要点手形法 65 条は、複本の一通への支払が他の通を無効とする記載がなくても支払人を免責すると定める。ただし引受済みで返還を受けていない各通には責任が残る。
Q · 複本の手形、一通に支払えばもう払わなくていいの?
原則は一通の支払で免責、ただし引受済み未返還の通には責任が残る
手形法 65 条 1 項本文により、複本の一通への支払は、他の通を無効とする記載がなくても支払人を義務から解放します。しかし但書で、支払人(引受人)は引受をした各通のうち返還を受けていないものについて責任を負います。複数通を引き受け、支払時に該当通を受戻していなければ、別の引受済みの通を持つ所持人にもう一度払う事態が生じます。さらに 2 項で、複本を別々に裏書譲渡した裏書人とその後の裏書人も、署名した各通について責任を負います。
国際貿易の決済では、一枚の為替手形が実は二通、三通の組(複本)で振り出されることがある。船便で一通が失われても別ルートで届いた一通で決済できるようにする、保険のような仕組みだ。だがここに罠がある。あなたが支払人として複数の通を引き受け(引受)てしまうと、手形法65条はあなたを各通について責任を負わせる。一通に支払っても、引受済みで手元に戻っていない他の通を持った別人が現れたら、もう一度払えと言える。さらに2項では、複本を別々の人に裏書譲渡した裏書人とその後の裏書人も、署名した各通について責任を負う。つまり複本は、悪用すれば一つの債権から二重三重の請求を生み出す装置に化ける。引き受ける前に何通の組なのかを確認しないと、財布が二度開く。
手形法 65 条は、為替手形の複本における支払の効力と各当事者の責任範囲を定める規定である。複本の一通への支払は原則として他の通についても義務を消滅させるが、引受人は引受済みで返還を受けていない各通について責任を負い、複本を別々に譲渡した裏書人およびその後の裏書人も署名した各通について責任を負う。
AI 輔助整理,以條文原文為準
同一の手形債権を表章する複数の正本のことです。国際取引で輸送中の紛失に備え、2 通組などで振り出され、各通に第一号・第二号と番号が付されます(手形法 64 条以下)。
手形法に上限の定めはなく、必要に応じて複数通発行できます。各通に通数(第一号・第二号など)を記載する必要があり、記載がなければ各通が独立した手形とみなされます。
国際貿易では船便で書類を送るため、一通が紛失しても別ルートで届いた通で決済できるよう、保険として 2 通組で振り出す慣行があるからです。L/C 取引で広く使われます。
原則として一通の支払で他の通の義務も消滅します(手形法 65 条 1 項本文)。ただし引受をして返還を受けていない通には責任が残るため、自動的に無効化されるわけではありません。
支払と引換えに手形の現物(該当する通)を回収することです。受戻しを怠ると、返還を受けていない通について責任が残り、二重払いの原因となります。
何通組の複本か、他の通が今どこにあるかを確認し、引受を一通に限定することです。複数通を引き受けると各通について責任を負い、二重払いのリスクが生じます。
複本制度自体が紛失に備える仕組みのため、別の通で権利行使できます。全通を紛失した場合は公示催告・除権決定の手続で権利を回復します。
電子記録債権は電子的に一元管理されるため、紙の複本のような概念はありません。紙の手形が事実上廃止に向かう一方、為替手形の複本ルールは廃止されていません。
国内の手形決済ではほぼ見かけないが、国際貿易の荷為替手形では今も2通組で振り出すのが慣行だ。紙の約束手形は2026年に向け廃止が進むが、為替手形の複本ルール(手形法64条以下、65条)は廃止されていない。業界裏話ヒント:銀行員でも複本の引受リスクを正確に説明できる人は少ない。L/C取引を始める中小企業は、自社が引受人になる場合の二重払いリスクを誰にも教わらないまま契約していることが多い
あなたが支払人として複数の通を引受し、支払時にその通を回収(受戻し)していないからだ。手形法65条1項但書は、引受済みで返還を受けていない各通について支払人に責任を負わせる。一通払っても、別の引受通を持つ善意の所持人には対抗できない。業界裏話ヒント:支払の鉄則は『紙と引換えに払う』。該当する通を必ず回収しないと、同じ金額を二度払う羽目になる
相手本人が消えても、手形法65条2項は複本を別々に裏書譲渡した裏書人とその後の裏書人に、署名した各通の責任を負わせる。つまり裏書の連鎖をさかのぼり、資力のある裏書人に請求できる。業界裏話ヒント:複本詐欺で泣くのは『誰が署名しているか』を見ない人だ。手元の通の裏書欄を確認し、資力のある署名者を特定するのが回収の第一歩になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 65 条:複本の支払の効力と各通の責任 | — |
| 誰のリスクを規律するか | 支払人(引受人)と裏書人の二重責任 | — |
| 責任が残る要件 | 引受済みかつ返還(受戻し)を受けていない各通 | — |
| 関連する基礎規定 | 28 条(引受人の支払義務)・39 条(受戻し) | — |
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