要点健康保険法 72 条は、保険医と保険薬剤師が厚生労働省令(療担規則)の定めるところにより診療・調剤に当たる義務を定め、その責務は国民健康保険など他の医療保険にも及ぶ。
Q · 医師免許を持っているのに「これは保険でできない」と言われるのはなぜ?
医師免許とは別に、省令に従う保険医の義務があるからです
健康保険法 72 条は、保険医療機関の保険医と保険薬局の保険薬剤師が、厚生労働省令の定めるところにより診療・調剤に当たらなければならないと定めます。この省令が通称「療担規則」で、療養の給付の範囲、算定ルール、診療録の記載などを規律します。医師免許は医行為の資格、保険医登録(同法 64 条)は保険財源から報酬を受ける資格であり、両者は別物です。72 条違反は指導・監査を経て、同法 81 条による保険医登録の取消しにつながる場合があります。
保険証を出して受ける診療は、医師と患者の二者間の話ではない。そこには第三の当事者が黙って立っている。健康保険法 72 条は、保険医療機関で働く「保険医」、保険薬局で働く「保険薬剤師」に対し、厚生労働省令で定めるところにより診療または調剤に当たらなければならないと命じる。ここで言う省令が「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、通称「療担規則」である。あなたが医師なら、医師免許で許されている医療行為と、保険診療として許されている医療行為は別物だという意味になる。あなたが患者なら、担当医が「これは保険でできない」と言う場面の裏側にこのルールが動いていることになる。しかも 2 項は、この責務が健康保険法の枠を越え、国民健康保険、後期高齢者医療、共済など他の医療保険制度の診療にも及ぶと定める。保険証の色が違っても、医師が守るべき土俵は同じ一枚だ。
健康保険法 72 条は保険医および保険薬剤師の療養担当責務を定める規定であり、保険医療機関に従事する保険医と保険薬局に従事する保険薬剤師が、厚生労働省令の定める基準に従って診療または調剤を行うべきことを規定する。同条 2 項により、この責務は健康保険法以外の医療保険各法および高齢者の医療の確保に関する法律による診療・調剤にも及ぶ。
保険医療機関で保険診療に従事する医師・歯科医師のうち、厚生労働大臣の登録を受けた者をいいます。健康保険法 64 条の登録が必要で、医師免許とは別個の資格です。
「保険医療機関及び保険医療養担当規則」の略で、健康保険法 70 条・72 条の委任を受けた厚生労働省令です。療養の給付の範囲、診療方針、診療録の記載などを定めます。
勤務先を管轄する地方厚生局(厚生局事務所)に保険医登録申請書を提出します。医療機関側の指定申請(65 条)とは別手続で、両方揃って初めて保険請求ができます。
療養の給付は療担規則が定める範囲に限られ、範囲外の自費診療を同一の診療に混ぜると、本来保険が効く部分まで全額自己負担になりうるためです。例外が保険外併用療養費(86 条)です。
指定された期間のカルテ・レセプト・同意書を時系列で整理し、記載不備を事前に把握します。推測で答えず記録に基づいて説明し、監査に進む可能性があれば早期に弁護士に相談します。
指定は医療機関という「場所」に対するもの(65 条)、登録は医師個人という「人」に対するもの(64 条)です。72 条は登録を受けた個人側の責務を定めています。
健康保険法 86 条に基づき、評価療養・選定療養など一定の自費部分と保険診療の併用を認める制度です。全額自費か保険かの二択ではない第三の選択肢になります。
あります。72 条は保険医と保険薬剤師を並べて名宛人としており、薬剤師側は「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」に従って調剤に当たる義務を負います。
決めているのは医師個人ではなく、健康保険法 72 条が委任した療担規則と、診療報酬点数表である。療養の給付の対象は、疾病または負傷に対する診療であり、予防や美容は原則として外れる。業界裏話ヒント:保険と自費を同じ日に混ぜる混合診療は原則禁止で、混ぜると本来保険が効く部分まで全額自費になりうる。だから医師は日を分ける提案をすることがあり、これは患者の負担を下げるための実務的工夫である
ある。保険医の登録は健康保険法 64 条による別個の登録で、療担規則違反や不正請求があれば 81 条により取消しの対象になる。免許は医師法の世界、保険医登録は健康保険法の世界で、二つは連動しない。業界裏話ヒント:取消しを受けると原則 5 年間は再登録されないため、勤務医としての就職先も事実上ほぼ消える。医療事故より不正請求のほうがキャリアを断ちやすいという現実を、開業医は開業前に知っておくべきである
72 条 2 項が、保険医と保険薬剤師の責務を健康保険法以外の医療保険各法および高齢者の医療の確保に関する法律による診療にも及ぼしているためである。国民健康保険法 40 条なども同じ療担規則を取り込む構造になっている。業界裏話ヒント:だから制度が変わっても現場のルールは一枚で運用される。逆に言えば、療担規則の一行が改正されると、全国のほぼすべての医療機関の運用が同時に変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 名宛人 | 72 条:保険医・保険薬剤師という個人 | — |
| 規律の中身 | 厚生労働省令(療担規則)に従って診療・調剤に当たる責務 | — |
| 違反した場合 | 73 条の指導、監査を経て 81 条の保険医登録の取消し | — |
| 他制度への波及 | 2 項により国民健康保険・後期高齢者医療等にも及ぶ | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。