要点健康保険法 213 条の 2 は、保険料徴収の質問・検査への不答弁、虚偽答弁、検査拒否を五十万円以下の罰金で処罰する。協会けんぽ等の職員による質問検査は二号から四号の対象外。
Q · 社会保険料を滞納していて年金事務所の調査が来る。答えないと罰金になるって本当?
滞納自体は罪ではなく、答弁拒否や虚偽答弁が罰金の対象です
健康保険法 213 条の 2 は、150 条の 7 第 1 項の報告徴収・質問・検査、および 183 条により準用される国税徴収法 141 条の徴収職員の質問検査に対して、答弁をしない、虚偽の答弁をする、検査を拒み妨げ忌避する、帳簿書類を提出しないといった行為を、五十万円以下の罰金に処すると定めます。罰金は刑事罰であり、過料(秩序罰)とは別物です。保険料を払えないこと自体は差押えなど滞納処分の問題で、本条の対象ではありません。なお二号から四号は、協会けんぽ又は健康保険組合の職員による質問・検査を処罰対象から除外しています。
社会保険料の滞納が続くと、年金事務所の徴収職員が会社に来て、帳簿を見せろ、売掛金はどこか、預金はどの銀行か、と質問を始める。ここで「知りません」「見せません」と押し通すと、滞納とは別の問題が立ち上がる。健康保険法 213 条の 2 は、この質問への不答弁・虚偽答弁、検査の拒否・妨害・忌避、帳簿書類の不提出や虚偽の提示を、五十万円以下の罰金で処罰する。過料(秩序罰)ではなく罰金、つまり刑事罰である。払えないこと自体は差押えなどの滞納処分の対象であって、この条文の対象ではない。隠すこと、嘘をつくこと、拒むことが罪になる。そしてこの条文には、経営者がまず知らない除外が書き込まれている。質問や検査をしたのが協会けんぽや健康保険組合の職員である場合、二号から四号の処罰対象から外れる。目の前に立っている人が誰かで、あなたの沈黙の法的な重さが変わる。
健康保険法 213 条の 2 は、同法 150 条の 7 第 1 項に基づく報告徴収・質問・検査、及び 183 条により準用される国税徴収法 141 条に基づく徴収職員の質問検査に対する不答弁、虚偽答弁、検査の拒否・妨害・忌避、帳簿書類の不提出等を、五十万円以下の罰金に処する罰則規定である。二号から四号は、協会又は健康保険組合の職員が行う質問・検査を処罰対象から除外している。
保険料徴収や医療保険情報に関する報告・質問・検査に対し、答弁をしない、虚偽の答弁をする、検査を拒む、帳簿書類を出さないといった行為を、五十万円以下の罰金で処罰する罰則規定です。
立入検査そのものを断る「拒み」、書類を隠すなど検査を困難にする「妨げ」、居留守や不在化で検査を実質的に受けさせない「忌避」を指します。積極的な暴力や欺罔までは必要ありません。
なります。罰金は刑事罰であり、行政上の過料(秩序罰)とは別です。略式命令で終わっても有罪判決であり、前科として記録が残ります。保険料の滞納自体には刑罰の定めがありません。
健康保険法 183 条が徴収について国税徴収法の例によるとし、同法 141 条が徴収職員の質問検査権を定めます。本条二号から四号は、この 141 条の質問検査への違反を処罰対象としています。
四号は「正当な理由がなく」応じない場合を処罰対象としています。資料が第三者に保管されている、災害で滅失したなど客観的裏付けがある場合は正当な理由となり得ますが、多忙や担当者不在は通りにくいです。
罰金は刑法上の刑罰で刑事手続により科され、前科が残ります。過料は秩序罰で非訟事件手続により科され、前科になりません。本条は罰金であり、刑事責任の領域に入ります。
本条は「その違反行為をした者」を処罰対象としています。現場で答弁を拒み、虚偽を述べた個人が名宛人です。指示した経営者は教唆として問われうるものの、実行者の責任が消えるわけではありません。
罰金にあたる罪の公訴時効は 3 年です(刑事訴訟法 250 条 2 項)。起算点は犯罪行為が終わった時(同法 253 条 1 項)、すなわち答弁を拒んだ日や虚偽の帳簿を提示した日となります。
なりません。滞納それ自体は差押えなどの滞納処分の対象で、本条の罰金は科されません。処罰されるのは、183 条経由で準用される国税徴収法 141 条の質問に答えない、嘘をつく、検査を拒むという対応です(本条二号から四号)。業界裏話ヒント:徴収職員の調査記録には質問と回答がほぼ逐語で残る。その場に反応はなくても、後日の告発判断の材料になる。当日に自分でも議事メモを残す人と、記憶だけの人では争える幅が違う
法的結論は変わります。本条二号から四号は括弧書きで「協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く」としており、協会けんぽや健保組合の職員による質問・検査を拒んでも本条の罰金は科されません。ただし滞納処分は止まらず、差押えは進みます。業界裏話ヒント:この除外を盾に強気に出て心証を悪くし、分割納付の相談が通らなくなる例がある。刑事罰の有無と、交渉の有利不利は別の軸で動く
原則としてできません。最高裁は川崎民商事件(最大判昭和 47.11.22)で、憲法 38 条 1 項の保障が行政手続にも及びうることを認めつつ、刑事責任追及を直接の目的としない質問検査には及ばないとしました。業界裏話ヒント:ただし調査で得た供述が、詐欺や業務上横領といった別の刑事事件で使われる場面はある。答える義務があることと、どう答えるかの設計は別問題で、事実関係が複雑なら回答前に弁護士を挟む価値がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 処罰の入口となる権限 | 健康保険法 213 条の 2:一号は 150 条の 7 第 1 項、二号から四号は 183 条経由の国税徴収法 141 条 | — |
| 条文の性格 | 罰則規定(五十万円以下の罰金) | — |
| 協会けんぽ・健保組合職員による場合 | 二号から四号の処罰対象から除外(一号は除外の記載なし) | — |
| 滞納そのものへの効果 | 滞納自体は処罰対象外。隠す・嘘をつく・拒む行為のみが対象 | — |
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