第三十五条の二の規定により内閣総理大臣がした決定については、審査請求をすることができない。
要点労働関係調整法35条の5は、緊急調整について内閣総理大臣がした決定に対し、審査請求をすることができないと定める例外規定である。争う場合は裁判所が問題となる。
Q · 緊急調整の決定がおかしいと思ったら、まず審査請求すればいいの?
いいえ、審査請求はできません。争うなら裁判所です
労働関係調整法35条の5により、緊急調整について内閣総理大臣がした決定(35条の2)に対しては、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができません。役所内部での再審査という非常口は法律で塞がれています。ただし本条が排除したのは審査請求のルートだけで、裁判所への取消訴訟まで明文で禁じてはいません。もっとも緊急調整決定に処分性があるか(=取消訴訟の対象になるか)は実務上見解が分かれており、訴訟の入口で争いになります。
総理大臣が「この争議は国民経済を揺るがす」と判断し、ストライキを50日間止める。それが緊急調整という制度で、戦後の日本で発動されたのは1952年の一度きりだ。そして本条があなたに告げるのは、その総理の決定に対して審査請求(役所に対する不服申立て、もう一度見直せと迫る正式な手続)で文句を言えない、という冷たい事実である。通常、行政が下した決定には行政不服審査法という反論ルートが用意されている。だが緊急調整の決定だけは、そのドアが法律で塞がれている。労働組合であれ使用者であれ、50日間の争議行為禁止を食らった側が「この決定はおかしい」と思っても、まず役所に審査請求するという王道は使えない。残された問いはただ一つ、では裁判所のドアはどうなのか。本条はそこには触れていない。ここに実務最大の論点が眠っている。
労働関係調整法35条の5は、緊急調整について第35条の2に基づき内閣総理大臣が行った決定に対し、行政不服審査法による審査請求を排除する規定である。行政内部での再審査ルートを封じる一方、裁判所による司法審査の可否には触れず、その点を解釈に委ねる例外条項として機能する。
できません。労働関係調整法35条の5が、35条の2に基づく内閣総理大臣の緊急調整決定について審査請求を明文で排除しています。
本条が封じたのは行政不服審査法のルートだけです。取消訴訟の可否は別論点として残りますが、緊急調整決定の処分性については実務上見解が分かれています。
争議行為が国民経済や日常生活を著しく脅かす場合に、内閣総理大臣の決定で50日間ストを止める非常手段です(労働関係調整法35条の2以下)。
戦後で発動は1952年(昭和27年)の一度だけです。争議権を50日間止める強力な制度のため、政府は発動に極めて慎重です。
決定の公表日から50日間、争議行為が全面的に禁止されます(労働関係調整法35条の4)。
電気・ガス・水道、運輸、医療など、止まると国民生活が危うくなる公益事業(労働関係調整法8条)が主な対象です。
あります。国家の緊急的・政策的判断には、個別法で審査請求を排除する条文が各所にあります。本条はその一例です。
審査請求に時間を使わず、決定の処分性と取消訴訟の可否を労働法・行政法に強い弁護士と即検討するのが実務的です。
いいえ、本条が封じたのは行政不服審査法に基づく審査請求(役所内部の見直し)だけです。裁判所への取消訴訟まで排除しているわけではありません。ただし緊急調整の決定に処分性があるかは実務上、見解が分かれており、訴訟の入口で争いになります。業界裏話ヒント:こうした「審査請求は排除するが訴訟には触れない」条文は、立法者が司法審査までは完全に閉ざせないと意識した跡です。条文が黙っている部分にこそ、争う余地が残されている
戦後、緊急調整が発動されたのは1952年(昭和27年)の一度だけで、電気・石炭事業の争議が対象でした。制度としては存在し続けていますが、争議権(憲法28条)を50日間止める強力な手段ゆえ、政府も発動に極めて慎重です。業界裏話ヒント:めったに使われない条文ほど、いざ発動されたとき先例も実務知も乏しく、争い方を知っている側が圧倒的に有利になります。本条の「審査請求不可」を知らずに不服申立てへ走れば、貴重な50日を空費する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 不服を申し立てる手段 | 労働関係調整法35条の5:審査請求を排除(使えない) | — |
| 判断する主体 | —(行政内部の再審査ルート自体が封じられている) | — |
| 緊急調整決定への適用 | 明文で適用排除 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。