要点健康保険法103条は、出産手当金を支給する期間は傷病手当金を支給しないと定める。ただし出産手当金の額が99条2項で算定される額より少ないときは、その差額が支給される。
Q · 産休に入ったら、それまでもらっていた傷病手当金は完全に止まるの?
原則止まるが、傷病手当金の方が高ければ差額が出る
健康保険法103条1項により、出産手当金を支給する期間は傷病手当金が支給されません。ただし同項ただし書は、受けることができる出産手当金の額が99条2項で算定される額より少ないときは、その差額を支給すると定めています。差額を受けるには産休期間についても傷病手当金の支給申請を行い、医師の労務不能の証明を付ける必要があります。また、出産手当金を支給すべき期間に傷病手当金が支払われていた場合は、同条2項により出産手当金の内払とみなされ、現金での返納ではなく差引きで精算されます。
産休に入る前から体調を崩して休職していた人が、出産手当金の支給が始まった月に気付く。前月まで振り込まれていた傷病手当金が、ぱたりと止まっている。健康保険法103条1項が「出産手当金を支給する期間、傷病手当金は支給しない」と定めているからだ。ここまでは「二重取りはできない」と何となく知っている人が多い。だが本当の勝負どころはただし書にある。出産手当金の額が、傷病手当金として算定される額(99条2項)より少ないときは、その差額が支給される。あなたに保障されているのは「高い方」であって、「出産手当金の方」ではない。二つの手当は同じ計算式(支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2)を使うが、支給開始日が違えば平均を取る12か月の窓がずれ、金額に差が出る。そして差額は、産休期間についても傷病手当金の支給申請を出し続けない限り、表に出てこない。
健康保険法第103条は、出産手当金と傷病手当金の併給調整を定める規定である。出産手当金を支給する期間は傷病手当金を支給しないことを原則としつつ、出産手当金の額が第99条第2項により算定される額を下回る場合にはその差額を支給し、既に支払われた傷病手当金は出産手当金の内払とみなすものとしている。
支給開始日以前12か月の標準報酬月額の平均を30で割った額の3分の2が1日あたりの額です。傷病手当金も同じ計算式ですが、支給開始日が違えば平均を取る12か月の窓がずれ、金額に差が出ます。
99条2項で算定される傷病手当金の日額から出産手当金の日額を引いた額が、産休の日数分支給されます。傷病手当金の方が低ければ差額はゼロです。
出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までのうち、労務に服さなかった期間です。産後57日目以降は出産手当金が切れるため、傷病手当金へ戻る手続が必要になります。
加入している健康保険組合または協会けんぽの支部に傷病手当金支給申請書を提出します。医師の意見欄と事業主証明欄の両方が必要で、産休期間も労務不能である旨の記載が要ります。
出産手当金を支給すべき期間に傷病手当金が支払われていた場合、その額を出産手当金の前払いとみなして差し引く処理です。現金での返納は原則として不要です(103条2項)。
健康保険法193条により2年です。起算点は労務に服さなかった日ごとの翌日で、古い日から順に権利が消えていきます。差額の請求も同じ時効に乗ります。
出産手当金は産後56日で終了するため、以後は傷病手当金へ切り替えます。自動では戻らず、傷病手当金支給申請書の提出が必要で、放置すると入金の空白が生まれます。
資格喪失前に継続して1年以上被保険者であったなどの要件を満たせば、106条の継続給付として受けられます。退職日に出勤すると継続給付の前提が崩れる点に注意が必要です。
全額の併給ではなく、103条1項ただし書による差額の支給である。出産手当金の額が99条2項で算定される傷病手当金の額より少ない場合に限り、その差額が上乗せされる。業界裏話ヒント:差額請求には産休期間中も労務不能であったという医師の証明が要る。産科ではなく治療中の診療科の医師に、産休期間も含めて意見欄を書いてもらえるか事前に相談しておくと、後から遡って頼み込む苦労がなくなる。
103条2項により、その傷病手当金は出産手当金の内払とみなされる。つまり現金で返すのではなく、これから支給される出産手当金から差し引いて精算される扱いが法律上定まっている。業界裏話ヒント:担当者によっては最初に「過払いのため返納をお願いします」という文面が届くことがある。内払扱いを求めれば手元資金を崩さずに済む事案は少なくないので、振込先を確認する前に処理方法を尋ねる。
令和4年(2022年)1月1日以降に支給が始まったものは、支給された日数を通算して1年6か月分となる。103条1項で支給されなかった産休期間は日数に算入されないため、産休明けに残枠が生きている可能性が高い。業界裏話ヒント:2022年より前は支給開始日から暦で1年6か月を数えたため、産休期間が枠を食い潰していた。古い解説書やネット記事はこの改正前の記述のままのものが多い(最新の改正状況をご確認ください)。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 103条:出産手当金と傷病手当金の併給調整 | — |
| 調整の方向 | 出産手当金の期間は傷病手当金を不支給とし、高い方との差額のみ支給 | — |
| 既払分の処理 | 支払済みの傷病手当金は出産手当金の内払とみなす(2項) | — |
| 実務上の落とし穴 | 差額は申請と医師の労務不能証明がなければ表に出ない | — |
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