要点独占禁止法 20 条の 2 は、共同の取引拒絶で 10 年以内に再び排除措置命令を受けた事業者に、対象売上額の 3% を課徴金として課すと定める。初犯には課されない累犯型の制裁である。
Q · 共同の取引拒絶で、初めての違反でもいきなり課徴金を取られるの?
初犯は排除命令のみ。10 年内の再犯で売上 3% が課徴金に
独占禁止法 20 条の 2 により、共同の取引拒絶(不公正な取引方法の一類型)の課徴金は初犯には課されません。調査開始日から遡り 10 年以内に同種の排除措置命令等を受けたことがある累犯事業者に対してのみ、公正取引委員会は違反行為期間における対象売上額の 3% を課徴金として命じなければなりません。しかも公取委に裁量はなく「命じなければならない」。完全子会社の前歴も親会社に引き継がれ、グループ全体で 10 年の時計が回ります。算定額が 100 万円未満なら課されません。
取引先を選ぶのは事業者の自由、そう思っているなら半分は正しい。単独で「あの会社とは取引しない」と決めるのは原則自由だ。だが複数の事業者が示し合わせて、特定の競争者を市場から締め出すために共同で供給を拒絶すると、独占禁止法19条が禁じる不公正な取引方法(共同の取引拒絶)になる。ここで多くの経営者が見落とすのが本条の構造だ。共同の取引拒絶の課徴金は、初犯には課されない。一度目は公正取引委員会の排除措置命令(やめなさいという行政命令)で済む。だが調査開始日から遡って10年以内に同種の命令を受けたことがある事業者が再びやると、違反行為期間の対象売上額の3%が課徴金として強制徴収される。しかも公取委に裁量はなく「命じなければならない」。さらに完全子会社の前歴も親会社に引き継がれる。グループ全体で10年の時計が回っていることを、あなたは知っておくべきだ。
独占禁止法 20 条の 2 は、共同の取引拒絶(不公正な取引方法の一類型)に対する課徴金納付命令を定める規定である。調査開始日から遡り 10 年以内に同種の排除措置命令等を受けた累犯事業者に限り、公正取引委員会は違反行為期間の対象売上額の 3% に相当する課徴金の納付を命じなければならない。初犯には課されない累犯型の制裁として設計されている。
複数の事業者が示し合わせて、特定の競争者を市場から締め出すために共同で供給を拒絶する行為です。独占禁止法 2 条 9 項 1 号が定める不公正な取引方法の一類型で、19 条が禁止します。
共同で特定の競争者を排除する共同ボイコット(共同の取引拒絶)は、公正競争阻害性がある限り独占禁止法 19 条違反です。単独の取引拒絶は原則自由ですが、共同の場合は評価軸が変わります。
調査開始日から遡り 10 年以内に、共同の取引拒絶で排除措置命令や課徴金納付命令を受けた前歴があることです。累犯に該当すると課徴金が発動します。完全子会社の前歴も親会社に合算されます。
排除措置命令は「やめなさい」という行政命令で、初犯でも受けます。課徴金は違反行為期間の売上 3% を強制徴収する金銭的制裁で、共同の取引拒絶では 10 年内の累犯にのみ発動します。
業界団体の会合で「あの業者には卸さない」と申し合わせが成立すると共同の取引拒絶になり得ます。団体としての決定でも、参加した各社それぞれが違反主体になり得る点が危険です。
引き継がれます。本条は完全子会社が過去 10 年以内に受けた同種命令の前歴を親会社の累犯判定に合算します。違反歴のある会社を完全子会社化すると、その履歴ごと抱え込みます。
課徴金納付命令は、違反行為がなくなった日から 7 年を経過すると命じられません(令和元年改正で 5 年から 7 年に延長、最新の改正状況をご確認ください)。
カルテル・入札談合(不当な取引制限、7 条の 2)は初犯から課徴金がかかりますが、共同の取引拒絶など一部の不公正な取引方法は 10 年内の累犯型です。算定率もカルテルより低く 3% です。
原則として単独の取引拒絶は事業者の自由で、本条の対象外です。問題になるのは複数の事業者が共同して特定の競争者を締め出す『共同の取引拒絶』(独占禁止法2条9項1号)の方です。業界裏話ヒント:単独でも、市場で圧倒的な地位を持つ事業者が競争者を排除する目的で取引を拒絶すると、私的独占(同2条5項)や別類型の不公正な取引方法として問題になりうる。『単独だから安全』は規模次第で崩れる。
共同の取引拒絶の課徴金は、初犯には課されません。本条は調査開始日から遡り10年以内に同種の命令を受けた事業者にのみ課徴金を命じる累犯型です。初犯は排除措置命令まで。業界裏話ヒント:これはカルテルや入札談合(不当な取引制限、7条の2)と決定的に違う点。談合は初犯から課徴金だが、不公正な取引方法は累犯型。だからこそ一度目の命令を『軽く済んだ』と油断する企業ほど、二度目で痛手を負う。
違反行為期間における対象売上額の3%です。ただし算定額が100万円未満なら課されません。対象売上は政令で定める方法で算定されます。業界裏話ヒント:3%という料率はカルテル(原則10%)より低いが、対象売上額の『違反行為期間』をどう認定するかで総額は大きく変わる。期間の起算点と終期は争点になりやすく、ここを詰めるかどうかで数千万円単位の差が出ることがある。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課徴金の発動時点 | 10 年内の累犯のみ(初犯は排除措置命令まで) | — |
| 課徴金の算定率 | 対象売上額の 3% | — |
| 対象行為 | 共同の取引拒絶(2 条 9 項 1 号) | — |
| 課徴金減免制度(リニエンシー) | 適用なし | — |
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