要点保険法 5 条は、契約前に発生した事故の損害をてん補する遡及保険を認めつつ、契約者・被保険者が事故発生を知っていた場合や、保険者が事故不発生を知っていた場合は、その定めを無効とする。
Q · もう焼けてしまった家に、火災保険を後からかけることはできるの?
知らなければ有効、知っていた側が結べば無効です
保険法 5 条により、契約締結前に発生した保険事故の損害をてん補する遡及保険は原則有効です。海上保険で船が出航した後に貨物保険を結ぶ『lost or not lost』はその代表例です。ただし 1 項により、契約者または被保険者が申込み・承諾の時点ですでに事故発生を知っていたときは無効。逆に 2 項により、保険者が事故不発生を知りながら遡及保険料を取ったときも無効です。分かれ目は時間軸ではなく『誰が結果を知っていたか』にあります。
すでに火事で焼けた家に、火災保険はかけられるか。普通は無理だと思う。だが保険法5条は違う答えを用意している。まだ結果を誰も知らない段階であれば、過去に起きた事故でも保険の対象にできる。これを遡及保険という。船が出航した後に貨物保険を結ぶ、こうした実務は現実に存在する。鍵は「知っていたかどうか」だ。1項は、契約者や被保険者が申込みや承諾の時点ですでに事故発生を知っていたときは、その遡及の定めを無効にする。当然だ、結果を知って賭けるのは保険ではなく詐欺に近い。だが見落とされがちなのが2項。保険者の側が「事故は起きていない」と知りながら遡及保険を売ったら、それも無効になる。つまり保険会社が、絶対に払わずに済む保険料をこっそり取る行為も封じられている。過去か未来かではなく、誰が結果を知っていたか。そこにこの条文の全体重が乗っている。
保険法 5 条は遡及保険を規律する規定であり、損害保険契約の締結前に発生した保険事故による損害をてん補する旨の定めを対象とする。当事者の一方が申込み・承諾の時点で事故の発生または不発生を知っていた場合に、その遡及の定めを無効とし、結果を知る者が確実に得をする賭博的取引を保険から排除する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
契約締結前にすでに発生した保険事故による損害をてん補する保険です。保険法 5 条が根拠で、当事者が結果を知らない偶然性がある限り有効です。
『滅失の有無を問わず』という海上保険の遡及約款です。船が出航した後でも、貨物の無事をまだ誰も知らなければ有効に付保できます。
過去の事故にも保険はかけられるが、結果を知っていた側が結んだ契約は無効、というルールです。契約者側は 1 項、保険者側は 2 項で無効になります。
補償の始期を契約締結日より前に遡らせる基準日です。この遡及日より前に事故を知っていた事実があると、その部分の補償が無効になります。
できます。貨物が無事着くか沈むか当事者双方がまだ知らなければ、遡及保険として有効です。貿易実務で数百年使われてきた仕組みです。
1 項は契約者・被保険者が事故発生を知っていたとき、2 項は保険者が事故不発生を知っていたときです。どちらか一方に認識が偏れば無効になります。
保険料返還請求権は権利を行使できる時から 3 年で時効消滅します(保険法 95 条)。無効を争うなら時効前に動く必要があります。
無効を主張する側にあります。保険者が 1 項無効を主張するなら、契約者や被保険者が現実に事故を知っていたことを保険者が立証しなければなりません。
許されます。海上保険では船が出航した後に契約する遡及保険が正規の実務で、保険法5条もこれを前提にしています。境目は事故が過去か未来かではなく、当事者がその結果を知らないという偶然性があるかどうか。業界裏話ヒント:実務では契約書に遡及日が入りますが、その遡及日より前に事故を知っていた事実が一つでも出ると、その部分の補償だけが根こそぎ無効になる。遡及日の設定は、後から見ると勝敗を分ける一行になる
『知っていたはず』では足りません。5条1項の無効は、あなたまたは被保険者が事故発生を現実に認識していた場合に限られ、不注意で気付かなかっただけでは無効になりません。しかもその立証責任は無効を主張する保険会社側にあります。業界裏話ヒント:保険会社は『知っていた』と『知り得た』をあえて曖昧にして交渉してくることがある。ここを法的に切り分けて反論できるかで、支払いの可否が逆転する
いいえ。5条が無効とするのは、すでに発生した事故による損害をてん補するという遡及部分の定めであって、契約全体を当然に無効にするものではありません。将来に向けた通常の補償は生き残るのが原則です。業界裏話ヒント:無効が遡及部分に限られるなら、すでに払った保険料のうちどこまで返還されるかが次の争点になる。全額か一部か、この清算を最初から視野に入れておくと交渉で不利にならない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 保険法 5 条:締結前に発生した事故をてん補する遡及の定めの効力 | — |
| 問題となる時点 | 申込み・承諾の時点での事故発生・不発生の認識 | — |
| 効果 | 遡及の定めが無効(契約全体が当然に消えるわけではない) | — |
| 無効・不利益を負う側 | 1 項=契約者・被保険者、2 項=保険者の双方向 | — |
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