要点保険法 32 条は、詐欺・強迫による取消しや遡及保険の無効の場合に、保険者が保険料の返還義務を負わないと定める。悪意ある契約者への制裁的な例外規定である。
Q · 保険会社を騙して契約したのがバレて取り消されたら、払った保険料は戻ってくるの?
戻りません。詐欺・強迫を理由に取り消された場合は返還されません
保険法 32 条 1 号により、契約者・被保険者の詐欺または強迫を理由に損害保険契約が取り消された場合、保険者は保険料の返還義務を負いません。契約の取消しは遡及的無効(民法 121 条)で本来は不当利得(民法 703 条)として返るはずですが、悪意ある側が得をしないよう制裁的に返還を封じる例外です。さらに 2 号では、既発生の事故を対象とする遡及保険が 5 条 1 項で無効の場合も返還されません。ただし保険者も事故発生を知って引き受けていたなら、但書により保険料は戻ります。
契約を取り消せば、払ったお金は戻ってくる。それが民法の大原則、不当利得の返還だ。ところが保険の世界には、その原則が通用しない一角がある。保険法32条。あなたが保険会社を欺いて契約を結んだ、あるいは脅して契約させた。それが発覚して保険会社が契約を取り消したとき、あなたが払い続けた保険料は一円も戻らない。取消しの効果は遡及的無効なのに、なぜかお金だけは返ってこない。民法の例外として意図的に設計された制裁だ。さらに、すでに事故が起きたことを知りながら保険をかけた遡及保険の場合も、契約は無効だが保険料は返らない。ただし、保険会社の側も事故発生を知って引き受けていたなら、この制裁は外れて保険料は戻る。悪意ある側だけが損をする、その線引きこそがこの条文の正体だ。
保険法 32 条は、損害保険契約における保険料返還の制限を定める規定である。契約者・被保険者の詐欺または強迫による取消し(1 号)、および既発生の事故を対象とする遡及保険の無効(2 号)の場合に、保険者の保険料返還義務を否定する。民法 703 条の不当利得返還原則に対する例外として、悪意ある当事者への制裁的機能を担う。
契約が取消しや無効になっても保険者が保険料を返さなくてよい場合を定めた規定です。保険法 32 条が根拠で、詐欺・強迫による取消しと遡及保険の無効が対象です。
戻りません。保険法 32 条 1 号は、契約者・被保険者の詐欺・強迫による取消しの場合、保険者の保険料返還義務を否定しています。制裁的な例外規定です。
原則返りません。既発生の事故を知って申し込んだ遡及保険は 5 条 1 項で無効、保険法 32 条 2 号で保険料も返還されません。ただし保険者も事故を知っていた場合は但書で返ります。
違います。告知義務違反の解除(28 条)は 31 条で未経過保険料が返る余地がありますが、詐欺取消し(32 条 1 号)は全額返還されません。どちらの枠組みかで失う金額が変わります。
違憲ではありません。悪意ある当事者への制裁として立法政策上正当化される例外であり、不当利得返還原則(民法 703 条)に対する明文の特則です。
保険者も保険事故の発生を知って申込み・承諾をした場合に使えます。この場合は 32 条 2 号但書により保険料が返還されます。契約時の査定記録の確保が鍵です。
保険料返還にかかる不当利得的な調整は、一般の消滅時効(民法 166 条、権利行使可能時から 5 年または 10 年)に服します。取消権自体は民法 126 条の期間に従います。
戻りません。保険法 32 条 1 号は詐欺と並んで強迫も対象としています。保険代理店を脅して有利な契約を結ばせた場合も、取消しで保険料は返還されません。
本来は不当利得返還(民法703条)で戻るはずですが、32条はそこに意図的な例外を置いています。契約者が詐欺・強迫という悪意で契約を結んだ場合、その者に保険料を返せば悪意が得をする。だから制裁として返還を封じるのです。業界裏話ヒント:保険会社が「解除」ではなく「詐欺取消し」を選ぶ場面があるのは、解除だと未経過保険料の返還義務が残るのに対し、詐欺取消しなら32条1号で一切返さずに済むから。どちらの構成を取るかは保険会社側の戦略でもある
はい、すでに発生した事故による損害をてん補する遡及保険は、契約者がその発生を知って申し込めば5条1項で無効。さらに32条2号で保険料も返りません。ただし但書があり、保険会社も事故発生を知って引き受けていたなら保険料は戻ります。業界裏話ヒント:この但書を使えるかは、契約時に保険会社の担当者や査定側が事故を認識していたかにかかる。無効を争う前に、申込みから承諾までの記録を押さえておくと、返還請求の唯一の入口が開く
いいえ、詐欺には欺罔の故意、つまり相手を騙す意図が必要です。単なる記入ミスや不注意は詐欺ではなく告知義務違反(28条)の問題で、この場合は31条により未経過保険料が返還される余地があります。業界裏話ヒント:保険会社にとっては「詐欺」と構成できれば保険料を返さずに済むので、故意を強調してくることがある。契約者側は「これは過失による告知義務違反だ」と枠組みを引き戻せるかどうかで、戻る金額が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる事由 | 保険法 32 条:詐欺・強迫による取消し / 遡及保険の無効 | — |
| 保険料の扱い | 返還義務なし(全額不返還が原則) | — |
| 根拠となる悪意 | 詐欺・強迫の故意、または遡及保険の濫用 | — |
| 例外の例外 | 遡及保険でも保険者が事故発生を知っていれば返還(2 号但書) | — |
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