要点健康保険法 73 条は、保険医療機関と保険医の双方に厚生労働大臣の指導を受ける義務を課す。指導は行政処分ではないが、監査(78 条)や指定取消(80 条)へ続く入口である。
Q · 厚生局から個別指導の通知が来たけど、処分じゃないなら軽く考えていいの?
指導は処分ではないが、監査と取消への入口になる
健康保険法 73 条により、保険医療機関・保険薬局は療養の給付に関し、保険医・保険薬剤師は診療又は調剤に関し、それぞれ独立して厚生労働大臣の指導を受ける義務を負います。指導は行政指導であり行政処分ではないため、審査請求や取消訴訟の対象になりません。しかし処分性がないことは防御が薄いことを意味し、指導の場での発言や提出資料はそのまま監査(78 条)の材料になります。監査の先には指定取消(80 条)と保険医登録取消(81 条)があります。2 項の学識経験者の立会いは、被指導側が使える数少ない手続的装置です。
クリニックを開業して数年、ある日「個別指導の実施について」という通知が地方厚生局から届く。開設者は「監査じゃないから軽いものだろう」と考えがちだが、そこが分かれ道である。健康保険法73条は、保険医療機関・保険薬局、そして保険医・保険薬剤師個人に対し、厚生労働大臣の指導を受ける義務を課している。ポイントは二重構造だ。指導は「機関」と「医師個人」の両方に向く。つまり院長が雇っている勤務医も、独立して指導対象になる。そして指導の結果、著しい不正が疑われれば監査(78条)へ移行し、その先には指定取消(80条)と保険医登録取消(81条)が待つ。指導そのものは行政指導であって行政処分ではない。だから取消訴訟で争えない。争えないからこそ、指導の場で何を言い、カルテに何が書いてあるかが、その後の全てを決める。2項が定める学識経験者の立会いは、あなたが要求できる数少ない防御装置である。
健康保険法 73 条は、厚生労働大臣による指導を定める規定である。保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、それぞれ独立して指導を受ける義務を負う。指導は行政指導であり、監査(78 条)並びに保険医療機関の指定取消(80 条)及び保険医の登録取消(81 条)の前段階に位置する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
地方厚生局が保険医療機関や保険医を個別に呼び、診療録と請求内容を突き合わせて確認する行政指導です。健康保険法 73 条が根拠で、集団指導・集団的個別指導より踏み込んだ段階にあたります。
不正の疑いだけでなく、レセプト平均点数が同一診療科で高位に入る場合や、新規指定から一定期間が経過した場合など機械的な基準でも選定されます。何もしていなくても順番は回ってきます。
通知記載の持参物と対象患者リストを確認し、該当カルテを全件読み直します。同時に都道府県医師会等の関係団体へ相談し、医療法務に強い弁護士に事前相談してください。記載の改ざんは絶対に避けます。
通知書で指定された対象患者の診療録、レセプト控え、検査結果、同意書など。薬局であれば調剤録と疑義照会の記録が中心です。指定外でも説明の根拠になる資料は整理しておくと有利です。
指導で不適切と判断された請求分を、医療機関が自ら保険者へ返還する手続です。指摘件数分だけとは限らず、同種の誤りが常態化していたと判断されれば遡って推計される運用があります。
架空請求や付増請求など著しい不正・不当が疑われる場合や、正当な理由なく指導を拒否した場合などです。監査は健康保険法 78 条に基づき、報告徴収や立入検査を伴います。
医師免許自体は残りますが保険診療ができなくなり、原則として一定期間は再登録されない運用があります。健康保険法 81 条による処分で、機関の指定取消(80 条)とは別に個人へ及びます。
医師法上の診療録記載義務違反となりうるほか、保険診療では「実施したが書いていない」が「実施していない」と扱われ、返還対象になりえます。後付け記載や改ざんは監査移行の直行便です。
73条は「指導を受けなければならない」と定めており、正当な理由なく拒否すれば指定取消(80条)の事由になりうる。日程変更は診療上のやむを得ない事情があれば申し出る余地はあるが、繰り返すと拒否とみなされる。業界裏話ヒント:指導の「拒否」と「延期」の境界は運用で決まる。一度目の延期理由は書面で明確に残しておくこと。口頭で電話一本の延期は、後から「拒否した」と記録される余地を残す
指導そのものは行政指導であり行政処分ではないため、原則として取消訴訟の対象にならない(役所があなたに直接下す具体的な決定ではないため)。ただし指導を経て出される保険医療機関の指定取消(80条)や保険医登録の取消(81条)は行政処分であり、審査請求・取消訴訟が可能である。業界裏話ヒント:争える段階になったときには、指導時のあなたの発言記録がすでに相手の手元にある。争う可能性を残したいなら、指導当日の受け答えを録音するか、詳細なメモを残しておく
条文上、厚生労働大臣が必要と認めたときに関係団体(都道府県医師会等)の指定により立ち会わせる仕組みで、被指導側が直接指名できるものではない。ただし関係団体に事前に相談すれば、団体側から働きかけが行われる余地がある。業界裏話ヒント:都道府県医師会・歯科医師会・薬剤師会は、会員向けに指導対策の説明会や個別相談を実施していることが多い。会費を払っているのに使っていない開業医は驚くほど多い。通知が来た日にまず電話するべき相手はここである
ある。73条は「保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し」指導を受けると定めており、個人が独立して対象になる。機関の指定取消(80条)と保険医個人の登録取消(81条)は別々の処分である。業界裏話ヒント:保険医登録を取り消されると、原則5年間は再登録されない運用がある。医師免許は残るが保険診療ができない医師になる。転職市場での価値がほぼ消えるという意味で、勤務医にとっては開設者以上に重い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 法的性質 | 73 条 指導:行政指導。処分性がなく取消訴訟の対象外 | — |
| 対象 | 保険医療機関・保険薬局と、保険医・保険薬剤師の双方が独立して対象 | — |
| 契機 | 高点数・新規指定など機械的選定を含む。不正の認定は前提でない | — |
| 被指導側の防御手段 | 2 項の学識経験者立会い、後日書面回答、算定根拠の書面請求 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。