しないこととなったと認めるべき場合に、その旨を示す記号を登記記録に表示する制度です。不動産登記法76条の4が根拠で、名義変更の効果はありません。
Q2登記簿の死亡符号はいつから表示されますか?
令和3年(2021年)改正で新設された制度で、施行日および対象範囲は法務省令で定められます。実際の運用開始時期と対象は法務省・法務局の最新公表情報をご確認ください。
Q3符号が付いたら相続登記はしなくていい?
必要です。符号は事実の公示にとどまり、名義は動きません。相続登記の申請義務は不動産登記法76条の2に基づき相続人に残り、原則3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象です。
Q4符号の表示を消す方法は?
消すための申請手続はありません。職権による表示だからです。相続登記等で名義そのものが移転すれば、表示の対象である登記名義人が入れ替わり、結果として符号は残りません。
Q5符号が付いているか自分で確認できますか?
できます。登記事項証明書は誰でも取得でき(不動産登記法119条)、所在と地番が分かれば他人名義の不動産でも数百円で取れます。符号は登記記録の一部として表示されます。
Q6符号がなければ名義人は生きていると考えていい?
いけません。条文は対象者を「法務省令で定めるもの」、場面を「法務省令で定める場合」と二重に限定しています。検索用情報が結び付いていない古い名義には符号が付かないことがあります。
Q7登記簿に死亡が出るのはプライバシー侵害では?
死亡日や死因ではなく抽象的な符号にとどめ、対象者を法務省令で限定することで、取引の安全(同法1条)と故人・遺族の情報保護の折り合いが図られています。
Q8符号の表示は誰が申請するのですか?
誰も申請しません。登記官が公的情報に基づき職権で表示します。当事者側に申請権も申請義務もなく、表示の有無を選ぶこともできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記簿に符号が付いているかどうか、自分で確認できるんですか?
できる。誰でも法務局の窓口やオンラインで登記事項証明書等を取得でき(不動産登記法119条)、符号は登記記録の一部として表示される。手数料は数百円で、他人名義でも所在と地番が分かれば取れる。実務のポイント:プロは契約直前に必ず取り直す。契約時と決済時で登記記録の内容が変わることがあるからだ。個人間売買でも決済当日の朝に取り直す一手間が、後の紛争の大半を潰す。
Q2符号が付いたら、法務局が相続の手続きを代わりに進めてくれるんですか?
進めてくれない。76条の4は登記官が事実を公示するだけで、名義を動かす効果は一切ない。相続登記の申請義務(76条の2)も住所等の変更登記の義務(76条の5)も、相続人側が自分で果たす必要がある。実務のポイント:遺産分割がまとまらない家庭ほど、相続人申告登記(76条の3)を単独で出しておく手が効く。他の相続人の同意も押印も要らず、これだけで申請義務違反のリスクを外せる。使える人が使っていない制度の筆頭である。
Q3亡くなったことが誰でも見られる登記簿に出るのは、プライバシーの問題にならないんですか?
そこが意識されたからこそ、条文は死亡日や死因ではなく「符号」という抽象的な記号にとどめ、対象者も法務省令で限定した。取引の安全を支える登記の公示機能(不動産登記法1条)と、故人や遺族の情報保護との折り合いを付けた設計である。実務のポイント:同じ令和3年改正では、DV 被害者等の住所を登記事項証明書上で秘匿する仕組み(119条6項)も入った。登記簿は「全部見せる」制度から「見せる範囲を選ぶ」制度へ静かに移行している。
間違えやすい点 AI による整理
- 符号が付く制度ができたことは知っていても、それが「役所からの相続登記の督促」ではないという点を見落としている人が多い。符号は登記官が職権で事実を公示するだけで、名義は1ミリも動かない。相続登記の申請義務(不動産登記法76条の2、原則3年以内)は別に走り続けており、役所が動いてくれたと安心していた時間が、そのまま10万円以下の過料のリスクに変わる。
- 「符号を消してもらうにはどこへ申請するのか」という問いの立て方自体が誤っている。符号は職権表示であり、消すための申請書は存在しない。相続登記なり合併等の登記なりで名義そのものが動けば、表示すべき対象が消える。手続の窓口を探すのではなく、名義を動かす以外に出口はない。
- 死亡した名義人には全件自動で符号が付く、と受け取られがちだが、条文は対象者を「法務省令で定めるものに限る」、場面を「法務省令で定める場合」と二重に限定している。氏名や生年月日といった検索用の情報が登記所側で結び付いていない古い名義には、符号が付かないことがある。符号がないことを生存証明として使った瞬間、あなたは根拠のない前提で取引していることになる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が動かすか | 76条の4:登記官が職権で表示(当事者の申請なし) | 76条の2:相続人が自ら申請(義務) 76条の3:相続人が単独で申し出(任意の簡易手段) |
| 登記記録への効果 | 符号の表示のみ、名義は動かない | 所有権が相続人へ移転、名義が動く 申告した者が相続人である旨の付記、名義は動かない |
| 期限と制裁 | 当事者側の期限なし、制裁もなし | 原則3年以内、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料 期限は76条の2と同じ、申し出れば義務を履行したものとみなされる |
| 第三者から見える情報 | 名義人が権利能力を失った可能性が分かる | 現在の所有者が誰かが確定的に分かる 相続人の一部が判明する(持分は未確定) |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は相続開始から6か月以内の相続登記申請を求め、遅延には登録免許税の倍数罰鍰を科す仕組み。登記機関が職権で死亡符号を表示する制度は確認できず、期限+金銭制裁で申請を促す設計になっている
韓国も申請主義が原則で、死亡した登記名義人に職権で符号を表示する規定に相当するものは確認できない。相続登記の促進は主に税制と過料によっている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が3年前に亡くなり、実家の名義はそのまま。ある朝、買主側の不動産会社から「登記簿に符号が付いていますね」と電話が入る。あなたが黙っていたことは、もう黙っていない。
- もし、あなたが買おうとしている土地の登記名義人に、決済5日前でこの符号が表示されていたらどうなる? 符号は権利能力を失った可能性を示すだけで、誰が相続人かも、遺産分割が済んでいるかも教えてくれない。決済を進めるなら、戸籍一式と遺産分割協議書で相続人全員の意思を確認するまで、司法書士に待ったをかけさせる。ここで1週間止める判断が、数年の紛争を防ぐ。
- 祖父の代から続く共有名義の山林。他の共有者5人のうち誰かが亡くなっていても、これまでは連絡が取れないというだけで理由が分からなかった。符号表示が動き出すと、登記簿を眺めるだけで誰が故人かの当たりが付く。売却の話を進めるとき、探すべき相手が行方不明の本人ではなく相続人だと最初から分かるだけで、調査費用も期間も桁が変わる。
取るべき行動
被害を受けた側:登記事項証明書に符号を見つけたら、まずその取引と交渉を止める。次に(1)被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人全員の現在戸籍を確認、(2)遺産分割協議書または法定相続情報一覧図の提示を売主に求める、(3)相続登記が完了するまで手付金を打たない。空き家被害で責任者を探す場合は、登記事項証明書を取ったうえで相続人調査を司法書士に依頼し、市区町村の担当課への照会も並行させる。
訴えられた側:家族名義に符号が付いた、または付く見込みなら、隠す手段はない。(1)相続人を確定する戸籍を集める、(2)遺産分割がまとまらないなら相続人申告登記(不動産登記法76条の3)を単独で出し、申請義務だけ先に外す、(3)そのうえで協議を進め正式な相続登記へ。期限を過ぎていても、自発的に動いた場合と、法務局からの催告を無視し続けた場合とでは、過料の現実的なリスクがまったく違う。
時効(請求できる期限):符号の表示自体に当事者側の申請期限はない(登記官の職権による)。ただし相続の開始および所有権取得を知った日から3年以内の相続登記申請義務があり(不動産登記法76条の2)、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料。令和6年(2024年)4月1日より前に発生した相続は同日から3年、すなわち令和9年(2027年)3月31日が期限(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)法律第24号 所有者不明土地問題の解消を目的とする民法・不動産登記法等の改正により新設。登記官が職権で所有権の登記名義人の権利能力喪失を示す符号を表示する仕組みを初めて導入し、相続登記の申請義務化(76条の2)と一体で設計された。施行日は段階的に定められており、本条の施行状況は最新の情報をご確認ください
改正の年表
- 1.令和3年(2021年) 新設:所有者不明土地の解消を目的とする民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により新設。相続登記の申請義務化(76条の2)、相続人申告登記(76条の3)と一体で設計され、登記官が職権で権利能力の喪失を示す符号を表示する仕組みが初めて導入された。施行日および対象範囲は法務省令に委ねられており、最新の施行状況は法務省の公表情報をご確認ください
- 不動産登記法 第1条登記の目的、公示による取引の安全
- 不動産登記法 第76条の2相続登記の申請義務、符号表示と表裏の関係
- 不動産登記法 第76条の3相続人申告登記、申請義務の簡易な履行手段
- 不動産登記法 第76条の6職権による住所等の変更登記、職権主義の同系統規定
- 不動産登記法 第119条登記事項証明書の交付、符号が誰に見えるかの根拠
- 民法 第177条登記による対抗要件、公示制度の実体法上の意義
- 民法 第882条死亡による相続開始、符号表示の実体法上の前提
- 住民基本台帳法 第30条の9国の機関への本人確認情報の提供(現行効力を要確認)
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