被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、その全部又は一部を行わないことができる。
要点健康保険法 117 条は、闘争・泥酔・著しい不行跡で給付事由が生じたとき、保険者が保険給付の全部又は一部を行わないことができると定める。不支給は裁量判断のため審査請求で争える。
Q · 喧嘩や泥酔でケガをしたら、健康保険は使えなくなるんですか?
不支給は保険者の裁量判断であり、争う余地があります
健康保険法 117 条は、闘争・泥酔・著しい不行跡によって給付事由が生じたとき、当該給付事由に係る保険給付の全部又は一部を行わないことが「できる」と定めます。判断主体は協会けんぽや健康保険組合などの保険者であり、医療機関ではありません。116 条の故意の犯罪行為と違って必要的不支給ではないため、全部不支給は重すぎるという一部取消しの主張も可能です。不支給決定は行政処分なので、社会保険審査官への審査請求(同法 189 条)で争えます。
居酒屋からの帰り道に階段から落ちて肋骨を折った、路上のいざこざで殴り返して眼窩を骨折した。病院の窓口で「そのケガは健康保険を使えません」と言われ、黙って十割を払って帰った人は少なくない。だが、その一言を言う権限は医療機関にはない。健康保険法117条が定めるのは「その全部又は一部を行わないことができる」であって、「給付されない」ではない。判断するのは協会けんぽや健康保険組合、つまり保険者であり、しかもそれは裁量である。前条116条の故意の犯罪行為が「行わない」と断定形なのに対し、117条はわざと幅を残した。全部不支給の通知が届いても、一部にとどめるべきだと争う余地が制度に組み込まれているという意味だ。さらに不支給決定は行政処分(役所側があなたに直接下す具体的な決定)だから、社会保険審査官への審査請求という反撃ルートが最初から用意されている。
健康保険法 117 条は、保険給付の裁量的制限を定める規定である。被保険者が闘争、泥酔又は著しい不行跡によって給付事由を生じさせた場合、保険者は当該給付事由に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。116 条の必要的不支給とは異なり、制限の発動と範囲は保険者の個別判断に委ねられる。
健康保険法 117 条の制限事由のひとつで、社会通念上著しく不当と評価される行状を指します。闘争や泥酔に準じる程度が求められ、単なる不摂生や生活習慣は通常含まれません。
116 条は故意の犯罪行為・故意の事故について「行わない」と断定する必要的不支給、117 条は闘争・泥酔・著しい不行跡について「行わないことができる」とする裁量的制限です。
及びます。117 条は「当該給付事由に係る保険給付」と規定しており、療養の給付に限定されません。同じ給付事由に紐づく傷病手当金も制限対象になり得ます。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に社会保険審査官へ審査請求します。その決定に不服なら、決定書謄本の送付日の翌日から 2 か月以内に再審査請求ができます。
第三者が関与する負傷で健康保険を使う場合は提出が必要です。保険者が健康保険法 57 条で損害賠償請求権を代位取得し、加害者へ求償するための前提手続だからです。
使えます。第三者行為による傷病届を提出すれば健康保険で治療できます。窓口で断られるのは事務処理上の理由が多く、保険者に直接確認すると保険扱いになる例が少なくありません。
法文は割合を定めておらず、保険者が事案ごとに範囲を決めます。給付の種類を限る、期間を区切るなどの形があり、全部不支給が過重であれば一部にとどめるべきだと反論できます。
あります。国民健康保険法 60 条が同趣旨の裁量的給付制限を定めています。加入する制度が協会けんぽ・組合健保・国保のいずれでも、条文構造は同じ「できる」規定です。
そうではない。117条は保険者が全部または一部を行わないことが「できる」という裁量規定で、自動的に不支給になるわけではない。116条の故意の犯罪行為のように断定形で「行わない」とはしていない。業界裏話ヒント:窓口で断られる理由の多くは、第三者行為による傷病届の処理を避けたい事務上の事情である。保険者に直接電話して確認すると、そのまま保険扱いになる例は珍しくない
問われるのは酔っていた事実ではなく、泥酔と負傷の間に因果関係があるか、そして制限が相当かである。117条は一部制限も選べる構造で、実務上、単純な酩酊転倒に対する発動は限定的とされる。業界裏話ヒント:事実を隠す方がはるかに危険だ。後から飲酒が判明すると、給付制限だけでなく不正受給として返還請求の議論に飛び火する
まず社会保険審査官への審査請求である(健康保険法189条)。取消訴訟は、その審査請求に対する審査官の決定を経た後でなければ提起できない(同法192条、審査請求前置)。業界裏話ヒント:かつては再審査請求まで経る必要があったが、現在は審査官の決定が出た段階で訴訟へ進める。再審査請求の結論を待つあいだに治療費の立替が膨らむなら、早めに訴訟へ切り替える選択肢がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制限の性質 | 117 条:裁量的制限(全部又は一部を行わないことが「できる」) | — |
| 対象となる行為 | 闘争・泥酔・著しい不行跡による給付事由の発生 | — |
| 保険者の判断余地 | 発動の有無と制限範囲の双方に裁量がある | — |
| 反論の切り口 | 因果関係の不存在/全部不支給の過重性(一部取消し) | — |
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