労働関係調整法 第2条
クイックジャンプ
労働関係の当事者は、互に労働関係を適正化するやうに、労働協約中に、常に労働関係の調整を図るための正規の機関の設置及びその運営に関する事項を定めるやうに、且つ労働争議が発生したときは、誠意をもつて自主的にこれを解決するやうに、特に努力しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働関係調整法第2条は、日本の労働関係調整法に含まれる条文です。
- 労働関係調整法第2条の条文原文は「労働関係の当事者は、互に労働関係を適正化するやうに、労働協約中に、常に労働関係の調整を図るための正規の機関の設置及びその運営に関する事項を定めるやうに、且つ労働…」で始まります。
- 労働関係調整法第2条は第一章 総則に置かれています。
- 労働関係調整法の公布日は昭和21年9月27日です。
- 労働関係調整法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 労働関係調整法第2条の前の条は労働関係調整法第1条です。
- 労働関係調整法第2条の次の条は労働関係調整法第3条です。
- 労働関係調整法第2条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第2条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321AC0000000025 - 本サイト収録
労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第2条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321AC0000000025/2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働関係調整法2条は、労使当事者に労働関係の適正化と争議の誠意ある自主的解決を求める努力義務規定。罰則はないが、誠意の欠如は不当労働行為の評価に影響する。
Q · うちは小さい会社ですが、組合から団体交渉を申し込まれたら必ず応じないといけませんか?
罰則はないが、誠意の欠如は不当労働行為と連動する努力義務
労働関係調整法2条は、労使当事者に対し、労働関係の適正化、労働協約への常設調整機関の設置、そして争議発生時の誠意ある自主的解決という三つの努力義務を課します。条文自体に罰則はありませんが、団体交渉を理由なく拒んだり誠意を欠いたりすると、労働組合法7条の不当労働行為(団交拒否・不誠実団交)として労働委員会の救済命令の対象になりえます。まず当事者が誠意をもって解決を図ることが原則で、斡旋・調停・仲裁はその後段の補助手続です。
解説
あなたが小さな会社の経営者で、ある日組合から団体交渉を申し込まれたとする。面倒だからと先延ばしにする。その瞬間、あなたは労働関係調整法 第2条が定めた「自主的解決の努力義務」を踏み外している。この条文は、労使の当事者に三つの努力を課す。日頃から労働関係を適正に保つこと、労働協約の中に紛争を常時調整する常設機関を設けること、そして争議が起きたら誠意をもって自分たちで解決すること。罰則のない努力義務だと侮ってはいけない。日本の労働紛争解決は何段もの階段になっていて、その一段目が当事者の自主解決、二段目以降に労働委員会の斡旋・調停・仲裁が控える。一段目を飛ばして上の段に駆け上がった側は、後の手続で必ず「誠意を欠いた」と評価される。あなたが知っておくべきは、この一段目をどう踏むかで、紛争全体の主導権が決まるという構造だ。
法的な位置づけ
労働関係調整法2条は、労使当事者の自主的解決の責務を定める規定である。労働関係の適正化、労働協約への常設調整機関の設置・運営、争議発生時の誠意ある自主解決という三つの努力義務を課し、労働委員会による斡旋・調停・仲裁という公的手続の前段に位置づけられる訓示規定として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.団交申入れを無視せず文書で応答する 組合から団体交渉の申入れがあったら放置せず、応じる姿勢と代替日程を文書(メール可)で示す。最初の一通の返信の有無が、後の労働委員会での誠意の評価を大きく分ける
- 2.譲歩点と説明資料を整理して交渉に臨む 譲歩できる点とできない点を整理し、誠意ある説明と必要資料の提示を尽くす。各回の議事録を残し、自社の譲歩案を記録に残すことで「自主解決に努めた」客観証拠とする
- 3.労働協約に常設の労使協議機関を設ける 労使協議会や苦情処理委員会のような、平時から紛争を調整する常設機関を労働協約中に定める努力をする。常設窓口があると些細な対立がストライキへ膨れ上がるのを防げる
- 4.自主解決が行き詰まれば労働委員会へ申請する 誠意を尽くしても解決しない場合、都道府県労働委員会へ斡旋を申請する(労働関係調整法10条以下)。公益事業で争議行為を予定する場合は10日前予告(37条)を逆算して動く
よくある質問 AI による整理
Q1労働関係調整法とは何ですか?
労働争議の予防と解決のため、労働委員会による斡旋・調停・仲裁の手続を定めた法律です。昭和21年(1946年)に制定され、労働組合法・労働基準法と並ぶ労働三法の一つです。
Q2労働争議の解決方法にはどんな段階がありますか?
まず当事者の自主交渉、次に労働委員会の斡旋、調停、仲裁という順に進みます。労働関係調整法2条が一段目の自主解決を、10条以下が公的手続を定めています。
Q3斡旋と調停と仲裁はどう違いますか?
斡旋は斡旋員が話し合いを仲介する緩やかな手続、調停は調停案を提示する手続、仲裁は仲裁裁定に労働協約と同一の拘束力が生じる最も強い手続です。
Q4団体交渉を拒否されたらどうすればよいですか?
申入れと相手の対応を日付つきで記録し、労働協約の苦情処理機関や労働委員会の斡旋を活用します。悪質なら労働組合法7条の不当労働行為救済も申し立てられます。
Q5労働委員会への斡旋はどう申請しますか?
当事者の一方または双方が、管轄の都道府県労働委員会(または中央労働委員会)に申請します。書式は各労働委員会のサイトで入手でき、費用はかかりません。
Q6公益事業の争議行為は何日前に予告が必要ですか?
電気・運輸・医療などの公益事業では、争議行為の少なくとも10日前までに労働委員会と厚生労働大臣または都道府県知事へ予告が必要です(労働関係調整法37条)。
Q7緊急調整とは何ですか?
争議行為が国民生活を著しく害するおそれがあるとき内閣総理大臣が決定する制度で、公表の日から50日間は争議行為を行えません(労働関係調整法38条)。
Q8不当労働行為とは何ですか?
団交拒否・不誠実団交、組合員への不利益取扱い、組合運営への支配介入などをいい、労働組合法7条が禁止し、労働委員会が救済命令を出します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1「努力しなければならない」って書いてあるけど、守らなくても罰則はないんでしょ?
第2条そのものに罰則はない、典型的な努力義務(訓示規定)である。だが誠意を欠いて団交を拒む使用者は、労働組合法7条の不当労働行為(団交拒否、不誠実団交)に問われ、労働委員会の救済命令の対象になる。実務のポイント:労働委員会は救済の判断で「当事者が自主解決にどれだけ誠意を尽くしたか」を心証形成の柱に据える。第2条は罰則の有無だけ見ると無力に見えるが、別ルートで効いてくる
Q2労働協約に「正規の機関」を定めろって、具体的に何を作るんですか?
労使協議会や苦情処理委員会のように、紛争を平時から調整する常設の機関を指す。法律上の強制ではなく努力義務だが、設けている企業は紛争が長期化・激化しにくい。実務のポイント:労使関係が安定している大企業の裏には、ほぼ必ずこの常設協議機関がある。組合側も協約交渉の場でこの機関の設置を求められる立場にあり、待ちの姿勢でいる必要はない
間違えやすい点 AI による整理
- 「努力義務だから無視してもいい」と思われがちだが、無視できる程度をあなたは過小評価している。誠意の欠如は労働組合法7条の不当労働行為(団交拒否、不誠実団交)と結びつき、労働委員会の救済命令や公表という現実の不利益に跳ね返る
- 「もめたら労働委員会に持ち込めばいい」という問いの立て方そのものがずれている。法律の設計は逆で、まず当事者の自主解決が原則、公的機関はあくまで補助である。順番を取り違えた当事者は、交渉の主導権を自ら手放している
- 「労働協約に常設機関を作るのは会社が勝手にやること」と考える人が多いが、第2条は労使双方の努力義務である。労働者側も、協約交渉の場で苦情処理委員会や労使協議会の設置を求める立場にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 紛争解決の段階 | 2条:一段目の当事者による自主的解決 | 10条:二段目の労働委員会の斡旋 37条:公益事業の争議行為の予告 |
| 主体 | 労使の当事者自身 | 斡旋員(労働委員会) 当事者(行政への予告) |
| 法的強制力 | 努力義務(訓示規定)、罰則なし | 斡旋案に拘束力なし、受諾は任意 予告は強制、違反は処罰対象 |
| 怠った場合の不利益 | 不当労働行為(労組法7条)の評価に連動 | 次段の調停・仲裁へ移行 予告義務違反として罰則適用 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も労使紛争で自主協商を前提とし、調解・仲裁の前置を置く点で日本と構造が近い。権利事項と調整事項を区別する建付けが特徴。
韓国も労働争議の自主的調整を原則とし、労働委員会の調整・仲裁手続を置く。公益事業の規制を厚くする点も日本と類似。
ドイツは労働協約自治(Tarifautonomie)を憲法的に保障し、争議は基本的に当事者の協約交渉に委ねる。国家の介入は日本より抑制的。
米国は誠実交渉義務(duty to bargain in good faith)を明文化し、連邦調停斡旋庁(FMCS)が調停を担う。日本の労調法はこの米国型モデルを継受した。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中小企業の社長として組合の団交申入れを面倒がって放置していたら、組合が労働委員会へ斡旋を申請した。第2条は当事者の自主解決努力を求めており、応じない姿勢は労働組合法7条の不誠実団交(不当労働行為)として救済命令の対象になりうる。最初の一通の返信を出していれば、心証はまるで違った
- もし、あなたの会社の労働協約に苦情処理や労使協議の常設機関が一切定められていなかったら? 第2条はその設置努力を求めている。常設の窓口がないまま不満が溜まると、平時なら一回の協議で済む些細な対立が、一気にストライキへ膨れ上がる
- 公益事業(電気、運輸、医療など)で争議行為を予定。労働関係調整法37条で、少なくとも10日前までに労働委員会と所管大臣または知事への予告が必須。予告を怠ればそれ自体が処罰対象になる。残り日数を逆算して動く
- 組合の執行部に入ったあなた。会社が団交に応じない。斡旋や調停に進む前に、第2条の自主解決努力を尽くした記録(申入書、日程提案、議事録)を残しておくと、労働委員会での会社側の「誠意」が逆に問われる側に回る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 会社が団交に応じない、誠意を欠く場合、申入れと会社の対応を日付つきで記録する2. 労働協約に苦情処理や労使協議の機関があれば、まずそこへ持ち込む3. 自主解決が行き詰まったら労働委員会の斡旋を申請(労働関係調整法10条以下) 4. 団交拒否が悪質なら、労働組合法7条の不当労働行為救済を並行して申し立てる
訴えられた側:1. 団交申入れは無視せず、応じる姿勢と代替日程を文書で示す2. 譲歩できる点とできない点を整理し、誠意ある説明と資料提示を尽くす(議事録を残す) 3. 労働協約に常設の労使協議機関を設ける努力をする4. 公益事業なら、争議行為の10日前予告義務(労働関係調整法37条)を逆算して管理する
時効(請求できる期限):第2条の努力義務自体に時効や期限はない。ただし公益事業の争議行為は、少なくとも10日前までに労働委員会及び厚生労働大臣又は都道府県知事へ予告しなければならない(労働関係調整法37条)。また緊急調整の決定が公表されると、関係当事者は公表の日から50日間は争議行為をなし得ない(同38条)
学説
通説:労働関係調整法2条は罰則を伴わない努力義務(訓示規定)であり、それ自体から直接の法的効果は生じない。もっとも自主解決の誠意の有無は、労働組合法7条の不当労働行為(団交拒否・不誠実団交)の判断や労働委員会の救済判断において実質的な評価要素として機能すると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和21年(1946年) 新設:労働関係調整法(昭和21年法律第25号)制定により新設。占領期の労使関係制度を背景に、労働委員会の斡旋・調停・仲裁手続の前段として当事者の自主解決努力義務を定めた。
- 労働関係調整法 第1条本法の目的、自主解決原則の趣旨
- 労働関係調整法 第3条政府の責務、争議の予防・解決の援助
- 労働関係調整法 第6条労働争議の定義、本条が前提とする紛争概念
- 労働関係調整法 第10条斡旋、自主解決が及ばない場合の第一の公的手続
- 労働関係調整法 第37条公益事業の争議行為の予告義務
- 労働組合法 第7条団交拒否・不誠実団交を不当労働行為とする特則
- 労働組合法 第14条労働協約の書面要件、本条が定める協約整備の前提
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める