要点労働者災害補償保険法 12 条の 6 は、労災給付の受給権が退職で変更されず、譲渡・担保・差押えもできないと定める。保険者は国であり、会社の都合は受給権に及ばない。
Q · 会社を辞めたら、労災の給付はもう受け取れなくなるの?
退職しても消えず、差押えもできません
労働者災害補償保険法 12 条の 6 により、労災の受給権は労働者の退職によって変更されません(1 項)。また受給権は譲渡・担保提供・差押えのいずれもできません(2 項)。保険者は会社ではなく国であるため、退職勧奨や会社の倒産でも給付は止まらず、借金取りも受給権そのものは奪えません。ただし給付が口座に振り込まれた後は預金債権に変わり、差押禁止の保護が薄くなる点に注意が必要です。
工場のプレス機に手を挟まれ、療養中のあなたに会社が言う。「もう来なくていい、辞めてくれ。辞めたら労災も終わりだから、その前に話をつけよう」。多くの被災労働者がこの一言で青ざめ、焦って退職届にサインし、給付を失ったと思い込む。だが労働者災害補償保険法のこの条文は、はっきりこう定めている。保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。さらにこの権利は、他人に譲り渡すことも、借金の担保にすることも、差し押さえることもできない。理由はシンプルで、労災保険の保険者は会社ではなく国(政府)だからだ。会社が倒産しようと、あなたを辞めさせようと、国から受け取る給付の権利には会社の手が届かない。借金で自己破産しても、債権者はこの権利を奪えない。あなたが守られている範囲は、自分が思っているよりずっと広い。
労働者災害補償保険法第 12 条の 6 は、労災保険給付の受給権の保護を定める規定である。第 1 項は退職による受給権の不変更を、第 2 項は受給権の譲渡・担保提供・差押えの禁止を規定し、被災労働者の生活保障を雇用関係の終了や債権者の回収利益に優先させる趣旨をもつ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
労災保険給付を国に対して請求し受け取る権利です。保険者は政府であり、会社の倒産や退職、債権者の取立てによって左右されない強い保護を受けます。
受給権の保護自体に期限はありませんが、請求権には消滅時効があります。療養・休業・葬祭は 2 年、障害・遺族は 5 年です(労災保険法 42 条)。退職しても時効は止まりません。
未支給の保険給付は一定範囲の遺族が請求できます(労災保険法 12 条)。受給権そのものは一身専属で譲渡できませんが、未払分の承継は別途規定されています。
受給権の段階では差押禁止ですが、振り込まれた後は預金債権に転化し原則差押えの対象になり得ます。振込時期の口座残高管理が原資を守る鍵になります。
労災保険は国が保険者となり給付する制度、労基法の災害補償は使用者の直接補償義務です。どちらも受領権の譲渡・差押えを禁じる点は共通します(労基法 83 条)。
労災認定をするのは会社ではなく労働基準監督署です。事業主証明が欠けても請求は受理されるので、会社を通さず労基署に直接請求できます。
できます。請求権は労働者本人にあり、給付は国から支払われます。会社が押印を拒んでも、その旨を申し出れば労基署が請求を受け付けます。
受給権は差押禁止財産として自由財産に含まれ、破産しても手元に残ります。被災に対する給付は再起の原資として保護されます。
出続けます。労災保険の保険者は会社ではなく国で、受給権は退職によって変更されないと法律が定めています(本条1項)。治療が続く限り療養(補償)給付は出ますし、働けない間の休業(補償)給付も止まりません。業界裏話ヒント:会社が「辞めたら労災終わり」と言うのは、社会保険料の負担や労災発生件数(メリット制で保険料率に影響)を嫌っての誤誘導であることが少なくありません。退職勧奨と給付請求は別物だと知っているだけで、会社の話に流されずに済みます
受給権そのものは差し押さえられません(本条2項、差押禁止)。自己破産しても差押禁止財産として手元に残ります。ただし注意が必要なのは、いったん口座に振り込まれた後のお金は『預金債権』に変わり、保護の壁が薄くなる点です。業界裏話ヒント:振込直後を狙って口座が差し押さえられ、原資が労災でも取られた裁判例があります。給付の入る口座は他の入金と分け、振込時期の残高を管理する。この一手間を弁護士はわざわざ教えてくれないことがあります
できません。受給権を担保に供することは法律で禁じられています(本条2項)。業界裏話ヒント:かつては労災年金を担保に独立行政法人の公的機関から借りられる制度(年金担保貸付)が存在しましたが、2022年(令和4年)に新規受付が終了し、現在は利用できません。今は給付を担保にした正規の借入れは一切ない、と考えておくのが安全です(最新の状況をご確認ください)
応じる義務はありませんし、受給権の放棄を強要する合意は効力を否定されうるものです(本条は譲渡・処分を禁じる趣旨)。給付は国から受けるもので、会社との取引材料にする性質のものではありません。業界裏話ヒント:こうした提案を受けたら、応じる前に必ず日付入りで記録を残してください。提案の事実自体が、後に不当な圧力や退職強要として労働審判・損害賠償の有力な証拠になります。その場で結論を出さないのが鉄則です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保護の対象 | 労災保険給付の受給権(保険者は国) | — |
| 退職による影響 | 退職によって変更されない(1 項で明文化) | — |
| 譲渡・差押え | 譲渡・担保提供・差押えすべて禁止(2 項) | — |
| 振込後の扱い | 口座振込後は預金債権に転化し原則差押可能 | — |
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