要点保険法64条は、生命保険が詐欺・強迫で取り消された場合や、死亡保険が遡及保険として無効となる場合に、保険者が保険料の返還義務を負わないと定める。
Q · 生命保険を途中でやめたら、払った保険料は戻ってくるの?
詐欺取消しや遡及保険無効なら、保険料は一円も戻りません
通常の解約なら解約返戻金として一部が戻ることがありますが、保険法64条はまったく別の場面を扱います。生命保険契約が詐欺・強迫を理由に取り消された場合、または死亡保険契約が遡及保険として39条1項により無効となった場合、保険者は既に払い込まれた保険料の返還義務を負いません。原状回復の原則に対する例外で、悪意の契約者への制裁の性格を持ちます。ただし保険者も保険事故の発生を知って契約を取っていたなら、但書により保険料は返還されます。
生命保険を途中でやめれば、解約返戻金という形でいくらかは戻ってくる。多くの人はそう思っている。ところが、戻るどころか払い込んだ保険料が一円も返らない場面が、法律で決められている。それが保険法64条だ。カギは、保険会社が契約を終わらせるのに使った「言葉」にある。健康状態の嘘が単なる告知義務違反なら話は別だが、それが「詐欺」(民法96条)と評価され、保険会社が契約を取り消した場合、64条はあなたへの制裁として保険料の返還義務を保険者から消し去る。もう一つは、被保険者がすでに死亡や危篤だと知りながら加入した死亡保険(遡及保険、39条1項で無効)。この場合も保険料は戻らない。ただし例外がある。保険会社側も事故の発生を知って契約を取っていたなら、但書によって保険料は返還される。つまり64条は、悪意を持った側が損をするよう設計されている。あなたの保険料が戻るかどうかは、どちらがより悪かったかで決まる。
保険法64条は、保険料の返還を制限する規定である。生命保険契約が詐欺・強迫を理由に取り消された場合、または死亡保険契約が遡及保険として39条1項により無効となる場合に、保険者は既に払い込まれた保険料を返還する義務を負わない。原状回復の原則に対する例外として、悪意の契約当事者への制裁の性格を持つ。
保険料の返還を制限する規定です。生命保険が詐欺・強迫で取り消された場合や、死亡保険が遡及保険として39条1項で無効になった場合、保険者は保険料の返還義務を負いません。
戻りません。取消しは本来「なかったこと」にする制度ですが、保険法64条1号は詐欺・強迫による取消しの場合、保険者の保険料返還義務を否定します。
死亡保険が39条1項で無効になる場合、64条2号で保険料は返還されません。ただし保険者も事故発生を知って契約していたなら、但書により返還されます。
告知義務違反解除(55条)は詐欺取消しとは別枠で、当然に64条が適用されるわけではありません。詐欺と評価されるかで保険料の帰趨が変わります。
保険法95条により3年間の消滅時効です。ただし64条各号に当たる場合は返還請求権自体が発生しません。起算点は権利を行使できる時です。
63条は保険料返還の原則を定め、64条はその原則を破って返還義務を否定する例外です。64条は詐欺取消しと遡及保険無効の悪意の場面に限定されます。
死亡保険の遡及保険無効でも、保険者が保険事故の発生を知って申込み・承諾していたなら、64条2号但書により保険料は返還されます。
解約は将来に向かって契約を終わらせ返戻金が生じ得ますが、取消し・無効は契約を初めからなかったことにします。64条は取消し・無効の一部で保険料を返しません。
貯蓄性のある商品なら、中途解約で解約返戻金として一部が戻ります。ですが64条はまったく別の話です。契約が詐欺で取り消されたり、遡及保険で無効になった場合は、そもそも保険料の返還義務が保険者に発生しません。「解約」と「取消し・無効」は法的に別物です。業界裏話ヒント:保険会社が「解約」でなく「取消し」という言葉を使い始めたら、返還を拒む前触れです。通知書の一語を見逃さないことが分水嶺になる
単なる告知義務違反(保険法55条)にとどまるなら解除でも既払保険料の扱いは別で、詐欺とまで評価されないことも多いです。ですが積極的に偽った悪質なケースは民法96条の詐欺と評価され、保険会社が取り消せば64条で保険料は戻りません。業界裏話ヒント:保険会社が告知義務違反解除と詐欺取消しのどちらを選ぶかで結論が変わります。実務上、詐欺の要件を満たすかは解釈が分かれる論点で、争う余地がある
契約前にすでに起きた事故を対象にする保険のことです。被保険者がすでに死亡や危篤だと知って死亡保険に入れば39条1項で無効となり、64条でモラルハザード防止の制裁として保険料も戻りません。業界裏話ヒント:ただし保険会社も事故発生を知って契約していたなら但書で保険料は戻ります。双方が悪意なら、制裁は消える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 64条:詐欺・強迫による取消し/遡及保険(死亡保険)の無効 | — |
| 保険料の帰趨 | 保険者は返還義務を負わない(原則として没収) | — |
| 非難可能性の前提 | 詐欺・強迫・遡及保険の悪意という高い非難可能性 | — |
| 例外・巻き返しの手段 | 保険者も事故発生を知っていた場合(2号但書)は返還 | — |
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