損害保険契約の締結の時において保険金額が保険の目的物の価額(以下この章において「保険価額」という。)を超えていたことにつき保険契約者及び被保険者が善意でかつ重大な過失がなかったときは、保険契約者は、その超過部分について、当該損害保険契約を取り消すことができる。
要点保険法 9 条は、契約締結時に保険金額が保険価額を超え、契約者と被保険者が善意で重大な過失がなかった場合に、契約者が超過部分を取り消せると定める。約定保険価額があるときは適用されない。
Q · 火災保険を時価より高くかけていたら、払いすぎた保険料は戻ってくるの?
契約時に善意・無重過失なら超過部分を取り消せます
保険法 9 条により、契約締結時に保険金額が保険価額を超えており、保険契約者と被保険者が善意でかつ重大な過失がなかったときは、契約者は超過部分について損害保険契約を取り消せます。取り消せばその部分に対応する保険料の負担から解放され、過払分の返還を求められる余地があります。ただし、あらかじめ価額を約定していた場合(約定保険価額)は 9 条の対象外です。なお契約後に時価が下がって超過になった場合は取消しではなく保険金額の減額で対応します。
10 年前に 3,000 万円で建てた家に、今も同じ 3,000 万円の火災保険をかけ続けている。だが建物の時価は経年で 1,800 万円まで下がった。その差額 1,200 万円ぶん、あなたは毎年保険料を払い続けているのに、火事で全焼しても受け取れるのは時価の 1,800 万円まで。損害保険は実際の損害しか塡補しない(利得禁止の原則、簡単に言えば保険で儲けさせない仕組み)から、かけすぎた分は掛け捨てになる。保険法 9 条は、この「超過保険」に逃げ道を用意している。契約時に保険金額(契約で決めた補償の上限額)が保険価額(対象物の実際の価値)を超えていて、しかもあなたと被保険者がそれを知らず(善意)、知らないことに重大な落ち度もなかったなら、超過部分だけを取り消せる。取り消せばその分の保険料負担から解放される。ただし、あらかじめ価額を約定していた場合(約定保険価額)は、この条文は使えない。
保険法 9 条は超過保険を規律する規定であり、損害保険契約の締結時に保険金額が保険の目的物の価額(保険価額)を超えていた場合において、保険契約者および被保険者が善意で重大な過失がなかったときに、契約者が超過部分について当該契約を取り消せる取消権を定める。約定保険価額があるときは適用されない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
保険金額(契約で決めた補償の上限)が保険価額(対象物の実際の価値)を超えている状態です。損害保険は実損しか払わないため、超過部分は保険金では戻らず保険料だけかかります。
損になります。旧商法では超過分が当然無効でしたが、保険法 9 条は契約者の取消権に変えたため、動かなければ超過分は有効なまま保険料も取られ続けます。
契約時に保険金額が保険価額を超えていることを契約者・被保険者が知らず(善意)、知らないことに重大な落ち度もなかったことです。両方揃わないと 9 条の取消権は生じません。
使えません。9 条ただし書により、あらかじめ価額を約定していた場合は取消しの対象外です。約定保険価額は美術品など時価算定が難しいものに使われます(18 条)。
超過保険は保険金額が保険価額を上回る状態(9 条)、一部保険は下回る状態(19 条)です。一部保険では保険金が割合的に減額されます。
重複保険として保険法 20 条が調整します。各保険者は保険価額を限度に按分または連帯して塡補し、合計で実損を超える受取りはできません。
9 条自体に期間の明文はなく、一般に取消権は追認できる時から 5 年・行為時から 20 年で消滅します(民法 126 条)。起算点の解釈は実務上分かれています。
契約更新のタイミングです。更新時に保険価額を再評価し、超過していれば保険金額を実勢に合わせて下げると、その場で保険料を圧縮できます。
もらえません。損害保険は実際の損害(保険価額)までしか塡補しないのが原則で、保険金額をいくら高くしても受け取れる上限は物の時価までです(保険法 18 条、9 条)。超過分は保険料だけ払って保険金では戻りません。業界裏話ヒント:保険会社は超過保険でも保険料を受け取れるため、自分から『かけすぎです、下げましょう』とは積極的に言いません。時価が下がる建物・車・在庫は、契約者が更新のたびに時価と保険金額を突き合わせない限り、超過保険が放置され続ける
契約時に善意・無重過失で超過していたなら、保険法 9 条で超過部分を取り消せます。取り消せばその部分に対応する保険料の負担から解放され、既払分の返還を求められる余地があります。業界裏話ヒント:ポイントは『契約時点』で超過していたか。契約後に時価が下がって超過になった場合は 9 条の取消しの射程外で、対応は保険金額の減額(契約変更)になる。過去に遡って返してもらうか、これから下げるかで手続きも回収額も変わるので、超過がいつ生じたかを先に特定する
あらかじめ価額を約定していた場合(約定保険価額)は、保険法 9 条の但書で取消しの対象外です。約定保険価額は美術品や骨董品など時価の算定が難しいものに使われ、合意した額が基準になります(保険法 18 条 2 項)。業界裏話ヒント:ただし約定保険価額が実際の価額を『著しく超える』ときは、保険法 18 条 2 項ただし書で保険会社は実際の価額までしか払わない扱いになりうる。約定したから満額もらえると安心せず、著しい乖離がないかを確認しておく
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象となる状況 | 9 条:保険金額 > 保険価額(超過保険) | — |
| 生じる問題 | 超過部分の保険料が掛け捨てになる | — |
| 効果・救済 | 善意・無重過失なら超過部分を取消し可 | — |
| 前提となる基準 | 保険価額(18 条)、約定があれば適用外 | — |
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